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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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ベートーヴェンハピバなコンサート感想
前回のエントリーに拍手&拍手コメントありがとうございます。

まだまだ仕事も来るみたいで年末はまだまだ来ませんが(というかまだ働きたい&稼ぎたい)昨日は今年のコンサート納めに行ってきました。
諸説ありますが12月15~17日のどれかの日あたりはベートーヴェンの誕生日。ということでこんな趣旨のコンサート。

Beethoven's Birthday @ Fortyfive downstairs
Tristan Lee & Gintaute Gataveckaite
ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン
ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調「月光」
ピアノソナタ第16番 ト長調
ピアノソナタ第23番 ヘ短調「熱情」

月光と熱情をTristanが、16番をGina(大体みんなGinaって呼んでる)が弾きました。
作曲年代としては1801~1805年の5年間でシリアスも有りコメディもあり、ベートーヴェンのピアノソナタだけでもこんなに楽しめるんだと改めて味わい深いプログラム。

私は自分の弾くベートーヴェンはそんな好きじゃないのですが他の人(特にこの2人)が弾くベートーヴェンは大好きで。特にGinaが弾いた第16番は明るくて軽くてユーモアに満ちた、ちょっとモーツァルトのスタイルのかけらが入ってるみたいなところもある曲で私が弾くには苦手としてる類いのソナタ。ほんとあんなに楽しく、それでいてpreciseに弾けるのがうらやましい。

月光と熱情はTristanの演奏を何度も聞いてるのですが(すでに何回か覚えてない)熱情は今回の演奏が一番好みにあった演奏だったかも。どうしても最終楽章は単純に速いほうが好きなので(汗)でもそれを抜いても最後のプレストの部分のがーんとまっすぐ心の底まで響く感じが素晴らしくて。

後で16番はあんまり弾くの聞かないね、みたいな話をしてたのですが大学ではちらほら弾いてる人がいたものの確かにプロのリサイタルでは遭遇確率低いかも。でも私だったらベートーヴェン弾くならシリアス・悲劇系弾きたくなるし弾く方も聞く方もうっすらそういう傾向があるのかなあ。
あと月光の最初の楽章のあの独特の(瞑想にも似た、と描写してましたね)雰囲気があってそこからの第2楽章ってどう弾くか難しくない?みたいな話もしました。あらゆる意味であの月光の第1楽章は唯一無二なんだなあ。

12月中旬はみんな学校が終わって早々と旅行に行ったりクリスマスの準備で忙しかったりという時期で、コンサート納めとしてはちょこっと遅い時期なのですがこの時期にこのプログラムってのは何か聞いててちょうど良いものがあったり、それに結構お客さんも入って(しかも弾いてる方も知らない人が多く来てくれたらしい)とてもよかったと思います。
クラシック音楽界隈の習慣でいうと日本は第九、オーストラリアはメサイアと派手に年末を迎えるイメージがありますがささやかなソロ・室内楽リサイタルで〆もありですね。

ということでコンサート感想エントリーも今年はこれでラスト。
来年も色々新旧面白い作品&演奏をお届けしたいです。


今日の一曲: ルートヴィッヒ・ファン・ベートーヴェン ピアノソナタ第16番 第1楽章



Ginaが弾いたソナタから。ベートーヴェンのピアノソナタ、第16番てどれ?と聞かれたら返ってる答えはきっと「右手と左手がずれてるやつ」。主題の右手と左手がずれたような和音は一回聴いたら忘れられないはず。(ベートーヴェンのソナタはタイトルありのが目立って有名ですが題がなくても特徴的で魅力的なソナタっていっぱいあるんですよ!)

ベートーヴェンとシューベルトは特にピアノソナタ界ではちょっと似た者同士でありながら対照的な部分もありで何かと比較対象になります。どっちもちょっとびっくりさせるような作風なのですがベートーヴェンが狙って隠れておどかしてくるようなびっくり、シューベルトが天然の奇行によるびっくりという印象。
この楽章もかなり計算して聴衆をびっくりさせたり騙したり間違って拍手させたりする仕掛けに満ちあふれてます。

ベートーヴェンはその聴覚を失った悲劇や失恋の逸話や偏屈な性格を表すようなシリアスな曲がポピュラーですがこういうユーモラスな曲もまたベートーヴェンの一面であることには変わりなく。たまにはベートーヴェンのボケにツッコミ入れるような、そんな形でベートーヴェンを楽しむのもいいんじゃないかな。例えば同じピアノ作品だとバガテル集とかもありますよ。

リンク先の録音はちゃちゃっと試聴してバレンボイムのにしてみました。この録音みたいにピアノソナタ32曲コンプのボックスセット!で一気に揃えて聞くのも楽しいしむしろお得なのですがそれはちょっと多い・重い・大変という方にはピアノソナタ数曲がアルバム1枚に収録されてる録音もたくさんあります。この第16番は同じop.31に収録されてる第17・18番(この2曲は私も弾いてる)と一緒が多いですね。中堅どころで3兄弟全部キャラが違うバランサーなトリオです。

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