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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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メル響「Secret Symphony」2015年12月参戦!
祝!初Secret Symphony参加!
(あれ初めてだよね間違ってないよね)

Secret Symphonyとは。
メルボルン交響楽団がそのメインのコンサートシーズンとは別に不定期に開催してる音楽イベントです。
ある日突然InstagramTwitterで「始まるよ-」とお知らせがあって、そこからコンサート場所(メルボルンのシティのどこか)・プログラム曲(オケより小さい編成で1曲)・その作曲家についてちょっとは調べ物が必要になるレベルのわかりにくいヒントが数日おきに発表され。ヒントはどんどんわかりやすくなるのですが一番に3つ揃って正解した人にはなんか特典があったはず。
それでコンサート当日の数日前(今回は2日前)に場所と時間が発表されて、中に入ってからまた一つ謎解き的なものがあって作曲家・曲が発表されてから普段のコンサートよりちょっと遅い時間に開演。前述通り1曲だけなので終演もそんなに遅くなることはないです。
あ、そういえばこのSecret Symphonyコンサートは入場無料。日時が発表されたときにその時間が空けられないというリスクもありますが行けたらお得。

これまでには旧メルボルン監獄でメシアンの「時の終わりのための四重奏曲」をやったり、屋外のパヴィリオンでシェーンベルクの「浄められた夜」をやったり、カフェ「1000£」でバッハのコーヒーカンタータをやったり、謎解きだけでなくプログラムや場所も色々工夫とアイディアが込められたコンサートになってます。

今回のヒントは上記リンク2つにあるようになってました。ちょっとした調べ物で確認は必要でしたが作曲家と曲は中盤くらいに分かりました。決め手は「1943年」と「セレナード」(20世紀のこんな時期に書かれたセレナードはこの曲くらいしかないと思った)
ちなみにバラの写真は正に作曲家の名前を表す「ベンジャミン・ブリテン」とい品種のバラだそうです。なんか椿に似てるバラ。
ただ場所は最後の方のわかりやすいヒントまで分からなかったなー。動物園とか議事堂とか、メルボルンで人がいっぱい来てオーストラリアで最古ってだけじゃ絞りにくかった。

ということで今回のSecret Symphonyの答えは:
場所: 州立図書館(State Library of Victoria)
作曲家: ベンジャミン・ブリテン
曲: テノール、ホルンと弦楽のためのセレナード

いざ8時半の開場時間ちょうどに行ってみたら並んでた!こんな並んだのはWhite Night以来かも。(同じく州立図書館で)
コンサート後にfacebookで聞いたのですがどうも350人くらい聴きに来たらしいです。
最初の八角形の部屋での謎解き(数字探し)ではみんな広い中に散らばってたので実感なかったですが並んだときとコンサートやるreading roomに入ったときは確かに多かった。
メルボルンで行列並ぶことって多くはないんですが(まあ昔よりは増えたかな)、クラシック音楽謎解きイベントに(しかも2日前に発表)行列ができるってなんだか嬉しい。

そしてコンサート場所のreading roomでは奏者たちを取り囲むように1階も2階のバルコニーも人がいっぱい。私もバルコニーの奏者後方で聞きました。でも後ろ側ってのは意外と気になりませんでした。一部ちょっと歌い手の声が聞こえにくい部分があったくらいで。

ブリテンのこのセレナードは私もすごく好きな曲で。ブリテンの作品でかなりトップに食い込む作品。ピアーズ意識のテノールパート、最高にかっこいいホルンパート(今回は部屋の中を移動しながら吹く部分も)、パッサカリアの仕立て方、さらに歌詞に使ってるテキストもツボ。
こういうイベントで聴けるってのも贅沢な体験だなあ。

実際の演奏も素晴らしかったです。たまに(ピアーズとは別の意味で)人間離れしたような色がでるテノールの歌声、そしてホルンのエッジの効いた感じだったり最後に消えて、消えていく美しさも最高でした。

そもそもこの曲って小編成でかなりintimateな曲調なこともありコンサートホールには向いてない気がするんですよね。教会だったりchamberなセッティングだったり、そういう場所での演奏もいいけれど図書館ってのはなんだか曲にぴったりな演奏場所な気がしました。文学方面とのつながりもあるのですが、図書館ならではでの雰囲気というかなんというか。

これまでスケジュールが合わず、今回初めての参戦となりましたが最初の謎解き部分とか戸惑うことも多く。次回は場所見知りすることなくもっとイベントをエンジョイしたいと思います。

そして最後にこのSecret Symphonyのイベントとしての素晴らしさをちょっと。
無料で素晴らしい演奏、しかもメル響が普段弾かないレパートリーを聞いたり、普通のコンサートよりもより参加しやすいイベントってのももちろんそうですが、謎解きの構成やプロセスもうまく出来てますし、あとメルボルンの色んな場所(必ずしも観光で注目されない)に独特のやりかたでスポットを当てるってのもすごい。
もしも幸運にも開催時期にメルボルンに居ることがあれば是非動向をフォローして謎解きに挑戦して、できればコンサートにも行ってみてください。
私も来年の部に期待&スタンバイです!


今日の一曲: ベンジャミン・ブリテン 「テノール、ホルンと弦楽のためのセレナード」より「ノクターン(夜想曲)」



夜の闇と死の香りと類を見ない透明さと儚さ、本当に場所と雰囲気により魅力が増すこの曲。
そして歌詞として使われてる詩のチョイスや音楽との相性も良くて。
イギリス文学とイギリス音楽のすっごいいいとこどりな感じです。

で、このセレナードだと以前紹介した「Elegie」と「Dirge」の2つが一番好きなのですが、この「ノクターン」が他の楽章より頭一つ抜きんでて有名になるのもものすごく分かる。
まず歌詞がテニソンの詩っていうのも多分貢献してるんだろうけど音楽自体も。

ブリテンの音楽の透明感だったり空気の動きを感じるような作風って本当に不思議。
このノクターンもまた無限の軽さとか透き通った弦の音とか、空間を超えて響くホルンの音色とか。そして歌のパートの素晴らしさ。「dying, dying, dying」の繰り返し方とか、誰にも真似できないでしょあれ。

ブリテンの音楽の魅力やそれがどう自分と響くのか、言葉で説明するのは難しいです。
日本ではこっちとくらべてイギリス音楽に馴染みが薄く、中でもあんまり吹奏楽書いてない&現代寄りちょっと不協和音気味なブリテンってさらに馴染みがないかもと思うのですが、ブリテンを聴き始めてみるにはこのセレナードからってのも良いと思います。
あとかっこいいホルンを聴くには断然これ。

リンクしたのはオーストラリアが誇るホルンの神、バリー・タックウェルの演奏。手持ちのデニス・ブレインの演奏も素晴らしいのですがやっぱり縁もあるしタックウェルの演奏も欲しいです。そして手持ちもリンク先もテノールはピーター・ピアーズその人。これは譲れない。
(ただこの曲周りデジタルトラック情報がなんかあやふやな所があるのでそこんとこどうなってるんだろう)

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