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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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全日程終了
前回のエントリーに拍手ありがとうございます。

指揮者育成プログラム、私の出番は全日程無事終わりました。
・・・無事じゃないか、ベートーヴェンの7番で身体的じゃない意味で怪我火傷的なことにはなりましたが。あれはピアノで弾くに向いてない。第2楽章振る人がいたのが救いですが。

水曜木曜はミニオケを振るセッションも追加されて、ピアノとのワークショップはそれの準備みたいな感じになりました。ピアノ1人とオケ12人くらいでは大分感覚が違いますが「ここはちょっと伝わってないよ」みたいなことも伝わってる手応えもどっちも感じてもらえたかな。
そう考えるとなんというかバレエのレッスンでの鏡にも似てるのかな、この場合のピアノの役割って。

指導役の指揮者さん曰く、まずはとりあえず一通り基礎を覚えてもらってそこから色々料理できるようにするという趣旨でのプログラムだったそうですが、最初は立ち方、腕の動かしから始めていろんな曲調の示し方、左手を使ってオケへの合図の仕方、はっきりとビートを示さないでリズムを共有したり音楽的表現をすること、そしてオケとのコミュニケーションの取り方や基本の型から離れたドラマチックな表現、指揮者としての機会の見つけ方まで。4日の間に色んなことを学びました。指揮者の卵のみんなの成長もめざましいです(ただし彼らは明日もミニオケと1日ワークショップするのでそこでまた伸びると思われます)。

同じ曲をそれぞれの生徒が振るのを立て続けに見てるとテンポとか振り方とか表現とかそれぞれかなり違うのに驚きます。それはもう楽器弾くにも歌うにしても共通してることなんですが、多分指揮が事前にじっくりスコアを分析して音楽をどうしたいか熟考するプロセスの重みが大きいので、指揮の違いは頭の中の違いみたいな印象が演奏より強いような気がするのです。

自分にとっては4日間とにかく楽しかったですし、オケに対する愛情がいっそう強くなったというか。あと自分が指揮者のやってることによく反応して音を返すことが得意なのを再確認しました。自分の得意なことが役立つのはいいですね。あとピアノ教えたりの経験から自分は指導する立場には向いてないな、と思って実際そうなのですが、直接指導するのとは違う形で教育に携わって、次の世代の育成に貢献できるのはものすごく嬉しい。

ということで満足感と達成感とピアノ編曲の楽譜一部をお土産に持ち帰って今回の音楽仕事はこれで終了。もう少ししたらオケのシーズンも始まるだろうしそっちでもパートがありますように。
そして今回(こんど旅行もあるというのに)仕事終わりでラミーの万年筆(とコンバータ-)とボトルインクを買った話はまた今度。


今日の一曲: ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン エグモント序曲



今日初めて知ったんですがこの曲も「首落ち」曲なんですね(ベルリオーズの幻想の第4楽章とか、ブラームスのバラードニ短調とか)。最近の曲で例えば射殺の場面とかあんまり出会わない気がしますが一昔の曲になると人が殺されるのを器楽で表しちゃおうみたいな場面が結構ありますね。

今回指揮者としてこの曲を扱うにあたって出てきた面白い話。昔はこの最初の暗い重い和音を全部一つずつ、ジェスチャーとしては下向きに振ってたそうです。ただオーストラリアの指揮者、故ジョン・ホプキンスを始めとして「いや、このパッセージはフレーズとして扱うべきだ」ということになって今では普通に拍子の形に振ってるそう。指揮者が見えない録音として聞いても結構音楽の流れに違いが出てるはず。

指揮の教材としてのこの曲のポイントは「何を示すことが必要で、何が必要でないか」ということに集約される印象です。最初の部分の短い和音のタイミングを示すか、テンポが変わったときに一旦3拍子で振ってテンポを安定させてから流れを重視して小節ごとに振るか、とか。伝えたいことを伝えるのも大事だけどまぎらわしいことをしないこと、やりすぎないことも大事。
突発的にドラマチックな所が多々あるのでそこを際立たせるには指揮者の役割が大きいんだろうな。

にしても今回ベートーヴェンはエグモント、1番、7番とありましたがピアノ編曲の難易は別として振るのもかなり難しそうでした。技巧的な難しさと、その中のドラマとメリハリの重要さと。
指揮やるんだったらしっかり向き合うべきレパートリーなんだろうな(ピアノでもチェロでもそうなんですがね)。

ただしばらくベートーヴェンは懲り懲りというかお腹いっぱいです。
数ヶ月前から自分はベートーヴェン弾くの向いてないなーと思ってはいましたが聴くのもしばらくちょっとお休みしたい。特に7番。
なのでリンク録音は適当に第6番と一緒に入ってるのを選びました。ヘ短調のエグモントとヘ長調の田園。

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