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火曜日にコンサート行ったのにあっという間に金曜日(汗)
水曜木曜はどうしてもバレエからの筋肉痛がすごくて木曜の夜にたどりつくまでにかなり体力を消耗しがち。
それに加えて仕事で今絶賛籠城中でその前に色々済ませたりでまたばたばた。BBC Proms聞いてがんばってます。
コンサートはMelbourne Recital CentreでのEmerson Quartetのコンサートでした。オーストラリア主要都市を回るツアーの一部でメルボルンでは日曜日・火曜日の2公演でそれぞれ違うプログラムを演奏。
私が聴きに行った火曜日はこんな感じでした。
Emerson Quartet @ Melbourne Recital Centre
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 弦楽四重奏曲第21番 K.575
アントニン・ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第10番 op.51
(休憩)
ドミトリ・ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第5番 op.92
日曜の方の公演はハイドン、バルトーク、ベートーヴェンでEmerson Quartetが弾くバルトークもどんなもんか聴いてみたかったのですがやっぱり自分にとってEmerson Quartetといえば手持ちの録音でいうとショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全集のボックスセットなのと、あとショスタコのカルテットでもよく聴くやつ以外が聴けるということで火曜日に。
なんか随分と久しぶりに弦楽四重奏を生で聴いた気がします。中学高校でもある程度弦楽四重奏やりましたし室内楽では超メジャーな編成で録音としていろんなカルテット曲を聴きますが改めて新発見再発見の多いこと。
まず弦楽四重奏の4人(バイオリン2人、ビオラ、チェロ)の力関係というか音楽的なバランスってこんな感じだったのかーという発見。もちろん4人が均等なわけではないですがバイオリン同士がこんなに近いとかビオラ・チェロそれぞれの独立感とか、もちろん現代になると大分変わってきますがモーツァルトとドヴォルザークではその均等ではない力関係からくる面白さみたいなのを感じました。
これがショスタコになると(この第5番に限らずですが)バイオリン2人vsビオラとチェロみたいな2:2の対立構図になってきてまた違うスタイルで面白い。ショスタコはオクターブで音重ねたがるんですが2人ずつでもオクターブで弾くなら1+1以上の音が出る単純だけど効果的なエフェクト。今回の演奏では特に前半・後半でのビオラの立ち位置(物理的ではなく音の)の違いでアンサンブルの機能とか響きが変わるのが印象的でした。Twitterでも書いたのですがサッカーにおけるミッドフィールダーですよビオラはほんと。
あともう一つ思うことがあったのが弦楽四重奏曲というジャンルのレパートリーについて。
ドヴォルザークは例えば今回演奏された第10番でもDumka/Furiantというチェコの民族音楽の形式を取り入れてるのですが、全体としては概ねモーツァルトやハイドンあたりからの形式とそんなに変わってないなーと。弦楽四重奏曲というジャンルの形式やキャラクター、意味合いが大きく変わってくるのはもしかしてショスタコーヴィチやバルトークあたりからなのかもなあ、と。
(少なくとも機能とか意味合いに関してはショスタコのカルテット曲はだいぶ独特なはず)
肝心の演奏の感想はただただよかったですね。もちろん前半も素晴らしかったのですがショスタコですよ。Emerson Quartetはとにかく音もアンサンブルとしてのチームワークもクリーンで洗練されてて、それでショスタコを弾くと刀のように鋭くシンプルに切れる・刺さるのが爽快で。ほんとショスタコの日に聴きに行ってよかった。(でもだからこそその同じ音でバルトークも聴きたかった!)
そしてアンコールもありました。去年亡くなったGeorge Walkerというアメリカの作曲家の四重奏曲とのことで。なんでも黒人の作曲家で初めてピューリッツァー賞を受賞した作曲家だそうで、アメリカでは有名な作曲家&曲らしいですがオーストラリアではなかなか名前も聞かない作曲家。でもそういう曲を国外ツアーに携えてきてくれるのはすごく良いです。新しい音楽に出会えるの嬉しいですし楽しいです。逆にオーストラリアのアンサンブルもどんどんオーストラリアの作曲家の曲を外国に持ってって欲しい(多分そうしてるアンサンブルが多いとは思いますが)。
今月はもう月末までほぼ家に缶詰の予定ですが来月になったらまた楽しみなコンサートがあります。きっと来月は夜も少しは寒くなくなるはず。20℃超えの日も増えるはず。コンサートだけじゃなくてAリーグ(屋外で座る)も始まるんで頼みますよメルボルンの春。
今日の一曲: ドミトリ・ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第5番
ショスタコは15つの交響曲と15つの四重奏曲を書いてて前者は公的、後者は私的な性質の作品で、弦楽四重奏曲の方が後の時代に書き始められてる・・・という基本的な説明をまずざっと。
ついでに他にも映画音楽もたくさん書いてたんですよ、というトリビアもちょろっと。
15つの四重奏曲だと第8番が圧倒的に有名ですね。ショスタコの人生に関するエピソードもあり分かりやすく、さらに暗いけど表現がストレートで、ライトモチーフとか引用も使って分析してなるほどと納得しやすい作品。ショスタコの音楽でも入門に使いやすく、弦楽四重奏曲としても面白いレパートリーなのでまた日を改めて紹介しようと思います(意外と紹介してなかった)。
第8番を知って、そこから他の弦楽四重奏曲をショスタコーヴィチの境遇とかを調べながら聴き進めていくともう沼ですね(笑)結構難解な曲もあるのですがそういう経緯とかを調べるとなんとなくわかっていくような部分もあり。
例えばこの第5番もちょっと難しい曲ではあるのですが、この曲がソヴィエトでスターリン政権時代にショスタコの作品の多くが発表できない時代に書かれ、スターリン死後にやっと演奏された、という事前情報があるとちょっとはとっかかりができるようなところはあるんですよね。
ショスタコはがーっと真っ直ぐに色々音楽を投げつけてぶつけてくるところのある作曲家で、それもこの曲で存分に味わえるのですが、同時に信じられないほど繊細な音楽も書けて(弦楽四重奏第5番だと第2楽章はものすごい)、ふっと他の作曲家のスタイルを思わせるような和音なんかも出てきたり。ギャップ萌えってやつですかね。なかなかすごいギャップです。
リンクした演奏はもちろんEmerson Quartetで。全部盛りです。そして追加の小品2曲もまた魅力的です。あとBorodin Quartetの演奏も持ってます。こちらは全集+リヒテルを迎えてピアノ五重奏曲というこれまた美味しすぎる詰め合わせ。演奏もまた違う魅力があるので両方おすすめです。
水曜木曜はどうしてもバレエからの筋肉痛がすごくて木曜の夜にたどりつくまでにかなり体力を消耗しがち。
それに加えて仕事で今絶賛籠城中でその前に色々済ませたりでまたばたばた。BBC Proms聞いてがんばってます。
コンサートはMelbourne Recital CentreでのEmerson Quartetのコンサートでした。オーストラリア主要都市を回るツアーの一部でメルボルンでは日曜日・火曜日の2公演でそれぞれ違うプログラムを演奏。
私が聴きに行った火曜日はこんな感じでした。
Emerson Quartet @ Melbourne Recital Centre
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 弦楽四重奏曲第21番 K.575
アントニン・ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第10番 op.51
(休憩)
ドミトリ・ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第5番 op.92
日曜の方の公演はハイドン、バルトーク、ベートーヴェンでEmerson Quartetが弾くバルトークもどんなもんか聴いてみたかったのですがやっぱり自分にとってEmerson Quartetといえば手持ちの録音でいうとショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全集のボックスセットなのと、あとショスタコのカルテットでもよく聴くやつ以外が聴けるということで火曜日に。
なんか随分と久しぶりに弦楽四重奏を生で聴いた気がします。中学高校でもある程度弦楽四重奏やりましたし室内楽では超メジャーな編成で録音としていろんなカルテット曲を聴きますが改めて新発見再発見の多いこと。
まず弦楽四重奏の4人(バイオリン2人、ビオラ、チェロ)の力関係というか音楽的なバランスってこんな感じだったのかーという発見。もちろん4人が均等なわけではないですがバイオリン同士がこんなに近いとかビオラ・チェロそれぞれの独立感とか、もちろん現代になると大分変わってきますがモーツァルトとドヴォルザークではその均等ではない力関係からくる面白さみたいなのを感じました。
これがショスタコになると(この第5番に限らずですが)バイオリン2人vsビオラとチェロみたいな2:2の対立構図になってきてまた違うスタイルで面白い。ショスタコはオクターブで音重ねたがるんですが2人ずつでもオクターブで弾くなら1+1以上の音が出る単純だけど効果的なエフェクト。今回の演奏では特に前半・後半でのビオラの立ち位置(物理的ではなく音の)の違いでアンサンブルの機能とか響きが変わるのが印象的でした。Twitterでも書いたのですがサッカーにおけるミッドフィールダーですよビオラはほんと。
あともう一つ思うことがあったのが弦楽四重奏曲というジャンルのレパートリーについて。
ドヴォルザークは例えば今回演奏された第10番でもDumka/Furiantというチェコの民族音楽の形式を取り入れてるのですが、全体としては概ねモーツァルトやハイドンあたりからの形式とそんなに変わってないなーと。弦楽四重奏曲というジャンルの形式やキャラクター、意味合いが大きく変わってくるのはもしかしてショスタコーヴィチやバルトークあたりからなのかもなあ、と。
(少なくとも機能とか意味合いに関してはショスタコのカルテット曲はだいぶ独特なはず)
肝心の演奏の感想はただただよかったですね。もちろん前半も素晴らしかったのですがショスタコですよ。Emerson Quartetはとにかく音もアンサンブルとしてのチームワークもクリーンで洗練されてて、それでショスタコを弾くと刀のように鋭くシンプルに切れる・刺さるのが爽快で。ほんとショスタコの日に聴きに行ってよかった。(でもだからこそその同じ音でバルトークも聴きたかった!)
そしてアンコールもありました。去年亡くなったGeorge Walkerというアメリカの作曲家の四重奏曲とのことで。なんでも黒人の作曲家で初めてピューリッツァー賞を受賞した作曲家だそうで、アメリカでは有名な作曲家&曲らしいですがオーストラリアではなかなか名前も聞かない作曲家。でもそういう曲を国外ツアーに携えてきてくれるのはすごく良いです。新しい音楽に出会えるの嬉しいですし楽しいです。逆にオーストラリアのアンサンブルもどんどんオーストラリアの作曲家の曲を外国に持ってって欲しい(多分そうしてるアンサンブルが多いとは思いますが)。
今月はもう月末までほぼ家に缶詰の予定ですが来月になったらまた楽しみなコンサートがあります。きっと来月は夜も少しは寒くなくなるはず。20℃超えの日も増えるはず。コンサートだけじゃなくてAリーグ(屋外で座る)も始まるんで頼みますよメルボルンの春。
今日の一曲: ドミトリ・ショスタコーヴィチ 弦楽四重奏曲第5番
ショスタコは15つの交響曲と15つの四重奏曲を書いてて前者は公的、後者は私的な性質の作品で、弦楽四重奏曲の方が後の時代に書き始められてる・・・という基本的な説明をまずざっと。
ついでに他にも映画音楽もたくさん書いてたんですよ、というトリビアもちょろっと。
15つの四重奏曲だと第8番が圧倒的に有名ですね。ショスタコの人生に関するエピソードもあり分かりやすく、さらに暗いけど表現がストレートで、ライトモチーフとか引用も使って分析してなるほどと納得しやすい作品。ショスタコの音楽でも入門に使いやすく、弦楽四重奏曲としても面白いレパートリーなのでまた日を改めて紹介しようと思います(意外と紹介してなかった)。
第8番を知って、そこから他の弦楽四重奏曲をショスタコーヴィチの境遇とかを調べながら聴き進めていくともう沼ですね(笑)結構難解な曲もあるのですがそういう経緯とかを調べるとなんとなくわかっていくような部分もあり。
例えばこの第5番もちょっと難しい曲ではあるのですが、この曲がソヴィエトでスターリン政権時代にショスタコの作品の多くが発表できない時代に書かれ、スターリン死後にやっと演奏された、という事前情報があるとちょっとはとっかかりができるようなところはあるんですよね。
ショスタコはがーっと真っ直ぐに色々音楽を投げつけてぶつけてくるところのある作曲家で、それもこの曲で存分に味わえるのですが、同時に信じられないほど繊細な音楽も書けて(弦楽四重奏第5番だと第2楽章はものすごい)、ふっと他の作曲家のスタイルを思わせるような和音なんかも出てきたり。ギャップ萌えってやつですかね。なかなかすごいギャップです。
リンクした演奏はもちろんEmerson Quartetで。全部盛りです。そして追加の小品2曲もまた魅力的です。あとBorodin Quartetの演奏も持ってます。こちらは全集+リヒテルを迎えてピアノ五重奏曲というこれまた美味しすぎる詰め合わせ。演奏もまた違う魅力があるので両方おすすめです。
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