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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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Hammerschlag
さーて昨日の続きです。昨日これ周りで一通りテンションが上がって落ち着きましたがそれでもやります。

マーラー6番とハンマーの話。
マーラー6番とは19世紀後半~20世紀初頭に活躍したオーストリアの作曲家、グスタフ・マーラーの交響曲第6番のこと。マーラーの交響曲は9つ(とあと10番途中までとか交響曲っぽい歌曲とか)あって、どれもベートーヴェンあたりと比べると長め(1時間弱~1時間半強とか)でオケ編成がでっかい、音楽的な世界観がとにかくものすごい名曲揃い。

その中でもマーラー6番は暗くて激しいのが特徴的で、何かと最後は明るい光の中終わることが多いマーラーの交響曲の中でも異色のバッドエンド。そんな最終楽章の第4楽章で活躍することでちょっと有名なのが木でできたハンマーです。
ハンマーは第4楽章で2回打ち鳴らされるようになってて、3回から減った(本当はもっと多かった?)などのエピソードもあり「運命のハンマー」などと象徴付けられる事も多いです。

実際使ってるハンマーは打楽器扱いでワーグナーの指輪サイクルとかでも登場するらしいのですが、マーラー自身は「これじゃなくちゃだめ!」見たいなことは言ってなくて一言二言こんな音が欲しいぞ的なことを残してるのみなので録音・演奏によって使ってるハンマーは色々みたい。
ようつべで調べてみると(というかこんなハンマー総集プレイリスト作ってる人までいる)打ち出の小槌みたいな形なのもあれば柄が長くて全身で持ち上げて振り下ろすのもあり、はたまたギロチン式だったりそれカナヅチだろとしか言いようのないものもあり。

そのハンマーをどこに振り下ろすかというと大体なんらかの木の箱・台みたいなものみたいですね。音が響くよう(で○じろう先生の空気砲みたいに)穴が開いてたり、クッションが敷いてあったり、粉がはたいてあったり。音はもちろんハンマー×台の組み合わせによるのですが「どんっ」と鈍い重い音がしたり、それに「かちっ」という木と木がぶつかる音がしたり。少なくとも1回はオケがでかい音出してるタイミングですが、それでも結構聞こえます。

打楽器はオケの一番後ろに普段いますが、ハンマーはその中でも左端に陣取ってることがほとんどですね。生で聴く機会があるときはバルコニーから見えるはず。マーラー6番は打楽器が多くて(というかマーラー全般か)、ステージ裏にカウベルがあったりなんだりで打楽器奏者が動き回ることがかなり多いのですが、ハンマーの出番の前には担当の人(カウベルとかトライアングルとか兼任してるかな)余裕をもってその場に立つことが多いですし、柄が長いハンマーの場合持ち上げた状態でしばらく居たりするので分かりやすいかも。

やっぱり男性が担当することが多いか、と思ったらちょこちょこ女性がハンマー(しかもでかい重いタイプ)を担当してる動画もありました。さすがは重いもの運びが日常の力持ちな打楽器軍団。かっこいい。実際のハンマーの使い方は種類・形によるそうですが昨日見たコンサートなど長い柄のハンマーだと持ち上げて待機→振り下ろす前につま先立ちになる→主に重力で落とすみたいなアクションに見えました。もっと短いハンマーだともっと振り下ろす感が強い。
出番は2回だしそんなにリハーサルで何回もやる箇所じゃないですが腰と背中に優しい動作でないと危ないですしそこんとこはどうなんだろう。
打楽器だと大体楽器の扱い方とかちょっとしたコツとかは先生から生徒に直接受け継がれてることが多いのでこれも例外じゃなさそう。

さきほどの動画プレイリストだったり、「女性がハンマー」の動画でトップコメントがハンマー打撃のタイミングだったり、結構このマーラー6番のハンマー2回ってのはこの曲を知る人にとってツボなことも多く。曲の盛り上がってちょうどいいところで打ちのめすような打撃が来てすっごいいいエフェクトというのもありますし、「運命の」と言われるようないわくつきなエピソードもありますし、その奏者のでっかいジェスチャーとある意味楽器としては異質な音の効果だったり、単純に画になったり、全部ひっくるめて「すげぇ・・・」となります。

ハンマーがこの交響曲の魅力の全てではないですが、やっぱり音楽の世界観の中で重要な鍵だと思いますし、あと生でこの曲を聴くときに視覚的な楽しみとしてすごいオススメです。(他の時はだいたいホルン見てるのがオススメ)

なんだか勢いにまかせてハンマー萌えを語っちゃいましたがこういうピンポイントな曲の魅力、また勢いが出てきちゃったらいつかやりたいと思ってます。他にはなにかなあ、ブラームスレクイエムのトロンボーン萌えとかそういうの?改めてネタ探ししないと。


今日の一曲: グスタフ・マーラー 交響曲第6番 第4楽章



昨日のコンサートは14時半開演で終わるときにちょうど4時の鐘がなった=演奏時間90分くらいでした。同じマーラーでは3番だと最初の楽章が長いのですが6番で長いのは最終楽章。手持ちの録音だと30分前後ってとこかな。
でも昨日聴いたときは交響曲全体がほんとあっという間に過ぎてしまって。こんなに暗くて長くて重い(全部褒め言葉)曲がそんなに短く感じる演奏って色々なかなかですよ(語彙は失われた)。

特に日本では伝統音楽・ポップ通じてメロディーがものすごく重要なので日本人の耳って特にメロディーを聴くことになれてるのかなーとたまに思うのですが、この曲(特に最終楽章)ではメインのメロディー以外のところに萌えポイントが多々ある気がします。そもそもメロディーが続いてる感覚がそんなに濃くないですが。

たとえば(交響曲を通じて出てくる)長調→短調和音のモチーフだったり、なんかホルンがトリルしてたりかっこいいリズムを弾いてたり、モチーフをオケの色んな楽器間でリレーしてたり、耳さえなれれば色んなことが聞こえてきて、その地味に見える色んなことがいちいち、というか全てかっこよく聞こえてくる。ほんとマーラーはどこまでもディテールに妥協しない作曲家なんです。

そしてこの最終楽章のもう何度も何度もこれでもかというそのまた後も打ちのめされる感覚。ほんとマーラーって容赦ないし、世界の諸々が容赦ないことをよーく知ってるなーと。そしてそれでも毎回立ち上がる信じられない強さ。5番みたいな眩しい光を見ることはないかもしれないけど別の力を感じます。

さっきの「女性がハンマー」の動画を昨日見てたら「あーやっぱりハイティンクのマーラーいいなー」と思ったのでリンク先録音はハイティンクにしました。うちは5番はハイティンク持ってるのですが6番はアバドとテンシュテットのみ。ハイティンクのマーラーはすっきりさがあって間違いないと思うのです。もっと重いのがよければテンシュテット。逆におすすめしないのはアシュケナージ(テンポが全体的に速くて重さが足りない印象。N響アワーの放送時間にフィットしてる時点でちと疑問が)。あとどこかの動画で見たマゼールの指揮のは2回目のハンマーの前に『死ぬほど』溜めてて他の箇所がどうなってるか怖い物見たさ(聴きたさ)で一度見てみたい。



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