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オーストラリアは連休ですが仕事が続く6月まっただ中。
今年もカウントダウンの季節がやってまいりました。
豪ABC Classic FMの冬の風物詩?なClassic 100 Countdown。
今年のテーマは「Dance - music that make you move」でした。
例年通り候補曲を公募→その中から選ばれた曲に一般投票の流れで、Queen's Birthdayの連休にトップ100を放送。
バレエとして書かれてる曲から振り付けがつけられた曲、タイトルにより踊りだと分かる曲、はたまたそれのどれでもないけど人々が踊りを感じた、思わず体を動かしたくなる曲が揃いました。
昨日今日と放送された1位から100位のリストはこちら。
惜しくも放送を逃した101位から200位のリストはこちら。
トップ10はこんな感じでした。
10位 カミーユ・サン=サーンス 「死の舞踏」
9位 アーロン・コープランド 「アパラチアの春」
8位 ヨハン・シュトラウス2世 「美しく青いドナウ」
7位 モーリス・ラヴェル 「ボレロ」
6位 アラム・ハチャトゥリアン 「スパルタクス」
5位 ジョルジュ・ビゼー 「カルメン」
4位 レナード・バーンスタイン 「ウェストサイド物語」
3位 セルゲイ・プロコフィエフ 「ロミオとジュリエット」
2位 ピョートル・チャイコフスキー 「くるみ割り人形」
1位 ピョートル・チャイコフスキー 「白鳥の湖」
ワンツーフィニッシュで圧倒的でしたねチャイコフスキー。なんかこうしてみると「文句なしの」1位2位ではありますが同時に「文句がいえない(あきらめるしかない)」1位2位でもあり。
もう王者ですからね。ボレロも同じカテゴリ。そのなかにちゃんとロミジュリも食い込んだのはものすごく嬉しいです。ただストラヴィンスキーが10位以内に入るかなと希望を抱いていたので残念な気持ちも。
このちょっと下あたりの順位もそうですが「確かに広く好かれてるけどこんなに順位を上げるとは思わなかったなー」と思う曲が結構ありました。例えば9位に入ったコープランドは15位に「ロデオ」もランクインしてたり。6位のスパルタクスだったり後述のWild Swansなんかはテレビで使われた影響で順位が高かったという要素もあるようです。
今回すごかったのはオーストラリアの作曲家。Ross Edwardsの「アラフラ舞曲」が98位に入り、グレンジャーは「Country Gardens」が85位にランクイン。Elena Kats-Cherninは88位に「Dance of the Paper Umbrellas」、70位に「Rag」がランクインしてちょっと間を置いて21位にバレエ作品「Wild Swans」が来るという大快挙(トータル3曲ランクイン+女性作曲家で最上位)。ここで終わりかと思ってたらさらに19位にWestlakeの「南極」、そして14位にSculthorpeの「Left Bank Waltz」というピアノ小品が超えてくるというびっくりな結果。いやあこういう企画でオーストラリアの作品の存在感が高まるのはうれしいことです。
個人的にすごいなと思ったのが37位のレスピーギ「古風な舞曲とアリア」と26位のショスタコーヴィチ「ジャズ組曲」。この作曲家が、しかも比較的演奏頻度が少ない曲がこのジャンルでこんなに存在感を示すとは思わなかったです。57位のプレトリウスの舞曲集もアウェーな環境に単身切り込んできたみたいな感があって独特な足跡を残してきましたね。
作曲家の傾向もちょっと今回いつもと違う様子があり。ブラームスみたいにいきなり上位に一発食らわす作曲家もいればじわじわと攻めて最終的に圧倒的支配するチャイコフスキーもあり、最初にちらほら見たけど途中で消えたベートーヴェンもあり。何より100位に一曲も入らなかったモーツァルト(最高で146位)。これまでのカウントダウンと比べると波乱に見える要素もありました。
私が投票した曲とその最終順位は以下の通り:
100位までにランクイン→プロコフィエフ「ロミオとジュリエット」(3位)、ストラヴィンスキー「春の祭典」(20位)と「火の鳥」(25位)、ヨハン・シュトラウス2世「皇帝円舞曲」(33位)、ラフマニノフ「交響的舞曲」(77位)
200位までにランクイン→Ross Edwardsバイオリン協奏曲「Maninyas」(104位)、ラヴェル「ダフニスとクロエ」(170位)、リヒャルト・シュトラウス「サロメ」(171位)、ラヴェル「クープランの墓」(199位)
ランク外: ヴォーン=ウィリアムズ「ヨブ」
Maninyasは惜しかったなあ。でももうちょっと票が少ないと思ってたのでほっとしてます。ただダフクロの順位の低さは悔しいです。バレエとして踊りとしてそしてラヴェルのオケ曲としてものすごく素晴らしいですしもっとコアなオケファンから票が来るとばかり思ってたので(企画ページにあるパーソナリティセレクトのセクションでSir Andrew Davisがバルトークの「ミクロコスモス」の次点としてあげてたくらいですし)。
ただ今回100位までに入らなかった曲が多い回ではありましたが、ちゃんと票入れといてよかったなーと思う曲が多いですね(199位でふんばったクープランの墓含め)。来年もしっかり考えて中堅あたり中心に応援票を投じたいと思います。
ちなみに生放送はもう終わりましたが追っかけオンデマンドでこちらのListen Againから聴けるようです。SpotifyとかApple Musicでも聴けるようにするらしいですが今回トークも色々面白くて、曲が流れてるときにスタジオで踊ってたりなんだりするのが陽気な雰囲気として現れたり、バレエの裏話とかも聴けたりするので英語が分かる方はラジオ放送としてがおすすめ。
あとちょっとした統計はこちらのツイートに。
あと過去のカウントダウンのアーカイブがこちらに。各回のテーマとリストだけでなく検索機能も。ちょっと作曲家の名前で検索してどの年にどんな順位でとかぱっと見れて便利です。
今回はテーマがテーマだったので聴きながら(座りながらでも立ってでも)踊ったりして楽しかったです。もともと踊りカテゴリの曲は好きでリズムによく反応する方だとは思いますがバレエを始めてからさらにこの界隈の音楽とその考え方・感じ方が楽しくなったような気がします。
来年も投票に悩んで楽しい、聞いて楽しい、そして順位にはらはらして楽しいカウントダウンのテーマになるといいなあ。
今日の一曲: ピョートル・チャイコフスキー 「白鳥の湖」第3幕より「ナポリの踊り」
ここはやっぱり1位から。といってもここで色々な楽章を紹介してるんでそろそろ難しくなってくる。
今回「踊り」がテーマでしたが踊りのスタイルとしてはやっぱりワルツが一番メジャーでした。放送でバレエ作品を一部抜粋というときもワルツ曲が使われることが多く。
あとはハンガリー系の踊りとしてチャルダッシュとかそこらへんのスタイルも出てきたりしたかな。
タランテラは多分その次くらいに登場したかな?同じくチャイコの「イタリア奇想曲」とか。単独ではランクインしなかったかも。
この楽章の後半もタランテラなのですがタランテラは南イタリアの踊りなのに何かとロシア音楽に登場することが多い気がします。この曲と「イタリア奇想曲」を書いたチャイコ、なんかタランテラが多いプロコフィエフ、それからラフマニノフ。Kats-Cherninも生まれは旧ソビエト方面でWild Swansにちょっと変わったタランテラを書いてたり。
それはやっぱりあっちの方からみるとエキゾチックなんだろうな、というのもあったり逆にその燃えるような性質がロシア方面の燃える要素と共通してるところがあったり。
とにかくベースに「狂気」と「速く回る」がある舞曲なタランテラ。この曲のように陽気かつshort and sweetでもその魂はしっかり健在です。ジークフリート王子の許嫁にやってきてこの踊りを踊るナポリのお姫様はきっと小柄でfieryな性格なんだろうな、とちょっと想像が膨らみます。
今回カウントダウン後に1位の「白鳥の湖」は全曲放送があったのですが知らない楽章(=弾いたバージョンにも手持ちの録音にも入ってない)があったり色々面白い曲が抜かれてたりほんと「白鳥の湖」のバージョン違いははらはらします。リンクしたやつもロシアの踊りがなかったり(好きなんですよこれもー)。
でも今回カウントダウンで使われてたのがこの録音だと思うのでとりあえずリンク。