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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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メル響コンサート「Schubert's Unfinished Symphony」感想
さて遅れましたが遠出前のコンサート感想。

金曜日の夜はメル響コンサートでした。金曜の夜にMelbourne Town Hallでやるコンサートシリーズは再演なしなのでどうしても遠出移動は土曜の朝まで待たなくちゃいけなかったという事情。
しかも今回は中学高校の先輩のJacqui Porterが歌うということでどうしても聞き逃せなかったコンサートでした。
プログラムは以下の通り。

Schubert's Unfinished Symphony
場所:Melbourne Town Hall
指揮者:Benjamin Northey
合唱:Melbourne Symphony Orchestra Chorus

プログラム
フランツ・シューベルト 水の上の聖霊の歌
フランツ・シューベルト 交響曲第8番「未完成」
(休憩)
ガブリエル・フォーレ レクイエム
(ソプラノ:Jacqueline Porter、バス:James Clayton)
アンコール: ガブリエル・フォーレ ラシーヌ雅歌

ちなみに色々ステージの色々動かし間に指揮者のBenがコンサートマスター(コンサートミストレスっていうのかな女性の場合。こっちではマスターで統一なんですよ)にちょっとインタビューしたりして、音楽家のことをもっと知ってもらうためもあるのか音楽以外の話なんかもしたり。メル響は以前アプリやシーズンパンフで奏者の趣味や好きなものなんかをちょこちょこ紹介してて面白いのですが一般の反応はどうなんだろう。少なくともクラシックを生業としたりマニアだったりする人がクラシック以外の音楽も好きなことが多いことはもっとしられるといいな。

それにしてもいいコンサートでした。シューベルトもフォーレも理屈無しで素直に美しい音楽ですから。普段「どうもフォーレは弾くとイマイチ合わない」とか「シューベルトは当たり外れが結構ある」とか言いますがこういう曲を聴くともう心震えますし最後のアンコールでうるっと来たりしちゃうんです。そういう素直に美しいものを存分に楽しめるという意味ですごいプログラム編成でしたね。

今回のコンサートは未完成以外で合唱つきのプログラムでしたが、最初のシューベルトでは男声合唱+バイオリン抜き弦楽だったり、ちょっと変わった編成もあり。それがまた独特なサウンドになるんですよね。シューベルトといえば「ます」の五重奏編成がコントラバスが入ってちょっと変わってたり、音楽でものすごく変わったことをやってないにしても楽器の編成で色々やってた感があり。もっと長生きしてたらもっと面白い楽器編成やってたのかも。

未完成はちょっとオーソドックスであっさりめであんまり今振り返って言うことは少ないかな。
タイトルはそっちなのですが、やっぱりメインはフォーレのレクイエム。
改めて聴いてみると牧歌的だったりメランコリーの感じだったり、こりゃフランス音楽の中でもイギリス文化圏に人気がでるなーと。(イギリスのClassic FMでもこっちでもかなり投票順位が高かったはず)

Jacquiの歌ったPie Jesuも美しかったのですが(前聴いたマーラー4番もそうですがシンプルさが響く暖かい歌がよく似合う歌声です)、自分が一番好きな楽章はLibera Me。ソロの部分も盛り上がり方もバスがソロで歌ったメロディーを合唱が再現部で繰り返す部分が好きで好きで。聴いてて一緒に歌いたく、もっとその感情を深く感じたくなる。手持ちの録音もそうなのですが声質が均一じゃない方が効果的なのかも?いろんな違う声を一つの思いに合わせてる感が、多分。

ということで今回はそういう素直な感じのプログラムでしたが5月はメル響含めメルボルンの色んなアンサンブルが現代音楽の花を咲かせるMetropolis Festivalが開催されます。
諸々の事情もあるけどちょこちょこ行きたいなー。シンプルもいいけどもっと刺激的で複雑な音楽にもまだまだ出会いたい。

そういえばMetropolisフェスティバルといえば去年それでペンデレツキとJonny Greenwoodの曲を聴きましたが(数エントリー前の今日の一曲参照)、こないだの遠出の帰りの車で寝てたらラジオからなんか特別心惹かれる曲が聞こえてきて。何かと思ったら後からRadioheadのSpectreだったことが判明。やっぱりGreenwoodは向こうサイドでもしっかりした曲を書いてるんだ。そして自分わかるんだちゃんと。びっくりでした。


今日の一曲: ガブリエル・フォーレ レクイエムより「Libera Me」



随分と小さいころから楽しい曲よりは悲しい曲に好みが偏ってて、この「Libera Me」が好きなのもそういう理由があるとは思うのですが、でも色んな作曲家のレクイエムで人気なのは短調の楽章、特に「Dies Irae(怒りの日)」な場合が多いと思います。モーツァルトもブリテンもヴェルディもそう。もちろん例外もありますけど。

フォーレのレクイエムには「Dies Irae」と題した楽章はないですが怒りの日の歌詞もコンセプトもこの「Libera Me」に含まれてます。中間部の特に力強い部分がそれですね。
フォーレはどんな作品でも「柔」な要素が強いですが、この楽章全体を覆う静かな強さは心にじわじわ&がつんと来ます。悲しいけど強い。そこが好き。

フォーレの数少ない大規模作品であるこのレクイエム、他の小品とはやっぱりひと味違うな-・・・あとやっぱり考えれば考えるほどイギリス好み。両方の意味で不思議な作品です。

そして家で聴いてるときとかCDとかに合わせて歌うのにも良いしハードルが低めな合唱曲でもあります。(ユニゾンが多いのかなもしかして)そういう楽しみかたにも是非。

リンクしたのは「Libera MeをFischer-Dieskauで聴きたい!」という思い一つでチョイスした録音。試聴したのですが自分が聴いたことのあるバージョンよりもちょっとだけ甘めの歌声がいい感じ。

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