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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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低音金管ここにあり!(楽器と性格その1)
昨日ふと純粋に音楽のために音楽を創る気持ちを忘れないために演奏は続けよう、直接純粋な形で音楽と音楽の心に触れているようにしよう、と思ったりしていました。
今日の練習もなんだか堅実確実に歩みを進められている気持ちでがぜんやるきが出てしまって。あんまり空回りしたり無理しないよう頑張ります。

さて、そろそろ一つやっとくべきかな、と思いまして・・・楽器と性格の話を。
割と自分に近いところから始めます。

まず最初におことわり:
1)これらの性格分析は私個人の観察と楽器の特性から導き出したものです。
2)あんまり真剣にとらないでいただけると嬉しいです。それなりに分析はしてますが、とりあえずネタということで。
3)メルボルン発データなので環境要因があると思われ日本人の場合どうなっているかは未知です。
4)個人攻撃、誹謗中傷は全く意図していません。

楽器内で結束が強い楽器ナンバーワンといったらほとんど間違いなく低音金管だと思います。
「低音金管」というのは実は日本語であるかわからないフレーズなのですが、トロンボーンとテューバをひとくくりにしたのをこっちではLower Brassというのでそれを日本語になんとか直した言葉です。あしからず。

オーケストラだと通常トロンボーンが3人いて、テューバが1人います。3人のトロンボーンのうち1人はバストロンボーンという1オクターブ低い(見かけはほとんど一緒)楽器を担当。
トロンボーン3人は共に和音を奏でたり、二人で1つのメロディーを分割して吹いたり。バストロはその中のベースを担当することもあればテューバとオクターブ離れて同じパートを吹いたり。
とにかく低音金管が一体となって音楽を創ることが多いのでチームワークと結束は天下一品!
リハーサル外でもよく4人でつるんでることがほとんどです。
ホルン奏者の母によるとホルンやトロンボーンなんかは一緒に和音を奏でる、それぞれの音を合わせて一つにすることが一番の喜び。
なのでだいたい低音金管は人間関係でも「調和」を大事にします。

オーケストラの楽器の奏者に関する性格について本を書いている茂木大輔さんによると、トロンボーンは呑兵衛が多いんだそうです。私もこれはそうだとおもうのですが、金管奏者全般かなり飲みますよ!(笑)
トロンボーンやテューバはでも結構体力勝負な楽器なのでがたいのいい人が多いので余計にそうなのかもしれません。(テューバの人は大抵大柄な人ですね。実際私のテューバ弾き友人は「太ってるから」という理由で学校でテューバを吹かされたのが始めだったとか。でも名手になって結果良かったね、って話をしてました)
ちなみにコンサート後の打ち上げでも大体4人一緒に座って飲んでいます。

低音楽器は出番こそ少なけれど(ベートーベン以前はオペラのみ、その後も曲的にも出演の割合は少なく、曲の中で吹いている時間も短めです)、肺活力を始めかなり体力がものを言う楽器です。
大学のトロンボーンクラスでは走らされたこともあったとか。
なのでオケの中では割と体育系な面が強い楽器たちでもあります。

体力必要の一部はやっぱりトロンボーンだと音程をとるのが腕の筋肉、というオケの楽器の中ではきわめて稀なメカニズムもあると思います。
こんな大きな筋肉ではさすがに機動力は落ちるので、ソロレパートリーのかなりスーパーvirtuosoとかでないと、あんまり速い動きは求められません。
大体大きくのびのびと音を出したり、和音を美しく合わせたり。
なのでせかせかした人はトロンボーン奏者ではほとんど見ません。
リハーサルもみんなものすごーく早く来るのですが、早く来てのんびり(大抵みんな一緒に)音あわせとかロングトーンとかウォームアップとかホールでするため、というわけで。
せかされるのは得意ではないですし、好きではない。
良くも悪くものんびりしている人達です。

テューバの場合、のんびりというよりはマイペース。
与えられたパートが「うんぱ、うんぱ」的なベースラインだけでも、「太ってるからテューバね」と言われてテューバを与えられても、嫌な顔の一つもせずもくもくと自分の仕事をこなす職人気質。
やっぱり一人のセクションですからね、なにやらいろいろ自分で自分の道や技術を開拓したり。
彼なりのやり方や信念があるのでそこはそっとしておいた方が無難です。

楽器の音のオープンさというか音量の大きさというかがおそらく繋がっていると思われるのが奏者のあけっぴろげでオープンな態度。あ、あと弾く時の姿勢もまた「どんとこい」的な。開けた感じが。
懐が広いはそうなのですが、まあ良いことも悪いことも包み隠ししないですね。ぐずぐずせず、ごくカジュアルに、オープンに。悪いニュースもためらわずに教えてくれます。
ただ楽器の音量に関しても言えることですが、本人達に全く悪気はないのです。

ついでながらこれも音に関連しているのか、金管奏者の下ネタ好き。
低音金管に限ったことでないのですが、かーなーりトロンボーンとかテューバ奏者も悪のりしますよ-(笑)
下品なことで陽気に笑って楽しんじゃうのは下品な音を出すのを楽しんじゃうのと・・・どうなんだろう。関連性。
でも確かに言えることはリハーサル中に曲の下ネタエピソードを出す確率が多いのは大抵金管出身の指揮者だなあ。

なので自然と4人の間柄、というのは男の友情的なものがあるのですね。性別に関係なく。
たまに女性のトロンボーン奏者(バストロだとよけいかっこいい!)もいるのですが雰囲気というかオーラがもう姉御的な、頼れる感じがでてます。
きっとトロンボーン奏者同士でとか付き合わないんだろうなあ。完全に男の友情なので(笑)

なによりも低音金管はタフな人達です。
体力も、音楽も、お酒も、性格も。
そしてなぜか私の知っている低音金管の人達は悪人面が多く・・・(きっと私の知り合いだけ・・・?)
全員コンサートの黒ずくめでパブに一緒にたまってると別のグループの方々に見えてしまうと言う・・・(笑)

でもみんな気は良い、優しくて力持ちな集団です。
マネージャーとして仕事をしてると可愛がってもらいましたし、力仕事も(先ほど話したようにきまって早くホールにいるので)快く手伝ってくれちゃいますし。
一緒に飲むのもかなり楽しいですし。一緒に陽気に悪のりしたくなっちゃいますよ。(はて、実際にしたっけか・・・)
なによりも彼らのチームワークを見守り、彼らののんびりさを一緒に感じると彼らの奏でる和音がより一層力強く、調和して美しく聞こえると思います。

どの楽器も、そのメカニズム、奏者の性格というか傾向というか、そして関係性、そしてオケでのポジションや役割を理解して共感することでそれらの楽器の音がもっと魅力的に感じ、さらには音楽をより深く感じることができると私は信じています。

なのでとりあえず第1弾でしたが、お楽しみになってもらえたら光栄です。先述の理由でもっと音楽を知ってもらうために、感じてもらうためにこれからも続けます。
次オケの音楽を聴く際に、低音金管の方々に目と耳を向けていただければ嬉しいですね♪

そんな彼らが大活躍の今日の一曲です。


今日の一曲: リヒャルト・ワーグナー 「指輪サイクル」の「ワルキューレ」より「ワルキューレの騎行」



私、ワーグナーが大大大嫌い!なのでございます。
音楽も神経を逆なでされるものがほとんどで、人物も知れば知るほど嫌いになる、という稀に見るpet hateなのですが・・・
その嫌いさをあるものが上回ってしまうこの曲。
それは・・・金管奏者のDNA(笑)
金管奏者の血がこの曲でめっちゃ騒ぐんですよ!心と頭では不本意な部分ががっつりあるのに血と遺伝子レベルで楽しんでしまう。

でも本当に金管奏者が楽しいと私もものすごく楽しくて。
トロンボーンやテューバの人達はしょっちゅうこの曲を(それもみんな合わせて)吹いていて。
練習室でそんな彼らの楽しそうな様子をずっと見てきたんですよ。
様子、といっても顔とか身体言語じゃなくて純粋に音が楽しい!って言ってるんです。

さて、曲自体の話なんですけれど。
戦乙女が空を駆ける(変換ミスではありません)様子の音楽。
普通の曲とは逆のピラミッドになってまして、低音金管がほとんどのメロディーを担当していて、木管、弦楽器のパートはすっかり効果音兼伴奏。
例えばバイオリンのパートは彼女たちがその上を飛んでいる雲や風。チェロやファゴットなどの駆けるリズムは彼女たちの愛騎の駆ける様子。
トロンボーン(そして後にテューバ)で表される彼女たちの勇姿・・・っていうのを考えてしまうとでも先ほどの分析からだと相当男勝りな腕っ節の強い乙女達ですね。肉食系女子。

有名なのは承知ですが、聞きどころを。
その1、テンポが遅くなってテューバが初めて!入ってくるところ
その2,その後で先ほどの同じ形のセクションには無かったトロンボーンのエントリー
とにかくホルン・トロンボーン・テューバの力と楽しさの完全解放を味わっていただきたいです♪
いわばLower Brass Unleashed!

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コメント
この記事へのコメント
コメントお邪魔します
初めまして。突然コメントお邪魔します。
呑兵衛トロンボーンのsuzukiと申します。

中低音金管の考察、興味深く拝読致しました。
まさに!という思いでついつい書き込まずにいられず。笑

またお邪魔させて頂きます。
2017/02/06(月) 23:35:10 | URL | suzuki #6b00e0d057[ 編集]
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