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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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今年ラストシーズンです
オケ仕事始まったぞー!
ということで早速お知らせから。

Zelman Symphony Orchestra
「End Games」
12月1日(土)午後8時開演
Performing Arts Centre, Camberwell Grammar School
指揮者:Rick Prakhoff
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン 交響曲第104番「ロンドン」
リヒャルト・シュトラウス 四つの最後の歌(メゾ・ソプラノ:Miriam Gordon-Stewart)
ヨハネス・ブラームス 交響曲第4番

End Gamesというタイトル通りどれもそれぞれの作曲家のそのジャンル最後の作品です。
一つ一つの交響曲が後の時代の作曲家の交響曲より短いとはいえやっぱり100超えはすごいハイドン。それと対照的?にブラームスは少数精鋭(最初の交響曲にすごい時間かけたのもありますが)。そしてシュトラウスは行き着くとこに行き着いたなーという感じの円満エンディング。いい組み合わせのプログラムですね。

だいたいわかるかもしれませんが私=チェレスタのパートがあるのはシュトラウスです。といっても第3楽章でいくつか和音を弾くだけですが。中身は全然違いますが今年最初のコンサートの火の鳥の時と一緒で「ピアノ/チェレスタ=木管楽器」みたいなパートですね。指揮者さんと話してたのですがチェレスタが聞こえたらそれは木管とタイミングが合ってないってことになるので(汗)
ただもうちょっと音量上げるのは可能と思うので強弱無視して響かせていきたいと思います。

一応音が少ないとは聴いてたのですが楽譜を入手したりどんな感じか把握するのに昨日はリハーサルに半ば押しかけるような形で行ってきました。あと色々落ち着かなくてじっとしてられなかったので(汗)それでもいつも暖かく迎えていただけてありがたいです。遠いし音が少なくても行く甲斐があります、いつでも。

それに日も長くなって気候もだいぶ暖かくなりましたからね。その2点だけでだいぶ楽になります。
ちなみに今日は33度でした。また気温が低めに戻りますがだんだん全体的には上がっているようです。だからこそ休みはこういう暖かい日に調整して外に出るようにしないと。

ということで今日は買い物に行ってきました。買い物として全体的にものすごくお金を使ったわけではないのですが・・・

うーん、どうも財布のひもが緩い感じがある。(+ユニクロのパーカーも買いました)
まあでもこの2玉は使い道がわかっててそれらを作った後はまた作りたい物探しからのはずなのでしばらく買い足さなくていいはず。はずです。

今回買った毛糸はなかなかお値段もいいやつで左がOchre Yarnsのメリノ+カシミヤ(ショール用に買った)、右がManos del UrugayのAlegria Grande(帽子用)、どちらも手染めの毛糸です。同じ色名でも個々の束で色合いがだいぶ違ったりして一期一会。あとManosはネットにある色と比べて一部しかないからちょこちょこチェックせねば。ということで財布のひもも緩くなってしまうものです。

手染めの毛糸というとねじねじネクタイみたいな形で売られてることが多々あるのですが普通に使えるようにするには巻き器で↑の形に巻き直す必要があります。お店でやってもらえるとこもありますが(私はお店でやってもらう)、巻き器を買えば家でもできるようです。お店には巻き枠(スタンド)もありますが椅子とかに引っかけてもできるらしい。
Alegria Grandeの方(色名:Fondo del Mar)は編むといろんな色がモザイクになるのが楽しみ。あとこの太さで編むのも初めてなので色々学ぶ作品になりそう。仕上がりが楽しみです。


今日の一曲: リヒャルト・シュトラウス 四つの最後の歌より第3楽章「眠りにつくとき」



コンサートで1つしか弾くとこがないのに初リハーサルでいきなりそれ、なのは本番感想エントリーを第4楽章かブラームスにしたいから(笑)思い入れの深さももちろんですがそっちの方が面白いと思います。

ちなみに指揮者さんの話によるとこの曲の初演のための最初のリハーサルではこの曲が誰の何なのか知らせないでぺっとオケに出して始めたんだとか。まあもともとこの歌曲は一つの曲集ではないってのも関係してるのかもしれないけど当時だとシュトラウスだってわかりにくかったりしたのかなあ。今の感覚だと第3,4楽章の和音の流れなんか大ヒントだと思うんだけど。

そしてこの4つの歌曲がもともとひとまとまりじゃないってのがよーくわかるのがこの第3楽章と第4楽章の同じくらい「これで終わり」感。実はもう一つ歌曲が書かれるはずだったとか、それも合わせると5つ中3つ終わる雰囲気があるとか聴いてる方もある意味微妙に大変そう。(まあ演奏順序も最初はまちまちだったみたいなので色々感覚は違うかもですが)

未完成の作品っていうと珍しくないのですがそれが歌曲となると「最後の最後はどんな詩を使おうとしてたんだろう」ってとこがちょっと気になりますね。作曲順序でいうと後になる第1,2,3楽章がヘッセなのでヘッセの詩になったかもしれないってことかなあ。ヘッセは小説は数少ない読んだ小説はあんまり好きでなかったのですがこの第3楽章の「眠りにつくとき」は好きです。リルケにも似たような題材の詩はあるんですけどこっちはもっとふっかりあったかい感じがして。

結局自分が弾いてる唯一の楽章なのにそっちの話ひとつもしませんでしたね。でもチェレスタのパートもきらりとした光でふっかりした感じに彩りを添えてます。そこは木管の音だけじゃきかないとこなんですよね。星がきらめくような、夢のような音。それだけでもチェレスタでよかったなあと思います(もっと聴かせなきゃ!)。

リンクしたのはカラヤン+ベルリンフィルの録音。ドイツだからというのもありますがこの録音は第4楽章で引用がある同じくシュトラウスの「死と変容」も収録されてるのでそういう角度からも。さらに以前からも書いてますが同じく収録のメタモルフォーゼンを聴いて背景に触れてからこの四つの最後の歌を聴くとまた色々と感じるものがあります。ものすごいコンビネーションですねこのアルバム。

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Middle and low voices
おっかしいなあ今日は28度になる予報だったのに。
まだまだ気まぐれなメルボルンの天気、それでも晴れてれば20度でも十分暖かかったので予定通り外出しました。
といっても今月は色々お買い物しすぎてシティまで行ってすることといえばポケGOでギラティナさん捕獲作戦。まだレイド期間始まったばっかりだけど伝説級で一番好きな子なのでちょっと歩き回ってレイド回りました。ゲットできてよかったよかった。

さて、こないだ高校の同窓会に行ったのですが100人未満の学年のなかで8人くらいというびっくりな出席率で。5年上下の学年の同窓会と同時に行われたのですがやっぱり目立って少なかった。まあ15年ですしね。しょうがない。

その時に一緒だった友達の一人が(同窓会以外でもたまに会ってる友達なのですが)仕事の傍ら合唱団で歌ったりその合唱団の運営を手伝ったりしてて、今度学校でOGが出られるコンサートとかある時は一緒になにかやろうかーと話してて。それも面白いかもなあと結構わくわくしています。
大学時代も友達は圧倒的に楽器の人が多くて歌の伴奏は授業でやったくらいですし色々学び直さなきゃいけないこともあるはず。

そしてそもそもレパートリーが弾いた経験だけでなく知識も全然足りない感ひしひし。
大学時代と比べてだいぶ歌曲も聴くようになって好きな曲も増えたけどどの声域に書かれてるかとか移調版はあるかとかどんな歌がどんな声域・声質に合うかとか全くわからなくて普通に楽しく聴いてるだけだったなあ。
ちなみにその友人はメゾソプラノ・アルトなのですがフォーレとかブラームスとか歌ってるよーって言ってて私としても大変嬉しいエリア(フォーレは一人ではあんまり弾く気持ちが起こらないけど歌曲とかアンサンブルならなんとかならないかな)。特にブラームスは器楽でもビオラ曲とか好きなのできっとそこら辺の声域も得意なはず。もっと聞き込まないと。

そして私からもちょっと数曲提案できないかなと思ってここ数日音楽ライブラリをあさってたのですが結構面白いものありますねー。
筆頭が危うく忘れかけてたラヴェルの「カディッシュ」。器楽版色々+去年のショスタコ13のコンサートでのCantor版もよかったけど女声歌曲版もきっと素敵なはず。とりあえず目立って難しくはなさそうだけどラヴェルだから実際どうなんだろう。

あとは普段全く縁がないのにコープランドやりたくなりますね。エミリー・ディキンソンの詩のやつ。詩の方に最近触れる機会があったから、というのも理由の一つかな。それでいうと最近シェイクスピア熱がじわじわ上がっててフィンツィの「Let us Garlands Bring」なんかもやりたいけどあれはメゾソプラノ版あるのかな。

そしてピアノ独奏作品をあんまり書いてない作曲家も気になる。英国方面特にそう。もっといえばヴォーン=ウィリアムズ。そういう作曲家の書くピアノパートって弾きにくかったらどうしよう、とは思うのですがそれ以上にイギリスの音楽がもっと弾きたいのでなんかいい曲があるといいんですがね。

ここまで話してラヴェル以来フランスものの話が出てこないのが自分らしくない気もしますがなんとなくフランス方面は難しそうなイメージがあり(汗)特にピアノのパートが難しかったらフランスは(得意でも)色々大変かなーと敬遠がち。ソロでさんざん弾いてるから必須ではないですね。友達となんかいい感じの曲が見つかったらやりますが。

さすがにシュトラウスとかマーラーとか元がオケ伴奏が多いケースはあまりにも(特に私にとって)無謀かな?マーラーもソプラノよりはメゾとかアルトが映える歌曲が多い・・・というか大地の歌はアルト最大の見せ場なんじゃないかな。弾くのはあんまり現実的じゃないけど。少なくとも初めての試みでは。

現実的じゃないついでにやっぱり私はクラムの歌曲が大好きです(言及ついでにハピバだったそうです)。そもそも歌曲というジャンルに入るきっかけだったのがクラムのいろいろの歌曲だったし思い入れの強い録音もあるもののいろんなバージョンを生で聴きたいし自分が弾ける機会があったらものすごく苦労するながらもすごく嬉しい。来るのかなあそんな日は。でもやるとしたらまず一番「伝統的」な歌曲フォーマットのApparitionがいいなあ。演奏するときはシアター的要素も出したい。
あと全然違う方面ながらバロック以前のイギリスの歌曲(パーセルとかダウランド)とか弾くのも自分にとっては無謀なのに惹かれてしまう。さすがにやめようよ。

ということでだいぶ夢な話にも飛びましたがもっと広く・深く歌曲の世界を探検しないとですね。考えるだけで楽しいです。好きな作曲家語りが主になりましたが考えつきもしない作曲家の考えつきもしない作品に出会えるのも楽しみです。ほんと沼の入り口はどこにあるかわからないですからねー(汗)


今日の一曲: ジェラルド・フィンツィ 「Let Us Garlands Bring」より「Come away, death」



最近シェイクスピア熱が、と書きましたが前回紹介したEmilie Autumnの別の曲「Opheliac」でハムレットの「Doubt thou the stars are fire」で始まる一節が使われてるのを聴いてて中国古典にしても英語の古典にしてもすっとこういう引用がスマートに出てくるのは素晴らしいよなあ、と思っていたのですがよくよく考えたら中学高校の授業以来新しくシェイクスピアをちゃんと読んでないことに思い至り。またシェイクスピアの言葉の魔法に出会いたい!ということで今年が終わるまでに一つ作品を読む予定でいます。

やっぱり学校でやるには悲劇がわかりやすいのかロミジュリ、マクベス、オセローと悲劇ばっかり読んでたのですが12年生の映画「恋に落ちたシェイクスピア」の授業の際に言及があった「十二夜」はちょっと親しみがあり。この「Come away, death」もその「十二夜」を歌詞とした歌曲です。別楽章の「Fear No More the Heat o' the Sun」もそうですが喜劇が題材なのにしんみりとした場面選んだなあ。雰囲気的にイギリスらしくはあるかな。

「Come away, death」は歩くようなテンポなのにフレーズによって変拍子になる予測不能要素がちょっと面白いです。限りなくモノローグな雰囲気に音楽は淡々としている風で、その上に「sad cypress」とか「black coffin」とか(なんかダウランドの歌曲とかでも出てきそうなイギリスっぽい)暗いモチーフの言葉が乗っかるのにちょっとにやりとしたり。シェイクスピアの言葉のうまさを活かせる音楽いいですね。

ピアノの伴奏もシンプルっちゃあシンプルなんですが繊細なハーモニーなしではこの歌曲の雰囲気って出ないですしそういうおいしさも弾くのに大歓迎です。歌う方弾く方どっちにもじわじわと楽しい曲を選びたい。

リンク先の録音、男性歌手のしか見つからなかったので手持ちのと同じ録音を。イギリス歌曲色々入ってます(ブリテンが入ってませんがあそこら辺はまた別ジャンルかも)。ヴォーン=ウィリアムズも面白い曲がちょこちょこ入ってるのでまた自分も聴こう。

ちなみに今年読むシェイクスピア候補は「十二夜」の他だとアデスが歌劇書いてる「テンペスト」、そして悲劇からだと「リチャード三世」をとりあえず無料DLしてあります。音楽関連で沼の入り口も色々ありますが音楽経由で文学に落ちることもありそうで楽しみだったりひやひやしたり。何を読むことになるかなー。

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古かったり新しかったり
本番行ってきましたー!・・・ということで今日はそちらの話を。

Zelman Symphony Orchestraコンサート
「From the Old World to the New」
場所:Xavier College、日時:9月1日午後8時開演
指揮者:Rick Prakhoff
アントニン・ドヴォルザーク 組曲「アメリカ」
サミュエル・バーバー 弦楽のためのアダージョ
サミュエル・バーバー オーボエと弦楽のためのカンツォネッタ(オーボエ:Thomas Hutchinson)
ボフスラフ・マルティヌー オーボエ協奏曲(オーボエ:Thomas Hutchinson)
Chris Pickering 「The Straightened Arrow」
アントニン・ドヴォルザーク 交響曲第8番

プログラムの集客力が影響したのかいつもよりもお客さん少なめでした。勿体ないけどしょうがない。
面白いけど不思議なプログラムでしたね。普通新しい曲(=若い作曲家さんの曲)は最初の方で弾くから舞台に行ってマルティヌー弾き始めたときしばらく実感が湧きませんでした。そして管楽器のコンチェルトなのであっという間に終わってしまう。

オーボエのソリストはリハーサルの時から思ってましたがものすごく音が美しくて。でもマルティヌーくらいの量のピアノパートだと弾いてる間は完全に戦闘モードで音の美しさを味わってる余裕全然ないんですよね。なので舞台ONする前に裏でバーバーちょっと聴いておきました。またメル響でもソリストとしてもどこかで聴く機会があるといいなあ。

Pickeringの初演の曲についてはこれまであんまり話さないでおいたのですが演奏したので感想を。作曲家の背景がクラシック系じゃないとオケ使いってこうなるかーという感じでしたね。チェレスタパートをほとんどピアノに変えたのは正解だったけどオケの機能しかたについてはもっと勉強していただきたいかな。でも光る瞬間も結構ありましたしスタイルはある程度確立してたり意志もしっかりあって、今後どういう方向に進んでいくかちょっと楽しみでもあります。
かなり最近までこの曲は全貌が見えてこない、定着しない感じだったのですがコンサートが終わって以来ちょこちょこ口ずさむようになったので自分にとってはそこそこ愛着もありmemorableな曲、ということですかね。

そうそう、今回のコンサートのプログラムに多分来年コンサートが来るであろう日にちとレパートリーに関することがこっそり載ってました。まだ確定してないことも多いそうですが合唱曲、それからバイオリン協奏曲が2つあるとか。バイオリン協奏曲だったら私がパートがあるのはバルトーク2番(超難しいオケパートなのでやらないと思う)くらいですが合唱曲は意外と面白いパートがあったりするので具体例を考えないで指をクロスして待ちに入ることにします。

そして今年の最後のコンサートはこちら。晩年フォーカスなプログラム。曲数は少なくなりましたがそれでも序曲の代わりにハイドンの交響曲なのでボリューム的にはちょっと大きめになるのかな。私が出番があるのはシュトラウスの「最後の四つの歌」。チェレスタがあるはずなんだけどそんなに大きいパートではなさそう。でも大好きな曲なので弾くのがものすごく楽しみ。

ということでもうすぐ日本に出発です。それまでに書く時間はあっても書く事はあるのだろうか。日本に行ったら更新するのか。ということで次はいつになることやらということにしておきます。


今日の一曲: ボフスラフ・マルティヌー オーボエ協奏曲 第2楽章



しっかり身についた曲ですし弾いてて(難しいながらも)楽しかったですが最後まで変な曲だったなあこれ。そもそもマルティヌーが変な作風ということはわかっててもずっと首をかしげ続ける。和音の繋がり方が多分一番わからないんだろうなあ。

先ほどバイオリン協奏曲についても書きましたがそもそも他の楽器がソロ弾いてるコンチェルトでピアノとかが出てくることはごくごく珍しいケースです。特にピアノは音量と音の存在感(もっといえばビジュアルでの存在感も)が圧倒的なのでよっぽどのことがないと協奏曲でオケにいることはないはず。

そのよっぽどのことがこの曲ってのも不思議な話なんですよね。しかもずっと弾いてる。音の数ではソリストより多いんじゃないかというくらい。でも存在感としてはちょうどいいしサブソリストとしてのポジションにいい感じで納まる。そして意味なくピアノがいるわけじゃなくちゃんとピアノである意味がある。そこまで含めて不思議。

特にこの第2楽章ではピアノのパートは(1)弦楽器の和音に輪郭つける(2)オーボエソロのカデンツァをトレモロ和音で伴奏する、に大別されます。よりによってソリストの一番の見せ場で二人っきり(今回は指揮者さんも振らなかったし多分それが普通)。二人と話してたのですがなんか新古典派のハープシコードみたいだったりジャズの伴奏みたいだったり妙かつ絶妙なパートなんですよね。というか私がこの曲を「新古典派のハープシコード」って思った元ネタはおそらくファリャじゃないかな。となるとハープシコードばかりかスパニッシュギターにもつながってる&似てるってことになる不思議。
そのオーボエのカデンツァパートででてくる音階的なパッセージも東欧的というかジプシー的な流れがあってそれもスペインにつながったり。なんか考えると頭痛くなってくる(汗)

でもこの第2楽章すごい好きです。自分のパートの独特さもそうですがマルティヌーの独特な和音の連なりの色彩が静かな弦の音で活きて、オーボエのカデンツァはもうオーボエの一番いいとこがめいっぱい楽しめますし。またどこかで出会うことはあるのかな(そもそもこの曲でなくマルティヌーの音楽全般)。また機会があったら弾きたいです。

残念なのは録音をリンクするときにこの楽章だとオーボエが弾いてない部分ばっかりになっちゃうこと。とりあえずマルティヌーがどんな音楽書いてるか、だけでもなんとか・・・

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コンサート感想とコンサート前と
色々とばたばたしてて月曜日にコンサート行ったのに感想書いてなかった!
でもその前に自分の本番が明日なのでお知らせから。

Zelman Symphony Orchestraコンサート
「From the Old World to the New」
場所:Xavier College、日時:9月1日午後8時開演
指揮者:Rick Prakhoff
アントニン・ドヴォルザーク 組曲「アメリカ」
サミュエル・バーバー 弦楽のためのアダージョ
サミュエル・バーバー オーボエと弦楽のためのカンツォネッタ(オーボエ:Thomas Hutchinson)
ボフスラフ・マルティヌー オーボエ協奏曲(オーボエ:Thomas Hutchinson)
Chris Pickering 「The Straightened Arrow」
アントニン・ドヴォルザーク 交響曲第8番

そこそこの時間&回数リハーサル行ってるし結構音の数弾いてるはずなのにこれまでで一番本番前の緊張がない。念のため言い聞かせるけど明日は早起きですよ。
でも新しい曲は最後のリハーサルで急に馴染んできた(あくまでも個人レベルでオケの他のみんなはわからない)。ただ今回いつもよりも音のバランスを気にする度合いが多めな気がするので最後のサウンドチェックも万全の体制で臨まねば。

さて月曜日に入ってきたのはこちらのコンサートでした。

A Shostakovich Celebration
Melbourne Recital Centre, Salon
ピアノ:Kristian Chong
バイオリン:Sophie Rowell、Matthew Tomkins
ビオラ:Christopher Moore
チェロ:Rachel Tobin
ドミトリ・ショスタコーヴィチ ビオラソナタ
ドミトリ・ショスタコーヴィチ ピアノ五重奏曲

1時間ちょいのコンサートでしたがまあ濃いのなんのって。三途の川(仮)の向こう側の住人のビオラソナタと比べるとピアノ五重奏曲は確かにbleakではないけど現実世界で色んなアングルから殴ってくるから聴いてても(そしておそらく弾いてても)大変なプログラム。

ビオラソナタはやっぱり弾いてて難しいんだろうなあ(第2楽章だけ私も伴奏経験ありますが)。たまにおやっと思う箇所がちらほらあったのですが素晴らしい演奏でした。Salonはかなり親密な感じの演奏場所ですが「ビオラ近っ!!」と思うほどパワフルに迫る音で(逆にピアノは終始politeな音量だったかなという気がします。アンサンブルで飛出過ぎない音量というか)。

そしてSalonが小さく感じる弦の音はビオラ以外もそうで。ピアノ五重奏曲でも室内楽とはなんとやら、にだいぶ近くなる力強い弦の音。第1楽章でのクライマックスとか第3楽章の暴力的なスケルツォとかかっこよかった。ちょっと惚れ惚れしますね。ショスタコの曲としてもピアノ五重奏曲としても上には上がある曲ですがこんなにconvincingな演奏聴いてしまうともちょっと推したくなる(ただショスタコの曲を推すにはもうそろそろいっぱいいっぱいになっている)

このコンサート前後にもバレエ「ニジンスキー」のDVDが来てショスタコビオラソナタ+11番だったりこないだのコンサートでシュトラウスのメタモルフォーゼンを聴いたりiPodで回ってきてついついブリテンの「ラクリメ」とかフルで聴いちゃったりどシリアスな曲に触れてしまいがちな最近ですが明日は楽しいマルティヌーと仲間達。曲調が軽いからといって軽いノリでさよならできるというわけでもないのです。マルティヌーとは次いつ会えるかな(前回から今回までは14年)。


今日の一曲: ドミトリ・ショスタコーヴィチ ピアノ四重奏曲 第2楽章「フーガ」



フーガといえば特にピアノ弾きは前奏曲とセットで出会うことが多いですが(ショスタコも24セット書いてますしね)、こういう複数楽章編成の曲の中に突然あるフーガってちょっと独特の立ち位置なイメージがあります。とりあえず今思い浮かぶのはラヴェルの「クープランの墓」のフーガ。あれも第2楽章で辺りの雰囲気を静かにさせるような感じのフーガ。というか主題もラヴェルのフーガの逆さみたいになっているような気が。

そしてフーガっていうとどうしても偉大な音楽の父バッハと比べてしまうことが多く。特にショスタコの24つはバッハの48つと対応してることもありフーガの出来がちょっとな、なんて弾いたり聴いたりしながら思ってしまったり。でも20世紀のフーガはそもそも存在意義が違うはずなんですよね(というかそういう変化はベートーヴェンくらいから始まってはいたんですが)。

前も書いたと思うんですけど付加価値というかキャラクターで勝負というかフーガという形式をベースにして何かをするというか、そういうのがショスタコとかラヴェルとかのフーガで楽しいです。このピアノ五重奏曲のフーガも静寂を弦の音で層重ねていくような主題から紡いでいく景色の寒さに思わず身震いしてしまう(そして第4楽章でさらにまた寒くなる!)。

そして同じピアノ+弦のアンサンブルでも音の厚みとか楽器の使い方って結構変わるんですよ、という比較も含めショスタコのピアノ三重奏曲+ピアノ五重奏曲のアルバムをリンク。どっちも色んな意味でショスタコが爆発してる作品ですが方向性がちょっと違ったりするのも面白いです。

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ANAM「Simone Young Conducts Brahms」コンサート感想
Facebookでフォローしている爬虫類系・蜘蛛系のアカウントのグループに入会したらニュースフィードが爬虫類とか虫とかであふれかえっているだけではなくてTwitter以上にネタ投稿が飛び交うようになってなんだかちょっとびっくりしながらも楽しい今日この頃。入会といってもいいねするにも追いつかないくらいの幽霊部員ですがのんびりlurkerでいる予定です。

最近はマルティヌーを筆頭にどちらかというと軽めの音楽に触れることが多かったようでどうももっと重厚でシリアスな音楽を半分無意識に求める動きがあり。メタモルフォーゼン聴きたいなーブラームスの交響曲が聴きたいなーと思ってたどストライクのこのコンサートが目に入り。ちょっと高めの席しか残ってなかったのですがたまらず行ってきました。

コンサートの概要はこちら。
Australian National Academy of Music (ANAM)
"Simone Young Conducts Brahms"
指揮:Simone Young
ヴォルフガング・リーム 「厳粛な歌」
リヒャルト・シュトラウス 「メタモルフォーゼン~23の独奏弦楽器のための習作」
(休憩)
ヨハネス・ブラームス 交響曲第3番
アンコール:ヨハネス・ブラームス ハンガリー舞曲第5番

リームは数曲録音を持ってて聴くと好きなのですがあんまり知らない作曲家。なんと1952年生まれなんですね(厳粛な歌が書かれたのは1996年でこれもちょっとびっくり)。バイオリンを抜いたり20世紀以降ではよくある変則的なオケ未満サイズのアンサンブルなのですが大きいホールだとなかなかバランスが難しい。弦がどうしても弱め。でも曲は面白かったです。

シュトラウスは作曲の経緯も含めて真っ直ぐに聴くと本当に色んな感情がわき起こる曲。ただ今回は5+5+5+3編成ではなく「23の独奏弦楽器」として個々のパートを分析するように聴いてみました。生で音楽を聴くときは臨場感とかも貴重ですがこうやって演奏してるのを見ながら音楽を分解できるのも同じくらい貴重。実は後ろの方の奏者も同楽器の他の奏者と独立して動いてたり、前から後ろまでしっかりしてなきゃいけないすごい弦のパート。

ブラームスの交響曲では多分今回で3番が聴いたの最多かな(近いうちに覆ると思いますが)。
短くまとまってるし書くのもかなり速くて色々思い切ったなブラームスという印象、でも決して他のじっくり書いた曲に劣るところは一つもない(つまりいつもが悩みすぎ疑惑)。ぎゅっと詰まった感がいいんですよねこの曲は。最初の特徴的なテーマからずっとパワフル続きで爽快な演奏でした。

今回指揮したSimone Youngはオーストラリア人指揮者として、そして女性指揮者として世界的にものすごい人で、略歴をwikipediaなんかで読むだけで色々出てきます(女性初、が多いのは彼女の実力ももちろんありますがまだまだ男性中心が根強いエリアだということも同時に示していたり)。国立アカデミーでこうやって世界で活躍している偉大な音楽家・指揮者と一緒に音楽を作る機会が最近特に増えてるようでなによりです。いいなあ若い人達。
今回のコンサートでいうと彼女は音楽を動かすmomentum、そして変化させる部分の引っ張りの強さがものすごく印象的。アンコールのハンガリー舞曲も巷で聴くのより10倍以上エキサイティングな演奏でした。私もあのバトンで弾く経験がしてみたい。

ということで聴衆としてですが貴重な体験が出来たいいコンサートでした。曲目当てで行ったけどそれ以上のものを得られた感じでほくほく。
日本に行く前に(弾くやつ以外だと)あと1回コンサート聴きにいく予定があるのでそちらも楽しみです。


今日の一曲: ヨハネス・ブラームス 交響曲第3番 第4楽章



なんだかんだでみんなブラームス好きなんですよね。今回のコンサートで会った大学時代の友人も当時はブラームス嫌いだったのがすっかり(?)丸くなってましたし、シュトラウスやシェーンベルク、ヴェーベルンやリームみたいな比較的先進的な印象のあるドイツ周りの作曲家も(後から別の方向に羽ばたく場合でも)ブラームスを通ってきていたり。

ドイツの偉大な作曲家といえばバッハやベートーヴェンを筆頭にあげたくはなりますがこの二人はそれぞれ自分の完成された世界を持ってるなーと思うこともありドイツを代表する、ドイツらしい音楽を書く作曲家といえばブラームスをまず推したくなるのです。だからこそ、といえばいいのかメタモルフォーゼンとの共鳴もものすごいです。少なくとも自分の中では。

さて、交響曲にしろソナタにしろ複数楽章の作品をどうしめるか、というのは色々難しいところもあり。ブラームスの交響曲でいうと第1番の最終楽章は若干迷路的というか結構色んなところに旅する楽章で、後半での伏線回収の諸々に「がんばれー」とにやにやしちゃったりするのですがこの第3番の最終楽章はどこに向かってるかはっきり分かってて突き進む印象。目線がものすごく真っ直ぐしててブラームスどうした!?というかかなり新鮮。かっこいいぞブラームス。

今回の指揮者Simone Youngはワーグナーとかブルックナーなどが得意みたいですが(それもすごいなあ)ブラームスの録音もありました。4番とカップリングおいしいですねー。
そのうち何かSimone Young指揮の録音を入手したいなあ。もう持ってる曲も多いけどワーグナーとかマーラーとか・・・あとブルックナーにまだはまってないのでそちらを冒険するきっかけになるかしらん。

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