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昨日は統合失調症のレクチャーに行ったあとちょっと心の調子が悪くて休んでました(汗)
家に入ってから楽になったのでおそらく秋の涼しさが影響したのかも・・・
メルボルンも冷夏に早く涼しくなって・・・これからの季節、ちょっと心配ですが少しは慣れる・・・はず。
レクチャーの感想はhopefully次回に。
そして本題に入る前にもう一つ。
The Australian紙の記事(この記事、そしてここの読者の声)で「オーストラリアで日本の被災者を一時的に受け入れたらどうか」という声が上がっていて本当に、本当に!心打たれました。
これがオーストラリアのでっかい包容力だ!と。オーストラリアでよかったと涙しそうになりました。
ちなみにまだ提案段階で、海外避難は日本では検討されてないだろうし需要も微妙だと思いますが申し出があっただけでも本当によかったと思います。
Victoria Adamenko著「Neo-Mythologism in Music - From Scriabin and Schoenberg to Schnittke and Crumb」。
読み終わりました。でも随分時間がかかったんでうまく身についていません。なのでなんとか感想頑張ります。
20世紀において音楽は決まった流派がなく、みんながそれぞれの難しいことをやってた、ちょっとカオスな印象がある方も多いと思います。
でも実はこの多様性のなかに見えない繋がり、共通する源があって、時代の流れをちゃんと作っている・・・ということをこの本では考察しています。
キーワードはNeo-mythologism=新神話主義。
この本でいう「神話」とは古の神話のことではなく、その流れを見えない形で汲んでいる、なかなか形にして説明することは難しいコンセプトなのですが・・・
大まかに言うと「リアリズム」が対象を直接的に表現するのに対して「神話主義」というのは広義に言えば何か別の表現を通して表現すること。(音楽のモチーフでキャラクターを表したり、オーウェルの「動物農場」で動物たちの物語を通じてロシア革命の顛末を語ったり、など)
もちょっと詳しく言うと、ある物と別の物に新しく意味の繋がりが生まれ、抽象的・スピリチュアルなものに「意味の繋がり」が生まれることによってそれを感じ取ることができる、そして意味を繋げ感じ取る行為・・・
うーん、難しいんでまた定義は今度にしてください!
あと20世紀の神話は例えばユングの深層心理につながってたり、科学を取り入れたり、様々な文化の要素を取り入れるのが特徴的。そうやって個人個人の中に独自の「神話」を創り上げて、それぞれの表現者が独自の方法で表現していく、と。
宗教が社会をささえる時代に終わりを告げ、「個」の意識の時代になった20世紀に私たちの心の柱になっているものはなんなんだろう、という事にも繋がっていますし、20世紀以来のファンタジー、SF文学、ゲーム、映画などを分析してみるとその根底にこの時代に生まれた20世紀の新しい「神話」的な特徴があったりするのです。
私の好きな物で言うと手塚治虫「火の鳥」、萩尾望都「スター・レッド」、Sacrifice, Ancient Domains of Mystery、Earthseaシリーズ、封神演義、そして自分の創作など・・・
本の中で語られているのはほとんど音楽のことなのですが、思考を広げてみると自分の周りの色んな事が神話主義で説明がつくようになってきます。
ニーチェは「神は死んだ」といったけれど、別の形で「何か」が存在しているんだなあ、と思います。
きっと私と同じくこの本を読んで感じる人はいないかもわかりませんが、私にとっては自分の生涯で読んだ本のなかで確固たる、ダントツのNo. 1を誇っています。
もともとこの本を手にとったのはクラムの音楽についての論文で引用されていたことがきっかけで、クラムの音楽について知りたくて読んだのですが、その目的だけでなく10倍ものことが自分の中で明らかになった気がします。
自分は無神論者だ、と認識して久しいですが、それでも宗教とは違う何らかの「信仰」みたいなものがあるような気がしてきたことへの説明だったり・・・
自分が自分の創作で何を望むか、そしてそのコンセプトなどを磨くにはどうしたらいいか、ということの答えの一部だったり・・・
あとファンタジーなどで設定にリアリティがでるのはどういう時か、とか芸術においての多文化の共存、とか。
心を突いたコンセプトとしては・・・
1)数字がユニバーサルな言語・シンボルであること(確かに!と思いました)
2)宇宙とか時空・空間とか「完全な円」あたりの話が説明しにくいんですがたまに鳥肌が立つような話になったり。
3)二つの対照的なエレメントの存在(光と闇、神と悪魔など)、そして仲介させる存在
4)クラムの音楽などで見られる「意味のない音節」の意味など
などなど。イマイチ身についてないんでまた別の機会に・・・
ちなみに、本のタイトルに出ているスクリャービン(独自の神秘主義を作った)、シェーンベルク(数字に関して迷信的だった)、シュニトケ(詳しくは知らず)、クラム(自身この本で言う神話的な影響を認めている)の他にもいろんな作曲家の話、曲の考察があります。
ワーグナーやストラヴィンスキーなどすぐになるほど、と思うのもあればヒンデミットやシュトックハウゼンのように「予想だにしなかった!でも言われてみるとそうかも!」と思う作曲家もいて。ちょっと見る目が変わりましたね。
シュトックハウゼンとかシュニトケは聴いてみたことはあってもなかなか理解・アプローチしづらく思えたのですが、この本を読んでもっと勉強してみよう、という気になりました。
この本に書いてあることを例えばクラムの音楽の誤解を解く(?)、もっと知ってもらえるような入門書・・・的なものを書くときに含めると彼の音楽の心がもっと分かると思います。
とにかくこの本を読んで20世紀音楽を見る目が変わると思います。この本でカバーされてる考察はなかなかこれまで形にされてこなかったので(音楽に限らず)・・・
私は音楽だけでなく、さまざまなフィクション作品、自分の創作、そしてある意味自分だったり、自分の周りの世界ががらっと変わったような気がしました。
とりあえずまだファーストインパクトで勉強すること、自分の心と知識に取り込むことがいっぱいあって上手く説明できませんが・・・
「神話的」なエレメントを持った作品は日本にも多数溢れているので読んでみると面白いかも、と思います。
(音楽の知識がないとやっぱ難しそうですが・・・)
とにかく買う!なんとしてでもこの本は手元において熟読・そしてクラムの勉強、創作に使いたい!
いろいろ自分の中だけで納得したり盛り上がっててすみません~(汗)
今日の一曲: イーゴリ・ストラヴィンスキー 「春の祭典」より「春のきざし(乙女達の踊り)」
「新神話主義」と一口にいってもそのアプローチの仕方は人それぞれ。
クラムはシンボル的なテイストが強く、スクリャービンはそれを神秘・宗教のように捉え・・・
そしてストラヴィンスキーはわりと儀式的かつ数学的?メカニカルなアプローチをしていると思います。
かれの音楽における「神話」はモチーフの展開の仕方だったり組み立て方など構成要素に多く見られます。
新神話主義で面白いのが、その研究の中心がロシアだと言うこと。
もちろん当時ソヴィエトでは共産主義の一環として宗教が弾圧されていたため他の逃げ道を見つけ表現する必要があったこともあります。
さらに、ピョートル1世の欧化政策以前の「元のロシア」の文化が再発見され始めたのも20世紀だと言われています。これもまた既にある宗教から外れて別の信仰やspiritualityを見つけるきっかけになったかしら。
このブログでこの「春の祭典」の初演の騒動については何回か書いてるはずなのでそこはちょっと割愛。
「春の祭典」は欧化以前のロシアの奥地の春の生け贄の儀式をモチーフとしています。
それを表すため西洋の音楽で見られたことのないテクニックなどをたくさんたくさん使って(振り付けもそうですが)。
そしてその雰囲気は大変エキゾチックで、自然との繋がりも感じられ(さっき書かなかったですがこれも神話性の特徴)、さらに「儀式的な」雰囲気があります。
そして新神話主義とされる音楽でよくある傾向なのですが一見カオスでも実はものすごく綿密に計算してあります。
さらにメロディーというよりは本当に短いモチーフ(素数的、といいたいですね)を繰り返したり展開したり。これもこの曲で見られます。(さらにその短いモチーフのいろんな種類をいろんな楽器で重ねたり)
その繰り返しのぐるぐるした感じが儀式的・呪文的なのかな、と思います。
うーん、やっぱりこの楽章だけ抽出して、というのは難しいのですがこの「繰り返しによる儀式的雰囲気」が一番分かりやすいので選びました。
ぜひ耳を傾けてください。そして「春の祭典」バレエ全曲も。
(ブーレーズの指揮の試聴有りリンクにしました~)
家に入ってから楽になったのでおそらく秋の涼しさが影響したのかも・・・
メルボルンも冷夏に早く涼しくなって・・・これからの季節、ちょっと心配ですが少しは慣れる・・・はず。
レクチャーの感想はhopefully次回に。
そして本題に入る前にもう一つ。
The Australian紙の記事(この記事、そしてここの読者の声)で「オーストラリアで日本の被災者を一時的に受け入れたらどうか」という声が上がっていて本当に、本当に!心打たれました。
これがオーストラリアのでっかい包容力だ!と。オーストラリアでよかったと涙しそうになりました。
ちなみにまだ提案段階で、海外避難は日本では検討されてないだろうし需要も微妙だと思いますが申し出があっただけでも本当によかったと思います。
Victoria Adamenko著「Neo-Mythologism in Music - From Scriabin and Schoenberg to Schnittke and Crumb」。
読み終わりました。でも随分時間がかかったんでうまく身についていません。なのでなんとか感想頑張ります。
20世紀において音楽は決まった流派がなく、みんながそれぞれの難しいことをやってた、ちょっとカオスな印象がある方も多いと思います。
でも実はこの多様性のなかに見えない繋がり、共通する源があって、時代の流れをちゃんと作っている・・・ということをこの本では考察しています。
キーワードはNeo-mythologism=新神話主義。
この本でいう「神話」とは古の神話のことではなく、その流れを見えない形で汲んでいる、なかなか形にして説明することは難しいコンセプトなのですが・・・
大まかに言うと「リアリズム」が対象を直接的に表現するのに対して「神話主義」というのは広義に言えば何か別の表現を通して表現すること。(音楽のモチーフでキャラクターを表したり、オーウェルの「動物農場」で動物たちの物語を通じてロシア革命の顛末を語ったり、など)
もちょっと詳しく言うと、ある物と別の物に新しく意味の繋がりが生まれ、抽象的・スピリチュアルなものに「意味の繋がり」が生まれることによってそれを感じ取ることができる、そして意味を繋げ感じ取る行為・・・
うーん、難しいんでまた定義は今度にしてください!
あと20世紀の神話は例えばユングの深層心理につながってたり、科学を取り入れたり、様々な文化の要素を取り入れるのが特徴的。そうやって個人個人の中に独自の「神話」を創り上げて、それぞれの表現者が独自の方法で表現していく、と。
宗教が社会をささえる時代に終わりを告げ、「個」の意識の時代になった20世紀に私たちの心の柱になっているものはなんなんだろう、という事にも繋がっていますし、20世紀以来のファンタジー、SF文学、ゲーム、映画などを分析してみるとその根底にこの時代に生まれた20世紀の新しい「神話」的な特徴があったりするのです。
私の好きな物で言うと手塚治虫「火の鳥」、萩尾望都「スター・レッド」、Sacrifice, Ancient Domains of Mystery、Earthseaシリーズ、封神演義、そして自分の創作など・・・
本の中で語られているのはほとんど音楽のことなのですが、思考を広げてみると自分の周りの色んな事が神話主義で説明がつくようになってきます。
ニーチェは「神は死んだ」といったけれど、別の形で「何か」が存在しているんだなあ、と思います。
きっと私と同じくこの本を読んで感じる人はいないかもわかりませんが、私にとっては自分の生涯で読んだ本のなかで確固たる、ダントツのNo. 1を誇っています。
もともとこの本を手にとったのはクラムの音楽についての論文で引用されていたことがきっかけで、クラムの音楽について知りたくて読んだのですが、その目的だけでなく10倍ものことが自分の中で明らかになった気がします。
自分は無神論者だ、と認識して久しいですが、それでも宗教とは違う何らかの「信仰」みたいなものがあるような気がしてきたことへの説明だったり・・・
自分が自分の創作で何を望むか、そしてそのコンセプトなどを磨くにはどうしたらいいか、ということの答えの一部だったり・・・
あとファンタジーなどで設定にリアリティがでるのはどういう時か、とか芸術においての多文化の共存、とか。
心を突いたコンセプトとしては・・・
1)数字がユニバーサルな言語・シンボルであること(確かに!と思いました)
2)宇宙とか時空・空間とか「完全な円」あたりの話が説明しにくいんですがたまに鳥肌が立つような話になったり。
3)二つの対照的なエレメントの存在(光と闇、神と悪魔など)、そして仲介させる存在
4)クラムの音楽などで見られる「意味のない音節」の意味など
などなど。イマイチ身についてないんでまた別の機会に・・・
ちなみに、本のタイトルに出ているスクリャービン(独自の神秘主義を作った)、シェーンベルク(数字に関して迷信的だった)、シュニトケ(詳しくは知らず)、クラム(自身この本で言う神話的な影響を認めている)の他にもいろんな作曲家の話、曲の考察があります。
ワーグナーやストラヴィンスキーなどすぐになるほど、と思うのもあればヒンデミットやシュトックハウゼンのように「予想だにしなかった!でも言われてみるとそうかも!」と思う作曲家もいて。ちょっと見る目が変わりましたね。
シュトックハウゼンとかシュニトケは聴いてみたことはあってもなかなか理解・アプローチしづらく思えたのですが、この本を読んでもっと勉強してみよう、という気になりました。
この本に書いてあることを例えばクラムの音楽の誤解を解く(?)、もっと知ってもらえるような入門書・・・的なものを書くときに含めると彼の音楽の心がもっと分かると思います。
とにかくこの本を読んで20世紀音楽を見る目が変わると思います。この本でカバーされてる考察はなかなかこれまで形にされてこなかったので(音楽に限らず)・・・
私は音楽だけでなく、さまざまなフィクション作品、自分の創作、そしてある意味自分だったり、自分の周りの世界ががらっと変わったような気がしました。
とりあえずまだファーストインパクトで勉強すること、自分の心と知識に取り込むことがいっぱいあって上手く説明できませんが・・・
「神話的」なエレメントを持った作品は日本にも多数溢れているので読んでみると面白いかも、と思います。
(音楽の知識がないとやっぱ難しそうですが・・・)
とにかく買う!なんとしてでもこの本は手元において熟読・そしてクラムの勉強、創作に使いたい!
いろいろ自分の中だけで納得したり盛り上がっててすみません~(汗)
今日の一曲: イーゴリ・ストラヴィンスキー 「春の祭典」より「春のきざし(乙女達の踊り)」
「新神話主義」と一口にいってもそのアプローチの仕方は人それぞれ。
クラムはシンボル的なテイストが強く、スクリャービンはそれを神秘・宗教のように捉え・・・
そしてストラヴィンスキーはわりと儀式的かつ数学的?メカニカルなアプローチをしていると思います。
かれの音楽における「神話」はモチーフの展開の仕方だったり組み立て方など構成要素に多く見られます。
新神話主義で面白いのが、その研究の中心がロシアだと言うこと。
もちろん当時ソヴィエトでは共産主義の一環として宗教が弾圧されていたため他の逃げ道を見つけ表現する必要があったこともあります。
さらに、ピョートル1世の欧化政策以前の「元のロシア」の文化が再発見され始めたのも20世紀だと言われています。これもまた既にある宗教から外れて別の信仰やspiritualityを見つけるきっかけになったかしら。
このブログでこの「春の祭典」の初演の騒動については何回か書いてるはずなのでそこはちょっと割愛。
「春の祭典」は欧化以前のロシアの奥地の春の生け贄の儀式をモチーフとしています。
それを表すため西洋の音楽で見られたことのないテクニックなどをたくさんたくさん使って(振り付けもそうですが)。
そしてその雰囲気は大変エキゾチックで、自然との繋がりも感じられ(さっき書かなかったですがこれも神話性の特徴)、さらに「儀式的な」雰囲気があります。
そして新神話主義とされる音楽でよくある傾向なのですが一見カオスでも実はものすごく綿密に計算してあります。
さらにメロディーというよりは本当に短いモチーフ(素数的、といいたいですね)を繰り返したり展開したり。これもこの曲で見られます。(さらにその短いモチーフのいろんな種類をいろんな楽器で重ねたり)
その繰り返しのぐるぐるした感じが儀式的・呪文的なのかな、と思います。
うーん、やっぱりこの楽章だけ抽出して、というのは難しいのですがこの「繰り返しによる儀式的雰囲気」が一番分かりやすいので選びました。
ぜひ耳を傾けてください。そして「春の祭典」バレエ全曲も。
(ブーレーズの指揮の試聴有りリンクにしました~)
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