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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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Si bemol mineur
なんだか今忙しい?という感じでここ数日過ごしています。
なるべくピアノもやりたいなあー・・・

以前24keysvirus企画で調について自分が持っているイメージについていろいろ繰り広げてみました。
その後も1,2度調についての話をしているのですが今日はちょっとその中から1つ、いろいろ書いてみたいと思います。

以前も書きましたが私が一番親和性を感じるのおは変ロ短調です。
♭5つのマイナーキー(マイナーな調、ではなく短調という意味で)。
もともと♯よりは♭の調の方がサウンドがなじみやすい傾向はあります。
その中でも変ロ短調に特に惹かれる理由、というのを24keysvirus以来考えていました。
(ちなみに24keysvirusでは「蛾」のカードです)

そもそも変ロ短調というキーはわりと使用頻度が少ないキーだと思います。
楽器は一般的に(移調楽器ではそれぞれの)ハ長調を基準に作られてるのであんまり♯、♭が増えると技巧的に弾きにくくなるというのがありますし(ただ例外としてピアノはある程度♯や♭があったほうが手の形に合いやすい)。
響きの面でも例えば弦楽器だと弦を押さえるよりは押さえない方が音がよく響きますし、共振も起こりやすいですので・・・変ロ短調で使う音の音階には弦楽器の開放弦に当たる音が少ないのでずいぶんくぐもった響きになり、同じ理由で音程の基準となる音が少ないので音程も取りづらい。
(※ちなみに♭の多い調全般に当てはまる事です)

音楽的に近い他の調と比べて変ロ短調はどういうイメージか、というと・・・
ヘ短調のような情熱のエネルギーもなく、変ホ短調のようにどん底まで沈んでもいなく。
ト短調のようにはっきりした悲しみを示しているわけでもなく、ハ短調やニ短調のような不屈の精神、パワーを持っていなく・・・かといって変イ短調のような透明感もなく。

ものすごい爆発するような暗さも持ち合わせているのですが、そのエネルギーを発散させる、というよりは内破する、内に向いてどんどんぐるぐるするような感じで。
暗い調ではあるけれど、どこか不安定な場所に浮いていて、心地良さと心地悪さが一触即発、紙一重。
色で言えばグレー。様々な色の、濃さの灰色。

基本的に一人でぐだぐだ悩む、というかぐるぐるする作曲家が変ロ短調を使う様な気がします。
まずショパンが筆頭(ただピアノにおいて弾きやすい調、ということもあるかも?)。ブラームスだとop.117の2番の間奏曲が真っ先に浮かびます。ショスタコーヴィチは交響曲第13番(第1楽章)。チャイコフスキーも結構使ってますね。
ポップではアコースティック楽器と楽器の作りがそもそも違うので私の持っているイメージとはどうやら違う感じですが、wikipediaに変ロ短調の主な楽曲のリストがあるのでそちらを参照してください。

そういえば前アップしました私が作曲した曲も変ロ短調でした(意外な盲点)。
「好きな調」だと自分がこうなりたい、とか自分にはないものを求めるところがあるんでしょうけど、「自分に一番近く感じる」調だとやっぱり親近感を感じる、というか自分の内面に近いところがあるんでしょうか。
少なくとも自分が自分をどう見てるか、というのが反映されてるのかもしれません。

ショパンは変イ長調を好んだ、という話は聞いていますが偉大な音楽家、はたまた自分の周りでもあんまり自分の好きな調、自分が心地良い調、というのを話した事がないので・・・
他の人のキー事情はどうなってるか知りたいですね。


今日の一曲: ヨハネス・ブラームス 間奏曲 op.117-2



なんだか20世紀より前の曲久しぶりな気が・・・(気のせい?)

先ほどちょろっと言及した曲です。大学の最終年に大事に弾きました。
私にとってはまさに!変ロ短調な曲です。
足が地に着かないけれど飛べてもいない不思議な浮遊感だったり、液体でなく流体が流れるようなスローなけだるい動き、闇に沈みきれないグレーな暗さ。
途中で長調がでてきてもなんというか素直に喜べないし。

ブラームスと言えば私はなんとなくがっつりステーキ派、というかchunkyな和音をがっつり楽しむのが好きなんですが・・・こういう流動的で濃くない(でも決してあっさりではない(笑))のも良いですよね。
ブラームスらしいっちゃあらしいですし。ぐずぐずしているところが(ちょっと失礼)。

昔名探偵コナンの漫画で「ねずみ色は動物の名前が入ってるから暖かそう」という感じのくだりがあったのですが、なんだかこの曲でそれを思い出しますね。灰色で、暖かくて、血が通っていて。

なんかちょっと心の気分がすぐれないときに良い曲です。
気分を晴らしてくれたり、解決策を示してくれるような音楽ではないのですが、とことん傍にいてくれて、一緒にぐるぐるしてくれて、そっと支えてくれて、優しく慰めてくれる曲です。

(リンクした録音、試聴があるみたいです。「インテルメッツォ 変ロ短調 Op.117-2 」です。)

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