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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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My cello and I
メルボルンのじめじめした天気、そろそろ終わりでしょうか。
ピアノ練習(毎日するようになりました)にはエアコンの除湿モードが欠かせません。なんといっても暑いし、ピアノの響きとかタッチがやっぱり変わってきます。気持ち悪いです。(ただでさえ頼りないピアノなんですが)

そして湿気は私のもう一つの楽器にも敵。
ちょうどこないだ私の前のチェロが戻ってきて、めでたく家には人の数以上に楽器があることに。
そんなに頻繁に弾くというわけでもないのですが、とにかくこの子が帰ってきて嬉しいです。

そもそも私がチェロを始めたのは小6のころ。
オーストラリアに来て1年、ようやく「学校で楽器が習える」というシステムが存在することに気づき。
既にピアノは学校の外で習ってますし、授業でオーボエを習っていたのですが、日本で小学校にいたとき担任の先生がチェロを弾いてたのを聴いて以来音が物凄く好きだったチェロが習いたい、という話になり。

最初はハーフサイズのチェロで始めたんですよ(笑)(といってももちろん半分のサイズ、というわけではないです)。で、小学校のオケにもリクルートされて、そのまま中学校、高校と学校のオケだったり弦楽四重奏などのアンサンブルで弾いたり・・・それからメルボルンのユースオケにもオーディションで入り。
大学でもちょっとだけオケで弾きました。チェロも。
結局レッスン続けてたのは大学2年くらいまでかな?全部で4人の先生に習いました。

うちの学校は女子校で、徒歩5分のところにある兄弟校の男子校とよく合同コンサートしてたんですが、その時に向こうの生徒から「Little cellist」と呼ばれていました。
小さなチェリスト、確かにそれはそうなんですけど、やっぱりあのサイズの楽器をこのサイズ(150cm前後)の私が弾いてる視覚的なインパクトで色々なところで覚えてもらった感があります。
(チェロを弾く男子は背高い人が圧倒的に多いですが、女子だとでも小さめの体型は珍しくないですね)

弾いてる、もそうですが運んでる、もまた目を引く光景らしく。
結構送り迎えも多かったですが、電車移動もたくさんしましたし、徒歩で運んだこともたくさん。
引っさげて歩くこともあれば、ケースについてる車輪で転がしたり。(一番最初のチェロはソフトケースには背負えるようストラップもついていました。ハードケースでもついてるやつありますね)
なんだかでも転がすと振動がちょっと心配なので結局手で引っさげるんですよね。ケースに入ってると10kgしちゃうんですが。
そのおかげかなんだか10年生での握力測定では右36kg左48kgとかいう数値が出ています(ただ機械の正確さは分かりませんが)。
今回チェロを取り戻してきた時、何年もそんな重いもの運んでないので駅から家まで大変な思いをしました。

チェロを飛行機に乗せたこともあります。
ユースオケのタスマニア演奏旅行、学校のオケのイギリス演奏旅行、それから1回だけ日本への一時帰国で。
いろいろ詰め物したり大変です。さすがに席をとるわけにもいかないのでOversize luggage扱いで。
でもひやひやものなので、毎回。

my cello今家に2つチェロがありまして。一つは私がチェロ活動の最後に使っていた7/8サイズのチェロ。そしてもう一つはこないだ取り返したフルサイズのチェロ(写真参照)。
7/8サイズの方はハンドメイドの中国製(需要が低いサイズなので必然的にハンドメイド)で、割と新しい楽器。フルサイズの方はドイツ製の1863年生まれ。もちろんこっちの方が音が良いです。
でもフルサイズだと若干私の手には大きい、ということで買い替えたんです。ただやっぱり一緒に老いるならフルサイズの方だなーと思ったので売り手がつかないうちに取り戻してきたんです。諸々修理してもらって。
修理してもらったらもともと豊かで渋い(ドイツらしい!)この楽器の音がより開いた、というか特に低音がものすごく響くようになりました。

チェロを弾いている間、本当にいろいろな人に出会って、お世話になって。
いろいろ楽しい思い出もあります。チェロでバリケード作ったり、チェロばっかり集まって12の違う調で同時に「メリーさんの羊」を弾いたり。
チェロのコミュニティって必ずしも結束力が強いわけではないですけど(例えばホルンやトロンボーンのように)、お互いへの尊敬などが強いような気がします。
チェロをアクティブに弾くことを止めてからもチェロを弾いてる友達とは本当に仲良くしてもらって、強いコネでいてもらって・・・
私よりもずっとレベルが上のチェロ弾き友達にチェロ弾きだった経験を買われて伴奏を頼まれたり、ちょっと演奏を聴いて意見を欲しいと言われたり、そういうときが本当に嬉しかったです。

仕事にピアノにその他に忙しいですが、たまにはチェロも弾いてあげたいです。
(それにしてもチェロが2つ部屋に置いてあって若干狭くなりました・・・)


今日の一曲: エルネスト・ブロッホ 「シェロモ」



チェリストならばだれもが目指す曲といったらドヴォルザークの協奏曲かと思いますが、私がチェロで一番弾きたかった「協奏曲的な」曲は間違いなくこの曲でした。そして今も変わりません。
「シェロモ」とはヘブライ語でソロモンのこと。旧約聖書にもよくでてくるソロモン王のこと。
そこから分かるようにヘブライ風の曲です。めちゃくちゃヘブライです。
(ブロッホはチェロやビオラのためにヘブライ関係の音楽をいっぱい書いてて嬉しいです♪)

この曲のそのユダヤ風なところも好きですし、中間部の5連符のリズムも好きですし、オーケストラと一体になってる感、でも同時にチェロが自由に羽ばたけるところも好きですし。
技巧的にはほとんど(全部?)単音なのも好きです(笑)double stopping苦手なので。
そしてブロッホが良くユダヤ系のメロディーで使うquarter-toneも好きです。

で、ストーリーでこの曲を使う際にこの曲のスコアを見たのですが、よくよく見ると楽器使いもすごい!
ハープやチェレスタの使い方だったり、コントラバスからコントラファゴットからバスクラから銅鑼から低音の楽器ばっかり重ねて使う部分だったり。
すごいぞブロッホ!と思います(笑)

チェロを弾く人は大抵その音に惚れて始める・続ける人が多いように思えるのですが、その音の美しさはこの曲にあますことなく現れていて。技巧の華やかさでこそドヴォルザークの協奏曲にはかないませんがたまらない魅力があります。

チェロでユダヤ音楽、やっぱり憧れますね-。いつかクレズマーとか弾きたいです。

(ちなみにリンクしたCDにこの曲、ドヴォルザークの協奏曲と共に収録されているブルッフの「コル・ニドレイ」もユダヤ題材の曲です。また後日に。)

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