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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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メル響コンサート「Jazz at Lincoln Center Orchestra with Wynton Marsalis and the MSO」感想
まだまだ暑いですが暦の上では今日から秋。
ということでコンサートのシーズンもそろそろ開幕です。
昨日はいきなりこんなコンサートに行ってきました。

Jazz at Lincoln Center Orchestra with Wynton Marsalis and the MSO
指揮者:Nicholas Buc
Duke Ellingtonの曲3つ
レナード・バーンスタイン Prelude, Fugue and Riffs(クラリネット:Philip Arkinstall)
(休憩)
ウィントン・マルサリス 交響曲第4番「The Jungle」

ずっと楽しみにしてました、ウィントン・マルサリス率いるLincoln Center Orchestraとメル響の共演。オーストラリアは海外からアーティストがわんさか来るようなとこではないので(それでも来るときは見逃したくないですね)こういう機会はやっぱりつかみますよ。父がトランペット吹きで小さいころから聞いてた奏者ですからねー。

やっぱジャズって違う、という以前にまずやっぱアメリカの音って違うなーと思いました。なんだかんだでオーストラリアのオケってヨーロッパの支流なのかも(当たり前の話ですが)。
ジャズに限らずだと思うんですがとくにジャズの金管であんな開けっぴろげな音が出るのはアメリカくらいじゃないかな。目が覚めるし理屈抜きに楽しい。

最初のDuke Ellingtonはクラシック要素はなく純粋にLincoln Center Orchestraのジャズ演奏を楽しむセクションでしたがそこから後はジャズとクラシックの間で他のジャンルからも色々引っ張ってきて20世紀以降って人も音楽も広く動く時代になったのをかみしめながらとにかく楽しかったです。ジャズもクラシックも色々広く飲み込むジャンルだからなー。そしてお互いに影響もある。

バーンスタインでソリストだったのは今年もコンサート聴きに行く予定(来週から)のトリオの友人。とにかくジャズオケの音量がすごかったのでクラリネット一本では大変だっただろうなー。でもバーンスタインらしくおしゃれさがある楽しい曲で演奏も特に最後のRiffsでの疾走感など色々よかった。

後半の交響曲はさらに面白い曲でした。全体の構成としてはまあ交響曲。でも各楽章の構成はそうでない。色んなスタイルが立ち替わり現れるその変わり目の突然さはジャズ。
南米や中米、タンゴなど色んなところの影響が聞きとれるとクイズみたいで楽しい。やっぱりリズムが特徴的で複雑な音楽はジャズにしてもその色が活きますね。
あとこの曲はクラシックオケ・ジャズオケをただただ対照的に使うのではなく色んなパーツを色んな組み合わせで使うやりかたがものすごく頭が良い感じがしました。似てるけど違う、違うけど似てる、を曲のあらゆるところで肌で感じられる。

惜しむらくは6楽章構成で各楽章てんこ盛り、しかもクラシックの交響曲みたいな各楽章のコントラストが少なめ(=内容てんこ盛りだから)なために聞いてて長く感じちゃいました。ずっと楽しいには楽しいんですがやっぱりあれだけの内容を1時間超聞くと難しさも出てくる。そこんとこバーンスタインは偉大だなあと改めて。楽しい+簡潔にまとめることができる。

今回の指揮者さんは昔々ユースオケにいたころの先輩でした。バイオリン弾くだけじゃなくて自分で作曲もして指揮もして。長らく姿を見てなくてたまに活躍の話を聞くのみでしたが元気そうでなにより。指揮する前とか後とかの様子を見る限り昔と同じく面白い兄ちゃんみたいでそれはそれで感極まるところありました。

今年一発目のコンサートということもありますが内容というか音の質に関してもものすごくフレッシュでパワフルな演奏が聴けてよかったです。先ほども書きましたが改めてその文化の違いだったり(アメリカで弾くのはクラムくらいだし・・・)ジャズとクラシックの良いところを味わうことができてもう今年分満足しそうなくらい(笑)

でも来週は友人のトリオのコンサートのチケット予約してありますし今月もうマーラー10番のコンサートがあったり先生のリサイタルもあるそうで、ほんと贅沢な音楽環境メルボルン。
ついでなのですがサウスバンクあたりの整備も進んでいるみたいで音楽を聞く直接の環境だけでなくその周りの物理的環境もまた良くなるのが楽しみです。


今日の一曲: レナード・バーンスタイン 「Prelude, Fugue and Riffs」



そもそもクラシック音楽とジャズはお隣さん同士というかずっと近いところで進化し続けていてオーバーラップするところも少なからずある中「クラシック音楽らしさ」「ジャズらしさ」とは何ぞ?みたいな疑問はちょくちょく出てきます。
今回のコンサートで演奏された曲をベースに考えるとクラシック音楽らしさは形式の言語にあるんじゃないかな、という風に思います。

このPrelufe, Fugue and Riffsもタイトルや楽章構成だけでなくミクロの部分にも形式を感じ取ることでサウンドはしっかりジャズなのにクラシック感が出てくる、みたいなところがあるかなあ。バーンスタインは様々なジャンル、スタイルだけでなく形式も自由自在に(そして不自然さを感じさせず)活用できる天才でもある。

ジャズオケの演奏の中に協奏曲並とはいかないですがソリストとしての役割があるクラリネット。決して大きい音がでにくい楽器ではないのですが(クレズマーとかすごいですよね)それでも金管軍団+サックス軍団が揃うジャズオケの音量に太刀打ちするのって難しそう。でも聞こえる限りではなかなかかっこいいパート。どういう機会でまた聞けるかわからないけどまた生で聴きたいです。

リンクした録音はバーンスタインなのにウェストサイド物語のウェの字(?)もない他の曲が色々収録されたアルバム。先ほども書きましたがバーンスタインは楽しいしうまいし面白いし簡潔にまとまってます(あれ、こんなには書かなかったかな)。たまにはちょっとウェストサイドから離れて他の作品を聴くのもいいですよー


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