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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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オケ話色々
前回のエントリーに拍手ありがとうございます~
やっと書く事が出来ました。全部音楽関連です。

まずはリハーサルが始まったのでお知らせから。
Zelman Symphony Orchestraコンサート
「From the Old World to the New」
場所:Xavier College、日時:9月1日午後8時開演
指揮者:Rick Prakhoff
アントニン・ドヴォルザーク 組曲「アメリカ」
サミュエル・バーバー 弦楽のためのアダージョ
サミュエル・バーバー オーボエと弦楽のためのカンツォネッタ(オーボエ:Thomas Hutchinson)
ボフスラフ・マルティヌー オーボエ協奏曲(オーボエ:Thomas Hutchinson)
Chris Pickering 「The Straightened Arrow」
アントニン・ドヴォルザーク 交響曲第8番

今回もですが曲数の多さ!今回でいうと弦楽だけの曲が2曲+マルティヌーもそんなに大きいオケじゃなかったりで金管打楽器の負担は少ないですが弦は音も多いし大変。大丈夫かなリハーサル時間。

このコンサートのオーボエ2曲は実は別のソリストが弾く予定だったのですが怪我のため6月にStonnington Symphonyの方でソリストだった方がピンチヒッターのソリストになったそうで。来年のメル響の室内楽コンサートにも名前載ってたし今本当に売れてるオーボエ奏者なんですねえ。

そして私はこのプログラムの中ではマルティヌーでピアノ、そしてPickeringでチェレスタを弾くことになってます。後者は(去年もありましたが)若い作曲家による初演となる作品。なんでもオケ曲を書くのは始めてという話でなかなかまだちょっと要調整だったりその楽器にそれ弾かせるの大丈夫か気になったり色々考え直して欲しかったりするところあり。そりゃあ頭の中でイメージするだけじゃなかなか難しいですしね。オケと作曲家と協力して作品をよりよくしていけたらなあ。私のパートも色々ディスカッションが必要なところあり。いいとこはいいんですけどね、勿体ないとこはものすごく勿体ない。

マルティヌーは色々すごかった。パートがキューやら印刷間違い直しやらで鉛筆書き込みがいっぱい。そして弾く音の数もなかなか。さらにリズムが色々オケ内でずれるように書かれてたり細かいレベルで難しい。しかもオーボエソロのカデンツァで一緒に弾く部分もあって変なプレッシャー。とりあえずフルスコア貸してくれてありがたいので今週がりがり練習せねば。大変です。
でも曲は好きです。変じゃないようで変ですが。前回マルティヌーの作品を弾いたのが14年くらい前のマドリガルソナタでしたが決してとっつきやすさで超難なわけじゃないしむしろoptimisticなのが楽しいのですがやっぱり言語としては独特。勘頼りはできないぞー。

最近あまり仕事が来てなくてBBC Proms聞くのがどんどん遅れてるのですが今年のフィーチャー作曲家の1人、というか2人、ブーランジェ姉妹の作品を初めて今日聴きました。というか妹のリリ・ブーランジェの方ですが。
二人合わせて映画になるような生涯だったり、19世紀末のフランス辺りというかなりストライクゾーンに入ってる時代と作風だったり、ちょっとこれはもっと聴いてみたいぞと思い始めてます。色々と面白い。ただ妹の方は夭折したのですが姉の方がかなり長生きしてまだ著作権が切れてないため楽譜がなかなか見つからない。一応ピアノ作品もあるようなのですが。

そして来年のメル響シーズンの発表がさっきありました。千人の交響曲は今年もないぽい・・・?サー・アンドリュー・デイヴィスのメル響ラストイヤーとかいう話らしいけどマーラーサイクルは完成ならずか。ざっと見て気になる曲名はちょこちょこありましたが一番テンションが上がったのはヴォーン=ウィリアムズの5番!大学のオケがやったのを(パートがないので弾いてないながら)聴いたっきりなのでこれは嬉しい。そんなに頻繁には聴かなくてもいいですがたまには聴きたいと思ってたところで。絶対聴き逃さない(という心持ちでいます)。

あとはもうすぐSecret Symphonyがあるようですが行くか行けるかまだ未定です。もちろん行ったらこちらで感想を書く予定。最近行ってないからなあ。夜だから寒いしビタミンDの足しにならないけど行きたい。


今日の一曲: ボフスラフ・マルティヌー オーボエ協奏曲 第1楽章



マルティヌーはなかなか世間一般のクラシック音楽の範囲どころか玄人でも楽器によってはなかなか出会わない作曲家です。多分木管楽器だとかなりエンカウントする。ピアノだと(木管の人と弾かない限り)一生出会わないことも珍しくない。

まあ下の名前でなんとなくぼんやり「ヨーロッパのあっちらへんの作曲家かな」というのは分かるかと思います。ただ調べてみるとマルティヌーはパリやアメリカにも渡っててそういう要素もしっかり作風に現れてます。この曲でいうと軽快さやリズムのトリッキーなとこはフランスがちょい入ってて、明るさ(音楽的に、というか曲の性格というか方向性が)はアメリカぽかったり。
新古典派みたいな要素も多々ある中ものすごく新しくて前向きでフレッシュな感じがあるのはきっとアメリカ影響。今回のコンサートで共に演奏されるドヴォルザークのアメリカ関連諸作品もそういうとこあるような気がします。

ということで難しくはあるのですがこの曲は決してとっつきにくいことはないです。むしろ第1楽章はかなり聴きやすい(私調べ)。バロックとか古典時代みたいなコンパクトなオーケストラにのってオーボエのパートが歌ったり踊ったりその半々ミックスな感じで弾いたり。録音で聴いてみるとソロのパートほんと楽しそう。でもオケパートは軽そうでかなり大変。

あんまりオーボエのソロレパートリーは知らないのですがシュトラウスの協奏曲と一緒に収録されてるアルバムがいいなあ、となんとなく思い探してみました。前回Stonnington Symphonyでやったヴォーン=ウィリアムズの協奏曲も入ってる。奏者に関してもあんまり知らないけどやっぱり色々スタイルや好みの違いは色々あるんだろうなあ。やっぱり楽器変われば世界も変わる。

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コンサート新シリーズ1つ目感想
お久しぶりですー。
考えてることがほぼ仕事+寒い+編み物だったのであまり書く事がなく、せっかくコンサートにも行ったのにそのあと数日ブログのサーバがエラーだったようで更新出来ず。
ということでやっとの書き込みです。

実は6月のコンサート行きはこないだのメル響・今回感想書く友達のコンサート・明日のPlexusトリオのコンサートとあったのですがPlexusのコンサートが奏者体調不良のため延期になってしまいました。あのトリオは前紹介したように今活躍してる作曲家の作品を世に出すのがメイン活動なのでちょっとシステムが特殊で、演奏のまあまあ短い期間前に作曲家からできあがった楽譜をもらってから短期集中でリハーサルなのでその間にこういうアクシデントが起こると通常のトリオよりダメージが大きいのです。延期先の日にちがちょっと都合微妙な時期ですができたら行きたいなあ。

さて先週金曜日のコンサート。友人Tristanが以前Play Onのシリーズで一緒にトリオをやった二人とデュオやトリオで演奏する3つのコンサートからなるシリーズの最初のでした。
プログラムはこんな感じ。

Soiree on the Hill
St. Stephen's Anglican Church
ピアノ:Tristan Lee チェロ:Blair Harris
フェリックス・メンデルスゾーン 協奏的変奏曲
ロベルト・シューマン 「小さな子供と大きな子供のための12の連弾曲集」より「夕べの歌」
フランツ・リスト 「巡礼の年」第2年:イタリアより「物思いに沈む人」
フランツ・リスト 「悲しみのゴンドラ」
ヨハネス・ブラームス チェロソナタ第1番
(アンコール:エイトル・ヴィラ=ロボス 「黒鳥の歌」)

結構近いようで、でもかなり違って、それでも似た精神がある4人のロマン派作曲家。1時間くらいの演奏でしたがぎゅっと詰まったプログラムでした。しかも冬の寒さによくあう曲(というのは弾く側でないから気楽に言えることなのですが)。

ちょっと聴いてから時間がたってるので個々の曲に感想は割愛。
今回のリストの2曲の選曲がものすごかったですね。渋いー暗いー。特に悲しみのゴンドラはほとんど聞かない曲だけどもっと頻繁に聞きたい曲(ただ存在感が独特なので時は選びそう)。
「物思いに沈む人」は今回唯一のピアノソロ曲でしたが(ゴンドラは作曲家による編曲版、シューマンもなんか編曲版だったらしいです)、彼が弾くならこないだの「婚礼」(同じく第2年)よりこっちの方がいいなーと思っちゃいました。音楽の深さの引き出し方というか、さすが。

今回のチェロ奏者は前述通り前も演奏を聴きましたが楽器が新しくなってました。なんでも大変に高い&良い楽器を貸与契約で弾かせてもらっているんだとか。ちょっとアタックがソフトというかスムーズでそれでちょっとピアノの音に負けちゃってるようにも聞こえましたが甘めで繊細ないい音でした。もちろん弾く方のパワーがあってしっかりしてるのもあり。第3楽章よかったなあ。ピアノとチェロが一つの「脳」として動いてるような一つの芯の通ったアンサンブルでした。

そしてアンコールはまさかの地球の裏側からのヴィラ=ロボス。アンコールはメインのプログラムと同じラインか対照的か、というのが王道の選びかたらしいですが対照的にもほどがある(笑)でももちろん演奏もよかったですし出会えてよかった曲。

さて感想を短めに済ませた?はずなのでちょっとお知らせチラ見せ。
Zelman Symphony Orchestraの9月と12月の頭のコンサートで弾くことになりました。
12月のプログラムはまた改めて近くなったらお知らせしますが(それくらいわくわくする!)、9月はマルティヌーのオーボエ協奏曲でのピアノパートです。

マルティヌーは普通にピアニストやってるとまず出会わない作曲家なのですが(決してピアノ作品が少ないとかいうわけではないのですが・・・)ひょんとした縁があって大学1年生の時にフルート、バイオリン、ピアノのためのマドリガル・ソナタを弾いた経験があり。それ以来もう14年ぶりですよ。しかも今回やるオーボエ協奏曲のスコアのプレビューみたらいの一番からなんか妙なパート(?)をピアノが弾いててこりゃーいかんということで近々パートのコピーを送ってもらう予定です。14年ぶりの作曲家なんてそうそうないですしそこそこ好きだったのでものすごく楽しみです。

ピアノのソロの方もレパートリーが変わってちょっと力抜きめで進めてますが手持ち曲をじわじわ増やしたりカバー範囲も広げていきたいです。そういうこともあって今日の一曲はこんなチョイスで。


今日の一曲: フランツ・リスト 「巡礼の年」第2年:イタリアより「物思いに沈む人」



リストも自分で弾く分にはだいぶ長いこと触れてないのですがTristanの演奏を聴いたりするので聴く機会は多く。最近この「巡礼の年」あたりを耳にするようになってからもしかしたら遠くない未来自分も弾くことになるかもなあ、と思ってたのが最近だんだん現実味を帯びてます。
たぶんまずは「鳥」つながりで「2つの伝説」に目を向けることになるとは思いますが「巡礼の年」あたりも可能性大。何かと宗教風味がある音楽が好きなんだよなあ、リストだけでなくメシアンもスクリャービンも。

「巡礼の年」、大学時代だと第1年の「オーベルマンの谷」とか「泉のほとりで」だったり第2年のソネット方面とかを弾く人がちらほらいて、第2年の「ダンテ・ソナタ」を弾くって友達におののいたりだったのですが第3年にもなるとプロの録音も見つかる数が少なくなってくる。ここ2日くらいSpotifyで仕事しながら聞いてたのですが晩年感の濃さと暗さと難解さにものすごく惹かれてます。頭で理解するのに没頭できる曲が好きなのですがこれはこのままだと第3年の沼の深い方に飛び込んでしまいそう。大丈夫か。

ただ普通に聞く分には第2年がちょうどいいというか音楽的にfulfillingな印象があります。リストの一番いいとこ純粋にくれてる感じ。この「物思いに沈む人」だと第3年に来る闇みたいのの前兆がありながらまだロマン派的な安心があり(よくわからない表現、というか第3年を何回か聞いてしまったからこういう表現になるのか)。ラフマニノフのピアノソナタ第1番だったりブラームスのいろいろな作品だったりこういう感じで己の内面に入っていく曲は好きです。

リストの作品は先ほど書いたとおりしばらく弾いてないので手元に楽譜があんまりなく、とりあえず今(ほんとに今です)IMSLPで楽譜を見てみようと思います。昔よりはオクターブも無理なく弾けるぽいし今でなくてもそのうちチャレンジしたいです。またチャレンジしたらこちらで報告することになるかな(笑)

リンク先はSpotifyでお世話になって旅行の友に購入も考えてる全曲録音。まずはそれぞれの曲単品からかなー。曲集としてなんかバランスがおかしかったり色々テーマが壮大だったりしておなかいっぱいになるので。でもその分長くゆっくり楽しめる。

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踊った週末カウントダウン

オーストラリアは連休ですが仕事が続く6月まっただ中。
今年もカウントダウンの季節がやってまいりました。

豪ABC Classic FMの冬の風物詩?なClassic 100 Countdown。
今年のテーマは「Dance - music that make you  move」でした。
例年通り候補曲を公募→その中から選ばれた曲に一般投票の流れで、Queen's Birthdayの連休にトップ100を放送。
バレエとして書かれてる曲から振り付けがつけられた曲、タイトルにより踊りだと分かる曲、はたまたそれのどれでもないけど人々が踊りを感じた、思わず体を動かしたくなる曲が揃いました。

昨日今日と放送された1位から100位のリストはこちら
惜しくも放送を逃した101位から200位のリストはこちら

トップ10はこんな感じでした。
10位 カミーユ・サン=サーンス 「死の舞踏」
9位 アーロン・コープランド 「アパラチアの春」
8位 ヨハン・シュトラウス2世 「美しく青いドナウ」
7位 モーリス・ラヴェル 「ボレロ」
6位 アラム・ハチャトゥリアン 「スパルタクス」
5位 ジョルジュ・ビゼー 「カルメン」
4位 レナード・バーンスタイン 「ウェストサイド物語」
3位 セルゲイ・プロコフィエフ 「ロミオとジュリエット」
2位 ピョートル・チャイコフスキー 「くるみ割り人形」
1位 ピョートル・チャイコフスキー 「白鳥の湖」

ワンツーフィニッシュで圧倒的でしたねチャイコフスキー。なんかこうしてみると「文句なしの」1位2位ではありますが同時に「文句がいえない(あきらめるしかない)」1位2位でもあり。
もう王者ですからね。ボレロも同じカテゴリ。そのなかにちゃんとロミジュリも食い込んだのはものすごく嬉しいです。ただストラヴィンスキーが10位以内に入るかなと希望を抱いていたので残念な気持ちも。

このちょっと下あたりの順位もそうですが「確かに広く好かれてるけどこんなに順位を上げるとは思わなかったなー」と思う曲が結構ありました。例えば9位に入ったコープランドは15位に「ロデオ」もランクインしてたり。6位のスパルタクスだったり後述のWild Swansなんかはテレビで使われた影響で順位が高かったという要素もあるようです。

今回すごかったのはオーストラリアの作曲家。Ross Edwardsの「アラフラ舞曲」が98位に入り、グレンジャーは「Country Gardens」が85位にランクイン。Elena Kats-Cherninは88位に「Dance of the Paper Umbrellas」、70位に「Rag」がランクインしてちょっと間を置いて21位にバレエ作品「Wild Swans」が来るという大快挙(トータル3曲ランクイン+女性作曲家で最上位)。ここで終わりかと思ってたらさらに19位にWestlakeの「南極」、そして14位にSculthorpeの「Left Bank Waltz」というピアノ小品が超えてくるというびっくりな結果。いやあこういう企画でオーストラリアの作品の存在感が高まるのはうれしいことです。

個人的にすごいなと思ったのが37位のレスピーギ「古風な舞曲とアリア」と26位のショスタコーヴィチ「ジャズ組曲」。この作曲家が、しかも比較的演奏頻度が少ない曲がこのジャンルでこんなに存在感を示すとは思わなかったです。57位のプレトリウスの舞曲集もアウェーな環境に単身切り込んできたみたいな感があって独特な足跡を残してきましたね。

作曲家の傾向もちょっと今回いつもと違う様子があり。ブラームスみたいにいきなり上位に一発食らわす作曲家もいればじわじわと攻めて最終的に圧倒的支配するチャイコフスキーもあり、最初にちらほら見たけど途中で消えたベートーヴェンもあり。何より100位に一曲も入らなかったモーツァルト(最高で146位)。これまでのカウントダウンと比べると波乱に見える要素もありました。

私が投票した曲とその最終順位は以下の通り:
100位までにランクイン→プロコフィエフ「ロミオとジュリエット」(3位)、ストラヴィンスキー「春の祭典」(20位)と「火の鳥」(25位)、ヨハン・シュトラウス2世「皇帝円舞曲」(33位)、ラフマニノフ「交響的舞曲」(77位)
200位までにランクイン→Ross Edwardsバイオリン協奏曲「Maninyas」(104位)、ラヴェル「ダフニスとクロエ」(170位)、リヒャルト・シュトラウス「サロメ」(171位)、ラヴェル「クープランの墓」(199位)
ランク外: ヴォーン=ウィリアムズ「ヨブ」

Maninyasは惜しかったなあ。でももうちょっと票が少ないと思ってたのでほっとしてます。ただダフクロの順位の低さは悔しいです。バレエとして踊りとしてそしてラヴェルのオケ曲としてものすごく素晴らしいですしもっとコアなオケファンから票が来るとばかり思ってたので(企画ページにあるパーソナリティセレクトのセクションでSir Andrew Davisがバルトークの「ミクロコスモス」の次点としてあげてたくらいですし)。
ただ今回100位までに入らなかった曲が多い回ではありましたが、ちゃんと票入れといてよかったなーと思う曲が多いですね(199位でふんばったクープランの墓含め)。来年もしっかり考えて中堅あたり中心に応援票を投じたいと思います。

ちなみに生放送はもう終わりましたが追っかけオンデマンドでこちらのListen Againから聴けるようです。SpotifyとかApple Musicでも聴けるようにするらしいですが今回トークも色々面白くて、曲が流れてるときにスタジオで踊ってたりなんだりするのが陽気な雰囲気として現れたり、バレエの裏話とかも聴けたりするので英語が分かる方はラジオ放送としてがおすすめ。
あとちょっとした統計はこちらのツイートに。

あと過去のカウントダウンのアーカイブがこちらに。各回のテーマとリストだけでなく検索機能も。ちょっと作曲家の名前で検索してどの年にどんな順位でとかぱっと見れて便利です。

今回はテーマがテーマだったので聴きながら(座りながらでも立ってでも)踊ったりして楽しかったです。もともと踊りカテゴリの曲は好きでリズムによく反応する方だとは思いますがバレエを始めてからさらにこの界隈の音楽とその考え方・感じ方が楽しくなったような気がします。
来年も投票に悩んで楽しい、聞いて楽しい、そして順位にはらはらして楽しいカウントダウンのテーマになるといいなあ。


今日の一曲: ピョートル・チャイコフスキー 「白鳥の湖」第3幕より「ナポリの踊り」



ここはやっぱり1位から。といってもここで色々な楽章を紹介してるんでそろそろ難しくなってくる。

今回「踊り」がテーマでしたが踊りのスタイルとしてはやっぱりワルツが一番メジャーでした。放送でバレエ作品を一部抜粋というときもワルツ曲が使われることが多く。
あとはハンガリー系の踊りとしてチャルダッシュとかそこらへんのスタイルも出てきたりしたかな。
タランテラは多分その次くらいに登場したかな?同じくチャイコの「イタリア奇想曲」とか。単独ではランクインしなかったかも。

この楽章の後半もタランテラなのですがタランテラは南イタリアの踊りなのに何かとロシア音楽に登場することが多い気がします。この曲と「イタリア奇想曲」を書いたチャイコ、なんかタランテラが多いプロコフィエフ、それからラフマニノフ。Kats-Cherninも生まれは旧ソビエト方面でWild Swansにちょっと変わったタランテラを書いてたり。
それはやっぱりあっちの方からみるとエキゾチックなんだろうな、というのもあったり逆にその燃えるような性質がロシア方面の燃える要素と共通してるところがあったり。

とにかくベースに「狂気」と「速く回る」がある舞曲なタランテラ。この曲のように陽気かつshort and sweetでもその魂はしっかり健在です。ジークフリート王子の許嫁にやってきてこの踊りを踊るナポリのお姫様はきっと小柄でfieryな性格なんだろうな、とちょっと想像が膨らみます。

今回カウントダウン後に1位の「白鳥の湖」は全曲放送があったのですが知らない楽章(=弾いたバージョンにも手持ちの録音にも入ってない)があったり色々面白い曲が抜かれてたりほんと「白鳥の湖」のバージョン違いははらはらします。リンクしたやつもロシアの踊りがなかったり(好きなんですよこれもー)。
でも今回カウントダウンで使われてたのがこの録音だと思うのでとりあえずリンク。

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久々のメル響コンサート
明日こそは寒いこと文句言わないと決めながら毎日寒さが頭の中をだいぶ占めてしまう毎日。
でも外に出るときは買い物だったりポケGOだったりだいたい楽しいので冬を楽しく過ごす目標はちょっとは達成できてるかな。

メインのコンサート感想の前にひとつ。
こないだシティにいってチャイナタウンのChinese Museumに行ってきました。
三国志好きとしては今やってる特別展「漢王朝展」を見逃すわけにはいかなかったので。
といっても小さい博物館で展示品も多くはなかったですがよく知ってる名前や「孔明のヨメ。」で見た品々にポスター展示などで言及があったり。
あと常設展の中国人移民関連の展示も色々面白い物がありました。ちっさい関帝廟もおいてあったり。展示少ないとはいったけど好きなもの率は大分高くて楽しかったです。

そして昨日は友人が前働いてたという素敵な毛糸のお店でも買い物をしてしまいました(ただ最近何度かウィンドウショッピングしてる)。Empireというメリノウール、もちろんそれなりにお値段はしますがどうしても外出用のハンドウォーマーをそれで作りたくて買っちゃいました。色も綺麗だし。お値段上も下も色々な毛糸使ってみたいなあ。

そんなお買い物後に久しぶりのメル響コンサート。忙しかったりお財布が苦しかったりもありましたが「これ!」というプログラムが少なかったのもあるかな。ただこのプログラムは見過ごせなかった。

メル響「Thomas Hampson Sings Mahler」
指揮:Andrea Molino
グスタフ・マーラー 「葬礼」
グスタフ・マーラー 「若きさすらい人の歌」(テノール:Thomas Hampson)
(休憩)
オリヴィエ・メシアン 「輝ける墓」
リヒャルト・シュトラウス 「死と変容」

このコンサートはこの1回+Geelongでの公演1回でしたがバルコニー席は結構空いてましたね。結構マイナーなマーラー+メシアン+決して派手ではないシュトラウスというなかなか渋いラインアップは広くは売れにくいとこはあるか。ちなみにPlexusでバイオリンを弾いてる友人(ピアノ友人のパートナーである友人)もそこそこ長くメル響(第2バイオリン)にいますが最初の3曲は初めてだったそう。

ただこのマーラー2曲はメジャーなマーラーのレパートリーとはかなり密接に関係があります。「葬礼」は第2番の第1楽章の派生(でいいのかな)ですし歌曲の方は第1番と共通箇所が色々。
なんか2曲一緒に聴いて不思議な気分でした。
メル響は低音の弦がごうごう言うので「葬礼」は聴いててほんと楽しい。チェロもコントラバスもオーディションとかでやるあの冒頭。こんな形でまた聴くことになるとは(やっぱり不思議)。

そして歌の方もよかったー。すごく甘い歌声でなんかすごく新鮮。そう感じるのは去年のショスタコ13番だったり大地の歌だったりちょっと声域&声質が違う方に行ってたからなのかな。
相変わらずマーラーは歌う人に容赦なくフルオケのスケールで来ますが(とはいえ大地の歌ほどではないかなあ)ホールの後ろまで柔らかく、でもしっかり届く声量。いいなあもっとマーラーの歌曲も生で聴きたい。

今回マーラーも打楽器少なめでしたがメシアンもものすごく少なめでしたね。なんか意外、と思ったら1931年の作品。後の作品みたいな複雑な完成度はないにしてもしっかりメシアン。リズムもそうですし独特の形のメロディーも。特に最後のチェロ+ビオラのセクションソロよかった。四重奏曲の最後のチェロ楽章に通じる天国的な美しさは反則級。
隣に座ってた老婦人も聴いてみたらそこそこお気に召したようでしたがなんとなくシンプルさもあって美しさもあって重厚すぎない「輝ける墓」はもっと気軽にメシアンするのにいいオケ曲かもしれませんね。

シュトラウスの「死と変容」はそんなマイナーな曲ではないけどやっぱり他の彼の作品と比べるとトップには立てない感じかな。でも今回のプログラムを締めくくるには素晴らしいチョイスでした。今回は最初から最後まで「死とその向こう」みたいなテーマの曲揃いで、テーマだけ聞くと「なんだそういうことかー」みたいな反応になりますが実際曲の連なりとして聞いてみるとそれ以上にずっと深い。ものすごい説得力。特にこの最後の曲で。
ついでにいえば伝統的なコンサートプログラムの序曲→協奏曲or歌曲→交響曲でなく15~20分くらいの似たような長さの曲を4つつなげたのもきっと効いてる。

ということで期待して入ったコンサートですが期待以上に楽しんで出てきました。
アイディア次第ではありますが新鮮さを感じるコンサートにもっと出会いたいです。

今月は他にも行きたいコンサートがいくつかあるので寒い中おでかけが楽しみです。
自分で弾く方も新しいレパートリーにしたのでそちらでも新鮮な気持ちになるといいな(ほとんどは前弾いた曲ですが)。


今日の一曲: グスタフ・マーラー 「若きさすらい人の歌」より「恋人の青い瞳」



マーラーは人間も自然も明るいも暗いも全部ものすごい表現する作曲家ですがやっぱ暗いマーラーは一種のguilty pleasureですねー。なんか屈折した、というかちょっと複雑な心持ちの魅力があります。

ただこの歌曲は比較的シンプルかつ比較的パーソナルかな。詩は作曲家自身が書いてるのもありますしそもそも作曲家の自体験に基づいてるとかいう話もありますし。
面白いのはここでオーストリアの作曲家+さすらう主人公+失恋+歌曲+メランコリーっていうとシューベルトの「冬の旅」とかなり属性がかぶること。しかもこの楽章もシューベルトと同じく菩提樹がでてくる。

世界感もちょっとこぢんまりしたスケールではありますが(最近親しんだ例でいうと)例えば大地の歌に通じるような空の広がりがあったり、それと同時に人の沈みが直接感じられるような内なる感覚があったり。いろんな意味で「森羅万象」な作曲家だと思います。

ただやっぱりこの最終楽章が交響曲第1番第3楽章と色々共通なところがあるのを考えると「自然」&「交響曲」と「パーソナル」&「歌曲」の二面性を心で捉え頭で考えるのはまだまだ自分には難しく感じます。特に1番は生涯ずっと知ってる交響曲なので。さらにユダヤ系の曲調があって文化的に「中立」ではないのも余計に難しい。でもこうやって捉え方に迷うのも面白いプロセスです。

あと歌曲の終わりとしてはあまりにもそっけないというか突然というかbleakなエンディングもまた難しい(少なくとも私にとっては)。オケのパートとしては中後期の交響曲と比べると全然シンプルなのにものすごく惑わされています。

ちなみに英語ではこの歌曲集はSongs of a Wayfarerと訳されることが多いですがWayfarerといえばクラムのアメリカ歌曲集にも登場する言葉ですね。大地の歌への言及の件もありますしこれも意識してのつながりの可能性が濃いですね。マーラーもクラムも大好きな作曲家ですし、クラム→マーラーのつながりは音楽自体から語られることが少なめなのでことある毎にこうやって意識して楽しむのもよいです。

リンクした録音は今回歌った方ので。甘い歌声を堪能できますよー。

拍手[1回]

無事向こう側に。
弾いてきましたーということでざっと色々。

Stonnington Symphony Orchestra
Sunday Series 1
Malvern Town Hall
6月3日 14:30開演
指揮者:Fabian Russell
アントニン・ドヴォルザーク 序曲「謝肉祭」
レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ オーボエと弦楽合奏のための協奏曲(オーボエ:Thomas Hutchinson)
セルゲイ・ラフマニノフ 交響的舞曲
そしてこちらも(ソロの方)。
FOGA (Firbank Old Grammarians' Association) Centenary Concert
Patricia Turner Centre,for Creative Arts, Firbank Grammar School
6月1日 19:30開演

まずはソロの方から。メシアンの前奏曲第6番「苦悩の鐘と別れの涙」でした。なんか比較的楽なメシアンとはいえこんなに緊張しない演奏は初めてだったかも。ちょっと途中でなんか照れなのかなんなのかテンポのブレーキ緩めたりしたんですがもっとのびのび、というか一つ一つをエンジョイして引き延ばして弾けたらよかったかなー。

今回私が一番年上の卒業生でしたが最近の卒業生も声楽の子が圧倒的でした。でも6人いてジャンルがlyric、dramatic、ミュージカル、ジャズなどほぼ全員違うのが面白い。少数派の器楽でも去年卒業したばかりというバイオリンの子の安定した感じのある天才さは圧巻。いろんな人材が育ってるんだなー。

そして今回自分にとって一番のハイライトはなんと私の他にもメシアンをやった子がいたこと。しかも歌で。(ちなみにもう一つの曲もIain GrandageのThe Rabbitsからだったので現代音楽全般強そう)すごく上手かったです。正確さとしっかりしてる感が(自分の弾く直前ですが)聴いててすごく気持ち良かった。やっぱ上手い人のメシアンはいいですね。自分もメシアンお届けに貢献できてよかった。

今回はいわゆるOG会のイベントで割と昔の卒業生も多かったのですが私の時代から教えてる音楽の先生によると最近の学生の両親勢は芸術方面にあまり関心がないらしく音楽セクション発信でもっと「しっかりした」レパートリーの音楽を演奏するイベントを増やしていきたいとのことで。私も演奏できるのなら&お手伝いできるならお力貸します的なことを話しておきました。

そしてオケのコンサート。
お客さんが入る&照明も増えるとはいえ演奏場所の寒さは学校でもホールでも鬼門でした。
前半は結局舞台裏にいてバレエの動きなどして体温めたりもしましたが特にステージに上がってからの待ちが多いオケのコンサートは大変ですね。あっちこっちで温度が変わって楽器の音程に影響する奏者もいますし。

ラフマニノフ、全体としてはところどころズレが生じるもののいい演奏でした。私はなんか(この曲弾くの2回目ながら)コンサート前からなにか不安のような気持ちが振り払えずそれも影響したのかちょこちょこ変なミスしてましたが。
とにかく本番において頼れる指揮者さんはいいですね。リハーサルとは違う環境においてしっかり分かりやすく振って示してくれるような気がしたのですよ。休みが多いので本番とはいえ指揮を見て学ぶことあるなーとか色々考えてました。

何より今回の指揮者さんと久しぶりに一緒にオケのお仕事できて嬉しかったですし曲が大好きなのもあって終わるのがほんとに惜しかったです。最近はシドニーで指揮することも多いらしいので次聴衆として指揮するのを見れるのも結構先になるかなあ。

そして昨日はコンサート後はちょいとだけ残ったのですが夜に友人2人と飲みの約束があったのでお酒はそれまでおあずけでした。というか三軒はしごして遅くまで遊んでたし一軒目で4杯くらいカクテルorウィスキー飲んだのでコンサート会場で飲まなくて正解。(二日酔いはなかったですがさすがに胃に来ました)

メルボルンは面白い飲み場所が多いですが今年行ったThe EverleighとかMadame Brussels、そして昨日行った1806みたいにこだわりのお酒が飲めて雰囲気も良いところはやっぱり知っておくといいですね。1806はカクテルの歴史を追うメニューになってるのですが(なので選ぶの迷うと探しにくい側面もあり)バー自体の雰囲気だったり環境音のレベルもちょうどいい。
色々終わったあとで色々思うこともありのときにこういう素敵な場所で美味しいお酒を色々飲めるのは本当によかったですし色々面白い話もできて。いろんないいことだらけの日曜日でした。

ということで今日はゆるめに過ごして明日からピアノも再開・・・したいけどレパートリー広げるのも含めいろいろじっくり考えたり探したりしたいところ。演奏機会が増えるかも?ということも考えなきゃですし飲みながらこないだハンマークラヴィーア弾いた友人とそういうスピリチュアルな探索ができるような曲を見つけたいという話をしたのでそちら方面も。


今日の一曲: セルゲイ・ラフマニノフ 交響的舞曲 第3楽章



今後なんどでも弾きたいし弾くのもいいけどやっぱりバレエでも見てみたい。
第2楽章だとワルツだし振り付けというか各箇所に合うステップがイメージしやすいんだけど第3楽章は世の振り付け師の皆さんほんとどうしてるの!?と思うほどの複雑なテンポ変化と拍子の変化とリズム。
ずっと休みなんで近くの木管奏者さんのパート譜みたり指揮者さんのバトンを見たりするけどスコアがないと全部は把握しきれないんですよね。特に後半。

ラフマニノフはピアノに限らずどのジャンルの音楽書いても上手いなと思うのですが「やっぱりラフマニノフはピアノ出身だな」と思うのは特にこの第3楽章において急激な・イレギュラーなテンポの変化だったりものすごいディテールをオケの80人とかそれくらいが即座に同じように再現してくれると思ってこんな難しいこと書いてるとこかなーと今回のリハーサルで思いました。一人でも結構トリッキーなものを80人で一斉にやるとなるとほんとに難しい。特に本番でぽろぽろ落ちてしまってる奏者もいましたし。

そういう複雑さはアマチュアオケにはチャレンジものですがそれでも弾ける機会がすでに2回もあって嬉しいです。もちろんこれが最後じゃないといいなあ。小さいパートではあるけれど何度でも弾きたい、一番好きなラフマニノフの作品です。

リンク先はベルリンフィル演奏、ラトル指揮で合唱付き「鐘」と収録の録音。「鐘」もまた弾きたいなあ。合唱有りとなるとやっぱりコミュニティオケではハードルが上がるけど。でもコミュニティオケだけでなく全体的に演奏頻度は結構少ない作品なので聴く機会もまたくるよう願ってます。


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