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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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田舎に行ったよ&The Australian Ballet「ニジンスキー」感想
諸々忙しい中田舎の友達のところに週末遊びに行って来ました。
土曜日に出てさっき帰ってきたのでなんだかあっという間でしたがちょっとはくつろげたかも。
友人はもうすぐ3人目が産まれるのですがちょっと妊娠の早い段階で懸念があったのでメルボルンまで来て産まなきゃいけないらしいです。最近は特に問題も見つかってないのでこのまま母子ともに健康なことを願うばかり。

まだ男の子か女の子か分からないそうで名前も男の子女の子どっちも考えてるそうなのですがどうもこれという名前が見つからないとのこと。今回遊びに行ってる間に色々みんなで候補は出したのですがどうなるかな。
基本的方針としては(上の子達も)周りにある名前やトップ100に入るような名前は避けてちょっと珍しめの名前を選び、あとミドルネームは祖父母の名前を使うので既に決まっててミドルネームとの相性も考慮する、という感じ。そこ自体は難しくないんですけどこうぴんとくるものがなかなか。

日本から帰ってきたらまた遊びに行く約束してますが今度は金曜の夜に出るちょっとゆっくりできるコースで行きたいです。今回は結局3DSも開かずじまいだったので(!)。ポケモン新作も出るし友人とわくわくしたい。

さてなぜ今回金曜日出発コースができなかったというと金曜の夜にThe Australian Balletによるジョン・ノイマイヤーの「ニジンスキー」を観に行ったから。これはほんと重要。行かないわけにはいかなかった。そしてちょっとだけ良い席予約してました(ほんとうにちょっとだけですけどね)。

「ニジンスキー」はバレエ・リュスで活躍した天才ダンサー&振り付け師ヴァーツラフ・ニジンスキーを題材としたバレエ。といっても伝記物ではなく精神を病んだニジンスキーの内面世界と踊りの世界を描いた作品。その描写と表現にノイマイヤーの並ならぬ思い入れが感じられた気がします。

というのもとにかく強烈!作品の大部分を占める過去の記憶とそうでないものがたくさん混じる狂気の世界の表現が振り付けから演出からものすごく濃い。モダンだからこそこういう表現ができるんだなーというのと本物の天才ってものすごいなーと。

作品には過去の思い出だったりなんだりでほぼ常にニジンスキーが複数登場したり、男性ダンサーがすごくかっこいい作品でした。思って見れば一人であんなにたくさんの違う登場人物になりきって踊り分けてたニジンスキーもすごいなあ。(あと男性が多い舞台で男性が男性をリフトしたりもあって大変そうでした)

パンフレットにもあんまり背景情報がないから知らない人が見たらなにがなにやらな感じだったとは思いますがニジンスキーファンにとっては元ネタとか色々見つけるのも楽しかったしエピソードの再現もあっておいしかったです。というか背景知っててもかなり難解なバレエでした。難解は好きなのでどんとこいですが。

そして音楽。ニジンスキーに関係のあるシェヘラザードなどだけでなく私好みのショスタコビオラソナタに11番とノイマイヤーさんの音楽チョイスは私の好みどんぴしゃで。あとソヴィエト音楽使うことで時代・地理的な雰囲気がものすごく出てすごくよかったです。寒々しさとか厳しさとか、その他色々な意味でふさわしい音楽でした。
特に後半はショスタコ11番まるまる使ってて、あのスケールを内面世界に使うことでものすごい密度になったというか。振り付けや演出の強烈さとうまく組み合わさって元の曲より狂気がすごかった。ものすごくよく知ってる曲だけどまた違う次元につながったような。
ノイマイヤーの感性と表現がすごい、というか「悪夢」がどんなものがよーくわかってらっしゃるというか。色んな次元で他人事ではない感覚が強くて最終的にものすごく怖かったです。しばらくショスタコ11番聴けない(汗)

ということでバレエを観たという言葉では到底片付けられないものすごい体験をしてすごい衝撃を受けました(マーラー6番生で聴くのに匹敵する衝撃とダメージ)。多分こんなバレエは他に出会わない気がします。でも「ニジンスキー」はどっかでまた生で見たいです。生きてるうちにもう一度だけでも。それに合わせてDVDも欲しい(ゆっくり振り付けとか見るため)。でも本家のハンブルクバレエ団が出してないから無理かなー?指クロスするしかないですね。

ということでバレエに対する意欲だったりニジンスキー成分だったり芸術ですごいもの全般成分をなんかしっかりチャージできたような気がします。ちょっと立ち直るのに1日くらいかかりましたが。やっぱり行ってよかったなー。来年もいいモダン作品が来ることを願ってます。
(そして他にもバレエ・リュス関連展示とか公演にまた縁ができますように!)


今日の一曲: ドミトリ・ショスタコーヴィチ 交響曲第11番「1905年」 第4楽章



自分の幼なじみくらいに思ってるショスタコの音楽の中でも交響曲11番は10代の苦しみ多い時代に支えとした曲であり、音楽の道に進むのに多少影響があった曲。
もちろんスコアも持ってますし録音も複数持ってますがバレエで使ってるのを観ることでこんなにこの曲の印象が変わるとは思ってませんでした。

というのもこの11番の4つの楽章のうち「狂気」や「カオス」のイメージがあるのはダントツで第2楽章だったんです。純粋に音楽としてみると大体そうなんじゃないかな。群衆の波や虐殺の場面が描写的でイレギュラーな感じがあって。

ただ「ニジンスキー」のラストで彼の最後の人前での踊りの幻覚的なカオスを曲の上にかぶせるとミリタリーな感じの音楽が地獄絵図に似てくる不思議。これはバレエの最初の場面(実際の出来事の再現)とラストの場面(ニジンスキーにはこう見えてた的な?)のコントラストももちろんあるのですが踊りと視覚的な情報が音楽の印象をかなり変えてたのがすごくて。

ちなみにニジンスキーといえば「春の祭典」の前代未聞な振り付けと初演の騒動も有名ですがそれも作中でショスタコに乗せて再現されてました。春の祭典を踊るダンサーに向かって(オケが聴衆の騒ぎできこえないので)ビートを叫んで数える場面。音楽が春の祭典じゃないからこその悪夢感(=現実ではなくニジンスキーの内面世界で起こってる)が出てこれもまた衝撃的でした。

ショスタコ11番の第4楽章は「警鐘」という題がついてますが最後の部分で響く鐘の音、ものすごいツボです。(元々鐘好きではありますが)鐘って個々の楽器の音色の違いも面白いので色々聞き比べてみたいですね。純粋でない音の方が不気味さがあって良いかもしれない。

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