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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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Revolutions! (12年生の歴史の授業の思い出)
最近トゥーランガリラ交響曲が身にどんどん付いてきて、その言わんとしているところが感覚と脳ではわかっているのにそれを言葉で表す術がなくぐるぐるしています。
音楽とは通じ合えるんで無理に言葉で表すこともない、とも言えますが。

このところなんとなく思い出していたのが12年生の歴史の勉強がどれだけ楽しかったかということ。
なんとなくこんなトピックで試験の小論文書きたかったなあーでも今は実際に文を書けるほど詳細を覚えてないなあ~と。

オーストラリアは大変歴史が短い、というか新しい国ですのでカリキュラムにおいては世界史の比重が大分大きいです。7年生で古代文明について習い始め、そこからどうなったか詳細はよくおぼえていないのですが歴史が必須科目である最後の年、10年生に第2次世界大戦がカバーされるよう組まれています。
で、11年生から12年生までのVCEにおいての歴史の科目はユニット1/2をやる人がほとんどいなく(私もやってないので内容は覚えてません)、みんな1/2を飛ばして11年生に(または科目の都合が付かない場合12年生まで待って)ユニット3/4を勉強する傾向にあります。

VCE歴史ユニット3/4(ユニット1/2もそうですが)は学校によって幾つかの選択肢の中かから内容が選ばれます。うちの学校はユニット3/4「Revolutions」を選択、そのなかでも米・仏・中・露の革命の中からロシア革命、そして中国の辛亥革命を選択していました。
(ちなみにユニット3/4では「イタリア・ルネッサンス」なんてのもあるそうです。それも楽しそうですね~あと大学での友達に「Revolutions」でフランス革命を習った、という人がいたのですが、その人曰く「最初はホント面白いけれど途中から泥沼で勉強するにはだれる」そうです・・・)

私はもう中学時代からこの科目がやりたくて。
8年生になるすぐ前のユースオケサマーキャンプでショスタコの交響曲第11番「1905年」に出会い、ショスタコとソヴィエト史の絡みを知り、音楽とそこの歴史にはまり愛すようになり。
さらに8年生の英語(国語)の授業でジョージ・オーウェルの「動物農場」を習い、そこでまたロシア革命とのパラレルに関して学び。
11年生では歴史をとる余裕が科目選択になかったので12年生でやっと!たどりついたわけです。
結構歴史に限らずピンポイントで深く知りたがる性質にはこのシステムは(はまれば)本当に有り難い♪
(大学の科目もこうやって絞られてるのでそのための準備、とも言えますね)

ちなみにロシア革命、辛亥革命といってもカリキュラム的にはちゃんとこの出来事からこの出来事、とカバーする範囲を決めなくちゃいけません。
今調べたらロシア革命=1905年「血の日曜日」事件~1924年レーニンの死、辛亥革命=1898年戊戌の変法~1976年毛沢東の死、と決められているようですが・・・
いろんなことを語ったり参照する範囲だったらもっと広くなります。
ロシア革命だと1861年の農奴解放にまで言及することは珍しくないですし、レーニンの死後の5ヶ年計画、スターリンの死くらいまで授業で話に出ます。
中国だと一番最近で天安門事件がちらっと話にでるけど試験では言及しない、くらいかな。

とにかくどこの革命でもフォーカスするポイントは以下の3つ。
1)革命前の「古い」社会
2)社会を変える動き、イデオロギー、人物
3)革命後の「新しい」社会
で、最終試験の小論文では1)と3)を比較評価する内容になります、自然と。
科目においての評価はテスト形式の課題、そして最終試験により行われます。
どちらも(確か)Short-answer question、そして小論文により構成されています。

ただ歴史においてのshort-answerって1文とかじゃ全然だめなんですよね。「次の語句について説明しなさい」的な、わりとがっつりこのブログの段落2つ分くらい?書く必要があります。というか書く羽目になります。
例えばロシア革命だったら「ボルシェビキ」について説明しなくちゃいけなかったり(誰がいたか、どんなイデオロギーか、どういう経緯で起こったか、どういう運動を起こしたか、「赤」と呼ばれること、などなど)。
辛亥革命だったら「大躍進」について説明したり(誰がいつどういう経緯で起こした出来事か、運動の詳細、そしてどんな影響を後に与えたか、など)。
結局(小論文もちょっとそうなのですが)関連してることみんな放り込みたくなって結果長くなってしまうshort-answer。全然ショートだった覚えないです(笑)

小論文は(授業や課題とは別の宿題でも練習したりするのですが)基本構成は英語の授業と変わりは全くないです。
序文→メインポイント1・2・3(もしかしたら4)→結論、というので。
問題の出し方も英語の小節に関する小論文と同じく「~である・~でない」という問題文に対して賛成・反対のポジションを取って多面的に分析、表現。(100%反対とか賛成はダメなのです。全体的な見方に対して一応「こういう反対の面もあるよ」ということは示さなくちゃいけない)
歴史の小論文は先ほども書きましたが革命前・後を振り返って比べる感じのが多いです。

実際にやった問題はさすがに覚えてないのですがロシア革命に関する問題、こないだ良いの思いつきました。
「ロシア革命は2月革命の後の臨時政府の脆弱により失敗した。」
つまりは「あそこであの臨時政府がしっかりしてたら王政から民主主義の橋渡しがうまくいったんじゃないか」というのがベースになってます。
私がこの問題で小論文を書くなら「全体的に反対」の立場を取って、反対意見として1)王政と戦争による経済、さらには平民・農民の疲弊(農奴解放、ロマノフ朝の退廃、進歩の後れ、日露戦争、WWIなど。2つに分けた方がいいかな)、2)革命後=共産党内の問題(イデオロギー、政策、運動、権力闘争)を挙げ。
で、「でも確かに臨時政府は弱かった」という、戦争や経済、共産党群の台頭などについて話して・・・
これでも足りないかな。

中国のほうだと「辛亥革命は失敗に終わった」くらいざっくりしたトピックじゃないと今は書けないかな・・・
全体的なメッセージだと「結局良くなってない」みたいな方向で、主に政府の機能、人々の暮らしを中心に革命前と革命後で比べて。
ただ革命前と比べて良くなってるのは民族意識、みたいなことも交えて(これでアヘン戦争の話とか革命前の外国の介入とかについての知識、さらにはfoot-bindingに象徴される女性の立場の変化などが組み込めます)。

暗記科目、ではあるんですよね。
それぞれの出来事や人物、時代についての知識(年号も合わせて)がないといくら文が書けても内容が皆無ですからね。
ただし暗記はあくまでも「文を書くための材料」というポジショニング。
Short-answerにしても小論文にしても問題を見て自分の見解を論理的に構成して述べる、その見解のバックアップとしての知識なので。
なので暗記スキルだけでなく、構成された文を書くスキルもそうですが、知識をどう取捨選択してどう自分の言い分に組み込むかというスキルも必要(大学でもそうですね!)
英語のほうでもそうなのですが、小論文は暗記を一通りしてどんな問題にも楽にアプローチできるようにするか、それともある程度ヤマを張って全部は覚えず、いざとなったら問題文を曲解するようにするか2つの道があります。
というか全部覚えてても「問題が自分の話したいことにフォーカスさせてくれない」という場合は話したいところに焦点を当てられるよう問題文を「解釈」します。こういうことするには何よりも序文・結論がしっかりしてないとできませんが。曲解は楽しいですよ(笑)よっぽど見当外れじゃなければ見解自体の性質で評価が下がることはないですしね。
いろいろ大変ですがいざ試験とかやると「書きたい!」という思いで結局一番難しいのは何を抜かすか、ということになります。

そして授業がなんといっても楽しかった!
一番楽しかったのは一番最後の授業にやった復習トリビアクイズでしたが(成績が一番良かった生徒には毛沢東の小さな赤い本(英語版)をプレゼント、という)、他にもアナスタシア王女生存説、林彪暗殺説などの未だ真相が分かってない説についても話し合ったり、あとはラスプーチンとか毛沢東とか、「人物の面白さ」についていろいろ楽しんだ記憶もあり。時代も登場人物もとにかく面白いんですよ。
あと教室が主にこの授業に使われるため壁に(あともらうプリントとかにも)各革命においてのプロパガンダポスターなんかも貼ってあって、中国語・ロシア語共に解読してみるのが楽しみでした。
(といっても授業で退屈することはあんまりないのですが)
やはり選択科目ですし、成績とか必要条件とかよりはやりたくてやってる、楽しみに来てる人が多い科目でもありましたし・・・そして先生も2クラスどちらも良い先生で。

もしも万が一(笑)高校に戻ることがあったら絶対も一回やりたいですね(あと化学も)。
今なら知識こそ衰えてますが(どっかにあるはずなんだけどなあ、試験の準備としてクラスみんなで手分けして作ったノート・・・)文を書く能力はあの頃と比べて伸びてるはずなので。
この調子なら(=一度一通り抜けて学習の仕方、まとめかた等分かったところで)フランス革命あたりもいけるかも?と思いますし。
ピンポイントで学べる歴史、というのをシリーズ的にいろいろかいつまんでできたらなーと本当に願っています(音楽史とかでも。)ちょっと興味あるエリア一覧としてまとめてみたいですね。


今日の一曲: ドミトリ・ショスタコーヴィチ 「馬あぶ」組曲より「ロマンス」



ソヴィエト史といえばやはりショスタコが欠かせない!
そんな彼の作品の中で映画「馬あぶ」の映画音楽の中から抜粋した組曲、そのなかで単体でも演奏されることのある「ロマンス」を選んでみました。
交響曲や室内楽曲が有名なショスタコーヴィチですが、劇やバレエだけでなく映画音楽も多数手がけています。
ソヴィエトは情報統制国家でしたからね、映画を制作するのにも政府が噛んでたりしたでしょうし・・・ショスタコーヴィチはいわば政府お抱えの作曲家でしたし。

でもショスタコーヴィチと映画音楽は結構縁が深いんですよ。
革命前、まだショスタコーヴィチが大学生の頃は彼はサイレント映画(この時代!)にピアノ伴奏を即興で付けるというアルバイトをしていたらしいですしね。

で、先ほど政府が噛んでるかも、と言いましたがこの作品でのショスタコーヴィチのスタイルは明らかに「公」のもので。
スターリン好みのストレートに伝わる音楽、といったら意地悪かしら(汗)

でもショスタコの素直な美しい曲ってそれはそれでとっても好きです。
以前紹介した歌曲「愛する人よ」もそうですし、そもそもどこまでが「素直」といっていいのか分かりませんが探すと結構ありそうですね。

この曲は私は2バージョン持ってます。
一つはショスタコーヴィチのオリジナル、オーケストラ版。
そしてもう一つはBlack Dyke Mills Bandのブラスバンド版。
前者は甘美なバイオリンソロと暖かなオーケストラの色彩が本当に美しく。
そして後者はあまーいコルネット、トランペット、そしてトロンボーンの活躍だけでなく、アクセントとして入ってる鉄琴がいい仕事してます♪
全体の流れ方の心地よさだとオケバージョン、一体になって盛り上がるところの満足感だとブラスバージョンに軍配が上がると私は思いますね。

聴いてるとなんだかハチャトゥリアンの「スパルタクス」のアダージョと同じ感じの甘さがあるんですよね。
なんかこう、他の国は勿論、チャイコフスキーとかラフマニノフとかの「ロシア」の音楽にもない不思議な大人の甘さが。
それをどう言葉で表現したらいいか分からないんですが本当に独特な味です。
(ハチャトゥリアンと似た、ということはもしかしたらソヴィエトとして統合した際の西アジア諸国の影響があるのかな?)

組曲の他の曲も一応いくつか持ってて面白いものももちろんありますのでまた紹介しますね~

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