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どうやら演説というかスピーチ的なものをやっていたようで、報道陣もいたりなんかして。
オーストラリアは国の選挙が当時あと3週間ほど、という状況だったのでTVを通じていろいろアピールしていたようです。(全体的に政府がらみの話が多かったです)
まずはキャンドルを渡されて、テレビの向こうからでもどれくらい人が興味をもって支援に来てるかが分かるようキャンドルに火をともして。
主催のメンタルヘルス団体のトップの人だけでなく、息子を自殺により亡くした母親や昔患者としてその団体にお世話になり今はケアの立場にいる若い女の子がゲストスピーカーとして話しました。
とくに母親の方は感情的に重いトピックを感情的になりすぎず何が必要かを冷静に訴えていましたし、若い女の子の方の経験を表現する言葉には同じ患者としてものすごく共感しました。("Physical and emotional wreck"って私もよく使ったフレーズです)
聴衆はこの時点で100人を軽く超えていて、ほとんどの人がこの後ある(参加者登録=予約制ですが無料の)イベント目当てで来た人らしくそのままみんな施設内のホールへ移動。
ホールに入る前にペンとカードを渡されましたがこれについてはまた後ほど。
で、メインの公開イベントが始まり。
ホールは1500人ほど入る切開ですが少なくとも70%は入ってた模様でした。
若い人のメンタルヘルスがテーマとあってティーンの親世代が多かったですが、制服のまま来てる中高生なんかも結構見ました。
オープニングは様々な人(若い人、親、専門家など)にインタビューした若い人のメンタルヘルスについての様々なトピックに関するコメントのVTR、そしてその後ラジオ局Triple Jによりオーストラリアの中高生ロックバンド
に輝いたStonefieldsという4姉妹バンドが演奏したり。
そしてABCのテレビパーソナリティであるJames O'LoughlinとAustralian of the Yearに選ばれたメンタルヘルス専門家でありこのエリアの改革活動に多大な力を注ぐPatrick McGorry教授が若い人のメンタルヘルスに関する問題の概要からの前説といいますかIntroductory Talkをしまして。
その後パネルメンバーが参入。
メンタルヘルスに関する団体、健康全般にかかわる団体、もっと全般に「この国の未来を支える」団体からのキーパーソナリティ、メンタルヘルスに関し親の立場から・親の立場を支える団体のキーパーソナリティ、さらにNovaというラジオ局のパーソナリティであるミュージシャンがパネルとして参加していまして、年齢層も20代から上まで幅広く。
全部で8人がこのトピックに関して先ほどのVTRをはさみながら個々の課題や問題を話し合う、というフォーマットでした。
私が患者として過ごした10年間に本当に重要と感じていた問題、それから新しく知った問題など重要な課題が数多くカバーされていまして。それもメンタルヘルス全般よりも若い人特有の重要な問題・課題に焦点をあてていました。
とりあえずリストしますと:
1)早期介入の様々な方法、そして臨床的な介入(薬など)に頼る前にまず非臨床的な方法を徹底し、早期介入により非臨床的な方法で解決できるよう図る事
2)病気ごと、個人ごと、重度ごと、個人の環境ごとに合わせた柔軟なケアの必要性
3)ケアにどれだけ容易にアクセスできるか、ケアを受ける際に安心して、安全に感じて受けられるか
4)メンタルヘルスに関するスティグマ・タブーを除き、社会と患者さんの垣根をなくす
5)患者さん、周りの人、若い人、専門家へのメンタルヘルスの様々なエリアの教育の重要さ
6)患者さんの周りの人たちへのケアを視野に入れる
7)家族、親しい人達だからできることの存在
8)医療によるケアだけでなく、家族や周囲(特に若い人の場合は友達グループが重要となります)、コミュニティベース(社会全体、そして関連団体)のケア、社会・企業の活動、政府の施策とあらゆるエリアをカバーすること
9)テクノロジーの発達によるネットによるケア介入、そして現代社会の弊害
・・・あたりでしょうか。
実は若い人に多い自傷のトピックや、オーストラリアで重大な問題である都市部から離れた地域のメンタルヘルスケアが一つも言及がなかったことがちょっぴり残念でしたが、ある程度しょうがないと思う部分もあります。
あとドラッグ・アルコールの問題も言及はあったものの内容は少なめだったかしら・・・
上記トピック以外で特に興味深かったことを手短に。
1)メンタルヘルスケアは身体の病気のケアと同じように行われるべきだ、という論点で、早期介入は癌の治療のように徹底して、長期ケアは喘息のように具合の悪いときは急性ケアを徹底してそうではないときは病人扱いせず健常者として普通の生活をおくらせる、という具体例
2)精神疾患を患う患者さんは確かに経済的負担になっているけれど、全般的に「精神疾患を患う人は治療を施してもお荷物になるだけだ」という暗黙の認識がスティグマとして根付いている、との話。
社会から隔離し過剰に病人扱いすることで治療・社会復帰を阻害している今の治療にかわり、治療の一環として社会復帰を支援することの重要さ。
3)医学的に定義された症状/徴候とは別の病気の表れ方について。若い人特有だったり性別に特有だったり個人的に特有だったりするそれらを把握するために患者さんをよく知る家族・親しい人・患者さん自身のモニタリングの必要さ。専門家だけでなく、当事者・周囲のケアの大切さ。
4)ケアの多様化。訪問型のケア、ネットを介するケア、一般医師による照会・First aidシステム、救急環境の整備。
5)若い人に特有な友達の重要さ、プレッシャーと弱さ、助けの拒絶。
6)メンタルヘルスのことを話すことのスティグマ、タブー(特に自殺について)
7)親としてのスタンス。子育てについて間違ったことはしていないと思いたいプライド・エゴと、必ずしも子育てが悪いわけではないという「親が子供の精神疾患のことで自分を責めない」ことの大切さ。
8)周りの人のために、そして同じ人間のために人間として他人のために「正しいこと」ができたらいいという意識を持つこと
(そして一般の人が正しいことができるために誰にでも分かりやすい目安などを提示)
9)Heatlh Literacyと教育。学校での若い人への教育。そして専門家、医師全般、親、社会全般への教育により身近さを認識し、スティグマをなくす
・・・などなど、本当に挙げるときりがないのですが。
やっぱり(非臨床の)早期介入、そしてアクセス容易で安心・安全な柔軟なケア、そして社会の受け入れ体制・認識は最重要ポイントですね。
トーク自体はものすごくカジュアルな雰囲気で、ユーモアも交えたりしながらでもしっかりと重要な課題を真剣に話し合っていました。
カジュアルな雰囲気の良いところ、というのはスティグマがつきもののトピックを話しやすく、身近なものとして話考えられるところ、そして重い感情を扱い感情的になにかとなりやすいトピックにおいて理論的に、冷静に話し合えることだと思います。
メンタルヘルスはオーストラリアの人にとって実際認識としては身近なもので、結構気負わずオープンに話せるトピックなのですが、そんな国民のポジティブな意識から政府の取り組みが随分遅れている、というのが現状のようです。
全体的に楽しいセッションで、いろいろと笑顔になりました。
もちろんそれだけではなく、重要な課題を多く扱い、様々な視点からの意見を聞くことができて。
自分の思っていた・感じていた・知っていたことを再認識したり、間違っていなかったと安心したり、そして新しいこともたくさん学び・・・
本当に大きなエリアでどこから知り勉強し始めて良いかわからなかったのがイベントに行ったことで少しピントが合ったような、フォーカスできはじめたような気がしました。
これがまだ具体的に私が出来ることの第一歩、これからメンタルヘルスの道を進むのに自信が付きました。
メモをこうやってぐっちゃぐちゃで言語もぐっちゃぐちゃに混じって書いて残せたのもそうですが、この後清書してまとめたことで改めて理解が深まり、同時に自分の意見もじっくり考えて感じることができて。
これから日本とオーストラリアに対して、そして自分のために考えていきたいことも抽出できたし、さっきも言いましたようにまだまだこれからですが。
トークの後に「オーストラリアの若者のために何をこれから自分はするか」を書き投書するものです。
私はオーストラリアの若者の為に「(学術的にも)勉強し、こういう活動やイベントに身を投じてケアの立場に立つことを目指します(同時に患者としての自分をケアしながら)」と書きました。
言うまでもありませんが100%ガチですよ。
あらゆる意味で本当にこのイベントに行って良かったです。
これからしていけることについて、していくことについて本当に自信が持てましたし。
これからもなるべく無料で(願わくば!)こういったイベント、特に今回とはちょっと違う感じのアカデミックなセミナーとかにも参加してみたいです。
もちろんオーストラリアのメンタルヘルスケアに身を投じたいのですが、このイベントの話を母にしたとき母が日本ではまだ若い人専用のメンタルヘルスケアができつつあるばかりだ、と言うのを聞いて(母も当事者ですからね、この領域の情報は遅い方じゃないと思いますよ)。
単純計算で(私が10年前こっちの病院の確立して久しいティーンセクションに入院していたことから)日本は少なくとも10年遅れているじゃないか、と思って心苦しくて。
日本のメンタルヘルス事情も変わっていければなあ、と思います。
今日の一曲はお休みですが、最後に今日Twitterでつぶやいたメンタルヘルス関連のことをコピペさせてもらいます。長々おつきあいいただきありがとうございました。
「自殺」を全部ひっくるめて扱うのは結構リスクというか危ないので すが、特に日本では自殺について欧米とは全く違う文化背景があるのでそこが対応に難しい、複雑なところも多々あります。日本人のためのメンタルヘルス対策 が本当に求められて、それは日本人にしかできないことなんですよね。
posted at 01:01:30
こないだ祖母が白内障の手術をしまして。15分ほどですんで日帰りで手術できたそうです。ただそうやって速い・効果が見える・確実な治療が主流になる中で精神疾患はどう転んでもものすごく時間がかかって、効果も見えにくく先が不透明な部分はどうしてもあって。(続く)
posted at 13:13:07
(続き)現代では人が待てない傾向にあるんですよね。個人もそうで すし、社会も待ってられない感じで。だからこそ過薬や臨床的な方法に頼る傾向も強いですし。でも患者側も専門家側も社会側も焦れば焦るほど治療の進みは遅 くなりますし。時間だけじゃなくてぎゅうぎゅう詰めなことはたくさん。(続く)
posted at 13:16:42
(続き)あとは「積極的な」回復への取り組みもまた課題かしら。専 門家が何でも専門知識をもって治してくれる分野ではないことを認識して、患者さん自身も周りの人もみんな進んでたくさんやることがあります。誰もが医学の 専門家ではないけれど患者さん自身とその周りの人は患者さんの専門家。(続く)
posted at 13:19:12
(続き)辛いのはそうですし、辛いと(さらに病気の症状の一部として)余計に焦ったり、間違った判断を下したりもあります。だからこその専門家と周囲の人の「症状の」だけでなく「心の」サポートが大事なのかもしれませんね。以上メンタルヘルス全般の広い考えでした。
posted at 13:20:55