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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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クラムの世界へのはじめの一歩・・・?
ぐだぐだ状態ですが訪問ありがとうございます~
メルボルンでのツタンカーメン展についての検索ワードが急増しているみたいで。
まだまだ急がなくてもしばらくやってますができるなら学校が休みでない時期に行くほうがいいかもですね。
必見の展示たくさんですよ~♪
(感想エントリーはこちらです)

結構長いことずーっとぐるぐる悩んでたことを今日はちょっとfinalizeしない形でまとめてみようと思います。
ずっと悩んでたこと、それは・・・もっとジョージ・クラムの音楽を聴いて欲しい、その魅力を広めたい!と思っているのですが、迷いなく「これがお勧め!」といえる曲が自分の中で固まらず。
1つに絞らずカテゴリ分けしてみるかな・・・といろいろやってみてもなかなか納得がいかず。
・・・ということでカテゴリ分けみたいな感じで何曲か出していきたいと思います。
たまに個別楽章の話が出ますが、基本「曲集を最初から最後まで聴く」ことを強くお勧めします。
(クラムの音楽は曲集が完全な形で一つの世界となってるのと、あとたとえ最初の楽章がとっつきにくくても途中でとても美しい楽章が入ったりしてるので)

まずピアニストにクラムを勧めるなら?と考えてみました。
クラムがピアノでどんな音の世界を創り上げるか、といったらやはりマクロコスモス第1巻(そして第2巻)がいいかなあ、と思います。私がクラムの音楽に入ったときはここから、ということもあり。特殊奏法の奇怪な音だけでなく、響きの特別さとか、表現方法とか。ピアノ1つだけどピアノ以上になるんですよね。
第1巻だと特に第1楽章「Primeval Sounds」(原始の音)での自然のエネルギー、原始の光景を感じたり。
第2楽章「Proteus」(プロテウス)の特殊奏法をほとんどといって使わない中での独特のキャラクターも最初の頃から心をぐっとつかみました。
あとは第11,12楽章などで見られる無限の空間と音の繊細さとかも本当に特別で。
曲集通してたくさんの体験ができます。
マクロコスモスに関しては特殊奏法やタイトル、楽譜面などから敬遠することなくまず耳を傾けてほしいです。

クラムはたくさんの声楽曲を書いています。でもクラムの声楽曲の演奏を生で聴いたことがないです。
現代音楽全体、全体的に敬遠されがちですが、特に声楽の人の現代音楽の演奏を聴く機会は大学などでも少なく。(注:あくまでも私が知っている限りです)
声楽をやっている人にクラムの音楽を勧めるなら、ダントツで「Ancient Voices of Children」(子どもの古の声)ですね。この曲においての歌い手(ソプラノ・ボーイソプラノ)の表現と技巧の幅、楽器との絡み合い、そして歌の創り上げる世界、どれをとっても本当に素晴らしく。
(何回も書いてますが、この曲を聴くならJan DeGaetaniがソプラノパートを歌っている録音を強くお勧めします!)
女性の声でなく男性の声がいい、という方は「Songs, Drones and Refrains of Death」(死の歌、ドローンとリフレイン)のバリトンの歌声で曲の性格こそ違えどAncient Voicesに劣らないクラムの「歌声」の世界の広がりが味わえます。

バッハに代表されるバロック時代からワーグナー、ブラームスなどの後期ロマン派、そして20世紀前半のドビュッシー、サティ、ショスタコーヴィチ、プロコフィエフなど、いわゆる「クラシック音楽」に耳が慣れているとクラムの音楽にでてくる奇怪なサウンドは耳がびっくりしたり、生理的に受け付けなかったり、ファーストインパクトで好きになれなくなって心と頭が閉じてしまう、という場合が多いのを経験から知っています。
そういう場合があるということを踏まえてクラシック好きにクラムの音楽を楽しんで欲しい、と考えると何が良いか。悩んだ結果「Vox Balaenae」(鯨の声)がいいかな、という結論にたどり着きました。
Vox Balaenaeではあんまり特殊奏法だったり、不快に感じるような不協和音が少なく、アンプで増幅されているとはいえ割とクラシカルなサウンドで。
それから特殊奏法が比較的さりげなく使ってあるので「ああ、こういう音もあるんだ」とショックを与えることなく広げられるかな、と。ここから徐々に慣れて広げて・・・という魂胆で。
最初のフルートの声を吹き込みながらの演奏の違和感にめげず、最後の美しいコーダまで聴いて欲しいと思います。

それならそういうバックグラウンドが少ない、クラシックのことをあまり知らない、クラシック音楽・音楽とはこういうものだという先入観が比較的ない人だと?と考えてみました。
クラムの音楽の奇怪な面には比較的耐性があると想定、するとあまり驚かせすぎないで、でも驚きを楽しんでほしい。
となるとマクロコスモス第3巻「Music for a Summer Evening」(夏の夜の音楽)をプッシュしてみたいです。
美しいところもあり、不可解なところもあり。ピアノ2台と各種打楽器で作られる音の幅の広さにより「この音は何の音?」(どの楽器の音か、そしてどんなものを表しているのか)という楽しみもあります。さらに音が作り出す不思議な世界を体感できます。とにかくクラムの音楽の魅力が本当に詰まっていますし、とにかく音楽として本当に「良い」ものだと信じています。
聴くならやはりタイトル通り夏の暑い夜がベストですよ~

・・・と、ここまで書いてみて、あれも話に出てないし、あれも挙げていないし、という曲がどうしてもどうしても気になって。
例えばもしかしたらクラムの曲の中で一番有名かも知れない「Black Angels」四重奏曲。なぜここまででてこなかったか、というとオープニングが初めて聴く人にとってはちょっとびっくりというか「騒音的」に聞こえるかなあ・・・ということで。でも例えば第3部の最初のGod-Musicとか、チェロがこれほど美しいものか!とチェリストでも驚くような一品だったり。
そして「Lux Aeterna」も忘れてないんですよ!インドのシタールの音とかリコーダー、バスフルートとか普段聞けない楽器とソプラノのアンサンブルとか、東西音楽の融合とか、独特の暖かみとか。全てが愛しく。
それからピアノ曲では「A Little Suite for Christmas」だったり、「Eine Kleine Mitternachtmusik」も。わりと聞きやすくクラムの音楽の繊細さと闇がどっちも聞ける曲で(でもどうしてもクラムという作曲家を代表してもらうならマクロコスモスを先に前に出したくなっちゃうんですよね~)
クラムの闇、といえば「Apparition」(幽霊)もいいなあ。奇妙なようでスタンダードなところもある歌曲。

・・・という調子で挙げてくとなかなか終わりがないんです!だからこのトピックは難しいんですが・・・
でも少しは絞ることができたかな、と思います。(もちろんクラムはもっとたくさんたくさん曲を書いてます。そして存命なのでまだ書いてます。クラムの公式サイトにリスト等完全ではないようですが情報掲載されています~(英語))
今日挙げた曲はどれも私がクラムの音楽の魅力をめいっぱい表す、素晴らしい音楽だと強く思ってる曲ばかりです。どれくらいCDが手に入りやすいか分からないのですが、1つといわず何曲か聴いて欲しいと思っています。


今日の一曲: ジョージ・クラム 「Black Angels」より「God-Music」



今回はベストなクラムを惜しみなく、ということで宝刀を出しました。
先ほども言及がありました、Black AngelsのGod-Music。
Black Angelsは曲が面白いだけでなく、その構成もまた面白いです。数字的な意味があったり、対照的になっていたり。特に「13」と「7」の数字が大切だとか。(例えばこの曲集は13つの楽章で成り立ってます)
で、宗教的というよりは神話的なテーマがあったりして。
いつかちゃんと説明したいです(汗)

Black Angelsには対照的な存在としてDevil-MusicとGod-Musicがあります。
Devil-Musicはバイオリンのソロが主役で、God-Musicはチェロのソロが主役です。
そしてこのチェロのソロが本当に美しいのです!
チェロの包容力豊かな音で、ちょっとヘブライ風のメロディーを奏でて。

さらにもう一つ。
チェロを伴奏しているのは四重奏の他のメンバーなのですが、各々の楽器でなく、なんと水を入れたグラスの縁を擦って音をだすグラスハーモニカを演奏するんです。
この音がまた良い!グラスハーモニカの音ってちょっと遅れて音量がふくれる様になってるのですが、その「遅れ」エフェクトが不思議な浮遊感を生み出します。

全知全能の存在というよりは限りなく「神秘」そのものに近いような。
曲はヘブライ風とはいえそちらの神様を表しているというという風に片付けることはできない、そしてこの曲の光を単に「天国的」と表現することはできない、不思議な美しさをたたえている曲です。

(前回「Black Angels」を紹介したときはBrodsky Quartetの演奏をリンクしたのでこんどはKronos Quartetです)

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