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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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メル響コンサート「An Alpine Symphony」感想
最近ちょっと仕事が静かめながら趣味の方で色々情報量が多いことがあってなんだかんだで一日の終わりには頭がくたくたになっていることが多いです。
といってもポケモン(ソード)の内容自体の情報量よりオンライン環境設定したり理解したりナビゲートしたりする方に要する情報量のほうがしんどいのは多分年齢的な何かが関係しているとしか(汗)

情報量が多いつながりじゃないんですけど先週行ったコンサートの感想です。
今年はSidney Myer Music Bowlでの野外コンサートに行けなかったのでこれが今年初のメル響コンサート。
メル響は35歳以下対象に一部コンサートで35ドルチケットを出してるMUSOというプログラムがあるのですが年齢的にそろそろ対象外じゃなくなるのでたまには利用しなければ!
・・・ということで35ドルのチケット買ったら一番下の階のかなり前の方の席でした。悪くはないんですが好みがあるといいますか、特に今回のプログラム(後半)みたいな大編成で色んな面白い楽器が出てくるコンサートはやっぱりバルコニー席がよかったです。

ということでまずはプログラムから:
メルボルン交響楽団「An Alpine Symphony」
3月5日19:30開演、Hamer Hall
指揮:Alexander Shelley
Gordon Hamilton「Far South」(世界初演)
エドヴァルド・グリーグ ピアノ協奏曲 (ピアノ:Alexandra Dariescu)
(休憩)
リヒャルト・シュトラウス 「アルプス交響曲」

グリーグは色々あってなんか自分にとってはそんなに楽しく聴ける曲じゃないフィルターがかかってるのであれですが良い演奏でした。初日だからかなあ、ちょっとソロがせっかちな感じになってる箇所があったのは。
↑で見ても分かるかと思いますがグリーグってピアノ協奏曲一つしか書いてないのが今回聴いてちょっと勿体ない気はしました。第3楽章にアイディア詰めすぎというか、魅力的な部分がこんなにあるならロンド形式の一部分にしないでもひとつピアノ協奏曲書いちゃえばよかったのに的な。

グリーグのピアノ協奏曲はものすごく広く演奏されるポピュラーな音楽ですがアンコール2曲はどちらもレアものでした。1曲目はソリストの母国ルーマニアの作曲家(まだ誰か探せてない)の「Bacchanale」、2曲目はヴィラ=ロボスの「O polichinelo」。もともとソロのレパートリーでそういう曲も弾く人なのかしらん。
Bacchanaleは自分が知ってる限りのルーマニアの音楽のイメージ(ハンガリーに似たワイルドさとリズム、でもより旋律とか音階とか横の音の連なりが強い)でしたね。もっと出会いたいあちら辺の音楽。

最初の曲「Far South」ですが私とそう変わらない年齢のオーストラリアの作曲家による作品でした。砕氷船であり南極観測船であるAurora Australisに乗って南極Casey基地まで旅した経験から作曲したそうで。(ちなみに作曲家さんの公式サイトでのこの初演のお知らせで写真もいくつか載ってました)
楽器編成も変わっていて弦楽オーケストラ+録音オーディオ+その他任意のソリストや追加の奏者を加えた、ある程度自由がある編成になっています。
曲はとても好みに刺さりました。抽象的といえば抽象的の鑑みたいな音楽なのですが南極の風景ですし最も相応しい曲調なんじゃないかと。最近ポピュラーなミニマルミュージックのスタイルともちょっと違う表現。
なんといってもそういう表現の使い方(+オーディオとの組み合わせ)で編成からはなかなか考えられないスケールの壮大さを感じるのが素晴らしかったです。現代で活躍してる作曲家の作品で、後期ロマン派や20世紀の大作と同じコンサートのプログラムで肩を並べられる作品がこうやって出てくるのに出会うと本当に嬉しいです。


そしてメインディッシュの「アルプス交響曲」。前回メル響が演奏したの2016年って書いてあったからきっと前回も私聴いてる。仕事しながらとか家でとかだとあんまり聴かないのですがコンサートで生で聴ける機会は逃したくない。コンサートホールでその壮大さを味わいたい曲です。
ただ今回席がステージに近いということもあって音が溶け合わない状態で色々聴いてた感は否めないです(汗)それでもやっぱり(後ろの方の)金管のコラールが響くのとか聞くともう幸せで。
山に乏しい地形で長年過ごしているのでアルプス交響曲に出てくるような山は非日常中の非日常なんですが下山途中に辺りが暗くなって不穏になって嵐が巻き起こるくだりは今年メルボルンの夏で何度か経験した感覚にかなり一致してて思わず鳥肌が立ちました。全体的にそうですが特にこのセクションでシュトラウスが「描写第一」みたいな自由な表現いっぱい使っててじっくり細部まで聞いても楽しいです。

南極からヨーロッパの山まで色んな大自然を感じられるプログラムでしたがそれ以上に仮想移動距離もすさまじいプログラムでした。演奏順に書き出すとオーストラリア・南極→ノルウェー→ルーマニア→ブラジル→ドイツ。遠くに旅行にいけなくてもコンサートホールで座ってるだけでこんなに旅に連れてかれてしまうのはすごい。南極まで連れてってくれる曲はなかなか出会えませんが(だからこそ貴重でした)今年も引き続きコンサート行き楽しみにしています。


今日の一曲: リヒャルト・シュトラウス 「アルプス交響曲」



今何から書き始めようかとコンサートのプログラムを読んでいたらこの曲、137人編成のオケのために書かれてるんですってね(汗)大きい大きいとは思ってたし壮大な山の風景を描くならそれなりのサイズのオケをとは思ってましたが(特に合唱無しの作品で)137人は多い。ステージからはみでたりぎゅうぎゅうになってないか大丈夫か。
その中でも後ろにいる金管・打楽器周辺に比較的人数を割いてたりするので先ほども書きましたが生で聴くなら是非上から目で見渡せるバルコニー席をお勧めします。

交響曲でストーリー性がある作品ってかなりの少数派ですが数少ない例は強烈な個性のノイジーマイノリティ的なところがあるようで。ベルリオーズの「幻想交響曲」なんかその筆頭ですがある意味このアルプス交響曲もストーリー性と確固たる個性を持ち合わせている作品。景色の描写が主なので物語?というとちょっと違うのかもしれませんが人間が山に登って困難に遭ったりなんだりして戻ってくるという流れは一応ストーリー。ちゃんと各セクションに副題もついてる。

その人間の存在もまた自然の壮大さだったり荒々しさを描写するための小道具というかバイプレーヤーにとどまってるようなところはある中、聴き手として人間が道に迷ったり嵐が近づいているのを感じたり滝の美しさに心動かされたりして感じるのはやっぱり人間の感情、人間の存在で。なかなか奥が深いですし音楽のスケールだけじゃないところでこれほんとに一人の人間が書いたの?みたいな感覚はぬぐいきれない作品です。

そしてどうしてもこの曲のリンク用録音を選ぶときはジャケット画像で選びたくなる。もう検索するとわかると思うんですけど色んな山が使われてて比べるだけで面白い。白い雪に覆われた山も画になるけど実際氷河のくだり以外は言及がないんで現実的はこんな感じかな、と私が思うやつにしてみました。ハイティンク指揮ロンドン交響楽団ですし演奏も間違いないと思います。

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