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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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Plexus「Psalmodic」感想
やっぱり先週言った通りというか先週と同じ感じになりました。やっとこさ月曜日のコンサートの感想です。

まずはプログラムから。
Plexus「Psalmodic」
バイオリン:Monica Curro、クラリネット:Philip Arkinstall、ピアノ:Stefan Cassomenos
Leanne Bear「Nôtre Gothique」
Galina Ustvolskaya 三重奏曲
ドミトリ・ショスタコーヴィチ ジャズ組曲より3曲(編曲:Stefan Cassomenos)
(休憩)
Scott Mcintyre「TEETH!」
イーゴリ・ストラヴィンスキー 「詩篇交響曲」(合唱:Vox Plexus、編曲:Stefan Cassomenos)

世界初演は前半後半それぞれの最初の曲だけとものすごく新しい音楽はちょっと少なめの今回。
それぞれの曲でピアノ・バイオリン・クラリネットという3つの楽器のコンビネーションをどう使うかというのを考えさせられるようなところがありました。

例えば最初のNôtre Gothiqueなんかは3人で世界がものすごく完成している、その中で役割のバラエティがあったりして広がりがあったり。
ストラヴィンスキーは完璧とも言える編曲だったしそんな完璧な編曲をした友人には申し訳ないのですがやっぱり頭数が欲しくなってしまう。音の層というか重なりがあるといいなと思うのです。特に合唱と合わせたとき。ただ合唱のパートを考えると確かに室内楽でバランスをとるって良いことのような気もしますが。
逆にショスタコは原曲版のあの音色のバラエティが愛しく思えるながらも三重奏バージョンいいじゃん、こぢんまりしてて本来のアンサンブルよりも雰囲気がでるじゃんと思いました。あと楽章のチョイスとバランスも。このバージョンは積極的に広めていくべき。

ショスタコといえば今回初めましてだった作曲家Ustvolskayaはショスタコの弟子だそうで。ショスタコが逆に影響を受けたのはこっちだとか言ったらしいですがそれがものすごくよくわかる作風でした。ショスタコよりも少ない音で重く語る、この楽器編成をかなりシンプルに使った作品。晩年のショスタコの作風に影響が、とか言われたら信憑性ありますよ。しかも今回のこの作品は初期の作品らしく後からどう変わったのか変わらなかったのかものすごく気になります。ついでにいえばショスタコと違ってソヴィエト崩壊後も生きた作曲家なのでそこらへんも。

この手のコンサートだとクラリネット奏者の友人はEs管だったりバスクラだったり持ち替えが結構あるのですが今回は編曲が多かったこともあり物理的に楽器を換えるだけでなく色んな他の楽器を演じるようなパートがあって面白かったですけど大変そうでした(あとメル響ではモーツァルトのレクイエムだったのでバセットホルンも吹いてたそうで・・・)。
特にEs管メインのTEETH!ではきっと吹いてる自分も高音で耳が痛かったに違いない(それがでも「歯」のあの独特な痛い感覚をうまく連想させたとは思うのですが)。

Ustvolskayaもそうですがこの楽器編成で面白い20世紀くらいのレパートリーってまだまだ埋もれてるんじゃないかという印象を受けます。初演・編曲いろいろ混ぜて演奏してるみたいですがそういうどちらにも当てはまらない曲にも出会えるのがこれからも楽しみです。


今日の一曲: イーゴリ・ストラヴィンスキー 詩篇交響曲 第3楽章



よく西洋美術だとピカソが時期によって色んなスタイルで絵を描いたことが有名ですがストラヴィンスキーも後期ロマン派ぽいところからミニマルミュージックやら原始主義やらそういう名前をつけるのもちょっと違うような作風で色々な曲を書いていて。(ちなみにこの2人は交流があったそうです)
それでいてそのどれも完成度が高い作品なのがまたすごい。

そして既成の形式を使うも変えるも無視するも自由にできるのもまたストラヴィンスキーのすごいところ。もちろんだいたい同世代の作曲家なら色々実験したりなんだりやってることではありますがストラヴィンスキーの手腕は安定してハイレベルだと思います。
「詩篇交響曲」っていうタイトルを見て何を期待すればいいかちょっとわからないのですが宗教音楽としても一種の交響曲としても成り立つ不思議なポジションにある音楽。

いわゆる伝統的なクラシック音楽を聞き慣れていたり初期のストラヴィンスキー(三大バレエとか)に親しんでるとちょっと奇妙に聞こえるかもしれませんがとにかくこの第3楽章の最初の「Alleluia」の美しさにはため息が出る人結構いるんじゃないかな。個人的にベストオブAlleluiaです。こんな美しい和音で響くAlleluiaがあるだろうか、くらいの。

あと私もまた初期のストラヴィンスキーで育ってきたこともあってあんまりストラヴィンスキーに合唱のイメージはなかったのですが上手いですね合唱。ラフマニノフも同じように合唱うまいじゃんってなるのですがロシア正教会周りの影響があるのかしらん。ロシアの宗教音楽ってそもそも貴重だし一流の作曲家がそちら方面で素晴らしい作品を残してくれててなんだかありがたいです。

今リンクする録音を探してたらLili Boulangerの作品とカップリングされた録音がありました。詩篇つながりみたいですが珍しい。珍しいのでリンク。

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