忍者ブログ
~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

大人の絵本(なぜかウサギづくし)
昨日のエントリーで音楽の感じ方について書いてたとき聴き手、そしてその状態や経験なども関係してくる、と書いたのですが、だから人間の音楽の感じ方ってその人の経験や価値観、記憶の積み重なりでもあり実際の音楽や演奏している人の思いと同じくらい聴き手が音楽を創り出している・・・ということも書きたかったんですがすぽっと抜けてました。
またいつかまとまったときにきちっと。

このブログで紹介する、話に出る本はヤングアダルトフィクション、または学校で勉強した(&小論文かいたりもした小説等が多いのですが(学校で勉強した本は良い物揃いです。こちらのエントリーに)、絵本分野でも好きなものもちらほらあるんですよね。
なかなか紹介する機会がなかったのですがちょっと今回挑戦。
メインで紹介したい3冊はなんと全部ウサギが主人公扱い。なんたるイースターの呪い・・・でなく縁。


仮面舞踏会(マスカレード) キット・ウィリアム著

いつのまにかうちにあった絵本ですが、なにげに手に取ってからは虜に。
ストーリーは至ってシンプル。太陽に恋する月がその思いを太陽に届けようと一匹のうさぎに手作りの首飾りを託す。ウサギはそれを預かり旅に出るが・・・というお話です。
ただこの本はストーリーだけじゃないんです。話の終わりにウサギは自分が預かった大切な首飾りをなくしたことに気づくのですが、その首飾りを著者が実際につくって、絵本の絵やなぞなぞなどに隠されたヒントからわかる「ウサギが首飾りを落としたとされる」その場所に実際に隠していた、いわゆるリアル宝探しとして書かれた絵本だったのです。
もちろん昔の本なのですでに首飾りは見つけられていて(その経緯がちょっと残念なのですが・・・)、答えの見つけ方も公開されているのですがでもああでもないこうでもないとこの巧妙なパズルを解くのが本当に楽しい!
裏表紙に書いてあるのですが「ことば(英語)が理解でき、簡単な数学と天文学の知識さえあれば十歳の少年にも、オックスフォードの大先生同様に解けるものです」。
日本語版だといろいろ謎解きには不都合があるのですが巻末の袋とじに謎解きのヒントとして元の英語の文が掲載されてたりします。
英語もそんなに難しくないですよ~


The Rabbits ジョン・マーズデン著

Tomorrow, when the War Beganを始めとするTomorrowシリーズの著者としてこのブログにも何度も言及があるジョン・マーズデンによる絵本です。
学校で一度読んだことがあるだけで手元にはないのですが、強烈なインパクトのある、正に大人向けの絵本です。
もちろんただの絵本ではありません。動物たちが平和に暮らしている地へ突然現れ、増え広がり奪っていったウサギたちの様子を綴るストーリーは痛烈な風刺表現です。
ジョン・マーズデンはオーストラリアの作家なので特にオーストラリアで白人が昔(そしてある意味今も続いている)アボリジニにしたことを思っているのだと思われます。
そして絵が好きです。表紙でそのテイストはわかると思われますが・・・途中出てくるウサギたちの作った機械とその影響の絵が1回見ただけなのに今でも心に刺さっています。
日本語版があるとは思わないのですが英語版でも十分楽しめます。


Bunny Suicideシリーズ Andy Riley著

最初に、私は経験周りいろいろあって自殺についてのジョークはわりと嫌いな方です。
それでも!いやそれだからこそ!なのかしら、このシリーズに妙な愛嬌と愛着を感じてしまうのは・・・
表紙でも少し見えると思いますが、とにかく、とにかく死にたくてたまらないうさぎさん(たち)の絵本です(1コマ漫画というんですかね、このフォーマットは)。
とにかく何でもするんですよ、うさぎさんたちは。見てると「なんて回りくどい!」というか死ぬほどめんどくさいことしてたりするんですけどそのめんどくささにその死にたい思いの強さが見て取れるというか。
とりあえずサンプルとしてGoogle画像検索すると結構でてきますし、amazonリンクには「なか見!検索」がついてますし。
わりとOffensiveなはずなのにどうしても憎めないうさぎさんたちです。


そしてここからオマケ。


All Cats Have Asperger Syndrome Kathy Hoopman著

以前紹介しましたが再掲。親友のお姉さん(アスペルガー症候群らしいです)がアスペルガー関連のconference(だったかな?)で見つけてめちゃくちゃお勧めしている本です。(邦題は「猫はみんなアスペルガー症候群」ってところかな)
猫の生態になぞらえてアスペルガー症候群の傾向や症状をやさしく、親しみやすく紹介。「だから愛しい」という感情が生まれたら、という目的なのかな。
同じシリーズで「犬はみんなADHD」もあります。


Possum Magic Mem Fox著

オーストラリアを代表する絵本ということでこれを。(オーストラリアのお勧め絵本は他にもいろいろあるので別のエントリー立てようかな・・・)
ポッサムのおばあちゃんとちいさな孫。おばあちゃんは魔法使いなのですがその力で間違って孫を透明にしてしまいます。これは大変、とオーストラリアの様々な場所を巡って魔法を解くための食べ物を探す話です。
オーストラリアに最初に来たときにESLのクラスで読んだ本。もしかしたら初めてのオーストラリア絵本かもしれませんね。
そのときは知らなかったのですがいろんなオーストラリアの動物だけでなく「定番」スイーツや食べ物がいっぱい出てきます♪
絵の色彩がちゃんとオーストラリアの色彩なのも親しみやすいしタッチも柔らかで好きです~表紙見ただけでたまらない!

実は今日は注文していたフェデリコ・ガルシア・ロルカの詩集のうち1冊がとどきました。
短編は一通り読んだのですがやはりクラムの音楽で使われているものからぐっときますね。
またゆっくりイメージをふくらませていきたいと思います。


今日の一曲: ローベルト・シューマン 「おとぎの絵本」 第1楽章

Allmusicでのリンク

タイトルを見ると子供向けかな、と思いがちなこの曲、聴いてみると結構「大人の絵本」的な性質があります。
ドイツで童話といえば「グリム童話」、今は広く知られているようにかなり厳しい、といいますかCruelでダークな面があるものでもありますので・・・

シューマンの晩年は長年患っていた精神疾患(双極性障害第I型、と今は言われてます。昔は統合失調症と思われていたようですが。あと梅毒の影響もあったそう)に支配されていたといっても過言ではないでしょう。
この曲が書かれた数年後には入水による自殺未遂、そして精神病院に入院し愛する妻クララにもまともに会えることが少ないまま衰弱死したそうで。

そういうこともあってやっぱりこの曲を「ただの」おとぎ話と片付けるには(曲を聴く以前に)難しいものがあります。
さらにビオラという楽器のチョイス。これをどう読むか(以前も書きましたが晩期にビオラを重用し始める作曲家は結構います)。

第1楽章はなんというか・・・ちょっと「ビオラらしい」ですね。
内気で、女性的で。ちょっとしたメロディーのターンがシューマンらしく。憂いを持ったニ短調と憂いを持ったヘ長調の片鱗。まるでため息のような、あこがれのような。
グリム童話でいったら「シンデレラ」でしょうか。灰かぶりの「灰色」だったり「不幸」は感じます。

本来ならタベア・ツィンマーマンの渋~い音で聴くのが乙なのですがAmazon Japanで見つからず。残念。
ほとんどのこの曲の録音でブラームスのビオラソナタも収録されてますがそちらもめいっぱいお勧めです♪

拍手[0回]

PR
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Comment:
Pass:
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック