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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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メル響「Mahler 6」感想
ずーっと前のエントリーでメルボルンの芸術関連施設は近いところにかたまってると書いたような来ますが昨日の夜はそれがものすごく顕著に表れてたというか。
Hamer Hallではメル響のマーラー6番のコンサート、State TheatreではロミジュリバレエにSingin' in the Rainのミュージカル、それがみんな似た様な時間に終わってState Theatreのバーに音楽畑の人々が集まる集まる。晴れてたとはいえ冬だというのにみんなで外で集まって飲んでました。楽しかったー。

さてコンサート自体の感想ももちろん。
プログラムはこんなでした。
メルボルン交響楽団「Mahler 6」
指揮:Sir Andrew Davis
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト ピアノ協奏曲第21番(ピアノ:Jonathan Biss)
(休憩)
グスタフ・マーラー 交響曲第6番

モーツァルトは割とよく演奏される協奏曲でしたがちょっと真面目な感じの演奏でしたね。
色々思うことはありますがちょっと割愛。でも有名なスローな第2楽章はよかったです。

何よりメインディッシュのマーラーについて色々書きたくて。(そうです、マーラーサイクルの続きです)
メル響のコンサートプログラムには演奏される曲それぞれにメル響による初演・最近の演奏の年と指揮者(とソリスト)が書いてあるのですがマーラー6番はなんと10年ぶり。その10年前のコンサートも行きましたがもう10年経ったのか。でもそれくらいなのかもなあこの曲が演奏される頻度は。

なんたってマーラーの交響曲の中でも暗さ・重さ・濃さが半端ないこの6番。
聴く方も聴き応えを通り越したがっつり感がありますし、もちろん弾く方も大変。
でもマーラーの交響曲の中で、そして交響曲のレパートリーの中で、さらには音楽全体のなかで独特の存在感と圧倒的な体験ができる曲です。生で聴けるときにはしっかり生で味わっておかなかいと(今後ももちろん)。

オケの編成もこれまた半端ない。木管は5管編成でホルンは(アシ含め)9人。
もちろん今回も活躍してましたコントラフォルテさん。もしかしたらこんなにぼいぼいクリアにパートを響かせるのは本来のマーラーの意図を超えてるのかもしれないけどかっこいいぜコントラフォルテ。
本来のマーラーの意図を超えて、といえば交響曲での出演は珍しいチェレスタも。弾いてるときはバルコニーの後ろの席からもはっきり聞こえました。マーラーの頃の楽器は私がちょくちょく弾かせてもらってるやつみたいだったのかな、元は3台必要とか指示にあったそうです。

金管の皆さんのスタミナには本当に頭が下がります。特にホルン。吹く箇所もかなり多いですし、3日連続公演、その間にリハもあったりしたそうでみんな第4楽章の最後の方までずっとあの音量ってどうやるの!?・・・ということを後で(7番吹いてた)ホルン友達に聞いたら「多分アドレナリン」だそうで。弾いてたみんなもすごいがそれができる曲を書いたマーラーも凄い。

マーラー6番といえば打楽器も活躍。リハではバランスが難しかったらしいカウベル、そして第4楽章で2回振り下ろされるハンマー。結構音でかいですねあれ。中がある程度は空洞になってるのか。あと「楽器らしくない」音だから余計に異質。今回は台が縦に長い箱状で、ハンマーを叩くにはちょっとした階段を上らなくちゃいかなかったのと、あとハンマーの台があるところにスポットライトが当たってたのでこの曲を知らない人にも分かりやすかったんじゃないかな。

それにしてもすごい曲。音の密度がとんでもないんですね。音量と複雑さと弾いてる人数全部合わせて。この曲を知ってる人でも多分全部の音は聞き取れない&脳で処理しきれないと思うんです。(多分すごい指揮者だと大分近づくのではないかと思われますが)
それに圧倒される体験というのもこの曲の楽しいところだと思います。そしてそんな音楽を一人の人間が書くことができるという驚きも。

その複雑さ、濃さ、カオスさがMAXになる第4楽章はテンポを引き下げる箇所でもそうすることなくがんがん前に進んでいく感じが印象的でした。ぐーっと引き延ばすことで得られる効果もありますがこういうエフェクトもあり。もうこの楽章は戦場でしたね。
逆にテンポ落ち着きめのスケルツォ(6番は真ん中のスローな楽章とスケルツォの順番で色々議論があるみたいですが今回スケルツォは第3楽章として演奏されました)の重みもよかった。スケルツォ史上最重。

さて、ちょっと早い気もしますがマーラーサイクルの今年分はこれで終わり。次は7番、来年までお預けです。7番も好きで(やっぱり5・6・7がお気に入り)、オケにとっても色々大変らしいのでその話を聞くのも含めて楽しみです。


今日の一曲: グスタフ・マーラー 交響曲第6番 第4楽章



マーラー6番の第4楽章は私のipodに入ってる曲の中でも1トラックとしては最長クラスなのですが(30分くらい)、今回聴いたときはあっという間に感じましたね。前述立ち止まらずざくざく進んでいく感じが効いたのかな。
ただ3番みたいに第1楽章がとんでもなく長い(45分とか)よりは最後が長いほうがまだ聴きやすいのかも。ただ第4楽章にたどり着くまえの音楽情報量が多いことには変わりないですが。

第4楽章は特に人の心の緊張とか盛り上がりをうまーく操作してる気がします。最初のチェレスタの微妙な(?)和音だったり、長和音→短和音のモチーフの使い方だったり、ハンマーやハープの特殊奏法的な音だったり、スローで静かな部分での楽器の使い方だったり、終始マーラーに振り回されっぱなし。ただそれがいい。

そしてみんながみんな忙しい&アグレッシブ。ベルアップの木管やホルン、勇ましいトランペット、そして荒々しいビオラも味わえます!弾いてる方も聴いてる方もアドレナリンがよく出そう。私は出ます。こうやって考えてるだけで出ます。
色んな意味でオケの限界に挑戦するような音楽だなーこれは。

そのエキサイティングなのを生で味わうこと以外でもマーラー6番は生演奏or映像つきで聴くのがものすごくオススメです。
というのは音楽があまりにも複雑すぎるので、視覚情報をヒントにした方が聞こえやすいという理由もあり。さらに聴き所だけでなく見所も満載なので。ハンマーを振り下ろすのとか、ちょっと変わった奏法で弾くハープの姿とか、ベルアップする奏者の姿とか、そして指揮者の動きとか。聴いて楽しい見て楽しい。

とはいえ聴くのにやっぱりある程度の時間とエネルギーと覚悟(?)のいる曲ではあるのは確か。マーラー初めての方は交響曲1番とか5番とか4番とかから入るのがいいかも。
ただ素晴らしい曲で好きな曲でもっとたくさんの人に体験してほしい音楽なことは確か。
なのでベルリンフィルによる3分ほどの一部動画を2つあげときますねー。
Harding指揮の第1楽章Rattle指揮の第4楽章

リンクしたのは手持ちのTennstedt指揮の録音。今のところこの録音が一番好きです。でも思い入れがあるのでさらに探し続けてます。

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支援エントリーのような何か
ちょっとぶりの更新です~
最近すっかり寒くなって朝起きるのが若干遅くなってしまってるのが目下の悩みです。
どうも10時半を過ぎるまで体が動いてくれない。今の仕事でよかったーとは思うもののもうちょっとどうにかならないかこののろのろさ。

今サイトをみたらこないだの豪ABCのカウントダウンの惜しくも入らずの101~200位が発表されてました。こちらから。
Compassionが102位は惜しすぎる!!あーもうちょっとだったのに!そしてこっちも手堅い素晴らしいレパートリー揃いで、100位までに劣るところ一つも無い面白いリストです。声楽を楽しむならこちらのリストも参考に。

さて最近Twitterでちょこちょこ音楽関連情報が入ってたので支援になるか分かりませんがちょっと今回紹介。ちなみにどっちもソースはクロノス・カルテット。色んな方向で活躍してるだけでなく色んな方面に音楽家のつながりがある面白い人達です。

まずはクロノス・カルテットのFifty for the Futureプロジェクト。
これから5年の間にクロノス・カルテットが世界の様々な国の50人の作曲家(男女比1:1)に新しい曲を依頼し、それを演奏するだけでなく録音・楽譜などを無料で世界の演奏家に提供、さらにそれらを演奏したい演奏家の指導もしますよ、という太っ腹なプロジェクト。
ちょっと前から始まってたプロジェクトですが最近発表された曲も増えてきてメディア紹介も増えてきた様子。
先ほどの男女比もそうですがカバーされてる地域の多様さもまた面白い。世界中で音楽が作られて世界中から色んな音楽にアクセスできる、そういう時代ですがこうやってそのアクセスを手伝ってくれる人やプロジェクトはほんといいですね。作曲家・演奏家・聴衆をつなぐ音楽のハブステーションみたいな。私も聴衆としてそのつながりにささやかに参加させてもらってる・・・と思っています。

そんなクロノス・カルテットのつながりからもう一つのお知らせ。
なんでも来日の時にはあさイチ!にも出演したらしい(母から話を聞いたのみですが)シルクロード・アンサンブルのドキュメンタリー映画「The Music of Strangers」が米国で上映になったそう。様々な国やバックグラウンドの音楽家たちの音楽を通じて世界を見、旅する・・・という内容でいいかな。
シルクロード・アンサンブルといえば創始者のチェリスト、ヨーヨー・マが有名ですがクロノス・カルテットの共演者でありFifty of the Futureの女性作曲家の一人である中国琵琶奏者Wu Manもその一員として出演しているらしいです。これは観るしかない!
・・・と思ったら今の所上映してるのはアメリカの一部シネマのみだそうで。うーんラリアにこないかな来て欲しいというか絶対来て欲しい。来たら見に行く。
あとこのシルクロード・アンサンブル、メンバーが流動的なのも面白いのですがcollaboratorのリストを見てたらここでも何度も紹介してるアルゼンチンの作曲家ゴリホフも入ってました。あの人1人でも色々文化的背景が面白いもんなー。
支援ついでにシルクロード・アンサンブルの録音も買いたい。あとでゆっくり見て考えないと。

こう見ると音楽においてオーストラリアってちょっとガラパゴスしてるのかなー。世界がより繋がってアクセスが良くなったとはいえ海外から音楽やる人が来たり集まったり協働するのは色々難しいのかなー。独自の発展やexplorationを遂げてはいるんだけど。あと人材の一方通行(out方向)の著しさ。うーん。

ということもついつい考えちゃうのですがこうやって家で暮らしてるだけでも自分がまだ出会ってない色々な新しい音楽に出会えるのは本当に楽しいです。もちろん時代的に新しい音楽に限らず。

今日はクロノス・カルテット支援の今日の一曲です。(色々紹介したいリストがあるんだけど今回ちょっと割り込みで。ftaの新アルバムもそのうちやるよー)


今日の一曲: Kimmo Pohjonen・Samuli Kosminen「Uniko」より5. Kamala



こないだこのトラックのSoundcloudでのリンクをクロノスさんが紹介してたのにならってこの曲を。やっぱUnikoはかっこいいアルバムです。あくまでもクロノスの一つの顔でしかないのだけれど、それでも優先的にオススメしたくなっちゃう。

優先的に薦めたくなるのはある意味ちょっと癖が強くない感も関係してるのかな。作曲家2人は北欧のミュージシャンで独特のスタイルを持ってたり向こうの民族音楽のテクニック(歌い方とか)も使ったりしてるし、現代音楽的な不協和音的な要素もしっかりあるんだけど、それでも一種の聴きやすさもあり。あと音楽のスタイルの癖にとらわれず弦楽四重奏のアンサンブルを聴くことができる、というか。

ただこのKamalaは良い意味でノイジーです。前半はほぼ不協和音、そして弦楽器のがりがりがりという音質をフルに使っててそれが楽しい。あとそういう弦楽器のちょっとextendedな技法がアコーディオンだったり喉歌だったり、それからちょっとテクノ感がある音楽スタイルに合ってるんだと思います。なんというか弦楽器の柔軟さと多様な音楽スタイルで活躍できる多彩さ。

Soundcloudでシングルトラック聴くのもいいですが(他の曲も今度聴いてみよう)やっぱりアルバム買いですよここは。
特にUtu、Plasma, Emoあたりが好き。リズムも魅力だけどちょっとメロディックなナンバーがいいなあ。

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豪ABC Classic FMカウントダウン100「Voice」聴了!
本当は今日妹と出かけるはず合ったのですが妹が風邪で一日休みました。
なので今週末放送されてた豪ABC Classic FMのカウントダウンが聴けました。
そして盛り上がりました。今年もフォローして&所々聴いてよかったー。
ということでそこらの感想を。

今年のテーマは「Voice」。古今東西、歌曲からオペラからミュージカル、交響曲、そのた様々な声楽レパートリーに票が入れられこういう結果になりました。(下の方にいくと過去のランキングも見れます)。トップ10位は:
10位 ジャコモ・プッチーニ 蝶々夫人
9位 カール・オルフ 「カルミナ・ブラーナ」
8位 リヒャルト・シュトラウス 最後の4つの歌
7位 レオ・ドリーブ「ラクメ」
6位 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト レクイエム 
5位 グレゴリオ・アレグリ 「ミゼレーレ」
4位 ガブリエル・フォーレ レクイエム
3位 ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル 「メサイア」
2位 ジョルジュ・ビゼー 「真珠採り」
1位 ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン 交響曲第9番

となりました。10位、7位、2位などオペラの中で目立って有名なアリア・見せ場があってランキングに名を残したものもあればフォーレのレクイエムやシュトラウスのようにがっつり音楽的な深さで勝ち取ったものもあり、カルミナのように楽しさ(実際に歌ったりの経験も含め)が付加価値になったり、そして1位は全部ひっくるめて最高峰の第九。上位にいわゆるポピュラー系のクラシックも少なくないですが、いつもよりそれが気にならなかったような。

ちなみに私が投票したのの順位はこんな感じ:
ブリテン 戦争レクイエム(87位)、マーラー 大地の歌(60位)&交響曲第2番(56位)、ヴィラ=ロボス ブラジル風バッハ第5番(86位)、ブラームス ドイツレクイエム(37位)。
ラフマニノフの鐘、Westlake/LiorのCompassion、ブリテンのテノール、ホルンと弦楽のためのセレナーデ、シェーンベルクの月に憑かれたピエロ、そしてFinziのLet us garlands bringはランク外でした。(今年も101~200位の発表があるのでそっちにちょっと期待)
モーツァルトとバッハが最頻出でしたが、時代も地方もわりとまんべんなく出てきたようでなにより。欲を言えばもっとオーストラリア出てきてもい。ただ中世から21世紀まで100曲でちゃんとカバーされるのはいい結果。
特に印象にのこったのはTwitterで割と早くから古楽派の人がちらほら心配そうにしてたのですが29位にタリス(Spem in Alius)と15位にパーセル(Dido and Aeneas)がどーんと上位に食い込んだこと。やっぱりイギリス文化は根強い!
(そのイギリス文化の根強さでメサイアが1位に来るかと思ったらそうでなかったー)

ちょっと残念だったのは前述ラフマニノフの鐘が100位までに入らなかったこと、そしてシューマンの歌曲の姿も形もなかったこと。特に好きとか詳しいとかないんですが、シューベルトの歌曲と同じくらいシューマンの歌曲も愛されてるものかと思ってたのでちょっと拍子抜け。あとイギリス音楽でも結構有名なはずのエルガーの「ゲロンティアスの夢」とかもなかったなあ。これも個人的に知ってるとか好きとかじゃないんですけど。

そして今回も音楽以外のラジオのトークやTwitterで色んな方向から来る話を見るのも楽しみでした。何より歌う楽しさ、合唱の経験、そういう環境に関する話など。
うちの母校も私が居た時代は合唱が強くて、20位のヴィヴァルディ「グロリア」、15位のパーセル「Dido and Aeneas」、100位のベートーヴェンのchoral fantasy などやったのですが、一軍じゃない合唱団はレパートリーがあんまり楽しくなかったのが残念。ユースオケなどで合唱付きの曲弾くと楽しそうなんですよね。
色々歌うことの大切さ、楽しさについて紹介されてましたがもっと歌を長く楽しめる学校環境ってのもこれから整備されるといいな。

そしてTwitterでの人間ウォッチングも楽しませていただきました。仕事や家事が手に着かない日とや夕飯が焦げてる人、歌い出して猫をびっくりさせる人や庭で焚き火の前で音楽を楽しむ人。音楽をコンサートホールなどで楽しむのとはまた違う音楽+生活の組み合わせもまたこのカウントダウンのいいところ。

さらに今回のカウントダウンはこちらの公式ページ(ここから再放送できます)を見て分かるとおり一曲一曲に鳥の写真が表示されてたこと。カモメ(特にユリカモメ)が多いですが結構バラエティに富んだ鳥たちが見られます。視覚でもお楽しみあれ。

さて来年はどんなテーマになるかなカウントダウン。今回の投票リストにオーストラリアの作品も結構出てきたし、有名なレパートリーも増えてきたのでオーストラリアの曲でカウントダウンってそろそろできないかな。それともちょっと生々しいかしらん。
でなかったら歌に続いて「踊り」のくくりはどうかな。そっちの方が自分の得意ですし。何はともあれ来年まで楽しみにしておくことにしよう。


今日の一曲: ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 「Ave Verum Corpus」



もちろん1位でも盛り上がったのですが、今日放送分はほんと色々なツボに入りました。
特にこの13位「Ave Verum Corpus」。モーツァルトの作品の中では有名なオペラ作品などを押さえて6位のレクイエムに次ぐランクイン。
他の作品が有名すぎて私も失念してたのですが(弾いたことはある)、改めて思い出してみると13位という上位に入るにふさわしい美しさ。純粋な美しさではもしかしたらモーツァルトの作品で一番かも。レクイエムはまた厳しさ重さがあるのに対してこちらはとにかく天国的。

そして短い曲ながら合唱の美しさ、難しさが存分に出てると思います。自分の声を上手くコントロールして、周りの歌い手の声をじっくり聴いて、歌声を合わせていく。こんなにシンプルな曲が、人間の声を合わせることがこんなにも美しくなるのか、と思わずには居られません。

ところでモーツァルトの合唱といえば「俺の尻をなめろ」は投票リストに入ってたかな&誰か票をいれたのかな?(笑)こういう時でないとあの曲も出てこないだろうからなー。

リンクは同じくモーツァルトのレクイエムと一緒に収録でツートップ。来年もがんばれモーツァルト。

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Growin' up in the Commonwealth
ただ今豪ABC Classic FMで「Voice」カウントダウン放送中!
というか昨日から月曜日(連休なので)、毎日午前9時から午後7時まで(日本時間は-1時間)放送しています。リアルタイム放送・後から再生はこちら
ただいま51位まで放送終わりましたが色々面白いです。声楽関連は知らない曲も多かったり、嬉しい再会も多く。
先ほどのリンクに飛ぶと分かると思うのですが一曲ずつに鳥の写真がついてるのが鳥好きにはちょっとツボ。

さてカウントダウンの感想は後でまとめて書きたいのですが今日聴いててちょっと思うことあったのでそこら周りだけ。
何気なくカウントダウンを聴いてたらイギリスの作曲家ジョン・ラターの「For the beauty of the earth」という合唱曲が67位にランクインしたのですが、いざ聴いてみると学校の合唱で歌ったことある曲で。(Twitterでハッシュタグ追ってみるとどうも自分だけではないようでした)
ラターの曲って素直に美しいし好きだけどあんなところでもう触れていたとはびっくりです。

でも実際そういう曲ってちょこちょこあるんだろうな。こっちに来てから通った学校はキリスト教でもいわゆるイギリス教会の方だったので、賛美歌の本にもヘンデルやラター(83位にランクインしたThe Lord Bless You and Keep Youも賛美歌の本に入ってた)などイギリスに縁の深い作曲家の歌も入ってましたし。その他でも宗教関係ある曲もない曲もイギリス発祥の音楽がある程度入っていたと思われます。

合唱関係に限らずオーストラリアで育つことで受けるイギリス音楽の影響って結構すごいんじゃないかと思います。それこそアイスクリームのトラックが奏でるメロディーがグリーンスリーブスだったり、音楽をやらない人でも深層までイギリス音楽が入り込んでるんじゃないかと。

クラシック音楽の世界でいうと弦楽器弾いてればほぼ間違いなくイギリス音楽にぶち当たります。割と中学生高校生でも弾ける小品でもいい曲があったり、ガチなレベルのレパートリーでも良い曲があったり(ヴォーン=ウィリアムズのタリス幻想曲とか)。
吹奏楽でも各レベルでどうとかいうまではあんまり詳しくないのですが、少なくともホルストとかヴォーン=ウィリアムズが需要なレパートリーだということはわかります。

だからオーストラリアの人(特に音楽をやる人)も血肉の中にイギリスの音楽が流れてて、その美しさと懐かしさをネイティブレベルで感じて、ごく自然にレパートリーの中に入れてしまってるんだろうなーと思うのです。
私でも10歳でここに来て20年(ただしチェロ始めてから19年)ですが、そのイギリス音楽の文化にかなりどっぷりで来たような気が。音楽の道に進んだのもそうですが、小学校から現地の学校(音楽にそれなりに力入れてる)行ってたのは大きいかも。

それをなんとか応用してもっとオーストラリアの音楽をオーストラリアの人々に浸透させることもできないかなーと思うんですが、でも少なくとも音楽に関してはイギリス音楽が身近に溢れてることはとっても良いことだと思うんです。
イギリスの音楽ってちょっと素朴で懐かしくてシンプルな美しさがあって、特別なときにもいいけれど日常の景色と自然に交わるのも良くて。そういう環境で様々なイギリス音楽を知ることができてよかったなーとしみじみ思います。(しみじみは自分の心持ちというよりはイギリス音楽から染み出てきてる分)

あとクラシック以外の音楽ジャンル、特にロック方面はまた違うイギリス音楽の影響がありそうでそれも面白いです。ロックでもやっぱりイギリスの音楽は独特の雰囲気があるような。
例えばそっち方面からクラシックのイギリス音楽に出会う人もいるのか、そういう人がイギリス音楽(ジャンル超えて)の特徴・雰囲気とその浸透についてどう思うのか。興味深い。

さてカウントダウン、イギリス音楽だと同じくラターのレクイエムがまだ出てきてませんし、イギリスに縁が深いヘンデルとかも上位にばんばん入りそうな予感。楽しみです。


今日の一曲: Radiohead 「Spectre」

(リンクが見つからない!)

以前Aireys Inletに旅行に行った帰りに友人の車で寝てたら睡眠中の耳にふと聞こえてきて不思議と惹かれた曲。
Radioheadもイギリスのグループなのでその「イギリス独特の雰囲気」を感じ取って惹かれたのか、はたまたギタリストJonny Greenwoodの音楽のなんらかの痕跡(彼もまたメシアンに影響を受けたりポストモダンなクラシック方面の味を持ってますから)を聴き取ったのか。
何にせよ後から曲を探してかなりすんなり自分の聴くレパートリーに入りました。

そもそもこの曲、ジェームズ・ボンドのテーマソングになるはずだったけど使われなかった曲だとか。
それでこないだまでsoundcloudで無料ダウンロードだったはずなんですよ。今はなんか聴けないようになってるぽいですが。調べてみたら新曲Burn the WitchのビニールレコードのB面に入ったとあったのでそれに合わせての措置かな。残念。

改めて聴くとイギリスな色々を感じる曲です。(だから007にも似合う感じはあった)
懐かしさとか切なさとか高いテノールなボーカルとか弦楽器とか。その弦楽器の不思議な色彩がまたツボで。ああいう色が出せる人、総合的に素晴らしい音楽を書く人がクラシック外にいるとなんだか音楽にぐっと親近感が湧きます。

ということで試聴リンクは珍しくなし!です。なんか残念だなー。今後Radioheadの音楽はまた色々探っていこうと思ってるんですけど(新曲含め)アルバムとかに収録されて試聴を紹介できるようになったらまたその時に・・・・

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Beethoven and Beyond第2回感想
早く家に帰ってきたのでさっそく感想。
今日もまた友達のコンサートに行って来ました。

今回弾いたのは前回のBeethoven and Beyondで演奏した大学からの友人TristanのパートナーのGina。イギリス留学以来の仲だそうで、今回彼女の演奏を初めて聴きました。というかメルボルンに来てから初めてのフルのソロのリサイタルだったそう。こっちにきてしばらく経ってるし、教えてもいるし、アウェーとまでは言えないのかもしれないけれどそれでもこっちで生まれて育ってピアノ習ってというのとはリサイタルを計画・演奏するにあたって土地勘とかサポートとかがちょっと違うだろうなー。
ちなみに下記にあるように彼女の名前は元々かなり長いです。リトアニア出身だそうですが(聴衆にリトアニア人会の人達も来てたそう)不思議な名前。そういえば前コンサートでリトアニア人クラブに行ったときに盾に書かれてた名前も色々見慣れない綴りがいっぱいだった(名字も下の名前も)。

さてプログラムはこちら。
Beethoven and Beyond: Concert 2
St. Stephen's Anglican Church, Richmond
ピアノ:Gintaute Gataveckaite
ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン ピアノソナタ第16番 op. 31-1
ヨハネス・ブラームス 2つの狂詩曲 op. 79
(休憩)
フェリックス・メンデルスゾーン 厳格な変奏曲 op. 54
フレデリック・ショパン 幻想曲 op. 49

最初はちょっと指が寒さで動かなかったそうですがそれでも素晴らしい演奏でした。
細かいところまでナチュラルに神経が通るというか、機械的なものとは違う精密さで。
曲に暗さがあっても音には前向きな魅力がありました。

後で話してたんですけどベートーヴェンはあれ面白い曲です。ユーモラスでfunnyな曲っていうのと、あと耳が聞こえなくなってきて遺書まで書いてた時期にこんなユーモアに溢れた曲をどうやって書いたかというInterestingという意味でも。
こないだの先生のシューベルトもそうですがユーモアのある曲ってシリアスな曲よりある意味とっても難しいですし、同時に奏者の人間性も出るようで。そういうのも含めていい演奏でした。

ブラームスはかっこよかったですね。曲もかっこいいのですが演奏も。
私も昔弾いたことありますがあれくらいかっこよく弾けたらいいなーとちょっと憧れ。
またそのうちチャレンジしたいです。

逆にメンデルスゾーンは私大学時代に弾いたことあるのですが今日の演奏がツボに入ってなんか未練がなくなりました。素晴らしい演奏を聴けて本当によかった。今回のコンサートのなかで多分ベストの曲。
とはいえ14歳から(!)の付き合いというショパンの幻想曲もよかった。なんというかピアノが体の一部のようというか、こんなにもピアノや曲とintimateになれるものかという。

そしてBeethoven and beyond、次はデュエットもありのジョイントリサイタルになるそうです。 Tristanの演奏もGinaの演奏も楽しみ。そしてGinaの演奏ももっと他のところでも聴きたいですね。今後の報せを楽しみにしています。


今日の一曲: フェリックス・メンデルスゾーン 厳格な変奏曲



先ほども書きましたが自分にとってはユーモラスな曲よりはシリアスな曲の方が弾きやすいです。それは音楽的な問題というよりはもっと根本的に性格・キャラの問題なような気がします。
軽い曲よりある程度重みがある曲のほうが安心しやすいというか。(ならなんでフランス音楽なんかメインにしてるんだって話はおいといて・・・)

そういうこともあってこの厳格な変奏曲はメンデルスゾーンの作品の中でも珍しく馴染みやすかったです。必ずしも得意ではないですが好きな曲。技巧は難しいですが音楽性としてはほどよい重みとほどよいバラエティがあって、「厳格な」ってタイトルがついてる割りにはとっつきやすい。変奏曲ってその形式の都合上長くなるイメージもありますが今日の演奏はあっという間でした。

この曲は今回「聴く」側というより「弾く」側にオススメしたい曲です。この曲をレパートリーに入れとくとお得ですよー的な。プログラムのいいバランサーになると思うんですよね。
音楽を知ってる聴衆もあんまり知らない聴衆もぐっと惹きつけることができるパワーがある曲。

というのも今Amazonで録音探してもどうも録音が少ないんですよね。メンデルスゾーンの作品集みたいなのばっかり。リサイタル生録音みたいなCDでもっと出てこないかな。


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