忍者ブログ
~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

火の鳥してきました
終わりましたー本番。そして本番の日から風やら雨やらすっかり季節の変わり目。
一応演奏服の下に着るヒートテックは持ってったものの意外といらなかったです(笑)そもそも火の鳥は結構動くんで着たら暑かったかも。

まずはプログラム。

Zelman Symphony Orchestra 「French Connections」
指揮者:Rick Prakhoff
ガブリエル・フォーレ 「ペレアスとメリザンド」前奏曲
クロード・ドビュッシー 「サラバンド」(ラヴェル編曲)
モーリス・ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調(ピアノ:Caroline Almonte)
(休憩)
クロード・ドビュッシー 牧神の午後の前奏曲
イーゴリ・ストラヴィンスキー 「火の鳥」組曲(1945年版)

やっぱりてんこ盛りでしたね。全部の曲で弾いた奏者の皆さん、とくに木管+ホルン+トランペットはほんとにお疲れ様です。
私は火の鳥のみ演奏なので牧神の午後だけ袖で聴いてたのですが音楽性しっかりリハーサルを重ねて育ってましたね。余裕すら感じるほど。

火の鳥はやっぱ最初の方が固まりにくいですね。自分も含めて火の鳥のバリエーションは細かい諸々が大変。
ただそれよりなによりびっくりしたのが魔王カッチェイ。最初でちょっと崩れかけたのは指揮者さんがアドレナリン考慮してわずかにブレーキかけたのがおそらく原因。そこからちょっと(テンポ以外で)オケに色々とブレーキかかっちゃって勢いがでなかった印象でした。

ただそこで踏みとどまるか攻めるかという決断はほんと指揮者にとっては難しい選択です。本番って緊張とかを差し引いてても色々あるからどっちに転ぶ可能性が同じくらいある。攻めていつものテンポでやっててもまたもっと派手に崩れてたかもしれないし、今の指揮者さんで初めてのコンサートなのでお互いどういう感じになるかまだ分かってなかったのもあるのかな。
(ここら辺は三国志関連読んだり遊んだりしてるとより理解できる感じがします)

あと今年第1回目のコンサートで(何回も来てる場所とはいえ)音響が演奏場所だとどれくらい変わってくるかというのにサウンドチェックの時点でもかなり惑わされましたが本番でもちょっと慣れてないとこもありましたね。(そもそもその違いを敏感に感じ取る&1回のサウンドチェックで順応する人間の耳ってすごい!)自分もちょっとそこらへん肝に銘じておかないと今回要所要所でびっくりしたので。

実質的には最後まで気が抜けないとはいえ、火の鳥は子守歌+フィナーレは結構安定するので途中で何があっても余裕を持って楽しく気持ち良く終われるのは素晴らしいですね。(今回のプログラムでいうとラヴェルの最終楽章なんかは特に最後までアドレナリンラッシュのまま突っ走らなきゃいけないようなところもありそうです)

何はともあれよかったよかった。オケ内のチームワーク、そして指揮者さんとのチームワークもこれからまた積み立てていけるといいですね。
ちなみに12月のコンサートはチェレスタが入るので確定とみなしていい様子なのですが調べてみたら9月のコンサートにもパートがある様子。まだ向こうには伝えてませんがそのうち気づくはず。
それともう一つのオケのが6月にあるのを狙ってたりソロが6月にあったり、状況によっては演奏三昧の年になるかも。毎年こうならいいんだけどな。

それからZelman Symphonyの過去のコンサートの録音一部がBandcampで購入できるようになりました。私が弾いてるのは2016年のAmerican Story、2015年のRussian Dance、そして2014年の惑星。惑星の録音はチェレスタのお披露目回だったので金平糖の精のソロを弾いたのも入ってます。無料試聴もできるので是非。(ちょっとチェレスタもたっとしてるけどこの回)

それにしても火の鳥が去って寒くなる変化がひしひし。去年は気に入ったマフラーが見つからなかったので今年は自分で編もうかと編み物する友人に聞いておすすめされたBendigoの毛糸屋さんから無料カラーサンプルをおとり寄せしたのを待ってます。そちらもまた後日。


今日の一曲: イーゴリ・ストラヴィンスキー 「火の鳥」組曲(1945年版)より「魔王カッチェイの凶悪な踊り」



もちろんこれを最後にとってありました。自分にとっては父と母が弾いたことあったり二人とも(特に母が)好きで小さい頃から聞いている馴染み深い曲、と同時にいつ聞いても変わらず楽しい曲。この曲が弾ける(しかもプロでなくても生涯2回目)のはほんと人生で最高に素晴らしいことなんです。
ダークかつかっこよくかつ華やかでとにかくテンションが上がる、主人公は火の鳥と王子だけど音楽としての花形な曲です。

そのテンションが上がるのも、アドレナリンで崩れやすくなるのもこの曲の色んなところに出てくる「後打ち」のリズムの仕業。日本語でどう表現するかちょっと難しいのですが「anticipatory」な性質のリズムです。拍がずれることで次がどうなるかわからないサスペンス的な要素があるだけでなく、後打ちでずれたビートの爆発的なパワーがたまらない。このリズムはある程度テンポが速くないとなかなか魅力がでないんですよ。

音色だったり強弱だったりしっかり計算されたサプライズとコントラストが速いテンポの中でたくさん表れて、オケの様々な楽器が色んなところで色んなことをしてたり、聞いててもついていくのが大変な曲なのですが曲の最後の方でテンポアップして、さらに「楽譜が何拍子で書いてあっても1小節=1拍&同じテンポで降り続ける」箇所は奏者もかじりついてついてかなきゃならない大変なセクション。ピアノは結構休んでる部分もありますがチェロのパート譜だとどんどん楽譜の先に先に進んでく感覚がすごかったし面白かった記憶が。楽譜のビジュアルと音楽の感覚の関係って考えてみると面白そう。

さて、演奏を終えてみて1919年版・1945年版の組曲を比べてみてどうなのかという話なのですがやっぱり華やかなのはオケも大きく響きがロシア寄りの1919年版、でも楽章構成は1945年版に軍配というところ。スケルツォは(弾くの大変だけど)魅力的な曲だし位置もいいので1919年版にないのは惜しいなと思います。どっちも聞くに楽しいし圧倒的に勝ってるわけじゃないけどやっぱり耳慣れた1919年版の方を選んじゃうかな。

リンクする録音もやっぱりメジャーどころは1919年版か1910年バレエ版が多いようで、これまでなんとか1945年版探そうとがんばってきた(はず)なので今回だけ1910年バレエ版の録音をリンク。ブーレーズ指揮で調べたら色々カップリング曲が違う録音がいくつかでてきたけどここは鳥繋がりでナイチンゲールの歌が収録されてるやつを。

拍手[1回]

PR
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Comment:
Pass:
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック