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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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全然色の違うコンサート2つ
行って来ましたー一日に複数コンサート聴きに行ったのはこれが初めてかな?
楽しみにすることは確かにあるんだけど特にこの季節に外出2回はなかなか気力が必要。
振り返ってみて無理ってほどではなかったけどまあ頻繁にはできなさそう。

午前の部はThe Mietta Song Competitionという歌曲のコンクールの準決勝。
友人Tristan Leeとテノール歌手Douglas Kellyの演奏を聴きに行って来ました。DougもTristanの誕生日で会ってちょっとシューベルトを歌うのを聴きましたがやっぱ本番ですな。
準決勝ではシューベルトの夜想曲、アイアランドのThe Trellis、Granville-HicksのFrolic、そしてシューベルトの魔王を聴きました。やっぱ(難しさを知ってるからってのもありますが)魔王はすごかった。テンションの上がり方半端ないですね、聴いてて。ちょうどまた曲の緊張が上がる所の声がいいし。決勝(今日)に勝ち上がれなかったそうですがこんどリサイタルやるかもということで、決勝用プログラムだったブリテンをその時に聴くのが楽しみです。

このコンクールはプログラムなどを見ると歌手のためのコンペというよりはピアノ伴奏の人も対等に扱ってるのが面白いですね。歌曲だとやっぱり2人でアンサンブル、というイメージ。
準決勝の午前の部4人だけ聴いただけですがソプラノ・バリトン・カウンターテナー・テノールと4種類の声が聴けて面白かったです。声楽って器楽以上にずっと声の性質は人それぞれ好みがありそうでこういうコンペの場だとそれがどう影響するのかな。

そしてこのコンクールのもう一つの特徴がオーストラリアの歌曲をみんなプログラムに入れてること。実際の応募要件がどうなってるか分からないのですが(個別のオーストラリアの歌曲に関する賞はあります)どっちサイドにしてもオーストラリア音楽を積極的に取り入れてるのはいいことです。ちなみに個別の賞ならイタリア語の歌曲もあるのですがそっちは必ずしもみんな歌ってるわけではない様子。

なんか上記誕生日での一件くらいからシューベルトが最近自分に効いてる感じがします。やっぱり歌曲の王ですね。短い時間、こぢんまりした世界の中でオペラに負けないドラマがあって、歌だったらメロディーかと思いきやハーモニーの変化がいちいちツボる。
でもやっぱり自分にとってネイティブに近く効くのはイギリス歌曲。イギリスいいよなあ。あと初めましての曲だとプーランクの歌曲がすごく面白かったので要フォローアップ。

で、一旦家に帰ってきて夕方の部はArcko Symphonic Ensembleのコンサートに。
Arckoはオーストラリアで今活動している作曲家を中心に現代音楽を専門とする小さいオケor大きい室内楽くらいの規模のアンサンブル。初演するだけでなく再演にも力を入れてるとか。前々からちょこちょこ名前は聞いてたのですが実際聴きに行くのはこれが初めて。
詳細はこんなでした。

「Into the Outer」
演奏:Arcko Symphonic Ensemble、オーボエ:Ben Opie
場所:Carlton Church of All Nations
Andrian Pertout「Navigating the Labyrinth」
Krzysztof Penderecki オーボエと弦楽オーケストラのための奇想曲
Annie Hui Hsin Hsieh 「Into the Outer」
Caerwen Martin オーボエと弦楽オーケストラのための協奏曲「Sticks leaves and Butterflies」
Roger Smalley 「Strung Out」

オーボエ以外は弦楽器だけだったこのプログラム、弦楽器の色んな音と表現が聴ける音でした。どの曲もごりごりの現代音楽でしたが方向性がみんな違う(だから現代音楽は面白い)。
今回コンサートタイトルにもなった「Into the Outer」の作曲家が大学時代の友達で、彼女の作品を聴くのは大学以来。だいたいの方向性はそんなに変わってないのかもしれませんがかなり変わってた。あんな曲を書く作曲家だったとは。複雑で尖った表現もすごいなかちょっと武満に似てるような光と色彩が印象的でした。

弦楽器がすごいのももちろんですがオーボエも凄かった。オーボエって音色とか音域とかかなり限られてると思うのですが(特にバックにいる弦楽器と比べてしまうと)限界を色んな方向で超えてる感ありました。「Sticks leaves and Butterflies」はまだアンサンブル演奏な要素が強いのですがペンデレツキなんか最初から最後まで無茶ぶり続きに見えましたよ。ソリストの人開始3秒kでもう真っ赤になってましたし。

あと特に今回好きだったのが最後のStrung Out。(この前にもどっかでSmalleyの音楽聴いてなんか気に入った覚えが。記憶違いかな?)
普通アンサンブルでは同じ楽器同士(同じパートを弾くこともあるため)まとめて配置するのですがこの曲では意図的に13人の弦楽器奏者を同じ楽器の人と離れるように配置させるという設定。でもそれが音と音のつながり、そして奏者同士のアンサンブルにすごい影響を与える様子。なんか一部クラゲが「小さい生き物の集合体」という話がありますがそういう感じで機能してました。結果面白い音楽でした。まるで視覚的に奏者同士を無数の音の弦がつないでる感じ。

ということで一日音楽を楽しみました。ただやっぱり移動も多かった。天気が良い日でなければどっちもは行けなかったかも。
また新しく音楽を購入する楽しみも出来きました・・・がいつ買えるかな、プーランク。シューベルト。その他色々。またぼちぼち。


今日の一曲: フランツ・シューベルト 「魔王」



日本の音楽の教科書にも載ってたシューベルトの超有名歌曲。(金田一少年で高遠が金田一君の鞄に仕込んだ携帯の着メロとしても一部には有名)
シューベルトは31歳で亡くなってるのに600以上も歌曲を書いてて、しかも作風がしっかり成熟してるのがすごい。なんか31歳未満でそこまで黄昏れるor悟ってるのか、みたいな曲が色々。

昔ならではのオラトリオ(宗教的なオペラみたいなやつ)やオペラだと歌い手のソロの見せ場であるアリアはキャラクターのモノローグというか一人の心情を歌い上げることが多いです。歌曲もそういうのが多いはず。でも「魔王」は一人で魔王と子供と父親とナレーターを演じる1人4役。
プラスピアニスト・歌い手どっちも難しいプラスその嵐のような怒濤の曲調でとにかく勢いで先に進むしかないのもあり聴いててもものすごい緊張感があってアドレナリンがよく出る曲です。

ちなみに歌曲のレパートリーには同じ曲でも声の高さによって複数の調で書かれてるものがあります。全部ではないかな。どうなんだろう。ちょこちょこっと調べてみるかぎりかなり多そうだけど。
「魔王」だと昨日テノールで聴いたときはト短調、手持ちのフィッシャー=ディースカウが歌ってる版だとヘ短調。調の違いでちょっと雰囲気が変わるのと、あと声域の違いで曲に力がかかるところがちょっと変わったりするのも含めて複数バージョン聞き比べてみるのもいいです。

で、今そのフィッシャー=ディースカウの録音をAmazonで探してたら「18人の名歌手によるシューベルト:魔王」という「魔王」特化の録音を見つけてしまったのでリンク。フィッシャー=ディースカウも入ってます。ソプラノからバスまで色んな演奏があります。このCD以外でもリストによるピアノソロ版とかバシュメットが弾いてるバイオリン+ビオラ版とかほんと色々あるな魔王。デーモン閣下も歌ってなかったっけ。

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