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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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Schindler, Night and Holocaust
妹が友達と旅行中なので久しぶりにDVDを借りて観ました。
オーシャンズシリーズを全部見てないのでとりあえず11を久しぶりに見て、それからall-time favouriteのモンティ・パイソンのHoly Grail。
そして昨日は初めて「シンドラーのリスト」を観ました。

テーマ音楽が名曲なこと(そして弾いた事があるのもありますね~ジョン・ウィリアムスはどんな映画でもぴったり、ハズレがない!)ももちろんあって、その影響も随分強いのですが、本当に良い映画でした。(「良い」の詳細についてはおいおい)もっと早くに観ればよかったです。きっかけはものすごくたくさんあったのに。

この映画の舞台となっている時代を歴史の中で好き・・・というのはちょっと間違っている気もしますが、本当に思い入れが深い時代です。
第二次世界大戦が地理的には二つの戦争に分かれていたようなところもあって、ヨーロッパの学校では例えば日本の原爆やなんかのことが比較的あまり教えられなくて、逆に日本の学校ではホロコーストなどのヨーロッパ側のことがあまり教えられていない傾向があるように思えます。
オーストラリアはというと、太平洋側の戦争はもちろん当事者ですし(ダーウィン空襲など)、ヨーロッパの影響も文化・歴史的に大きいのでどっちも習った気がします。

そもそも10年生の歴史でこの時代をやったときは、2人で組んでやるリサーチプロジェクトが主な勉強でした。
トピックをそれぞれ選んで(もちろんグループ数よりもトピック数の方が断然少ないですので偏りを少しでも減らすようなっています)、提出と共にクラスにプレゼン。それでお互いから学んでこの複雑な戦争のいろんな側面をカバーする、というシステムです。
トピックにはオーストラリアに深く関連するKokodaでの戦い、ダーウィン空襲、それからヨーロッパ側ではロンドン空襲もあったかな?私はこのときアウシュヴィッツの強制収容所について調べました。
Powerpointのプレゼンテーションで、自分でテンプレートも作って(わずかに黒ずんだ赤のバックに黒い太陽をあしらったものでした)、アウシュヴィッツのツアーみたいな形でプレゼンをしました。

それがきっかけで(正直自分のプロデュースが自分の心に一番響いてしまった)、ナチスとユダヤ、ホロコーストのことに興味を持ち始めて。今もそうですが、本当にあったこととは信じられないような部分もあり(でも今語り継がれたり記録にあることは大部分本当だとされています)・・・
ただこのトピックに関しては歴史の授業でなく、12年生の英語の授業でさらに深く習いました。

12年生の英語の授業でElie Wieselの「Night」という本を勉強しました。
著者がまだ十代だったころ体験したホロコーストの経験を綴った本で(ただ全部本当かどうかは疑わしく、どれだけが本当のことかは今でも議論が続いているらしいです)、薄いながらも内容の濃さは半端ありません。
自分の命と家族(または他人)との繋がりや犠牲、自分の信仰を捨てるかどうか、そして同時に極限状態において人がどれだけ変わるか、など・・・
この本も私ものすごく好きです。信仰やアイデンティティの問題などが興味深く、他にも多くのことが心にストレートで来て、ちょっと大げさかもしれませんが「人間」についていろいろなことを教えてくれるような気がします。

ショスタコーヴィチなどの音楽に現れるユダヤ音楽の影響や引用を通じてユダヤ音楽を愛するようになりながら、同時にこの時代への興味を増し(手塚治虫の「アドルフに告ぐ」も読みました)・・・なんというか「どうしてこんなことになったんだろう」とか「実際何があったんだろう」「どうなったんだろう」という果てしない心が痛くなるほど好奇心が湧いてきて。
(ユダヤ音楽の興味についてはこちらのエントリーでも語っております)

そして今回「シンドラーのリスト」を観て。
「Night」で読んだような行為が目の前で映像として起きていることになんとなく「ああ、やっぱりなのか・・・」という気持ちがあったり(実際ホロコーストをあまり知らない人がこの映画をいきなりみちゃうとどうなんだろう、というのが気になりました。だいたいどんなことが起こるか分かってるとあるていど耐性ができますからね)。
シンドラーが聖人でないことが描写されていましたし、SS側のGoethも人間的なところを描写していましたし。映画においての描写の仕方(小さい女の子の赤いドレス、銃の光に照らされる窓など)もすごかったですし。
そして音楽がいいです。メインテーマだけでなく、劇中のユダヤの歌とか、なんだか・・・懐かしいってのも変ですが。
あと他にもちょこちょこツボったところがたくさんありましたが割愛させていただきます。

少なくともサントラを買おうと思ってます。もしかしたらいつかDVDも。
映画は映画ですが、実際に映像を見て自分の中でホロコーストあたりに関して抱いてた思いに関して少し固まったな、ということもありますし。
今でもやっぱりもっと知りたい、と思います。

フォローアップというかあれですが、シンドラーがこの映画の中で作っていたリストの実物のカーボンコピーがオーストラリアのNSW州立図書館にあるそうです。映画の原作の小説「Schindler's ark」を書いたオーストラリアの作家Thomas Keneallyの資料の中に埋もれてたそうです。

そして日本人でも「日本のシンドラー」と呼ばれ多くの人をナチスの手から逃がした事に多大な貢献をした方がいるそうですよ。私も昨日母に聴いたばかりなのですが、杉原千畝さんという人らしいです。
世の中には人のためにものすごい危険を冒す人がいるのですね。


今日の一曲: モーリス・ラヴェル 「ヘブライの2つの歌」より「カディッシュ」(バイオリン版)



本当に迷いました。シンドラーのリストのメインテーマ、シェーンベルクの「ワルシャワの生存者」(1回しか聴いてませんが)、ブルッフのコル・ニドライ、AchronのHebrew Melody、ショスタコーヴィチのトリオ第4楽章・・・本当にたくさんあるなかでこの曲を。
ラヴェルがヘブライ?とはちょっと違和感があるかもしれませんが、彼の半分はスペインに文化的に近いバスクの血、スペインはイスラムの影響を大きく受けていて、イスラムとヘブライは祈りなどでメロディー的に近い部分がある・・・という間接的なあれで惹かれたのだろうと思います。(推測です)

実際にヘブライの曲やフォーマット(いろいろ難しいらしいです、どんなスタイルの音楽や歌をどんな場面で使うか、とか)を使った曲ではないらしいのですが、フレーズやメロディーの雰囲気やスタイルはユダヤ音楽を参考にしているそうです。

そもそも「カディッシュ」は神を讃える祈りで(ユダヤ人である指揮者・作曲家のバーンスタインは題と題材にカディッシュを用いた交響曲第3番を書いてます。テキストはNightにすこし繋がるところが)。
さらにこの祈りは死者に捧げる祈りとしても使われています。先ほどの「Night」では特に重要な祈りとして扱われていたり。

哀愁を帯びたメロディーに、バイオリン版だと特に顕著に表れるラヴェルらしい音の透明さ。
ヘブライ関係はバイオリンに限る・・・と言いたいところですがこれ、クラリネットでもいけるんじゃないか?聴いてみたい!あ、あとフルートも・・・

心が洗われるような、っていうのはきっとこういう音楽のことを言うんだと思います。物凄く美しい。
もっともっと演奏されて欲しい曲の一つです♪
(リンクの録音は試聴もありますよ!ぜひぜひ!)

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