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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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The Australian Ballet 「Houston Ballet's Romeo and Juliet」感想
一昨日行ってから昨日感想書こうと思ってすっかり忘れてました。
今夜はマーラー6番なのでその前に書いておかなきゃ。

ということで今年1回目のバレエ観劇。ヒューストンバレエのロミオとジュリエットのプロダクションをThe Australian Balletが踊る、というシステムで良いんですかね。バレエの世界は色々難しい。ヒューストンバレエのダンサーさんたちも踊ってたみたいでした(キャストの書いてある紙によると)。

まずオケは頑張ってました。管楽器がちょこちょこ残念なとこあったのですが弦楽器はなかなか。あの弦パートは鬼のように難しいですからね。特にチェロのセクションソロで難しいとこしっかりなってたので嬉しかった。

舞台の上は面白かったです。コミカルなパートがいちいち細かくて面白かったり、バレエなんだけど演劇的なエレメントも多く。作品の性質上その方が面白いのかも。各登場人物の演技が生き生きしてて(特に助演級)、恋人・身内を殺されたときの女性登場人物のリアクションとか見所がぎゅっと詰まってました。

個々のキャラクターの魅力ももちろんでしたが(マキューシオの死は悲しかった!色んな意味で&いろんなところで全部持ってくな彼は!)、一番印象に残ったのがキャピュレット家のダンスパーティーの「騎士たちの踊り」でした。振り付けはシンプルんだけど一つ一つの動きと集団とフォーメーションがかっこよくて。
ちなみにようつべで探したらちょうどヒューストンバレエ自身の公演でちょうどそのシーンが見つかりました。こちら。やっぱここかっこいいよなー。

そしてロミジュリは音楽が素晴らしいバレエ、そして舞台と音楽がシンクロするバレエと言われますがむしろその実態は「作曲家が振り付け師と演出家の首根っこ掴んでる」に近いのかも。
音楽によってシーンの移り変わりやどの登場人物が前に出てくるべきか、さらには振り付けのステップとかまで濃く影響を与えてるような気がひしひしと。
だからこそ音楽だけでも成り立つんだろうなあ(実際プロコフィエフは自分でバレエをオケ用・ピアノ用に編曲してます)。

そういうこともあって舞台で細かいところが見えなくても(バルコニーでしたが見えました、新しい眼鏡万歳)音楽が補完してくれる、という意味でも伝統的にキャラクターのグループが色分けされてる(キャピュレットは赤、モンタギューは青、大公関係は金&白)という意味でも、そしてストーリーがシンプルかつよく知られているという意味でも初めてのバレエにもってこいの作品かもしれません、ロミジュリ。
(プラス前述の個々のキャラクターの表現の魅力と音楽の良さも)

バレエは次は9月のニジンスキー。今度はもうちょっとお金を使って良い席で見るぞ-。
実はその時期に弾く方のオケの予定も入っててばたばたしそうですが見逃せない!
オケの方のお知らせはまた今度に。


今日の一曲: セルゲイ・プロコフィエフ 「ロミオとジュリエット」第2組曲より「モンタギュー家とキャピュレット家」



日本でもこの曲はCMやなんかでも多用されててこのバレエの中で突出して有名な曲ですね。
さっき書いてた「騎士たちの踊り」は組曲版ではこのタイトルになってます。
舞台では貴族の大人達が踊る荘厳さなのですがタイトル一つで敵対と闇が強調されるというからくり。

この曲をかっこよく聞かせるポイントはリズム。しっかり音の長さを3:1にしなきゃ曲全体がだれてしまう。学校やユースでもやりましたがこのリズムをしっかりするだけで印象は変わります。
あとはチェロ・コントラバス・トロンボーン・テューバ・ティンパニあたりの低音楽器の活躍でダークさが増すのも楽しいところ。

あとは再現部でちょっと注目したいのが(フランスとかアメリカの音楽以外では)珍しいサキソフォンのソロ。短いですが特徴的。

そしてなぜ今回バレエ版じゃなくて組曲版にしたかというと・・・チェレスタがいるから。
バレエだと前半と後半の間にちょっと短いシーンが入るのですが、組曲版だとジュリエットのソロのバリエーションを一部借りて中間部にしてます。チェレスタはちょっとしたソロなのですがジュリエットの心の中の迷いを表す様にバレエの要所要所で出てくる、小さいながらもオイシイパートだと思います。

プロコのロミジュリはバレエ版の他にピアノ組曲版とオケ組曲版が3つあるのですが、オケのコンサートで弾くにはプロコフィエフが集めてくれた組曲じゃなくて3つの組曲から曲をpick & mixすることが多いです。それだけ聴き所が多いバレエ。
組曲版から始めるのもいいですが、バレエ版しかない聴き所もたくさんありますし、舞台の踊りと合わせてさらに楽しめる所もありますので。バレエ観劇オススメです。

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「Absinthe: The New Golden Age」@Bar Ampere感想!
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。

行って来ましたアブサンイベント!帰ってきて潰れましたが面白かった美味しかった-。

そもそもどんなイベントだったかというと。
メルボルンのシティのRussel Placeという裏道にはGin Palaceという有名なカクテルバーがあるのですが(その名の通りジンが有名らしい)、その隣のBar Ampereというバーも同じ人が経営していて。こちらはアブサン専門という分けではないのですがかなりアブサンに熱を入れているところ。
実はこの2つのバーの間にまたSwamp roomといってパーティーなどに使う貸し切りスペースがあって、そこを舞台にBar Ampere主催でこれまで誤解が多々あった曰く付きのお酒アブサンの歴史などのトークとアブサンに合わせた料理を肴にアブサンを楽しもう、というイベントでした。



アブサンと料理はこんな感じで出てきました(ただしトークの具合とかで必ずしも同時に出てくるわけではなかったです):
食前酒: マティーニ(1888年製のアブサンが入るレシピで)&緑唐辛子風味の生牡蠣
前菜: La Clandestine&揚げたエビのクラッカーにスモークサーモンとクリームチーズ
メイン: Pernodのどれか忘れたアブサン&ローストポークの冷たいのみたいな
デザート: Butterfly Boston&チョコレートタルトwithクリーム

マティーニ+アルコール度数60%超え3杯はちょっと多かったです(汗)トークでも話があったのですが、アブサンに入ってるニガヨモギの成分ツヨンは覚醒作用があって、アルコールの抑制作用を中和させるところもあるらしいのですが。しばらく大丈夫でも後からアルコールの抑制作用ががつんと来ます。要注意。

アブサン自体はButterflyが一番好きだったかな。他の2つは砂糖入れなくてもいいくらい甘いので(特に白い La Clandestine)、それもおいしいのですが。
あと食べ物の相性だと白身系のあっさりなものが良いみたいですが、最後のチョコレートタルトとのマッチングは最高でした。あんまりチョコレート系のケーキとか作ったり食べたりしないのですがこの相性ならまた真剣にチョコレート系考えたい。
あとやっぱり主原料にアニス・フェンネルが入ってるだけあってフェンネルが合うサーモンとかの魚は相性いいみたい。面白い。

トークは蒸留酒の始まりからアブサンが生まれた経緯、それがポピュラーになったきっかけの数々(遠征でのマラリア対策だったり水が汚染されてたり色々あったみたいです)から製造が禁じられた経緯、そして2011年にまた解禁され花開きつつある新しい歴史についてなど色々聞けました。
幻覚作用があるってのも伝説に過ぎなかったり、他のお酒と比べて特に危険ということはないということが分かっていたり。あと実物のニガヨモギも見ました。これといって香りがあるわけでもない、世界の色んな所に生えてる何の変哲もない草。不思議ですね。

それから面白いのがアブサンが世界のほとんどの国で作られたり飲まれたりしてない90年ほどの間は科学が目覚ましく進歩した時代でもあり。だからアブサンやその成分についての化学・医学関連の研究ってあんまり進んでなくて、お酒の飲み方、料理との相性、そして化学や医学でもまだまだこれから!なんですよね。そこもちょっとわくわくする。
(そして今年のノーベル医学生理学賞でも話題になったクソニンジンもニガヨモギと同じくArtemisiaの仲間なので正にホットな植物なんですよね。その経緯とか三国志周り含めた中国医学の歴史ってもっと調べてみたい。)

一通り終わった後周りの人(バースタッフも交えて)とアブサンやその化学についてお話を聞いたり、アブサン以外のお酒やメルボルンでお酒の美味しいバーやアブサンが買えるバーの話をしたり、私は酔ってて調子いいこと話してたけど(汗)聞く方に関してはほんと面白い話が聞けてそれもよかったです。

そうそう、聞いてみたところオーストラリアでもアブサン作ってるとこがあるみたいですね。
確かこのDistillery BotanicaのAbsinthe Reverieだったはず。いつか味わってみたい。
他にも様々な色のアブサンもあったり、そういう変わり種もあるそう。まだまだ知らない、奥深い世界。

そして今回のアブサン賞味に使ったスプーンはテイクアウェイ可だったので持って帰ってきました。年2回くらいメルボルンの料理関係のイベント月間とかの一部としてこういうこと開催するらしいので今後も(飲む量に関しては懲りましたが)参加したいと思います。
さらに自分もちょこちょこアブサン啓蒙に貢献したいです。




今日の一曲: モーリス・ラヴェル 「夜のガスパール」より「スカルボ」



ヨーロッパを中心にアブサンを楽しんだ芸術家・作家ってゴッホやヴェルレーヌを始めかなり名前が残ってますが、クラシック音楽界では全くといってそういう話がない。なぜだ。
例えばラヴェルは友人を招いてカクテルパーティー開いてたという話も聞いたことがある(はず)し、そうするとアブサンなんかは普通に持ってたり飲んでたりしてもおかしくないよなあ。

というわけでラヴェルをチョイス。あと偶然にもアブサンが生まれたスイス、流行ったフランス、そして禁止されなかったスペインに縁がある作曲家なので。(こう書くとやっぱりアブサンとも縁がありそうだよなー)

ラヴェルの作品ってのは少数精鋭な感じで、その質の高さは文句なしながら数の少なさは本当に惜しくて。ピアノ作品も合計2時間半くらいにおさまっちゃう(うちの先生が全曲演奏しましたが)。
この「夜のガスパール」はその中でも難易度・完成度共に高い曲集。特にこの「スカルボ」はいわゆる伝統的なピアノレパートリーの中でも最難との呼び名高い曲です。

スカルボというのは夜中に家に出てきて人間が寝てる間にいたずらしたりする悪めのこびとの事。展覧会の絵(ラヴェルがオケ編曲しましたね)の「こびと」と同じ伝承かな。
この手のこびとの伝説ってほんと世界広くにあって、妖精伝説とかアブサンで見る(と俗に言われていた)緑の妖精とか色々合わせて見てみると面白そう。

ラヴェルの音楽はいわゆる「印象派」というスタイルで、伝統的な調性にあんまり囚われない感じではあるのですが、この「スカルボ」で巧みに半音階的なハーモニーの動きを取り入れてこびとの不気味さを表してます。一回弾いてみたのですが指の動きとしてなんだか面白い。難しいんだけど頭にも指にも理にかなってるのがまたラヴェルのすごいところ。でも音は細かいし鍵盤を縦横無尽だしすっごく難しいのは確か。

「夜のガスパール」は(ラフマニノフの交響的舞曲・ゴリホフの3つの歌曲に続いて)3つの楽章がどれも金な、お気に入りが選べない&ばら売り出来ない作品集です。でも強いていえば第2楽章「絞首台」が一番かなー。心に一番近いっていったらそれかも。

リンクした録音は餅は餅屋ということでフランスのパスカル・ロジェの演奏。なんとラヴェルのピアノ作品(+連弾作品)がまとめて聞けちゃうお得なCD2枚組です。ちょっと試聴してみたら「スカルボ」がちょっと神経質な感じで大変好印象。そういう感じの演奏を私は求めてます。
ラヴェルはすでにちょこちょこ色んな録音持ってるんだけどこれも欲しくなっちゃうなー。


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NGV ジャン=ポール・ゴルチエ展感想
今朝更新したばっかりだけど後がつかえてるのでまた更新。

本題前に三国志11の決戦制覇モード、最後の逆賊討伐戦の最後の戦いまでこぎつけました!
手動で出陣する上に連戦・二方面戦闘の荊南平定戦がしんどかったー。編成はじめいくつか攻略サイトを参考にしたけどなんだかめんどかった-。攻城ハイエナもめんどかったー。
逆賊討伐は特に水上戦vs孫呉とか張角の落雷とかがハードだったけど曹操戦はさらに難しい戦いになりそう。
(そしてこれクリアしたら解除された「女の戦い」シナリオちょっと見て、なるべく簡単に進められるメインシナリオでさらに磨きたいです)

さて本題、大晦日のNGV。ジャン=ポール・ゴルチエ展の感想です。
その一部ではないのですがホールに金色のメリーゴーランドがあったので写真撮りました。
並べば乗れたようですが動くわけではないようです。


展示してある衣装などのインパクトが大きかったんであんまり説明の文字部分は読まなかったのですがちらと見た限り今回のNGVでの展示はゴルチエの作品のみを扱った初めての展示だそうです。
あと写真撮影OKだったんで写真もアップしながら感想書きます。

今回見たのはゴルチエの衣装の展示でしたが、マネキンに着せる形だけでなくゴルチエのスケッチ、写真を着た人物の写真、そして実際のファッションショーなどで生身の人間が衣装を着て動いている映像、と色んな形・角度で服を見ることができるところがすごく好きでした。一つの衣装がそれぞれの媒体で印象を変えたり、違う魅力を見せたり。スケッチで見るとそんなに奇抜ではないのに実物はものすごかったり(単純に「でかい」ってのもありますが)。


そしてマネキンの一部(上の写真のとか)はプロジェクションマッピングで顔が映してあって、それが動いたりまばたきしたりしゃべったりするのがちょっとだけ不気味でした。でもメイクや表情も含めて、みたいなところは確かにありそう。ただわかっていてもちょっと怖い。

  
ゴルチエの作品はどれもものすごく奇抜で、例えばデニムとかタータンチェックとか普通に存在する物だったり昔の服のスタイルなんかのエレメントを取り入れながら、いつの時代のどこにも存在しない服を作り上げる。結果ものすごいカオスというか、この世の物でないというか。もう魑魅魍魎、悪夢の世界にも足を一歩突っ込んでる印象です。それがとにかく見てて面白いし、何を見てもびっくりして楽しかったです。


そしてゴルチエ展を見て考えさせられたのが「体と衣服の融合」について。体や皮膚の延長線上としての衣服、そして衣服の一部としての体。特定の人間を意識して作った服だったり、体のパーツなどをあしらった服だったり、色々な形でそのテーマを追究した作品が見られましたが、一番それがぴんときたのが今回写真に撮れなかった1枚の写真。モデルさんが上半身に何も着ずに広がるドレスのスカートみたいのを着けてて、その全体の曲線とかバランスがものすごく自然でしっくりきて美しくて。ものすごくconvincingでした。

同じくNGVで今岩崎貴宏の「Reflection Model (Itsukushima)」の無料展示があったのでそっちも行って来ました(こちらは写真撮影なし)。
木で作られた厳島神社(とその前の鳥居)があたかも水に映っているように上下対称に作られ、宙に吊されている作品。ものすごいシンメトリーとディテール、そして直角の美。色々な意味でものすごく日本的でした。

さて、今日の一曲は暑い夜(外はもう涼しくなってるかもしれないけど)におあつらえの曲で。


今日の一曲: ジョージ・クラム マクロコスモス第3巻「夏の夜の音楽」 第1楽章「Nocturnal Sounds (The Awakening)」



もっとクラムががっつり聴きたい、もっとクラムの話がしたい夏の季節。クラムの中でも暑い夏の夜にはやっぱりこの曲が一番聴きたくなりますね。

2台のピアノと2人の打楽器奏者(2人だけで様々な楽器を操ります)のために書かれたこの曲、その編成と「夜の音楽」テーマからバルトークに影響を受けてるんだろうなーと思われます(実際受けてる)。
第1楽章のタイトルは日本語に訳すと「夜の音たち(目覚め)」になるかな。
バルトークと同じく虫などの生き物の声を真似た音型をふんだんに使い、夜になってめざめるものを表現しています。

この曲集通してそうですが、ピアノ2人が全く同じ音型を繰り返すことで呼びかけ合ったり、はたまたエコーしたり(打楽器がエコーするときも)あり、ピアノデュオで意外とそんなに使われてなかった構成で曲を作り上げているのがちょっと面白かったり。録音だと同じピアノ同士音が似てるので聞き取りにくいですが、楽譜を見ると一目瞭然。

そして特筆すべきは打楽器の多様さ。クラムはとにかく打楽器の音にこだわっていろんな打楽器をステージにのっけます。木で出来た音、ガラスっぽい音、金属の音、この楽章でめまぐるしい中いろんな音が聞こえます(楽器の多様さだけでなく、特殊な弾き方をしているところも数々あったり)。2人で弾いてるのが信じられないくらい。

とにかく虫好き、そして夏の夜になにかが始まるようなわくわく、ぞわぞわを感じるのが好きな私にはたまらない曲です。そしてこれはまだ曲の始まり。4人の奏者が描く夏の夜の世界、宇宙をめいっぱい楽しみたい。

どうしてか第4楽章の前半がだぶって録音されているにもかかわらず、やっぱりリンクしたこの録音が一番かなー。Ancient Voices of Childrenでのジャン・デガエタニの歌声は最高ですし。
でも他の録音も機会があればそのうち聴いてみたいです。

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メルボルン博物館「アステカ展」
昨日の記事に拍手ありがとうございます。

最近シティに行く機会は主にコンサートで、ちょっとぶりに昼に外に出たら結構用事が溜まってて半分くらい未消化のまま帰ってきました。
そのなかでやっと!消化できたのがメルボルン博物館のアステカ展。トラムとかで宣伝見るたびに行きたい行きたいと思ってたのですがなんとか行ってきました。

創作書き物に関して(あと普通に趣味興味で)色んな神話に関して調べたり参考にしたりすることは多いのですが中南米の神話はこれまでなかなか手が出づらいというか、そこまで手が届かないと思いがちというか(神様の名前が長くてしかも司るエリアがちょこちょこ重なるので難しいってのもあるかな)。なのでこの機に歴史・文明・神話のとっかかりを作るべく勉強しようということで。

アステカ展ではこちらに(さっきTwitterに貼ったリンクが切れてるのでこっちも残ってるかどうか分からない)The Ageの記事があります。展示の一部の写真も。ところで見出しにBarbarityとあってやっぱりキリスト教ベース社会・現代社会からみるとアステカの人身御供の週間は野蛮に映るのか、と思うのですが実際展示を見てたときはそういう形容詞は浮かばなかったです。

主な展示内容はアステカ人がメキシコに拠点を構えてから周囲の勢力と協力したり飲み込んでいったりの歴史、それから生活と信仰、戦いと生け贄、そしてスペインによる征服まで。
神々を象った品が多く他にも生活の道具や儀式の道具などものすごく多いわけではないですが様々な要素がしっかりカバーされてました。

元々アステカの神話や文化にもちょっと親近感を持てるかなあ、と思って望んだのですが結果自分の知っている文化や価値観や世界とはものすごく違うことを突きつけられたというか、ものすごくカルチャーショックながらその違うものに出会うことがすごく楽しかったです。
例えばアステカ人が近隣の部族とあらかじめ予定して「生け贄にする人間を捕獲するために」戦争をやることとか、人の死に方として自然に死ぬより人身御供や溺死が死後の世界的にはいいところにいけたり、主に生け贄関連だけどそれに限らず。

そもそもアステカでいつもすごく好きで同時にものすごくわからなかったのが絵柄。例えば今回の展示にあったCodex Borgia(ボルジア絵文書)という神々や儀式などを描いた絵巻にこのアステカの絵柄が一面描かれているのですが、見れば見るほどなんでこういう絵柄になるのか、どうしてこういうスタイルがデフォルトになるのかわからない。シンプルな線とか図形をベースにして作っていく文化の人間として首をかしげるばかり、だけど(だからこそ)見てて飽きない。Codex Borgiaが手元に欲しいです。

スペインによるアステカ征服はまた別に勉強したいですが今回の展示でスペイン軍とアステカ軍の装備の違いだったり、それがそもそもアステカが文化・習慣として殺すための戦いでなく傷つけ捕らえるための戦いしか知らなかったこととか、妙に「それは仕方がないなあ」みたいな歴史のすれ違い的な側面もあったりで。
あとスペインによる征服で興味深かったのは軍事面よりも宗教面でしたね。アステカの神殿の土台や彫刻などを一部破壊したり流用したりというのは文化や宗教のtakeoverの過程の一例として破壊的でありながら結果一部保存にもなってたり、面白い例だと思います。

展示されているもので印象に残ったのは黒曜石の刃諸々(金属がなかった文明における刃)だったり、暦に関する品だったり、あと神々の姿を彫ったものはみんな面白いですし、色々真面目にすごいなあーと思ったものも多いのですが、ちょっと違ったテイストで印象に残った品も。

生け贄の話って元々厳かな儀式で実際こういう展示で語られるときも結構血なまぐさい感じで語られるのですが(映像資料にはちょっと刺激が強いかもとか注意書きがあったり)、どうしても笑ってしまうようなものがいくつか。
例えばさっきのThe Ageの記事にあったこの本物の人間の頭蓋骨で作った仮面。目つけたのか!「本物の人間の骨です」と注意書きがあったのでわくわくしてたらこの顔に出迎えられたんですよ!
これと似たテイストで生け贄のナイフもすごかった。儀式用のナイフって宗教的なモチーフとかで飾ってあったりするイメージですが(しかもこの場合実用ですし)、今回展示してあったナイフはこのサイトにあるのと一緒のでした。吹き出しかけました。一応水の神様の顔なんですが、一つじゃなくていくつも並んでるのみんなこの顔で安定のクオリティで。これで殺されるのかと思うと脱力する。

とにかくそのカルチャーギャップ含めて面白かったです。見るのも知るのも考えを巡らせながら歩くのも。接点が出来てよかった。これから神話面の復習&フォローアップがっつりせねばですが。(そういえばアステカの神々で数少ない知ってる神、イツパパロトルさんがいなくて残念でした。Codex Borgiaに描いてあるみたいですが解説なしだとわからない)

メルボルン博物館まできたのでついでにルーチン訪問で恐竜周りと虫の展示にも行ってきました。相変わらずタランチュラさんたち元気そうに静止していてなにより。よーくみると足の先にちっさい爪があったり出す糸(網は作らないですが)が意外に繊細でなめらかで綺麗だったり、見所は尽きませんがそれでもちょっとは動いてくれ。ムカデも完全にだらけてましたし。

さて、今の本文のほとんどは昨日書きかけたのを今日終わらせたもの。
昼間にめずらしく更新してるのは今夜コンサートに行く予定があって明日その感想をかかなきゃならないので。ビオラのコンサートですよー。楽しみ楽しみ。ショスタコのソナタが特に楽しみ。


今日の一曲もそんなわけでお休みです。

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Daniel Levitin著「This is you brain on music」感想
昨日のリハーサル、一音も弾きませんでした!(笑)
要するに第3楽章リハーサルし始めたのはいいけど前半だけで終わってしまったということで。
そりゃリハーサルプランニングに難があったわけでちょっとは怒りますが自分のパートの性質からして十分ありえることですしまあしょうがないっちゃあしょうがない。
そしてやってる曲がヴォーン=ウィリアムズで、弾いてなくとも実地で聞いてて楽しいし興味深いのでそれでちょっと許しちゃうようなところもあり。
来週はリハーサルなしですが再来週はちょっとくらい弾けるといいな。

さて、なかなか読書の余裕がなかったりなんだりで読むのに2年くらいかかってしまったこの本の感想をやっとこさ書きたいと思います。



どうして人間は(その人生・生存に必ずしも必要なものではない)音楽にこんなにも惹かれるのか、を音楽の性質、人間の脳の性質、そして進化の観点から探索する本。

音楽と心理学・脳(認知科学・神経学)をテーマとした本は増えてきてはいるのかな。そんなに多くはないみたいですが。以前紹介したOliver Sacksの「Musicophilia」は音楽方面も認知科学方面もある程度知識があった方が望ましいようなところがある(と振り返って思う)のですが、この本はどっちの分野も噛み砕いて説明しています。

特に最初の何章かは音楽の各要素(音程、リズムなど)について説明したりが多く、ある程度背景知識があるとちっとも話が進まない(汗)という部分があるのですが、逆に(どっちの分野も)「当該エリアの知識がある人がない人にどう説明するか」という勉強になったりします。

この本で注目すべきは文中で例として特定の曲を言及するときにクラシックの曲以外も引き合いに出すところ。これは著者の音楽的なバックグラウンドもあるのですが、音楽の基本的な要素やコンセプトを説明するのにポピュラー音楽の方が向いてること(知名度とは別に)って結構あるので。
それから音楽についての書籍で一つ問題なのが普段口頭で音楽の説明をするときと違って本の中では鼻歌(説明するのにかなり有用)が歌えないという点なのですがこの本の著者は半ば無理矢理鼻歌歌ってる箇所もあります。伝わってるのかなー。

音楽と人間(とその脳)の関係について様々なトピックを扱っているこの本ですが、各章の内容の中心となるのは研究で分かったことだけでなく実際の患者・音楽家を観察したり対話した体験、他の研究者との対話なんかも重要になっています。本題とは離れますがそういう研究者同士の協力もちょっと面白い。

内容に関して私が一番面白いと思ったのが音楽の才能や資質について探る第7章、そして音楽の好みとその形成について考察する第8章。特に第8章は色々断片的に知ってたり思ったりしたことが形になった感があって、人間と音楽の関係についてもう一回ちょっと考えてみたいと思いました。(音楽の印象を左右する要素の話だったり、あと著者がワーグナーの音楽が嫌いなメカニズムの話も面白かったです)。

最近日本で連休があったのでちょっと仕事が途切れてまして、その隙にとまた本を読み始めました。メンタルヘルス、中でも自殺に関しての本です。これも終わったら感想書く予定なのでとりあえず読み進めます。


今日の一曲はお休み。AoW3のサントラからも紹介してませんでしたね。準備しないと。


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