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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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The New and the Old of Melbourne
以前Alain de Bottonの「Architecture of Happiness」を読んで以来、建物のデザインに現れる人の思い、というものをメルボルンに当てはめて話をしてみたいな、と思ってきました。
ずいぶんの間忘れていたのですが、昨日妹が日本は古いと新しいの絡み合いが(価値観とかも合わせて)なんだかうまくいっていないような気がする、というような事を言っていた(言わんとしていた)ことがあって。
まあ私もそうは思うんですが、メルボルンも結構そういうとこあるよ、と思ってふと思い出しました・・・ので今日気持ちがついてきているうちに書きます。

メルボルンのシティ周りを見るだけでもその建築がわりとはっきり2種類に分かれていることに気づくと思います。
一つは昔からある、ヨーロッパのスタイルにのっとって作られた建物。(法的に保護されているものも多いです)
もう一つは最近増え始めたちょっと奇妙な現代建築。
現代建築のデザインには色んな人が賛否両論ありますが、とりあえずこの2つのスタイルはいまメルボルンに共存しています。

どれだけ上手く共存しているか・・・というのは微妙なところで。
今Windsor Hotel(保護対象)の古い建物の上に新しく高層ビルを造るかどうかでもめてますし、鉄道関係のフォーラムでは主要駅の一つFlinders Street Stationの老朽化がひどく、保護対象で修復がほとんどできないことに疑問が投げかけられています。

メルボルンで新旧の建築が静かにせめぎ合っているのには理由があると思います。
メルボルンは古くから「リトル・ロンドン」という愛称で親しまれ、その古風な建築やイギリスの町に似た雰囲気を魅力としていました。
ただやっぱりオーストラリアも一部共和国になる動きがあり、そこまではいかなくともイギリス離れしたい動きが何年も静かに存在していて。
さらにメルボルンは首都でもなく(首都はキャンベラ)、第1の都市でもない(第1の都市はシドニー)ユニークなポジションにあって・・・やっぱりアイデンティティを強く打ち出したい気持ちがものすごくあるのでは、と思います。

メルボルンの現代建築は一見「なんだかな~」と思うようなデザインのものが多いのですが、それもまた新しいアイデンティティを打ち出したくて試行錯誤している姿なのかな、とおもうと若干仕方がない気もします。

それでは写真ギャラリーをどうぞ。
the Old TreasuryFederation Square左:旧大蔵省。今はメルボルンの歴史博物館だそう。隣の州会議事堂とともに結婚式の写真ロケーションとしてもよく使われています。

右:Federation Square。レストラン、美術館(Australian Centre of Moving Image)、観光情報局などありいつも賑わっています。

王立展示館Exhibition and Convention Centre左:王立展示館。世界遺産であり、大学の試験会場だったり、妹はこんど卒業式をここでやるそう。

右:Melbourne Exhibition and Convention Centre。この傾いたデザインは他にも高速道路の脇のモニュメントなどでも見られます。

Flinders Street StationFlinders Street Station。前は立派なのですが、地下通路とかプラットフォームとかはちょっと老朽していて・・・他にも以前使われていたけれど今は使っていないスペースなどもこの建物の中にあるそうです。

駅といえばメルボルン最大の駅Southern Cross Station(旧Spencer Street Station)はメルボルンの建物の中でかなりデザインが物議をかもしだしました。
こちらの公式サイトの写真を見ていただければわかると思います。
デザインだけでなく大雨・雹の日に破損なども受けましたし・・・迷走するメルボルンのものすごく良い例なんです。

St Patrick's CathedralRoyal Arcadeメルボルンの古い建物もう2つ。

左:聖パトリック大聖堂。メルボルン最大の教会です。夜に通りかかるのが多いので(Fitzroyから歩いてシティに戻るとき)夜の写真しかなかったです。

右:Royal Arcade。近くにあるBlock Arcadeとともに内装が昔のスタイルのままです。お店もちょっと粋なお店が多くて私のお気に入りアーケードです。

Victoria HarbourDocklandsシティの北西に最近できた新しい開発エリア、Docklands。
デザインも実際に人が住んだり使ったり訪れるのにも成功しているとは言い難いとの評判ですが、外に彫刻がいっぱいあったりして私は好きです。
ちなみに右の写真には古い型のトラムが。

シティのとあるビルシティでトラムの中から撮った写真。
迷走もある程度許容すると言いましたが、これはちょっと・・・(汗)
どこかは内緒です。メルボルンに来た際は探して見てください。
この建物、下もこうですけど上もかなり変なことになっていて。
統一感ゼロの建築なのです。
ヒント:最寄りの駅はMelbourne Centralです。



今日の一曲: ロス・エドワーズ 「Enyato II」 第2楽章 「White Cockatoo Spirit's Dance」 (ビオラ版)

Australian Music Centreのリンク(試聴は第1楽章のみ)

ロス・エドワーズ。オーストラリアの作曲家でものすごく音楽スタイルが好きな人です♪
同じオーストラリアでもたとえばSculthorpeはクイーンズランドのような「湿ったオーストラリア」のイメージがありますが、エドワーズは「乾いたオーストラリア」のイメージが。

このEnyato II(タイトルから分かるようにIとかIIIとかもあります。まだお目にかかれてないのがおおいのですが)はバイオリンまたはビオラが無伴奏で弾くように書かれた曲。
そのうちの第2楽章がたまに単独で演奏されていて、「White Cockatoo Spirit's Dance」の副題で知られています。

White Cockatooは白い羽と黄色いとさかを持ったキバタンのこと。
あまり詳しいことはわからないのですが、先住民アボリジニの自然崇拝につながるイメージがあるようです。

ロス・エドワーズの変拍子のリズムはストラヴィンスキーの「春の祭典」に似たものがあって、くるくる拍子が変わるのがものすごく生き生きしていて、そしてこんなにリズムが変わるのにこんなに自然に感じるのにびっくりするくらい。なんだか変拍子には「自然」を感じますね。リズムが一定なのは人間の創った感覚じゃないかと。

決まった調で書かれているわけではありませんが、調を感じる音楽な為、♯系から♭系に変わった時の色彩ががらっと変わるあの瞬間は愛しいです♪

どれくらいエドワーズの音楽がオーストラリアを代表しているか巷のことはわかりませんが、私にとって彼の音楽はいつでもオーストラリアらしく、その自然だったり、身の回りに感じるものをより鮮やかに、大切に感じます。明るく喜びのエネルギーに満ちたリズムと色彩が本当に嬉しくなります♪

リンクしたCDなのですが、最後のトラックの曲は尺八のために書かれています。(私もまだ聴いてないのですが・・・)確かオーストラリアの作曲家が尺八のために曲を書いているのはこれだけじゃないはずですよ。

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