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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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New Musicなう
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。

最近仕事もあったりで音楽を聴く機会と楽しみが増えてほくほくです。
祖父から来た日本の番組の録画(もうすぐ録画リタイアだそうです)では録音が出たことを聴いて以来聴きたかったジョン・アダムスのサキソフォン協奏曲も聴けましたし、バルトークのバイオリン協奏曲第2番もよかったですし。

そしてなにより今の楽しみは(前回も書きましたが)BBC Proms。
イギリス現地で盛り上がるのはもちろんですが、インターネット上でコンサートの録音が期間限定で聴けるのがとってもうれしい!しかもトラック分けもちゃんとしてますし。

Promsといえば威風堂々の斉唱で盛り上がる最終日のコンサート(Last Night of the Proms)が有名ですが、その他にも色々なコンサートがあります。
去年メル響が参戦したように世界の様々なところから奏者が参加したり、ユースオケの演奏もあったり、ソロの演奏もあり室内楽もあり、そしてバロック以前から現代音楽まで時代も様々、さらにはミュージカルシアターやクラシック以外のジャンルの音楽家との共演もあり、今年はレーザー照明のダンスミュージックコンサートもあり、とにかくクラシック音楽を一夏幅広く楽しめるフェスティバル。

今年もすでに録音をいくつか聴いてそのバラエティの一部を味わってます。
今のところいいなーと思ったのはプーランクのオルガン協奏曲(プーランクは好きな曲とイマイチな曲が分かれるのですがこれはすごかった!)、ストラヴィンスキーの八重奏曲(やっぱ木管強いですねストラヴィンスキー)、ホルストの惑星(いつ聴いても楽しい曲、盛り上がる木星に渋い土星)、プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番(プロコピアノ協奏曲全曲演奏だったそうです)、そしてラフマニノフの交響曲第2番(堅実な演奏で素晴らしかった)など。

そして今日聴いて一聴き惚れしてしまったのがこの曲。陳其鋼の「ヴェールを取られたイリス」というソロの女性歌い手3人、中国楽器とオケのための曲です。
陳其鋼は中国出身でフランス国籍だそうですが、1951年生まれで家族が画家で文化大革命に直撃受けてたり(譚盾と同世代になるのかな)、そしてその後なんとメシアンの弟子になった人だそう。

実際曲を聴くとメシアンによく似た和音いっぱい出てきます。メシアンの弟子のくだり読む前からものすごくフランスな雰囲気は出てましたし。あと譚盾に似てる、と思った部分は中国のスタイルってとこでいいのかな。ソロ歌手の一人は京劇のスタイルで歌ってたりそっちの源泉も共通してる。その他にもポストメシアン世代に共通するような細かい打楽器の使い方があったり、そして西洋と東洋の合わせ技は他とは違う独特なスタイル。
諸々のエレメントが自分にストライクで、とにかく美しい曲で好きになりました。また聴きたいですし、陳其鋼の音楽もっと知りたいです。

そういえば歌い手も女性ですしたしか中国楽器の奏者も女性、さらにこのコンサート(乗騎ラフマニノフ2番含む)の指揮者も女性だったはず。さらに惑星のコンサートも別の女性指揮者だった。今年のPromsは女性がものすごく活躍してるのかな。作曲家の方はどうだろう。

現代音楽に関してはこれから聴きたいのが(冥王星を作曲した)Colin Matthewsの弦楽四重奏曲やオーストラリアが誇る作曲家Brett Deanの田園交響曲あたりかな。現代音楽以外でもまだショスタコの7番とかバッハのバイオリンソナタ群とか聴けてない。
これからもまだまだ来ると思うので楽しみです。


今日の一曲: セルゲイ・プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番 第4楽章



今回のBBC PromsでのSergei Babayanの演奏(ヴァレリー・ゲルギエフ指揮、ロンドン交響楽団)が素晴らしかった一曲。
ものすごーく好きで自分にとって特別な曲で自分の理想の演奏にはなかなか出会えないのですが、いい演奏でした。第4楽章特によかったー。
そして自分にとって特別な曲なので(あとブログ初期に当時のテンションで色々語っちゃってるから)なかなか今日の一曲でも紹介しないのですがこれを機に久しぶりに。

プロコのピアノ協奏曲第2番といえば色々な意味でヘヴィーな曲です。音楽の性質だったり感情の性質だったり和音の重さだったりがっつんがっつん来るのが好き。
好きは別の話として、この重さにはオケの働きも関係しています。編成は交響曲のようなフルオケ編成、金管もホルン4トランペット2トロンボーン3テューバ1とフル参戦、打楽器もそこそこに揃っています。そこからフォルテとか容赦なくどっかんどっかんかましてくるのがこれまた凄い交響曲。(もちろんピアノが1人でそれに立ち向かってるってのも凄いんですよ)

そんなオケが一番暴れるのが多分第4楽章じゃないかな。ものすごいオケ弾いてますよ(頻度というよりは音の数と量の意味で)。
パンドラの箱を開けたらありとあらゆる災いが逃げていったという話を思い出すようなスピーディーな冒頭からちょっと民謡的なところがあるメロディーの第2主題から、アクロバティックだったりミステリアスだったり縦横無尽に活躍します。

中でも途中でちょっとファゴットのソロがあったり、あとソロとまではいかなくともものすごくテューバが出張ってるところがあったり(テューバ奏者はプロコフィエフで活躍するってこういうことなのか)、初聴きでは気づかないかもしれないけど知識があると「これすごいな」と思うポイントが色々あったり。

そしてピアノの話も忘れちゃいけない。そもそもプロコフィエフのピアノ作品ってトリッキーな難しさがあるのですが、それを大きく超えるピアノパート。ピアノだからこそできる広い音域に渡るアクロバティックな分散和音や音の跳躍、流れるような分散和音や跳ねるようなスタッカート、分厚い和音での素早い立ち回り。聴いてて難しいと分かるし恐ろしいですが、同時に曲のスピード感と演奏の素晴らしさで妖しい楽しい魅力があるピアノパートです。

とはいえこの協奏曲だとやっぱり狂乱の長いカデンツァがある第1楽章、規則正しいカオスの第3楽章がお気に入り。録音を選ぶときもこの2つの楽章を重点的に評価しています。第3楽章が重々しい演奏が好きなのですよ。
手持ちの録音は巨人ブロンフマン(彼が弾くとほんとなんでも苦労一つ聞こえない自然な演奏になりますね)と手が小さいんだけどどう弾いてるのかわからないアシュケナージ(自分にとっての王道かな)があるのですが、リンクしたキーシンの演奏も前々から気になってます。重めの第3楽章、そしてスピード感があるけど安定した第4楽章の冒頭。ちなみに一緒に収録されてる第3番もこれぞプロコフィエフ的な素晴らしい曲ですよ。

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