忍者ブログ
~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

音程・リズム・ハーモニー・音色
脱皮中の小さなヤドカリさんがなんだか怪しい状態になってます。
死んじゃったかどうかわからないのですがさっきちょいちょい触ってたので生きてたら生きてたで大丈夫か心配・・・
まだ脱皮し始めてから一週間も経ってないし昨日まで動いてたのでまだ希望は捨てたくないです。

唐突ですが音楽は大まかに分けると4つの要素から成り立ってます。
1) Pitch(音程。音程の連なりが音階だったりメロディーですね。主にメロディーとしてここでは扱います)
2) Harmony(ハーモニー。和音・和声とも。調はハーモニーと関係が深いです)
3) Rhythm (リズム。拍子はリズムのものさしみたいなもの・・・?)
4) Timbre(音色。楽器や声など)

全部必要な要素か、というと難しいことろなんですけどね。
少なくともハーモニーは楽器一つの無伴奏の曲だったら実質ないわけですし(ただメロディーなどを使ってハーモニーを示唆することはもちろんあります)
そしてその要素の重要さは曲によって、作曲家によって、その作曲家を取り巻く文化によっても変わります。

国でのこの要素のウェイトの違いってものすごく面白いと思います。
たとえばイタリアはCanto=歌の国だけあってメロディー(pitch)が物凄く発達しています。ハーモニーは原色使い、というかシンプルな場合が多いです。
ハーモニーが複雑で発達しているのはフランス。ドビュッシーやラヴェルなど、和音の進行がメロディーのような役割を果たしている、そしてメシアンなどにみられる複雑なハーモニーの追求だったり。
リズムがはっきりしているのはヨーロッパでいったらハンガリーですね。お隣のルーマニアがちょっとメロディー重視なのに対してものすごく野性的なリズムが特徴です。
リズム、そして同じくらい音色が大切になるのがちょっと大陸変わってアフリカの様々な地方。打楽器が中心なのでリズムがダントツかと思いきや様々な打楽器の「音色」もまた音楽を構成して特徴付けるために大事です。

日本はメロディー重視でしょう、ダントツで。その次に音色。伝統音楽を聴いても常にハーモニーによる伴奏があるわけじゃない、というかメロディーでかなりハーモニーを濃く示唆してると思います。(歌を詠むときも旋律ですよね)単旋律のメロディー楽器がものすごく多いですしね(琴もハーモニー可ながらメロディーに回ることがたびたびあります)。リズムも刻みが細かいのは珍しいですし。
今のポップ音楽でも結構メロディーが他のエレメントと比べてずばぬけて重要とされている感はあります。
オーストラリアはリズムが強い!主にアボリジニ文化からのものなのですが、伝統楽器Didjeridooも音域がものすごく限られて様々なアクセントを色々な箇所につけることで音楽を創り出す、リズム楽器です。
オーストラリアの伝統音楽のリズムはアフリカのリズムにものすごく似たところがありますよ。
ちなみにメロディーに関して一番だと思うのはスペインのカタルーニャ地方とアイルランド。どちらも本当に美しい旋律が特徴的な伝統音楽です。

作曲家のこれらの要素のバランスも結構生まれたり育ったりした国の傾向に準拠する場合が多いような気がします。同時に他の作曲家や国の影響ももちろん受けますし。
ただこの要素のバランスがたまに変わったりすると「お、新鮮だな」とか「○○らしくないけど上手くできてるな」とか新しい驚きがあっていいです。
初めてヴォーン=ウィリアムスの音楽を聴いたとき、イギリス音楽はメロディーが売りなようなイメージがぼんやりあったのでそのハーモニーの美しさに本当にびっくりすると同時に心動かされました。こないだ紹介したラフマニノフも「スタンダードなロシアの音楽」とくらべてハーモニーの複雑さの比重が大きいからこそ「異色」に感じるんだろうな、と思います。

私自身のなかでの割合としては大きい順からハーモニー、リズム、音色、メロディーの順になると思います。
まず小さいときにストラヴィンスキーやバルトークの音楽の影響があったためリズムに関しては昔から深く根付いているものがあると思います。リズムは「原始的な脳」である小脳で扱われるといわれますが正に「本能」に近い物があると思います(少なくとも私にとっては)。
ただそれを若干超えるのがハーモニーかもしれないです。ハーモニーというよりは音色もちょっと入った「色彩」を意識していつも追いかけていて。
ハーモニーに心捕らわれたのとメロディーに対しての執着が目立って薄くなったのは同じきっかけだったりします。メシアンの「幼子イエスに注ぐ20のまなざし」の第17番「沈黙のまなざし」を聴いて弾くようになった時「メロディー要らないじゃん!」と開眼してその曲の全ての色彩を愛するようになった経緯があります。
音色についてですが、ピアノ弾きでありながらどうしてもやっぱりオケが聴くにも弾くにも愛しいと思うくらいですから楽器の音色とその化学反応を大事には思っているんです。ただ上位2つへの意識的な思い入れが半端ないので比較的にこの位置、ということに・・・

もちろん弾く時はどのエレメントも意識しなければなりませんし、聴くときもなるべく全部のエレメントを深く味わいたいです。
でもやっぱりそのバランスが私の音楽だったり私のスタイル、解釈、感じ方に影響があるわけで、そしてそれは音楽を書く側も同じことで・・・
風水地火の話も以前しましたがもっと色んなエレメントを音楽において自由にできるようになれればいいなあ、と思います。特にハーモニーとリズム(やっぱり)。


今日の一曲: エイトル・ヴィラ=ロボス 「ブラジル風バッハ」第4番 第3楽章



昨日の一人初見祭りでの主役だったこの曲。私にとって初めて弾く曲ですが本当に長いこと知っている曲です。
ヴィラ=ロボスはなんとブラジルの作曲家。ちなみにお隣のアルゼンチンもジナステラ(ヒナステラとも読む)という作曲家を輩出しています。(残念ながら未体験な作曲家です。今年はお知り合いになりたい!)

父の初めての海外が中南米で私が生まれる前はブラジルに行ったり、ギターを弾いてボサノバが好きだったり、とにかく父がブラジル好きでヴィラ=ロボス好きで昔からこの曲を聴いていました。
普段は母と好みが近いのでフランス物とか母の好みの曲を弾く傾向がありますが、父の好みの曲であるこの曲も今年はいつかチャレンジしたい!と思ってます。

「ブラジルのバッハ」。第4番とあるからには勿論他の番号もあります。ただピアノのために書いてあるのは第4番だけ。シリーズですが色んな楽器のために書かれています(ベリオの「Sequenza」と似たような感じですね)。
なぜこういう名前かというとブラジルの民族音楽とバッハの作曲スタイルを融合させるのが目的らしく。楽章のタイトルも西洋音楽風だったり、ブラジルを思わせるものだったり。
なんとなーくですがこの第4番の最初の3つの楽章も、例えばバッハの前奏曲とフーガにおける前奏曲みたいなまとまりかたがあるような気もします。

第3楽章を選んだのは今日話しましたリズムのエレメントで少し特別なものがあるから。
第3楽章は「賛歌」で、悲しげで、苦しげで(これはハーモニーが良い味出してます)、どこかやっぱり民俗音楽の雰囲気があるメロディーを中心とした冒頭から始まって・・・
そして中間でサンバのリズムに似たいかにもラテンアメリカ!というようなリズムの速いセクションが現れます。
初見で弾くとちょっと手が戸惑いますね!こういうリズムは西洋の音楽にはあんまりないですから、リズムを知ってて感じられてても上手く弾けないもどかしさに思わず「ブラジル-!」と叫んでしまった、と余談ですが。

もっともっとリズムが感じたくなる、そしてハーモニーで心をきゅっとする曲です。


拍手[0回]

PR
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Comment:
Pass:
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック