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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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入院のおもひで at ティーンセクション
いつもは精神関係というとメンタルヘルスについてのやりきれない気持ちだったりいろんな事項の紹介だったり自分の願望だったりそういった前のめりなスタンスが多いのですが、今日はちょっと思い出話。機密な部分はsけてちょっと振り返ってみようと思います。

2000年3月~5月の私のメルボルンのとある私立精神病院での入院経験。
そのうち比較的前のめりな部分はこちらのエントリーで書きましたが・・・

当時私14歳。まだ実はユースオケの活動もはじめたばっかりで自分の学校以外の自分と同じ年頃の子供達に会ったことがなくて。そんな様々な経緯からみんなばらばらのところから来て、私と同じような苦しみを抱えている若い人とある程度の距離をとりながら・・・全部で20人ほどのセクションで、ご飯からグループセッションからほとんど生活を一緒に過ごしていました。

部屋は一人部屋。一人の時は主に音楽を聴いたり、ポケモンシルバーをやったり(笑)、ピアノが恋しすぎたあまりしょうがないのでチェロを持ってきてもらって弾いたり。
実は隣がレクリエーションルームっぽいもので紅茶やクッキーがあるのでつまんだり、ビリヤードをやったり。
ビリヤードといってもテーブルは曲がってるしポケットはでっかい穴が開いてますし、ボールはだぶったり足りないのがありながら全体的に数が足りなかったりキューは曲がってたり。
でもビリヤード好きなんでよく一人で練習してました。そこでの友達がちょっと教えてくれたりもしながら。

ルールとして患者さんのそれぞれの個室はパーソナルスペースなので他の患者さんの部屋にはいっちゃいけない、ということがありましたのでだいたいみんなと話すのはグループセッションの部屋だったり、レクリエーションルームだったり、喫煙バルコニーだったり。
外らしい外がバルコニー(もちろん各種ガードが施されてます)しかなかったんで煙草は昔も今も吸わないんですがそこでぼーっとしていたことも幾度か。

グループセッションやその他病院生活のもろもろで他の人の辛さ、経緯などにふれあうこともあり。
どうしてここに来るようになったのかを共有したりはもちろん、例えば拒食症の患者さんだと特別な食事を採っていたり、ご飯を食べること自体の大変さを本当に間近で感じたり。
入退院で入れ替わりの結構ある、病院内だけで知り合う他人同士なのですが・・・外の世界よりも逆にそういう経験の共有からかものすごくお互いに自然にうまいこと距離感を感じ取って接することができた不思議なコミュニティでした。

セクションで外出許可のある人はナースさん同伴でみんなで外出、ということもありました。
一回South Yarraに映画(The Insider)見に行って、あと一回はSt Kildaにお茶しにいきました。お茶と言ってももう暗い夕方だったんですが。
ナースさん達も基本は結構若い人が多くて。外に出てナースさんがバッジを外すとなんだか・・・病院から外出の患者さん、というよりは本当にみんな友達同士でわいわいしていた覚えがあります。

ティーンセクションでは毎週一回手作りのマガジンみたいのを作ってて。
みんなが一ページずつ好きなように使ってそれをみんなまとめてコピーを作り、配布するというもので。
2回くらい表紙を担当してた私、前も話した覚えがあるのですが入院するたびに絵描きに転向するといういまでも解明されていない傾向があります。表紙以外でも安易に感じたのか絵を描いたものが残ってました。

ティーンセクションでもう一つすることになっていたのが退院していく仲間に手作りのメッセージカードを送ること。出会いも多ければ別れも多く・・・短い時間だけど濃い時間を過ごした仲間。自分でも驚くほど仲良くなった人もいました。みんなみんな良い子で・・・今大人になってみんなしっかりやってるかな、と今でも思ったりしています。
ちなみにマガジンと手紙は全て今もとってあります。

辛い辛い時期だったけれどなんだかこの入院時期に関しては良い思い出しか残ってません。
共に入院していた仲間との不思議な繋がりや、閉鎖されたとも言い切れない不思議な守られた空間で過ごしたなんだかゆるくもある今となっては半分夢のようだった時間。
この5?6?週間で学んだこともたくさんありますが大事な大事な思い出もたくさんあります。
今ここにこうしていられるのもそのとき治療を受けて、治療の大事さを実感して治療をその後も続けてきたおかげ。そしてみんなと接したからこそ今の私の思いがある、というのもあります。

なんだか「あの頃はよかったな~」的な、あのときを思い出してあの不思議な感じの空気が漂ってますが・・・今日も明日もまた一歩ずつ進んでいこうと思います。


今日の一曲: Graeme Koehne "Twilight Rain"

Australian Music Centre にアルバム"Hammered"の一曲として試聴有り

オーストラリアの割と若手の作曲家、Graeme Koehne。リズミックなオケ曲が比較的知られていますが、今日はピアノ曲を。
オーストラリアの曲を、となったとき割と周りにオーストラリアの音楽専門の友達が(2人ですが)いたのでなんだかそこからちょっと外れたところを、と見ててどうやってだったかたどり着いたのがこの曲でした。
オーストラリア色は・・・割と少なめ?どっちかというとホテルのロビーで弾かれているようなリラックスしたジャズに近く。

きらきら、ゆったり。
Twilight Rain=黄昏雨。いつだったかメルボルンで夕方にすごい雨が降って、広がる雲がゴールドに染まった時があったり、虹がかかったこともよくあったり(ほとんどの場合二重)、狐の嫁入りだったり・・・
そういうときはちょっと時が進むのが遅くなったような、しばし夢の世界に入ってしまったような。
不思議な、ちょっとこの世界じゃないようなさりげないいろんな表情や光の移り変わりがこの曲を聴いたり弾いたりすると感じられます。

最近弾いてるカリュプソーもそうなんですが、もっともっと音楽とリズムにRubato、というか余裕をもってゆったりと感じたいんですよね。最近どうもそういったゆったりな繊細さのセンスがなくて・・・前のめりなのか、やっぱり。
ああ、近いうちこの曲弾かないと、本当に大事な感覚を忘れてしまいそう。

・・・という独り言はおいといて、ふと息が詰まりそうになった時、心を音楽に素直にゆだねたいとき、内外とも晴ればっかりで潤いが足りないとき・・・そんな時にお奨めの一曲です。
リンクしたこの曲の録音のあるページは試聴があるので是非是非ご試聴下さい♪


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