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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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マーラー6番!!!
行って来ましたマーラー6番!
こないだ7番聴きに行ったのはメル響のマーラーサイクルですが今回はなんと10年くらいぶりに復活したThe Orchestra Project。メルボルン(他からも来てるのかな)の若い音楽家たちが指揮者Fabian Russellの指揮の下に2日集中的なリハーサルでオケの大曲を演奏する、というプロジェクト。前は他にも「英雄の生涯」とか「アルプス交響曲」、プロコフィエフの5番なんかもやってはず。

学生の頃は本当にわくわくするプロジェクトだったのですが10年も経ってみるともうオケに知ってる人がほとんどいない!時の流れを痛感したというかなんというか。きっと私のちょっと下の世代だったら海外に行ったりしてる人も多いんだろうな-。そもそももうその世代でも「ユース」扱いにはならないのか。

特にバイオリンはかなり若そうな子たちも混ざってましたが、こんな難しい(バイオリンにとってもすごい難しい)曲を2日のリハーサルだけでこんなに仕上げられるものか!と久しぶりの感覚にびっくりしました。音楽的なすごさはこれから語るとして、次の世代への期待ぐんぐん上がってすごい嬉しく思います。
(ちなみにオケ弾き友達も言ってましたがこういう難しい大曲は若い頃に1回やっておくとプロになってそういう曲に出会ってもちょっと楽になるはずなので今回の貴重な体験だけでなく未来にもつながると言う意味でも大事なプロジェクトですね)

演奏、ほんとすごかったです。爆発力がある中にちゃんと精密さもあるというか。
暗くて重くてパワーがあって、自分がマーラー6番に求める全てのものが凝縮されてた感じ。
今回演奏場所がSouth Melbourne Town Hallで、あそこはちょっとこのスケールのオケ・曲には小さい上に音の響き方がクリアじゃないのが残念なのですがそれでも多くの物がそれを貫通して響いてきました。

やっぱりマーラーといえばホルン最重視したいですし今回も最高の活躍だったのですが、打楽器と低音楽器全般(特にトロンボーンとかテューバ)が曲のダークな部分をいいこと強調しててかっこよかった。特に第2楽章とか第4楽章の低音楽器だけのところでちょっとぞくぞく感じたり。それからこの交響曲に関してはチェレスタの存在と活躍も嬉しいハイライト。ほんとは弾きたいんですけど聴いてるだけでもテンション上がる。今回もハープ・鉄琴どちらとも違う輝きで聞こえてよかったよー。

さらにマーラー6番といえば第4楽章で2回鳴らされる(演奏によっては3回目も入る)「運命のハンマー」が有名です。今回1階席の後ろの方で(この曲に関しては音量の関係で後ろの方で聴きたかった)聴いてたのですがハンマーの準備・振り下ろされるとこははっきり見えました。元々この曲&打楽器の「萌えポイント」ではありますが今回見て改めて「これはいい萌えだ」と思いました(笑)実際の音もものすごいインパクトがあって、特に2回目はオケとのアンサンブルがぴったりだったのか想像を超える響きでみぞおちにストレートで来ました。
もともとこの曲は聴いた後しばらく余韻で戦慄的な感覚があるのですが今日は内臓にショックがすごかったです。

前この曲をThe Orchestra Projectで聴いたのも何年も前のことですし、Fabianの指揮で弾いたり聴いたりしたのもちょっと久々なのですがなんとなく前回のマーラー6番の記憶も蘇るとこもあり。
そうして思って見るとメルボルンで演奏されるこのマーラー6番が自分にとっての王道で、The Orchestra Projectがあるメルボルンが自分にとってhomeなんだなーと。
常にオケにチャレンジがあって、素晴らしい音楽が演奏されて、そして若い世代が育つメルボルンであって欲しいと切に願っています。

そして弾くチャンスがあるかどうかは分からないながらも何度もマーラー6番(そして他のマーラーの交響曲)に出会い続けたいです。聴いてる側として「挑む」というのもちょっと変にも思えますがそういう感覚。

さて私はこれからハンマー萌えの探検に行って来ます。次回ちょっとそこら辺書いてみようかな。(ネタがまとまれば)


今日の一曲: グスタフ・マーラー 交響曲第6番 第1楽章



ハンマー萌えをやったら第4楽章を紹介しなきゃいけないので今回は別の楽章。
まずはここから始めましょうか。

マーラー7番の感想の時に第1楽章のリズムのタイトさってほんと大事!という話をちょろっとしましたがそれは6番にも言えること。ほぼ現代的な(ショスタコとかみたいな)ミリタリーな行進曲と付点付きのリズム、スネアドラムがしっかりそれを支えてるその「リズムだけでの快感」というのが第1楽章は強い気がします。

そしてこの交響曲を通じて繰り返される長調→短調の和音のモチーフ。なんでも音の物理のメカニズムにより人間の耳には長調の方が自然で聞こえるため普通音楽では短調→長調の方が音の緊張的にも良く聞こえる、それを逆に利用するという。しかもこのモチーフはかならず大人数木管or金管が担当してしっかり繋がって聞こえるようになってる徹底ぶり。

マーラーの音楽全般で凄いのはしっかり重要なところ前に出しながらその他のパートも内容ぎちぎちに詰めてくるとこだと思います。聞き手に全部聞こえない、聞こえ得ないことを分かっててもディテールに妥協しない。耳のチューニングを変えると色んなとこから無限に音が出てきます。
オケの音に慣れてない人はこの音の洪水が苦手な人もかなり居ると聞きますがマーラー6番は慣れててもまだ洪水。でもそれがすごいし心地良い。

やっぱりマーラー6番は暗い重い演奏の方がいいなーということでテンシュテット指揮の録音をリンク。毎日聴くような曲ではないし実際生で聴きに行くときくらいしか聴いてないのですが本当に好きな曲です。そしてかなり好きな録音。
長いですしヘビーな曲ですが生で聞いて音の洪水を味わうのもオススメです。

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