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本題に入る前に。
今日は久しぶりにブラームスを弾きました♪ラプソディーの1番。
やっぱり久しぶりだったのもありますが心に求めてたものの少なくとも一部はこれなんだな、という満足感を味わえました。
ブラームスは血・肉・骨・内臓そろってる、人間の身体と同じ暖かさと手応えがある・・・刃で刺したら血は流れるし、皮膚と肉を突き破って骨を折って内臓が脈打つのを貫く感触がある、というくらい「リアル」な音楽。
そして今日つぶやいてもいたのですがブラームスの音楽というのは重厚さという下向きのベクトルと推進力という前向きのベクトル、さらにたまに後ろ向きのベクトルも折り合いを付けながらものすごい牽引力で引っ張っていかなければいけないものみたいで。
夏になるとブラームス他ドイツ系音楽はぱったり聴いたり弾いたりしなくなるので、今のうちに全身全霊で感じ表現を身につけていきたいです。
Alain de Botton "The Architecture of Happiness"
「幸せの建築」という題のこの本。
幸せ、建築はもちろん、それを通じた幅広い概念やアイディアを探索するエッセイ本(?)です。
家だったり、信仰を捧げる場所だったり、仕事をする場所だったり・・・人間は「建物」というものの中で多くの時間を過ごしています。本来家などの建造物は外気や環境の厳しさから逃れて安全に快適に過ごす、という目的があるのですが、そんな建築物は芸術作品と同じようにそれ自身では何を与えてくれないのに人間は建築物にただのシェルターとしてではなく、色んな意味を見いだし、大切にしたり・・・逆にその建築物の作り出す空間に多大な影響を受け、心の状態などを左右されるか、というのが趣旨で。
古代ギリシャに始まる建築の歴史を踏まえ、様々なスタイルを考察し、住居としての家から信仰の場所、ビルなどの様々な目的の様々な建築物についてそれらにこめられた思いや、人間が何を考えて建築したのか、ということを考察していて・・・
いろんな時代の美意識にまつわる心理的背景みたいなものや、時代の移り変わりにともなう価値観の変化などだったり、美と実用性、デザインと工学、需要と遊び心などの人間なりの折り合いというか悩みと解決の話もありまして。
建築物、というのはただ純粋にその目的を果たすために存在する物ではなく。
人間は個人的な目的や夢をもって建築物を創るということから、建築物を抽象的な表現としてそれらが語るメッセージをひもとき、意味を見つけ、心理を分析し、それによって人間にとって幸せとは何か、人間にとって何が大切なのかということを探っていく本なのです。
建築物には理想と現実のギャップを和解させようとする力がある、という説や、建築する上で「人間」を考慮、考察、理解することがどんなに大切か、ということや・・・
ケーススタディ的な感じで著者が日本を訪れた経験のなかでの過去、現在、未来の建築、文化のなかでの人間の価値観などについても言及しています。
ちなみに写真もモノクロですが多数掲載されていますよ♪
私がこの本で本当に心を掴まれた部分は、同時にこの本を建築に関心がない人でも幅広くの人に読んでもらいたい理由でもあります。
この本が扱う、分析そして考察することは建築に限ったことではなく、芸術全般に当てはまることだと思います。
芸術は全て人の思いの表現であり、それをどう表現するのか、そしてこめられた意味をどうくみ取るのか・・・何を持って美とするのか、そういった事に対する答えのような物がこの本に凝縮されています。
特に建築を抽象芸術として扱う、のセクションは抽象的芸術作品に何を見いだすのか、どうアプローチすれば良いかと言うことに対して分かりやすく、納得のガイダンスとなっています。
そして過去、現在、未来に渡って芸術作品が(創った人の命よりも長い時間で)表現しつづけること、しつづける物を理解し、より深く感じるためには建築という形態を通じてアプローチするのも断然ありだな、と思わせる本です。
この本は私の周りの至る所にある建築物をもっと身近に、もっと親しみを持って感じその建物にこめられた創り手などの人間の思いを理解する助けにもなりますが、同時にこの本が追求するで分析されている美のエレメントや建築にこめられた思い、哲学の分析は建築だけではなくファッションや美術、音楽など広義で表現する、美を追究する、思いをこめる色んな分野での活動、より深い理解に大切なことな物だと思います。
今回この本を読むのは久しぶりの2回目なのですが、今回読んで例えばビルの窓のパターンなどの視覚的な情報を聴覚、音楽のリズムでも感じられることが分かったり。音楽はあらゆるところ、あらゆる物に存在して、いろんな物がそうやって(自分にとっては)音楽というかたちで語りかけてるんだ、と。結構な開眼です。
建物だけではなく、人間の創造物全ての物を見る目がちょっと変わる、そして人間の考えや思いがもうちょっと分かる1冊です。
今日の一曲: オリヴィエ・メシアン 「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」より第11番「聖母の最初の聖体拝受」
公約、ということでメシアンお初の方にお奨めの一曲を。
簡単に言えばこの曲は聖書の物語の中で比較的よく知られている、クリスマスの劇でもよくある「天使が聖母マリアに彼女が神の子を身ごもってることを伝えに来る」シーンです。
私も幼稚園の時やりましたー♪(日本で、キリスト教の幼稚園だったので)年長の時にそれまで憧れていた(でも誰もやりたくなかったらしい)使者である天使ガブリエルの役だったので、特にこの曲はなんだか親しみが湧きました。
最初に左手に聞こえる和音はこの曲集を通して表れる「神の主題」、そしてきらきらした和音。
祈りのような、神々しい、慎ましく。どこか鳥の声にも似た、ちょっと高いところでくるくるしている柔らかいきらきらした光。
そして躍動感と喜びに満ちた、神の主題の変形版が天使の出現を表します。
メシアンの天使の形容は喜び、そして鳥の鳴き声のような素早いパッセージが特徴的。(余談ですが天使の羽根は飛翔目的ではなく、彼らの思考と動きの素早さのシンボルだ、という話もあります)
そして力強い和音の連続の後にメシアンは面白いことをやってくれます。
聖霊がマリアの胎内に宿ったのを形容する左手の低音のパッセージは胎児の鼓動のスピードちょうど、と設定されています。
この間紹介しました「聖母のまなざし」はこの子供の宿命と存在の大きさに迷いと不安のぬぐえない聖母マリアの画でしたが、この「聖体拝受」はいわゆる聖書に忠実な、クラシックな聖体拝受の画です。
どちらも全体的に女性的な雰囲気で、ハーモニーもわりとモダンじゃなく聞きやすいものです。
先ほどの本のなかで抽象的芸術の中でのシンボリズムの役割、というものがありましたが、メシアンの音楽は本当にたくさんのシンボリズムが使われています。
この曲では「神の主題」だったり、鳥の声だったり、胎児の鼓動だったり、喜びのリズムだったり・・・題材のストーリーが広く知られている親しみのあるものだということもありますが、曲の流れが結構正確にそのストーリーに沿っていることと、なによりも曲の中のシンボリズムが比較的に明確で分かりやすいことも今日この曲を選んだ理由です。
先ほども少しだけ言及しましたが、「20のまなざし」の中の複数の曲の中で共通のシンボリズムが使われていてるので、この曲をきっかけに他のまなざし、さらにほかのメシアンの音楽に広げていく第一歩になるといいな、などと勝手に思っています。
弾くにも聴くにもあまり気負わず、この曲を通じて楽な気持ちでメシアンの音楽に接して虜になる人が増えることを願っています。
今日は久しぶりにブラームスを弾きました♪ラプソディーの1番。
やっぱり久しぶりだったのもありますが心に求めてたものの少なくとも一部はこれなんだな、という満足感を味わえました。
ブラームスは血・肉・骨・内臓そろってる、人間の身体と同じ暖かさと手応えがある・・・刃で刺したら血は流れるし、皮膚と肉を突き破って骨を折って内臓が脈打つのを貫く感触がある、というくらい「リアル」な音楽。
そして今日つぶやいてもいたのですがブラームスの音楽というのは重厚さという下向きのベクトルと推進力という前向きのベクトル、さらにたまに後ろ向きのベクトルも折り合いを付けながらものすごい牽引力で引っ張っていかなければいけないものみたいで。
夏になるとブラームス他ドイツ系音楽はぱったり聴いたり弾いたりしなくなるので、今のうちに全身全霊で感じ表現を身につけていきたいです。
Alain de Botton "The Architecture of Happiness"
「幸せの建築」という題のこの本。
幸せ、建築はもちろん、それを通じた幅広い概念やアイディアを探索するエッセイ本(?)です。
家だったり、信仰を捧げる場所だったり、仕事をする場所だったり・・・人間は「建物」というものの中で多くの時間を過ごしています。本来家などの建造物は外気や環境の厳しさから逃れて安全に快適に過ごす、という目的があるのですが、そんな建築物は芸術作品と同じようにそれ自身では何を与えてくれないのに人間は建築物にただのシェルターとしてではなく、色んな意味を見いだし、大切にしたり・・・逆にその建築物の作り出す空間に多大な影響を受け、心の状態などを左右されるか、というのが趣旨で。
古代ギリシャに始まる建築の歴史を踏まえ、様々なスタイルを考察し、住居としての家から信仰の場所、ビルなどの様々な目的の様々な建築物についてそれらにこめられた思いや、人間が何を考えて建築したのか、ということを考察していて・・・
いろんな時代の美意識にまつわる心理的背景みたいなものや、時代の移り変わりにともなう価値観の変化などだったり、美と実用性、デザインと工学、需要と遊び心などの人間なりの折り合いというか悩みと解決の話もありまして。
建築物、というのはただ純粋にその目的を果たすために存在する物ではなく。
人間は個人的な目的や夢をもって建築物を創るということから、建築物を抽象的な表現としてそれらが語るメッセージをひもとき、意味を見つけ、心理を分析し、それによって人間にとって幸せとは何か、人間にとって何が大切なのかということを探っていく本なのです。
建築物には理想と現実のギャップを和解させようとする力がある、という説や、建築する上で「人間」を考慮、考察、理解することがどんなに大切か、ということや・・・
ケーススタディ的な感じで著者が日本を訪れた経験のなかでの過去、現在、未来の建築、文化のなかでの人間の価値観などについても言及しています。
ちなみに写真もモノクロですが多数掲載されていますよ♪
私がこの本で本当に心を掴まれた部分は、同時にこの本を建築に関心がない人でも幅広くの人に読んでもらいたい理由でもあります。
この本が扱う、分析そして考察することは建築に限ったことではなく、芸術全般に当てはまることだと思います。
芸術は全て人の思いの表現であり、それをどう表現するのか、そしてこめられた意味をどうくみ取るのか・・・何を持って美とするのか、そういった事に対する答えのような物がこの本に凝縮されています。
特に建築を抽象芸術として扱う、のセクションは抽象的芸術作品に何を見いだすのか、どうアプローチすれば良いかと言うことに対して分かりやすく、納得のガイダンスとなっています。
そして過去、現在、未来に渡って芸術作品が(創った人の命よりも長い時間で)表現しつづけること、しつづける物を理解し、より深く感じるためには建築という形態を通じてアプローチするのも断然ありだな、と思わせる本です。
この本は私の周りの至る所にある建築物をもっと身近に、もっと親しみを持って感じその建物にこめられた創り手などの人間の思いを理解する助けにもなりますが、同時にこの本が追求するで分析されている美のエレメントや建築にこめられた思い、哲学の分析は建築だけではなくファッションや美術、音楽など広義で表現する、美を追究する、思いをこめる色んな分野での活動、より深い理解に大切なことな物だと思います。
今回この本を読むのは久しぶりの2回目なのですが、今回読んで例えばビルの窓のパターンなどの視覚的な情報を聴覚、音楽のリズムでも感じられることが分かったり。音楽はあらゆるところ、あらゆる物に存在して、いろんな物がそうやって(自分にとっては)音楽というかたちで語りかけてるんだ、と。結構な開眼です。
建物だけではなく、人間の創造物全ての物を見る目がちょっと変わる、そして人間の考えや思いがもうちょっと分かる1冊です。
今日の一曲: オリヴィエ・メシアン 「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」より第11番「聖母の最初の聖体拝受」
公約、ということでメシアンお初の方にお奨めの一曲を。
簡単に言えばこの曲は聖書の物語の中で比較的よく知られている、クリスマスの劇でもよくある「天使が聖母マリアに彼女が神の子を身ごもってることを伝えに来る」シーンです。
私も幼稚園の時やりましたー♪(日本で、キリスト教の幼稚園だったので)年長の時にそれまで憧れていた(でも誰もやりたくなかったらしい)使者である天使ガブリエルの役だったので、特にこの曲はなんだか親しみが湧きました。
最初に左手に聞こえる和音はこの曲集を通して表れる「神の主題」、そしてきらきらした和音。
祈りのような、神々しい、慎ましく。どこか鳥の声にも似た、ちょっと高いところでくるくるしている柔らかいきらきらした光。
そして躍動感と喜びに満ちた、神の主題の変形版が天使の出現を表します。
メシアンの天使の形容は喜び、そして鳥の鳴き声のような素早いパッセージが特徴的。(余談ですが天使の羽根は飛翔目的ではなく、彼らの思考と動きの素早さのシンボルだ、という話もあります)
そして力強い和音の連続の後にメシアンは面白いことをやってくれます。
聖霊がマリアの胎内に宿ったのを形容する左手の低音のパッセージは胎児の鼓動のスピードちょうど、と設定されています。
この間紹介しました「聖母のまなざし」はこの子供の宿命と存在の大きさに迷いと不安のぬぐえない聖母マリアの画でしたが、この「聖体拝受」はいわゆる聖書に忠実な、クラシックな聖体拝受の画です。
どちらも全体的に女性的な雰囲気で、ハーモニーもわりとモダンじゃなく聞きやすいものです。
先ほどの本のなかで抽象的芸術の中でのシンボリズムの役割、というものがありましたが、メシアンの音楽は本当にたくさんのシンボリズムが使われています。
この曲では「神の主題」だったり、鳥の声だったり、胎児の鼓動だったり、喜びのリズムだったり・・・題材のストーリーが広く知られている親しみのあるものだということもありますが、曲の流れが結構正確にそのストーリーに沿っていることと、なによりも曲の中のシンボリズムが比較的に明確で分かりやすいことも今日この曲を選んだ理由です。
先ほども少しだけ言及しましたが、「20のまなざし」の中の複数の曲の中で共通のシンボリズムが使われていてるので、この曲をきっかけに他のまなざし、さらにほかのメシアンの音楽に広げていく第一歩になるといいな、などと勝手に思っています。
弾くにも聴くにもあまり気負わず、この曲を通じて楽な気持ちでメシアンの音楽に接して虜になる人が増えることを願っています。
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