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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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Medley Hallでのコンサート感想
相も変わらず真・三國無双ブラスト(スマホの無双)の臧覇さんのように髪がはねてネックウォーマーに埋もれて冬を過ごしている流 星姫です。
ブラストといえば本家ではプレイアブルじゃないけどブラストで顔有りになった武将達ものすごく好きなのが多いです。列伝のストーリーも好きですし。せっかちなのが災いしてますが楽しく遊んでます~

さてそんなわけでまだまだ寒いですが日曜にコンサート行って来ました。
前も感想かいた友人Tristan Leeのリサイタルだったのですが場所がちょっと変わったところでした。
Medley Hallという場所なのですが、メルボルン大学のメインキャンパスからちょっと離れたところにある比較的小規模な寮で。その存在すら初めて知りました。
前から見るとかなり古い建物で(もちろん欧州とか日本の比では全然ないですが)、中に入るとこれまた古い内装がものすごく丁寧にメンテされていて。シャンデリアとか壁の装飾とか人が住んでる生活感がそんなに感じられない、なんか重要建築物とか美術館とかみたいな雰囲気で。

でもちゃんとダイニングホールがあったり生徒とかが住んでるのも見ましたし、あと建物の奥の方はモダンな作りになってるのも見えましたし。なんかものすごく不思議な場所でした。
肝心のコンサートはその中のピアノがある一室で行われました。(ちなみに暖炉があったり、例えば昔のヨーロッパでchamber concert的なことをやるとこんな感じだったのかな)

プログラムはこんな感じ。
Medley Hall Recital Series
ピアノ: Tristan Lee
ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン ピアノソナタ第13番 op.27-1「幻想曲風」
ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン ピアノソナタ第14番 op.27-2「月光」
フランツ・リスト ピアノソナタ

リストのピアノソナタを彼の演奏で聴くのはこれで2回目。先生の演奏など過去にも何回か聴いていますがこのピアノレパートリー最高峰の作品とも言える曲をちょくちょく聴く機会があるのはほんとうに贅沢。

ベートーヴェンの「月光」は至る所で演奏されますが(ついこないだ聴いたばっかりだった)双子の片割れである第13番はほとんど演奏を聴きません。大学で1人2人弾いてたくらいかなあ。ちなみにTristanはコンサートの時のトークでその知名度の差をミノーグ姉妹に例えてたのですがいいたとえだと思います。(カイリーは世界的に有名なスター、その姉のダニーはオーストラリアでは有名なのです)

その第13番は普通だったら3~4楽章に分けるソナタになるところを単一楽章に仕立てた、ちょっと変わった構成のソナタなのですが(リストのソナタやプロコフィエフのピアノソナタ第3番が同じような構成になってます)、その様々な性格の音楽の連なりをまるで物語を紡ぐように表現した演奏がものすごく好きでした。曲のstructureにさらに命を与えた感じで。ああいう語り手になれたらなあ。

月光は第1楽章のテンポがちょっと速めなのが(特にあの空間では)上手く流れたり、第2楽章のテイストが自分の好みとちょっと違ったり、元々ピアニストとしての弾き方もアプローチも自分とはかなり違うのですが、「月光」の演奏ではその違いをよりはっきりと感じました。
改めて自分が弾きたい感じのベートーヴェンってかなりフランス寄りなタッチなんだなと(汗)

そしてリストのピアノソナタ。毎回思うのですがピアニストとしての技量はもちろん、人間とか人生の深さを問う曲だなーあれは。ピアノ曲とか音楽とかそういう枠に入らない。内面的な旅路。
前回と比べて安定してた感はありましたがまだまだこれから成長・成熟していくのが楽しみな演奏でした。

ピアニストとしての性質は違うものの大学時代からお互いの演奏を聴いたりしてきたこともあってTristanには影響されること、考えさせられることも多く。それが高じて昨日はメシアン休んで「月光」と以前彼が弾いてたワーグナーの愛の死(リスト編曲)を弾いてみました。愛の死は初見、月光は実に16年ぶりです(驚)
愛の死、やっぱり弾きたいですね。途中で「わーぐなああああ」とワーグナー的な盛り上げ方に(良い意味でなく)悶絶することもありながらやっぱり良い曲ですし好きですし。取り組んでみたくなる。

そして自分のピアノと音楽関係の立ち位置についても色々考えるきっかけになったりもしているのですがそれはまあ別のお話ということで。
後で飲みにいったLygon Streetのバー(Carlton Yacht Club)のカクテルが美味しかったという思い出&情報で〆にします。


今日の一曲: ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン ピアノソナタ第13番 op.27-1「幻想曲風」



有名じゃない方を紹介。こんな時でないと紹介する機会がないですからね(月光もまあそうなのですが・・・)
ベートーヴェンのソナタに限らず、ピアノソナタに限らず「ソナタ形式」という形式はベートーヴェンよりちょっと前のモーツァルトとかハイドンあたりに確立したのですが、すでにその同じ作曲家達の手で「ソナタ形式をもっと自由に広げてみよう」的な試みが色々でています。
このソナタもその1つ。前述の通り複数の違う性格のパーツ(本来なら別々の楽章になる)をつなげて単一楽章にしたソナタです。

もちろんただつなげただけじゃなくて繰り返すテーマがあったりつなぎの部分があったり、一体性を持つようになっています。ほどよく共通する要素があったりコントラストやメリハリもあったり、音楽自体の美しさもそうですが全体的なバランスのよさに心地よさと安心を覚える曲です。

私は通常のソナタなら第3楽章のメヌエットに相当するMolto Allegro e Vivaceの部分が好きです。
そんなに軽快というわけでもなくちょっとシリアス目ではあるのですが特にリズムとアーティキュレーションに遊び心があって。
そもそもベートーヴェンの書くメヌエットってのが好きなのかも知れない。月光も第2楽章が好きですし運命も第3楽章が好き。スケルツォにしてもワルツにしてもメヌエットにしても第3楽章がちょっとシリアスめは確かに好み。

持ってる録音はアシュケナージのベートーヴェンピアノソナタ全集なのですがリンクしたのはもうちょっと違うのも聴きたいなとの希望で検索かけてみました。ベートーヴェンはピアノソナタが多いし月光も本来は「幻想曲風」とタイトルが付いてるので第13番をピンポイントで見つけるのは至難の業。
とりあえずヴィルヘルム・ケンプのベートーヴェンピアノソナタ全集にしてみました。いくつか試聴してみたら骨太でなく繊細な方面の演奏でした。自分の心の中にあるベートーヴェンってもしかしてこういうのか?

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