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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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昨日のフォロー:最近自分の中で話題の曲
今日は天気もかなり大荒れ、調子も運転レッスンもどうも「うーん」だったのですが、やっと今までやってた仕事が終わってめでたく納品。次の仕事も結構量は多めですが頑張ります。
でも仕事を始めるのは明日の午後。午前中はピアノをねじこみます。アドベントもおそらくは明日弾く曲が一番の難関なので・・・

オリヴィエ・メシアンの「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」。
メシアンの音楽はここから入って、今も(ここ少し鳥のカタログの方に集中してましたが)長い旅が続いてます。
今まで弾いたのは1,2,3,4,5,8,9,11,12,15,17,18,19楽章・・・ということで13つ。(あれ、12個だと思ったのに。あと10楽章も半分ほど、16番も少しの間弾いてます。)

曲のスケールも長さも難易度も本当にピンからキリまであるので大抵残っているのは難しいのばっかり(笑)
いずれは全部弾きたいと思ってますが。30歳までに全部そろうかどうか、難しいところですね。妥当な目標ではあるかもしれません。
色んな意味でメシアンのスタンダードではないかと思います。宗教観、色彩、ピアノで使う技巧、鳥の声、などなど。自分のこの曲との経緯もありますが「あ、メシアンだ」と一番しっくりきてしまうような気がします。

実際そうはっきりと書いてあるわけではありませんが、イエスの生誕にまつわる曲で。
イエスとその存在・キリスト教にまつわるモチーフだったりアイディアが至るところにちりばめてあります。
例えばイエスの生誕を告げる「星のまなざし」と死を予告する「十字架のまなざし」、聖なる子の懐妊を喜ぶ「聖母の最初の聖体拝受」と不安を表す「聖母のまなざし」。「天使のまなざし」「預言者、羊飼いと東方の三博士のまなざし」のように具体的なキャラクターを表したり「沈黙のまなざし」「交換」のように神秘性などについて間接的に表現したり。

一番好きなのは「沈黙のまなざし」です。抽象的ですが、例えばステンドグラスだったり、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」や「十力の金剛石」のような色彩感覚があったり、本当に「色」を様々な次元で楽しめる曲です。
もちろん20つそろってはなかなか弾けないので難曲か組み合わせたりすることもあるのですが17楽章、18楽章、19楽章の抽象的コンビ(ちょっと長いですが)はかなり強力です。

20のまなざし、手元には自分で買ったミシェル・ベロフの録音、それから大学から借りたロリオ女史、ロジェール・ムラーロ、そして親愛なるマイケルの録音が。解釈的にあんまり参考にすることは少ないですけどどれもみんな独特の魅力があってよく聞いています。いつか20つそろって弾けたらなあ。

そしてアドベントの最終週に弾く予定なのがジョージ・クラムの「クリスマスのための小組曲、西暦1979年」。
これもかなりスケールは小さいながらも「20のまなざし」とどこか似た雰囲気があって。神秘性みたいなものの表現だったり、あと具体的に言えば「Nativity Dance」の曲調はメシアンにそっくり。
20世紀の作曲家の実に多くがメシアンの影響をなんらかの形で受けている、ということもありますし、きっとクラムのUniversal Mythology的なコンセプトにメシアンの持つ信仰もある程度共感するというか含まれるんじゃないでしょうか。

この曲も特殊奏法が使われてて、アップライトピアノでは再現できないのが残念。
「The Adoration of the Magi」で使われているような弦をピアノの中で押さえるテクニックが割と容易にできるのもあって好きです。もちろん出てくる音も好き。こんなにピアノの音ってまあるくなるんだーって。
そしてどの楽章も結構手や腕で包みこめるくらいの感覚が愛しいですね。クリスマスの音楽と言えば私は断然チャイコフスキーの「くるみ割り人形」なのですが、あれもまたその共通した、「愛しいミニチュア」感にあふれています。
そういえばこの曲は大学から楽譜を借りて来なきゃいけないのですが・・・忘れないようにしないと。

前回書きました、注文してやっとうちにやってきた曲。まずは親しみの深い方から・・・・

フェデリコ・モンポウの「歌と踊り」第5~8番。
以前今日の一曲で第5番を紹介しましたが、これもまた愛しいミニチュアで、作曲家の故郷カタルーニャ地方の雰囲気・音楽が取り入れられてて。8番はちょっと愛着がないのですが、5,6,7番は素晴らしいです。

ECTを受けに入院した後はこればっかり聞いたり弾いたりしてましたね。
ちょうどアレキシサイミア(失感情症。ただ、感情を失う、というよりは感情を認識・表現できない状態をいう)状態が続いていた時期で、音楽にしてもやっぱり音楽の深みを感じたり、表現できなかったりして・・・
結構ピアノ離れがすすんでいた時でもあったので、技巧的にもわりとシンプルな(でも音楽的に満足がいく)モンポウの音楽は本当にありがたかったです。

モンポウが見た(聴いた)夢から生まれた5番、スペインらしい闇の使い方が魅力的な6番、明るくも切ない第7番、無邪気な悲しみと喜びを感じる第8番・・・
どれもユニークで、素敵な曲ですし、できればこの4曲以外(全部でピアノのためには13つあるはず)も弾きたいです。(特にアイリッシュな雰囲気の9番!)

そして弾くのははじめましてになりますCarl Vineの5つのバガテル。
弾くのは初めましてですが色んなところでよく知っています。
作曲家と強いコネクションがあって、この曲(そして他のVineの曲)を初演しているマイケルの演奏だったり(CDで)、そのマイケルの生徒である私の友人の演奏だったり。
なので今までちょっと彼らの専門分野からは意識的に遠ざかっていましたが、やっぱりオーストラリアの曲も弾きたいしいつかマイケルが作曲した曲も弾きたい!と一念発起。

これもまた小品の詰め合わせなのですがどれもキャラが立っていて。
初見でちょっとだけずつ弾いたときに既にもう手が勝手にそれぞれの曲に全く違ったタッチを使い始めて。
色んな意味で楽しく、そして勉強になりそうな曲です。
良い一歩になりそう。

なんか「最近自分の中で話題の曲」はミニチュアが多いんですね(汗)
弾いてる曲はそんなではないはずなんですが・・・あれ?
なにはともあれピアノが弾きたい!明日の朝が楽しみです!


今日の一曲: オリヴィエ・メシアン 「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」より第19番「我眠る、されど我が心は目覚め」



今どのまなざしにしようかな~と思ってしばし悩んだあげく乱数ジェネレータで出てきたのが19番。
好きな曲だし全然紹介してもいいんですけど・・・よくよく考えてみると言葉で説明むずかしくないかい?という感じが・・・

聴くにはとっても美しいし分かりやすいし(先生の感覚だと遅くて長すぎるみたいですが)、弾くのもわりと簡単な方で。
メシアンの「天国的」な幸せ、そして天国的な時間の流れで心が一杯になって解放される曲です。

この「20のまなざし」は第1楽章の「父のまなざし」で明確に現れる「神の主題」から始まって、そこから第5楽章、第11楽章、第15楽章と・・・バリエーションではないんですがその主題の展開があって。
その延長線上にこの曲は位置していて、「神の主題」の輪郭というか形はもうないんですが、その雰囲気をとどめたままもっと自由に、抽象的に神の愛や神秘性を表現しています。

やっぱり言葉で言うのは難しいんであんまり言うと墓穴を掘るのですが、この曲はどんな媒体で聴いてもあらゆる方向からじわじわきますね。本当にすっぽり包まれる気持ち。
弾いてると逆にあらゆる方向にじわじわ広がっていって、それに自分が包まれるのが心地良く。
聴いてると自分は心地いいけど聴き手はどうなのかなあ、弾いてるほど深さと暖かさを感じてもらえるのかな、とたまに不安になったりします。

なんだか失敗した感はあるのですがやはり音楽は聴いてみるに限るので、とりあえず私の紹介をdisregardしてまずは聴いてみてもらえると嬉しいです。報われます(汗)


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