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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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Something old & new
ちょっとぶりですー。
前回バレエの話だったのにもう明日またバレエのレッスンです。
その間なにやってたかというと仕事があったりなかったり生活全般続けたり、やっと一昨日昨日とここに書くようなことが出来ました。ちなみにどっちもコンサートです。

一昨日、土曜日の夜は今年一発目のメル響Secret Symphonyコンサートでした。ありがちなようでまだなかった、美術館(NGV International)でのムソルグスキー「展覧会の絵」
(NGVは結婚式とかやる人もいたり、各種functionにも対応しているらしいですね)

ただ現在メル響は一部が上海に演奏旅行に行ってるため、残ってるメンバーで弾いたのはラヴェルがオーケストラ編曲した有名な(というか原曲より有名でしょあれ)バージョンではなく、中国生まれオーストラリア人(そして日本にも少なからず縁がある)作曲家、Julian Yuによる室内オケ版でした。多分ラヴェル版、ピアノ原曲、冨田勲シンセサイザー版に次いで有名なはず?
私も話に聞いてはいましたが実際聴くのは初めて。

いやあ面白かったです。冒頭のメロディーがビオラソロだったのを始めとしていろんなところが中国風なフレーバーになったり、映画音楽っぽいエフェクトがそこここにちりばめられてたり。
自由で独創的で、そしてどうがんばってもラヴェル版と比べてしまう聴衆の心を読むようなオーソドックスと斬新さの絶妙なバランス。もちろんラヴェル版みたいな偉大なる本家(三国志に対する三国志演義みたいなポジション??)にはならないながらも、ラヴェルよりも冒険ができるし、本家から時間が経ってたり、20世紀と21世紀の諸々音楽の進化をしっかり活用して、今という時代をフルにアドバンテージにしたような音楽で。面白かった-(再)。偉大な二次創作・・・という見方でいいのかな。

そしてそんな斬新な体験をした次の日、日曜日の午後は友人Tristan Leeのリサイタルでした。
彼は今年Beethoven and BeyondというタイトルでRichmondのSt. Stephen's Anglican Churchでベートーヴェンと彼に影響を受けた後の作曲家の作品を演奏していくシリーズをやるそうで、今回はその第1回目でした。
プログラムは以前も聴いてる曲でしたが以下の通り。

Beethoven and Beyond: Concert 1
St. Stephen's Anglican Church, Richmond
ピアノ:Tristan Lee
ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン ピアノソナタ第13番 op. 27-1「幻想曲風」
ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン ピアノソナタ第14番 op. 27-2 「月光」
(休憩)
フランツ・リスト ピアノソナタ

今回ちょっといい感じの雰囲気の教会で(ちょっと私も弾きたくなりましたよ、ピアノもよさげでしたし)日曜の午後でこれまで何回も弾いてきたレパートリーで、という条件が重なったのもあったのか全体的にこれまでよりも自由で柔軟な演奏だった印象です。もちろんリストの深さは相変わらずですが、なんかさらに聴いてて心地よい感があり。
もっと色々聞いてみたい気持ちもありますが彼の弾くこのレパートリーは何度でも聴きたいです。

ということで現代もオーソドックスも音楽的に充実した2日間でした。
次のコンサートは帰ってきたメル響のシューベルト未完成+母校の先輩が歌うフォーレのレクイエム。楽しみです。
そして弾く方ももうちょっとなんとかせねば。仕事のスケジュールが決まったらレッスンも考えたい・・・んだけどさてどうなるか。


今日の一曲: モデスト・ムソルグスキー 「展覧会の絵」Julian Yu編曲版より「古城」



さきほど書き忘れましたがYu氏もTan DunやChen Qigangと同じく文化大革命世代だそうです。オーストラリアに渡ったのが1985年だったかな。その前に日本に留学してたりで、ヤマハの楽譜屋で彼の作品結構置いてあったりします。

ここでは以前Plexusのコンサート関連で彼の名前出したかな、その時もキャッチーながら音楽としてものすごく深いとか質が高いとかじゃない、みたいな印象ですがこの展覧会の絵もそういうところがあったり。ちょくちょくびっくりするようなすごい効果の音楽がありながらたまにちょっとベタなことをベタな感じでやっちゃって「あーもう」な気持ちになったり。そういうとこあるんだよなーまで込みな作曲家だと思ってます。

本文の方でも書きましたがメシアンだったり映画音楽だったりサウンドエフェクトだったり音楽のノウハウを上手く活用してるところが多く。この「古城」でもメインのメロディーを手動(吹くんですが)でディレイかけてリピートして流れる霧のような効果を出したり、かなり凝ってるんです。実際面白いエフェクト。
そしてもちろんこういうエフェクトも奏者の腕が物を言う部分も多い。同じく「古城」のメロディーだとディレイ担当の奏者の強弱や音の質が絶妙じゃないとエコー効果にならないばかりかメインのメロディーとぶつかって台無しにしちゃう可能性も。

ラヴェルも相当オケの奏者(特に管楽器、特にホルン)に無茶させますが、Julian Yuもなかなか無茶させるなーと思いました。特に打楽器。でもこれも今の時代すばらしい打楽器奏者が増えたからこそできること。

ということでやっぱり比べちゃうのは仕方がないのですが、でもなるべく寛大な視点でこの版を聴いて見てください。全部が全部素晴らしいってことはないですが「面白い!」と思えること請け合いです。
そして比べるのは比べるのでまた面白いです。ラヴェル版(もちろん意識して書いてると思います)とどう解釈が違うのか、共通のイメージや要素はどんなのがあるのか。この曲に限らず複数の版がある曲全般の楽しみですがね。

リンクしたのは岩城さん指揮の金沢アンサンブルの録音。プロコフィエフの1番との組み合わせってなんかうなずけます。
そしてここからさらにいろんな編曲の「展覧会の絵」に聴き広げてみるのももちろんおすすめ。Wikipediaの日本語版の記事はこれだけですが英語版にはこんなにたくさん載ってます。すごいぜムソルグスキー。

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