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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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Neuroscience Mini-Symposium感想
今日は雨も降り春のはずなのに恐ろしく寒い中メルボルン大学の医学科であった神経科学のミニシンポジウムに行ってきました。
ミニシンポジウム、ということで6つほど研究のプレゼンがあって、神経科学の色んなエリアからの研究についての話を聞きました。こういう研究があるんだな、ということだったりこういう風に神経科学のデータをとるんだなあ、ということだったり面白かったです。

なんと言っても最初のプレゼンが「Blindsight」の話だったことでものすごく安心しました。
大学でちょっと聞いた話じゃん!と(笑)
Blindsightというのは目が見えない人があたかも目が見えるかのように何かの位置を指さすことができたり、障害物をよけたりすることができる現象のことで。
視覚情報は主に網膜→外側膝状体→一次視覚野をたどって処理されるのですが、一次視覚野に損傷があって意識的に視覚情報が感じられない状態でも何らかの別の経路により無意識に視覚情報が処理される、というメカニズムらしいです。
脳の様々な部分の繋がり、というのを示すのにわりかしシンプルで分かりやすい例なので大学1年の心理学でとりあげられてたのです。

2つめのプレゼンも脳の様々な部分の繋がりについてでした。
人間が何かをしたときに脳のどこが活動しているか、というのはfMRI画像で見ることができませんが、その活動しているエリア同士の繋がりだったり関係性などはわからないので、それを脳内にある様々なネットワークを比較したり分析したりすることによって脳の活動を解明していく、というような話でした。
結構一回聞いただけでは理解できないところもありました。なんというかそういうmapping、分析方法などにそう強くないので・・・(汗)こういうのは基礎からちゃんと理解しないとなあ・・・

3つめのプレゼンは結構私のツボにはまった、前頭前皮質→視床の結合核→海馬のコネクション。
まだ未発表の研究結果が主だというプレゼンで。
海馬は記憶を司る脳の部分として知られていますが、実は背部と腹部では機能が違うということにびっくり!
記憶を司るのは背部の方で、腹部では不安を中心とした感情を司っている、ということだそうです。
(でも例えば不安障害だったり、それ以外での恐怖と記憶の結びつきだったりを考えるとなるほど!と思いますねー)
で、前述3つの部分は人間や動物で「忍耐」だったり「衝動的な行動の制御」を司り、それらの間のコネクションはまだまだ分からないところも多いのですが・・・
こういった部分の損傷は統合失調症で見られたりして、行動の影響だったり薬物がどういう風にどこに効くか、ということに関する研究につながるそうです。

4つめのプレゼンは統合失調症に関連する遺伝的要素で、遺伝子を特定することに関する研究でした。(これも未発表の研究結果が主だったはず)
未だに遺伝学は好きなのですが全然話が分からなく(汗)でも最初の統合失調症の症状のカテゴリーの話だったり、抗精神病薬が実際に効いているのは精神病症状のところだけなんだ、という話だったり・・・
あとは精神病症状と陰性症状は関連がある、という話も面白かったです。
統合失調症は知っているようでほとんど知らない病気なのですが遺伝的だったり症状だったりアクティブに研究も行われている、患者さんも多い病気なので改めて勉強しなければ・・・

5つめのプレゼンは人間の判断能力について。
何かを見せたときに与えられたカテゴリーから「これだ」と認識し分類する能力、見せられた情報が判断を下すのに不十分だったときに当てずっぽうで推量する能力、そして視覚情報からカテゴリーなしで「○○だ」と認識する能力。
いまいち自分の中でまだ内容がこなれてないのですが、人間には与えられた情報が判断を下すのに不十分だったときに無意識に当てずっぽうで推量するメカニズムが備わってて、その当てずっぽうでの推量と似たようなメカニズムがカテゴリーなしのフリー認識&判断と似ている、というような話でした。

最後のプレゼンは蝸牛移植の歴史と現状、その未来について。
最近耳鼻咽喉科はちょっぴり勉強したので割とすっと入ってくる話でした。
まだまだ人工蝸牛では(補聴器とは違って)音の高さがうまく処理されなかったり、周りの騒音により聞こえにくかったりすることがあって、まだまだユーザー側の満足度がそう高くないとのこと。
やはり耳がある程度聞こえなくなってもなるべく自分の耳を使って生かすことが今は大切になるそうですが・・・
人間の耳の構造の繊細さ、そして緻密さには本当に驚くばかりです。

自分の何に役立つとか勉強になるとは今はちょっと実感しがたいのですが、こういう研究があって、こういう試験方法があって、もしかしたら将来自分も大学に戻って心理学をやる際にこういうことをするのかもしれない、と思うとなんだかわくわくしますし(臨床だったりメンタルヘルスの応用も心惹かれますが、研究もいいかも、とか思っちゃいますもん)、未発表の研究結果とかにもふれあえて今心理学、精神医学、神経科学などの分野でどういう課題があって、どういう研究がされているのかということも知れましたし。これから勉強しないとなあ、と思うこともこれから目指したいこともたくさん。
そういうこと一切抜いても面白い話が聞けてよかったと思います(笑)論文で読むのとはまたちょっと勝手が違って。
本当に旅行の前に行けて良かったです。

さて、明日の早朝からYarrawonga-Mulwalaに2泊3日の旅行です。
仕事の都合もあるのでホテルはネット接続があるところにしましたので主にtwitterの方に出没していることかと思います。
天気も寒いですがどうやら向こうはおおむね晴れるような事が書いてあるので暖かくして楽しみたいと思います。
マッサージ、クルーズ、ちょっぴりショッピング、食事、自転車・・・楽しみです。
写真もなるべく撮りたいですね。

帰ったら旅行の感想に引き続きメンタルヘルスでメモしたことについて書きたいです!
そしてあれだ、楽器と性格の話は順番的にトランペットあたりですしね。
帰ったら帰ったで(このブログ以外にも)いろいろありますが少しはこの週末羽根をのばせるといいな。


今日の一曲: ロベルト・シューマン 「おとぎの絵本」 第3楽章



今日の帰りのまあ寒いまあ風が横から殴り吹き付ける天気の中ipodで回ってきて「ああぴったりじゃん」としっくり来すぎて思わずがっくりきちゃったという訳の分からない経緯でチョイスしましたが・・・結構普段から思い入れの強い曲です。

「おとぎの絵本」はビオラとピアノのための曲集。
シューマンもまたよくいる「比較的晩年になぜかヴィオラを重用する作曲家」だったみたい・・・
あんまりシューマンとビオラっていうのが知っている曲のラインアップからも、音楽のスタイルからもあんまり繋がらなくて(むしろ弟子のブラームスの専門範囲だなあ・・・)。

でも「おとぎの」とか子供のイメージがある曲、というのはがっつり得意なんですよね、シューマンって。
シューマンの作曲した曲のリストにものすごくたくさん子供にまつわる曲の名前があってかなりびっくりします。
わりとビオラもイメージとしては素直で無垢なイメージがあるので名配役ではないでしょうか。

第3楽章は嵐のような暗い曲。
まるで突風が吹くような上下するアルペジオだったり、木々が揺れるようなトレモロ的パッセージだったり、ピアノもビオラも技巧とパワーを駆使して「絵本」の絵をビビッドに描写。
ビオラがこんなにパワーと機動力で魅せることができるんだ!というのがなんだかビオラ好きとしてはちょっぴり嬉しいです(笑)
もちろん暗さとか激しさとか、嵐を思わせるような音楽の独特の雰囲気もものすごく好きなのですが、ついつい「ビオラ頑張れ」と思ってしまうのですよ(笑)

私のもってる録音はビオラ友達のイチオシ!のTabea Zimmermannの演奏。(リンクしたのとは別のもの)
彼女の演奏をあんまりなーと書いてる本も見ましたが、聞いてなぜビオラ弾きがお奨めしたのかものすごく分かりました。
ハスキーでそれがセクシーなアルトボイスのような音の渋さ!
なんでしょう、バイオリンやチェロでは絶対聞けない音色と・・・なんというか、弾きっぷり。
シューマンは外向的な印象が強い音楽を書く作曲家ですが、ドイツ音楽に備わっているどっしりした堅実な感じがこの音でかなり表れてるみたいで、ビオラだったりシューマンだったりドイツだったりおとぎだったりそういったたくさんのものをうまくまとめて仲裁・仲介している気がして。

やっぱりビオラは音が渋い録音が一番だと思います。
先ほども言いましたがバイオリンにもない、チェロにもないビオラだけが持っている良いところを引き出すには派手で明るい音色よりも渋い方がいいのです。
その渋さなのかしら、いろんな作曲家が晩年になってからやっとビオラの良さを前に出した音楽を書くようになったのは。

最後に、ビオラという楽器はマイノリティで、レパートリーもかなり小さいのですが・・・
なかなかビオラ音楽でハズレって言うのには出会いません。(様々な理由でこの曲とカップリングされてることが多いブラームスのビオラソナタも良い曲ですしね~)
きっとビオラの音と曲は他のどんな楽器でも埋められないちょっとしたさりげない隙間を埋めてくれるんじゃないかなーと思います。なくても生きられるけど、あるとちょっぴり幸せになるみたいな。

ビオラの楽器と性格の話、書くのが楽しみだな~♪


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