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今年もやってきました、イギリスの夏休みの音楽の祭典、BBC Proms。
今年もコンサートの録音が後から期間限定で聴けるようになっています。こちらから。
仕事のお供に数曲ずつ聴いています。
そのPromsで数日前にホルストの「惑星」の演奏があったり、その前にQ2 MusicのMeet the ComposerシリーズでKaija Saariahoのインタビューを聴いたり、その前にはニュー・ホライズンズの冥王星接近があったり、それらの縁で何回かホルストの「惑星」の追加曲として作曲されたコリン・マシューズの「冥王星」や他の4曲の追加曲を聴きました。
作風とか性質は元の「惑星」と大分違った曲で、何かと事前にハードルが上がっちゃうようですがこの5曲はこれでまた面白くて美しく、宇宙的な曲です。
それで思ったのですが自分は太陽の曲も付きの曲も好きながら、「星空の曲」もものすごく好きなんだなと実感しました。そもそも「惑星」が好きになったのも小さい頃の宇宙好きですが、現代音楽全般好きになった今も宇宙・宇宙的なものは自分の「好き」の鍵になってるような。
ということで(キーワードto音楽には仕立てられなかったのですが)星空や宇宙に関する・思わせる(自分にとって)ような曲を10曲チョイスしてみました。偏りはいつもの通りです(苦笑)
(1)グスタフ・ホルスト 組曲「惑星」より「海王星」
そもそもホルストの「惑星」は天文学的でなく占星術的な惑星の描写なのですが、「海王星」に関しては曲の性質がとても宇宙的というか。イギリスの作曲家だけどドビュッシーやその先のメシアン、クラムにも通じる、SF音楽の祖みたいにも思える暗い神秘ときらめきの音楽。
(2)グスタフ・マーラー 交響曲第7番 第2楽章
マーラーの7番は「夜の歌」。第2楽章は魔法が生まれるような夜で、第4楽章はロマンチックな夜というイメージなのですが、どちらの夜も情景を頭の中で描いてみると星が輝いているような、絵本の絵のような感じになります。マーラーの作品は大自然の中の別荘で書かれてるし、自然の美を表す音楽となるとやっぱり空には星が輝いてるはず。
(3)セルゲイ・プロコフィエフ 交響曲第5番 第3楽章
星空・宇宙の描写に関しては星が瞬く様子とか全体的な雰囲気とか色々要素があるのですが、この曲に宇宙を感じたのは果てしなく何もない距離と空間の感覚から。20世紀音楽の一部に特徴的な無機質さ、そして楽器の様々な限界を使う作風、音の余韻や隔たりを使った表現で屋内にいながら無限の孤独と距離が感じられる、そんな音楽の凄さが味わえる曲です。
(4)ドミトリ・ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 第3楽章
一つ前のプロコフィエフもそうですが、地球の上に居ないような、他の星に立っているような感覚に陥る音楽が20世紀からどんどん増えてる印象を受けます。人間としての小ささと孤独だったり、宇宙の果てしなさだったり、地球の上の音楽では感じられない様々があって。中でもこの曲はそのちょっとロマンティズムに近い感覚から天文学よりもSFに近い音楽なんじゃないかな。
(5)カロル・シマノフスキ 夜想曲とタランテラ
星空の中でも「月がない、でも真っ暗ではなくて星だけが輝く夜」という情景を表すならこの曲かな。そういうイメージは自分だけかしらん。ちょうどピンポイントでその暗さを表してる様に思うんですよね。夜想曲と一言に言っても色々なシチュエーションや情景があって、その夜がどれくらい暗いかってのを音楽でどうやって伝えるのかというのも興味深いです。
(6)オリヴィエ・メシアン 「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」より第17番「沈黙のまなざし」
まなざしで星空といえば第2番「星のまなざし」かと思いきやどうしてもこっち。星空を見上げるのではなく、弾いていて両手の中に瞬く星と深い宇宙があるような感覚を覚える特別な曲。星の光が様々な色で構成されてるように、和音の中にも様々な色があって。前から思ってるんですが宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」でジョバンニとカンパネルラが途中下車する場所の水のようだと思うのです。
(7)武満 徹 「夢の引用 ―Say sea,take me!―」
題材にしてるのはドビュッシーの「海」ですが、ドビュッシーや前述海王星、メシアンの流れを濃く受け継ぐ宇宙を感じる曲。この曲がすごいのはその宇宙的なものがとても流動的に感じるところ。海のようで、夢のようで、果てしなく広がる。これも天文学的な宇宙というよりは脳内に広がる海とか宇宙に似た何かなのかな。
(8)ジョージ・クラム マクロコスモス第3巻「夏の夜の音楽」より「星屑の音楽」
もう何回も何回もここで話に出してますが自分にとって星空といえばこの曲がダントツなのです。愛しくてたまらない音楽、そして星空。これまで紹介した曲でも星空の描写は弦と打楽器が大事な傾向があるっぽいのですが、この曲の打楽器の描写力はすごいぞー。星の光る様子はcrotaleの鋭いアタックがふさわしい。そしてクラムは他にも宇宙に関する題材で素晴らしい曲をたくさん書いているのですが残念ながら今回はここで割愛。
(9)ジョン・アダムズ City Noir
都会の闇や夜の深さをロマンを含めて描いたこの曲。都会だったら(元ネタの時代でも)なかなか星なんてみえないんじゃないかな、とも思いますが街の灯りが輝く様子も地上の星空とかみたいでいいなじゃないかな、と。何言ってんだと自分でも思いますよ!でもこの曲の街の描写を聴くそういう気分にもなるんです。そういうロマン。
(10)トーマス・アデス Polaris
〆はやっぱりこれで。星空がどーんと主役の音楽です。海のまっただ中にいる船を導く星、海の上でこれまで以上に見渡す限りに広がる星空。人里離れると数え切れないほどたくさんの星が輝くのが(これまた弦楽器と打楽器中心に)直に感じられる、overwhelmingなくらいの星空。録音でもすごいのですが生はもっとすごい曲です。
曲が20世紀に偏るのはいつものことなのですが、今回は実際にじっくり考えてみても星空・宇宙イメージの音楽はほぼ20世紀にしか見つからなかったんです。(例えば月ならもちょっと広く色々あるんですけどね)
一つは楽器の進化がありそう。ピアノにしても打楽器にしても、もっと鋭い音やはっきりした余韻が出せる楽器が出来たり、金属製の打楽器が増えたり進化したり。
あと作風として音の余韻をより効果的に使ったり、使用音域が増えたり楽器同士の音の間を広くとることが増えたり、不協和音のような和音の使い方の幅が広がったり。
それから天文学とか宇宙科学とかがぐんぐん発展したのも20世紀だし、それが直接音楽に与える影響となると限られてきそうですが宇宙の知識や常識、宇宙観が変わることによる宇宙や空の描写の変化ってのもありそう。
そしてそれに平行してSFジャンルの発展もやっぱり影響あるんじゃないかなー。(音楽とSFはなにかと相互に繋がりあるみたいですし)
ここらのジャンルの影響はもっと知りたい。
ということで今日は10曲紹介したので今日の一曲はお休みですがとにかくPolarisと夏の夜の音楽を猛烈にプッシュしたいです。きっと日本の夏の夜にぴったり。
宇宙好きと音楽好き、そしてSF好きの間に(現代音楽を中心として)もっと接点ができるといいな。もっと宇宙に音楽を(?)
今年もコンサートの録音が後から期間限定で聴けるようになっています。こちらから。
仕事のお供に数曲ずつ聴いています。
そのPromsで数日前にホルストの「惑星」の演奏があったり、その前にQ2 MusicのMeet the ComposerシリーズでKaija Saariahoのインタビューを聴いたり、その前にはニュー・ホライズンズの冥王星接近があったり、それらの縁で何回かホルストの「惑星」の追加曲として作曲されたコリン・マシューズの「冥王星」や他の4曲の追加曲を聴きました。
作風とか性質は元の「惑星」と大分違った曲で、何かと事前にハードルが上がっちゃうようですがこの5曲はこれでまた面白くて美しく、宇宙的な曲です。
それで思ったのですが自分は太陽の曲も付きの曲も好きながら、「星空の曲」もものすごく好きなんだなと実感しました。そもそも「惑星」が好きになったのも小さい頃の宇宙好きですが、現代音楽全般好きになった今も宇宙・宇宙的なものは自分の「好き」の鍵になってるような。
ということで(キーワードto音楽には仕立てられなかったのですが)星空や宇宙に関する・思わせる(自分にとって)ような曲を10曲チョイスしてみました。偏りはいつもの通りです(苦笑)
(1)グスタフ・ホルスト 組曲「惑星」より「海王星」
そもそもホルストの「惑星」は天文学的でなく占星術的な惑星の描写なのですが、「海王星」に関しては曲の性質がとても宇宙的というか。イギリスの作曲家だけどドビュッシーやその先のメシアン、クラムにも通じる、SF音楽の祖みたいにも思える暗い神秘ときらめきの音楽。
(2)グスタフ・マーラー 交響曲第7番 第2楽章
マーラーの7番は「夜の歌」。第2楽章は魔法が生まれるような夜で、第4楽章はロマンチックな夜というイメージなのですが、どちらの夜も情景を頭の中で描いてみると星が輝いているような、絵本の絵のような感じになります。マーラーの作品は大自然の中の別荘で書かれてるし、自然の美を表す音楽となるとやっぱり空には星が輝いてるはず。
(3)セルゲイ・プロコフィエフ 交響曲第5番 第3楽章
星空・宇宙の描写に関しては星が瞬く様子とか全体的な雰囲気とか色々要素があるのですが、この曲に宇宙を感じたのは果てしなく何もない距離と空間の感覚から。20世紀音楽の一部に特徴的な無機質さ、そして楽器の様々な限界を使う作風、音の余韻や隔たりを使った表現で屋内にいながら無限の孤独と距離が感じられる、そんな音楽の凄さが味わえる曲です。
(4)ドミトリ・ショスタコーヴィチ 交響曲第5番 第3楽章
一つ前のプロコフィエフもそうですが、地球の上に居ないような、他の星に立っているような感覚に陥る音楽が20世紀からどんどん増えてる印象を受けます。人間としての小ささと孤独だったり、宇宙の果てしなさだったり、地球の上の音楽では感じられない様々があって。中でもこの曲はそのちょっとロマンティズムに近い感覚から天文学よりもSFに近い音楽なんじゃないかな。
(5)カロル・シマノフスキ 夜想曲とタランテラ
星空の中でも「月がない、でも真っ暗ではなくて星だけが輝く夜」という情景を表すならこの曲かな。そういうイメージは自分だけかしらん。ちょうどピンポイントでその暗さを表してる様に思うんですよね。夜想曲と一言に言っても色々なシチュエーションや情景があって、その夜がどれくらい暗いかってのを音楽でどうやって伝えるのかというのも興味深いです。
(6)オリヴィエ・メシアン 「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」より第17番「沈黙のまなざし」
まなざしで星空といえば第2番「星のまなざし」かと思いきやどうしてもこっち。星空を見上げるのではなく、弾いていて両手の中に瞬く星と深い宇宙があるような感覚を覚える特別な曲。星の光が様々な色で構成されてるように、和音の中にも様々な色があって。前から思ってるんですが宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」でジョバンニとカンパネルラが途中下車する場所の水のようだと思うのです。
(7)武満 徹 「夢の引用 ―Say sea,take me!―」
題材にしてるのはドビュッシーの「海」ですが、ドビュッシーや前述海王星、メシアンの流れを濃く受け継ぐ宇宙を感じる曲。この曲がすごいのはその宇宙的なものがとても流動的に感じるところ。海のようで、夢のようで、果てしなく広がる。これも天文学的な宇宙というよりは脳内に広がる海とか宇宙に似た何かなのかな。
(8)ジョージ・クラム マクロコスモス第3巻「夏の夜の音楽」より「星屑の音楽」
もう何回も何回もここで話に出してますが自分にとって星空といえばこの曲がダントツなのです。愛しくてたまらない音楽、そして星空。これまで紹介した曲でも星空の描写は弦と打楽器が大事な傾向があるっぽいのですが、この曲の打楽器の描写力はすごいぞー。星の光る様子はcrotaleの鋭いアタックがふさわしい。そしてクラムは他にも宇宙に関する題材で素晴らしい曲をたくさん書いているのですが残念ながら今回はここで割愛。
(9)ジョン・アダムズ City Noir
都会の闇や夜の深さをロマンを含めて描いたこの曲。都会だったら(元ネタの時代でも)なかなか星なんてみえないんじゃないかな、とも思いますが街の灯りが輝く様子も地上の星空とかみたいでいいなじゃないかな、と。何言ってんだと自分でも思いますよ!でもこの曲の街の描写を聴くそういう気分にもなるんです。そういうロマン。
(10)トーマス・アデス Polaris
〆はやっぱりこれで。星空がどーんと主役の音楽です。海のまっただ中にいる船を導く星、海の上でこれまで以上に見渡す限りに広がる星空。人里離れると数え切れないほどたくさんの星が輝くのが(これまた弦楽器と打楽器中心に)直に感じられる、overwhelmingなくらいの星空。録音でもすごいのですが生はもっとすごい曲です。
曲が20世紀に偏るのはいつものことなのですが、今回は実際にじっくり考えてみても星空・宇宙イメージの音楽はほぼ20世紀にしか見つからなかったんです。(例えば月ならもちょっと広く色々あるんですけどね)
一つは楽器の進化がありそう。ピアノにしても打楽器にしても、もっと鋭い音やはっきりした余韻が出せる楽器が出来たり、金属製の打楽器が増えたり進化したり。
あと作風として音の余韻をより効果的に使ったり、使用音域が増えたり楽器同士の音の間を広くとることが増えたり、不協和音のような和音の使い方の幅が広がったり。
それから天文学とか宇宙科学とかがぐんぐん発展したのも20世紀だし、それが直接音楽に与える影響となると限られてきそうですが宇宙の知識や常識、宇宙観が変わることによる宇宙や空の描写の変化ってのもありそう。
そしてそれに平行してSFジャンルの発展もやっぱり影響あるんじゃないかなー。(音楽とSFはなにかと相互に繋がりあるみたいですし)
ここらのジャンルの影響はもっと知りたい。
ということで今日は10曲紹介したので今日の一曲はお休みですがとにかくPolarisと夏の夜の音楽を猛烈にプッシュしたいです。きっと日本の夏の夜にぴったり。
宇宙好きと音楽好き、そしてSF好きの間に(現代音楽を中心として)もっと接点ができるといいな。もっと宇宙に音楽を(?)
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