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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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こだわりの職人気質 (楽器と性格:オーボエ編)
先ほどブログ書き終わり近くで全部消えました!
痛恨のミス!

恒例のおことわり:
1)これらの性格分析は私個人の観察と楽器の特性から導き出したものです。
2)あんまり真剣にとらないでいただけると嬉しいです。それなりに分析はしてますが、とりあえずネタということで。
3)メルボルン発データなので環境要因があると思われ日本人の場合どうなっているかは未知です。
4)個人攻撃、誹謗中傷は全く意図していません。

オーボエの話をしたいんですよ。
一応2年ちょっと吹いてた経験があります。学校で5年生はトランペット・クラリネット・オーボエ・打楽器をローテーションで試して、6年生で一つ決めて一年続ける、というプログラムがありまして。中学校でもちょっと吹奏楽やってました。ただビギナーなので市販のリードをそのまま使ってました(詳しいことは後ほど)。
結局チェロとピアノがあってちゃんとレッスンはできなかったこと、そして口内炎体質がしんどかったのでやまることになったのですが・・・

オーボエというのはギネスブックに載るほど難しい楽器で。
音を出すのにちょっとコツが要るのと、あと美しい音を出すのがものすごく難しいのです。
あと身体的にもしんどい楽器で・・・二つのリードを合わせたマウスピースに息を吹き込むのですが、リードは幅5mmほど、隙間は1mmほどという無茶も甚だしいほど小さい隙間に息を吹き込むので口の中に空気が余った状態になるし、かなりの圧がかかります。
オーボエを吹く人は禿げる、というのもそういうところから来てるのかしら。

そもそもオーボエの前身となった楽器はものすごく古くて、古代ギリシャの葦笛がそれではないかと言われています。アテナが作って吹いていたところを他の女神が見て、ふくれっつらをからかったという神話がありますからオーボエに近そうですね。
(ちなみにそのあとアテナは葦笛を捨てて拾った人が災いに見舞われるように呪いをかけたらしいですよ(汗))

オーボエは本当に感情が凝縮した、濃くて豊かな音を出します。
例えばチャイコフスキーの「白鳥の湖」ではバレエの最初から最後までオーボエが出ずっぱり!
オーボエのソロはスポットライト独り占め、独擅場みたいなセッティングが多いです。一人芝居は得意なので。
独特の音色と独特の感性や表現は「芸術家」!という感じがします。(そして同時に理論的よりは感情的な性質が多いと思います)

逆にこれまでも言ったようにオーボエの苦手分野はたくさんあります。
音域が狭かったり、強弱の「弱」が狭いため伴奏が苦手だったり、音色の独特さのため他の楽器との協調が比較的苦手だったり、20世紀のレパートリーであんまり重宝されてなかったり・・・
だからこそ得意分野のソロでものすごく全力投球でいきますし、上記コンプレックスに触れられるのはあんまり好きでない、という特徴が見られます。

主張は強い楽器です。音量もそうですし,ソロの表れ方もそうですし(みんながどいてくれる)、音色の感情の強さもあり。オケの木管セクション、そして木管五重奏では仕切り役に回ることが多いです。
そしてオケのチューニングにオーボエが基準として使われることを忘れてはいけません。理由はもちろん音程が一番安定しているから、なのですが要するに「みんなが合わせてくれることが普通」という楽器なのです。なかなか道を譲ることが難しい。
(ただ主張が強いからといって大胆ではなく、むしろ小心者に近いはず・・・)

オーボエは難しく、美しく奏でるのが難しい楽器だからこそ、奏者はまじめで一途で努力家、というイメージがあります。
自分の進む道に物凄くこだわって、強い向上心で楽器のmasteryを目指す、その集中したintensityは他の楽器とはちょっと別の世界にあるような気もします。

さらにオーボエではリードが物凄く重要で・・・市販のリードを自分で削って自分に合うように、美しい音色を出すように作り替えていくのです。その作業が本当に細かくて、ちょっとしたミスが音色に大きく響くこともあるそうで・・・オーボエ奏者になるにはそうとうな神経質さ、完璧主義、そしてなによりも「職人気質」を通り越してしまいそうなこだわりがつきものといえるでしょう。

そしてちょっと穿った解釈になりますが苦しい、難しいのを逆に楽しんでいる、そして難しいのを克服していく自分が好きというMっ気+ナルシスト気質もちょっぴりあるのでは、と。

そして「ムキになる」というのもオーボエという楽器から連想する特徴でしょうか。その吹くときの体制(優雅なフルート、飄々としたクラリネット、とぼけたようなファゴットと比べるとかなりテンションが違います)や顔、そしてソロにかける意気込みの度合いなど全力投球=ムキになる、というつながりがあるような。
でもムキにならないと吹けないし、上手くならない楽器だと思います。

なかなか強烈なキャラクターで、オケの中で独特な色彩を放っているオーボエ。
私が影響を受けている茂木大輔さんの楽器人間学関連の様々な本では彼がオーボエ奏者であることもあり、結構オーボエの話が出ています。そちらもものすごくオススメです!




今日の一曲: Ross Edwards 「Ulpirra」

Australian Music Centreの試聴・録音

20世紀以降オーボエは比較的重用されないようになってきた傾向があるようですが、オーストラリアではDiana Dohertyという素晴らしいオーボエ奏者の存在もあり、いろいろなオーボエのための曲が書かれているようです。

この曲は実はオーボエのための、ではなくフルートなりアルトサックスなりソプラノリコーダーなり、とにかく高音の木管楽器(無伴奏)のために書かれている曲。
(試聴のページではアルトサックス版が聴けます)
ただこの曲の魅力はオーボエの音色だとレベルアップするので個人的にはオーボエをプッシュ。

またいつものエドワーズ節・・・といいますか。
くるくる変わる変拍子に跳ねるようなリズム、踊るようなフレーズ。
他の曲と似てるのは分かっててもやっぱり魅力的で、わくわくで、オーストラリアを感じる曲調。
このリズムだったりフレージングの良さを高めるのがオーボエの凝縮された、メリハリのある音だと思っています。
オーボエで聴いてるとクラムの「古の子供の声」にものすごく通じるものを感じます。乾いた大地、古代の踊りや儀式の雰囲気、エキゾチックな風・・・

そしてこの曲で一番楽しみにしてるのが一番最後のところ。
奏者が楽器を持ったまま腕を上に力強く伸ばして、シャウトとともに足を踏みならす。
これもまた古のいろいろを思わせて、どこかくすぐったい(同じくシャウトが入ってる曲を弾く身としてはちょっと恥ずかしいだろうな~という気持ちもあるのかも)。

短い曲ながらも可愛い+土臭い不思議な魅力のある音楽です。


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