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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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アンコール
BBC Promsまっただ中&メル響2017年シーズン発表まっただ中でなんか音楽の世界が慌ただしい!
しかもシドニー響では2017年シーズンでマルタ・アルゲリッチが来豪することが発表されてラリアのピアノ弾き界隈がこれまでになくざわついています。

そんな中なんとかBBC Promsの期間限定無料演奏クリップは色々聴いて見ようと仕事中に選んで聴いています。チェロアンサンブルだったりパーセル無双だったりDavid Bowie追悼だったり色々幅広くて新しい曲にもいっぱい出会えてます。
そんな中多分今年のProms一番のハイライトかもしれない演奏が比較的最初の方のコンサートで爆誕(?)しました。

そのコンサートでバイオリンを弾いてたのがフィンランドのPekka Kuusistoというバイオリニストだったのですが、メインの演目のチャイコフスキーバイオリン協奏曲を弾いたあとにアンコールを演奏することに。
アンコールの際にちょっとソリストがしゃべってジョークを飛ばしたり、出身国の民謡を選んだり、オケのメンバーと一緒に弾いたり、なんてことはものすごく珍しいことはないのですが弾きながら歌ったり、さらに聴衆(注:イギリスの)にフィンランド語で歌わせるというなかなか無茶だけどものすごく盛り上がるアンコールを披露したそうです。珍しいというかもはやハプニングレベル。
その時の様子は期間限定ですがこちらの動画で見られます。(公式がとにかく盛り上がってるようなので後に別にアップしてくれるかも?)

コンサートのプログラムによってはアンコールがない方がいいケースも多々ありますが、ソリストだったりオケがいい感じでアンコールを弾いてくれると嬉しいし楽しいですね。
サプライズな要素もそうですし、茶目っ気を出してくれたりレパートリーのチョイスに意外さがあったり、印象的なアンコールも色々。

一番分かりやすいのが友人Tristanがベートーヴェンとリスト(だったっけ)をフィーチャーしたプログラムの最後に「エリーゼのために」を弾いたときかな。その曲をここでか!ていうのもありますがもう聞き飽きられてるくらいの曲がびっくりするほど新鮮に聞こえる素晴らしい演奏。
アンコールとして大成功、というか本人が狙ってた以上の効果が出たんじゃないかな。

比較的最近では20のまなざしを弾きにきたピエール=ローラン・エマールがメル響でラヴェルの左手協奏曲を弾いたときのアンコールも印象深い。ブーレーズのNotationsを三つくらい演奏したのですがそれがびっくりするような演奏で。ブーレーズっていわゆるトータルセリーという難しくて硬いイメージがあるスタイルなのですが、それをきままな感じで軽く自由に軽妙に弾いてて。自分でも弾けるかも、弾きたいかもと思っちゃいました(実際ブーレーズは難しいしエマールさんは難しい曲ほど楽に弾いちゃうからだまされちゃいけないのですが)。

ちょっとまた違う意味で印象に残ったのがメルボルン・タウンホールでのメル響コンサート。
シューベルトの合唱曲(だったよね)→シューベルトの未完成交響曲→フォーレのレクイエムというプログラムの後のアンコールがフォーレのラシーヌ賛歌で。レクイエムに負けず劣らず追い討ちをかけるような美しさはもちろんなのですが、アンコールまで聴いて初めてプログラムが完全になるような、ぐるっと丸く一周するような感じもあってよかったです。

クロノスカルテットのコンサートのアンコールもよかったな。「静かに終わるのと盛り上がるのとどっちがいい?」って聴いて結局どっちもくれたし。あとアンコールは新曲でなくて定番から出してくることが多いのでアンコール弾いてくれると過去アルバムを購入したくなっちゃいますし。ちなみにこの時の「静かに終わる方」はTusen Tunkar、盛り上がる方はClint Mansellの「Death is the Road to Awe」でどっちも映画関連音楽でした。ジミヘン(Purple Haze)がアンコールで弾かれるコンサートに当たらないかなー。

そういえば手持ちの録音でホロヴィッツがスクリャービン弾いてるCDがあるのですが、アンコールとして練習曲のop.8-12(世にも珍しい嬰ニ短調)とかop.42-5(私のお気に入り)を弾いてる生録音があるのですがすごくオススメです。普通(普通の録音)の弾き方よりもずっと崩して弾いてて。ああいう風にスクリャービンが弾けたらいいのになあ(もちろん弾けたとしていつもそういう風に弾くわけじゃありませんが。そこは元と同じくちゃんとTPOを)。

ということでこればかりは運で主目的にはなかなかできないですが良いアンコールに出会うこともコンサートの楽しみだと思います。特に最初で紹介したみたいな聴衆参加型のアンコールの場に居合わせたらラッキーですよ。私もたまには参加したい。


今日の一曲: アレクサンドル・スクリャービン 練習曲 op. 8-12



この曲もしかして今まで紹介してない・・・?勿体ないなあ。
スクリャービンというと自分は今では中後期の(なんか色々クレイジーになってからの)作品しか弾いてないのですが、初期の曲も普通に好きです。
それにしてもこの初期~後期の作風の差すごいですね。別人としか思えない。ついでにオケ・ピアノ間の作風の隔たりもなかなか。

初期のスクリャービンはとにかくショパンに似てます。この曲もどうもショパンを、というかショパンの「革命」エチュードを意識してるような節が。
まずは番号。ショパンの「革命」はop.10の最後の曲で第12番。この曲もop. 8の最後の曲で第12番。そしてメインのメロディーのリズム。かなり似ている。

ただショパンと比べてスクリャービンはこういうパワフルな曲で若干ごつさが出てくるような気がします。オクターブとか広い間隔の和音が多いからかな。スクリャービンって手が小さかったはずなんだけどそういう意味でなかなか無茶な感じの曲をよく書いてます。私もこの曲は(弾けたらかっこいいけど)弾けそうにない。左手で10度(例えばレ♯→1オクターブちょい上のファ♯)とか無理。しかも間に音がないからごまかしようがない。

でも聴くにはとにかくかっこいい曲。厨二感というか、そういう感じのかっこよさもあり。そもそも調のレアさからして厨二な感じがある。嬰ニ短調の曲って3曲くらいしか知らないのですが、でもそのどれも音自体は全く同じで♭表記の「変ホ短調」で書かれてたら全然違う印象を持って全く違う解釈をしてたと思います。音自体は同じなのに不思議。

リンクしたのはもちろんホロヴィッツの演奏。アンコールではないみたいですが生演奏。なかなか自由に弾いてます。ああこんなかっこよくきままにスクリャービンが弾けたらなー。うらやましいなー。スクリャービン弾きになりたいぜ!

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