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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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The end of end
暦の上は昨日から夏が始まり、最高気温30度+ここ数年あんまり聞かなかった蝉の声も聴けて(多分発生のサイクルがあるんですよね)よっしゃ夏だー!と思ったのが深夜の激しい雨+クールチェンジを経て今日は南風が冷たい肌寒い日でした。これぞメルボルン。

ただ珍しく日が長い+暖かい気候でオケのコンサートで色々助かりました。
ということで本番感想行きます。

Zelman Symphony Orchestra
「End Games」
12月1日(土)午後8時開演
Performing Arts Centre, Camberwell Grammar School
指揮者:Rick Prakhoff
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン 交響曲第104番「ロンドン」
リヒャルト・シュトラウス 四つの最後の歌(メゾ・ソプラノ:Miriam Gordon-Stewart)
ヨハネス・ブラームス 交響曲第4番

Camberwell Grammar Schoolはいつもの演奏場所のXavier Collegeに負けず劣らずのお金持ち学校で、こちらもちょっと私にとっては不便な場所にあるのですが立派な施設をオケに貸し出してもらえてありがたい。ここはホールにオルガンとかステンドグラスとかあるし学校の劇・ミュージカルのポスターの作品が名作揃いでいつもうらやましく思います。

そんないい場所での今回のコンサート。
やっぱり粗さはあるのですが(特に単純明快なハイドンで物を言う傾向が)本番で初めてぴしっとする事もありますね。今回の本番を見たり聴いたりして思ったのですがこのオケの場合は単純に「リハーサルだと本番と同じような緊張を持って望んでない」ってのが理由なのかもと思ったり。アマチュアのオケ共通の話なのかな。

私が出番があったシュトラウスもいい出来の演奏でした。普通のリハーサル場所だとソリストがオケの方を向いて歌うのですがサウンドチェック・本番は聴衆の方を向いて歌うので最後の最後で歌が聴けなくてちょっと残念でした。堅実で暖かめなあの歌声はこの曲にぴったりですしそうでなくてもずっと聴いていたい声。
チェレスタのパートは第3楽章に和音10個という小さなパートでしたし使ってる楽器が小さい&古いので聴衆にはどれだけ聞こえたかなあ。実際あんまりチェレスタが聞こえない録音も珍しくないし。でも自分としてはタイミング・音量ともに10個全部ベストに弾けてこれ以上のことはできない演奏をしたと思っています。

そんな小さいパートでも聞こえにくくとも指揮者さんに「信頼できる」と言われるのは何よりの褒め言葉です。今年から新しい指揮者さんになっていろんな(例年よりトリッキーな)レパートリーに挑戦しましたが変わらず頼ってくれるのは本当に嬉しいしありがたいです。

・・・とは言いますがこちらのオケは来年のプログラムに出番が(今の所)全く無い!という衝撃の事実。ただStonnington Symphonyの方でどうしても弾きたい曲含め出番があるようなのでそちらから声がかかることを願ってます。どうしても!弾きたいやつ!

しかし今回のコンサートのプログラムを見ると改めてユースオケで弾いてこなかったジャンルに刺さってますね。ハイドンの交響曲、ブラームス、そして歌曲作品。ユースオケでも素晴らしい曲いっぱい弾いてきてものすごく楽しかったですしあれ以上詰め込めっていっても無理ですし、でももっとやりたかったなあと思うことはたくさんあります。それほどオーケストラのレパートリーって広いってことなんですよね。若いうちこそアグレッシブで大編成で複雑な作品をやるべき、とは思うのですが大人になってもまだまだそういうのやりたいですし。ユースにしろアマチュアオケにしろ色んな機会があるのがほんとこの街は素晴らしいと思います。

さて今年の音楽お仕事は終わり。ソロの方でもそろそろレパートリーチェンジのタイミングでゆるゆると新しいことに取り組み始める予定です。聴くほうのコンサート行きもまだ終わりではないのでまたそちらも感想書くぞー。そして音楽以外もイベントあるぞー。もちろん仕事もまだまだ。ということでまだまだ2018年は終わりません。感想中心になるかもですがなるべく更新していきたいと思います。


今日の一曲: ヨハネス・ブラームス 交響曲第4番第4楽章



今回のコンサートのラストの楽章。そんなに短命でもないのに交響曲4つ、というと少なく感じるかもしれませんが有名な話通り第1番に20年以上かけてるのできっとそういうものです。
しかも1番から4番までどれも名曲揃い(個人的な好みはありますが)。特に3番4番はすぱっとした爽快さや思い切った感が聴いててかっこいいイメージ。どちらもスケールが大きいわけじゃないんですけどそれもまたちょうどいい。

ブラームスは一般的にはドイツの伝統的で保守的な、とかベートーヴェンの後を継いだ、みたいなイメージがあると思います。この第4楽章もバッハのシャコンヌにインスピレーションを得ていたり、そもそもシャコンヌという「古い」形式を使ったり、あと曲のspiritとしても強く古き良きドイツ音楽な感じが強い。
ただそれでもブラームスはベートーヴェンともバッハとも全然違う音楽を書いてますし、例えばベートーヴェンやワーグナーみたいに「形式」に真っ向からぶつかって突き破ってくようなアプローチとは違った新しい風を吹かせてるなあ、と3番4番あたりを聴く度に思います。

ただ新しい古い関係なくこの第4楽章のシャコンヌのかっこよさですよ。
20世紀になるとシャコンヌやパッサカリアを途中の楽章・最後の楽章で使う作曲家も多くなりますがそれでもコンサートの〆としてのこの楽章に敵うものは数少ないと思います。
そしてブラームスの作品として見てもこれだけresoluteなかっこよさがある作品もまた珍しいかも。シュトラウスの最後の四つの歌で「作曲家ここまでたどりついてよかったなあ」と思うのと同じくこの最終楽章にも同じ事を思います。ぐるぐる迷うブラームスも好きだけど思い切りのいいブラームスも好き。

そんな色んなブラームスの交響曲を1番から4番まで楽しめる「全部持ってけ!」な録音をリンクしてみました。前回のシュトラウスの時は古い録音は~とか言っちゃいましたが今回は古いがなんだーこちとらベルリンフィルとカラヤンだぞーぐらいの心意気でのチョイスです。初めての人もまずはここからが良いんじゃないかな。


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