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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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頼れる?力持ち楽器 (楽器と性格:コントラバス)
やたらと頭が忙しいここ数日。
仕事だったりピアノだったりもあるけれどもうちょっと落ち着いてもらわないことには落ち着いて考え事もできないなあ・・・
でもいろいろできてるだけで十分調子がいいということで、ちょっと久しぶりの楽器と性格いってみようと思います。

弦楽器のなかで一番大きく、音の低い楽器、コントラバス。
ジャズやクレズマーなどでもウッドベースとして使われ、活躍していますね。
楽器はもちろん木でできていて・・・弾く姿勢、つまり楽器を立てたら2m弱と大変大きな楽器ですが(高さでは一番かな?)、胴は空洞になっているためそんなに重くは無いです。
高校の時友達が(フルサイズの楽器ではなかったのですが)コントラバスを弾いててそれを借りて弾いてみたり、オケマネージャーの頃ちょっと運ぶことがあったりもしたのですが、長時間じゃなかったら私でも運べます。

その巨大なサイズのため、他の弦楽器とは違うところがちらほら。
まずオケのステージに備え付けの椅子ではなく、バーにあるような(笑)スツールを持ち歩き、それに座ります(ジャズでは立って弾く人が多いようですがクラシックでも何人かいます。ただ曲が長く弾かないときも多いので座るものがあるほうが楽かも)。
そして弓の持ち方も(これも個人差ありますが)ちょっと違って。他の弦楽器は手のひらが下に来るように、弓と水平に左右に動かすようにするのですが、コントラバスは手のひらを左向きにして持ちます(絵がないとダメですね(汗))。これは弓が太く重いため力をいれやすいようにするため、ということらしいです。
それから調弦も違います。他の弦楽器は4本の弦の音程が5度離れているのですが、コントラバスは4度離れています。(割とギターに近かったり)これは音域が低いため弦の上の音と音の間隔が広く、次の弦が早く来ないと不便なため・・・(説明下手でごめんなさい)
調弦に使う楽器上部(構えたとき)のペグにも違いが。他の弦楽器は木製のペグ+テイルピースの小さなねじで微調整なのですが、コントラバスはテイルピースに容易に手が届かないこともあり(理由は他にもあります)ペグの代わりにギアでまくネジがよく使われています。

弦楽器の音量は楽器の大きさと弦の張力、そして奏者の力のいれやすさで決まります。コントラバスは図体は大きいのですが弦の張力が弱いのと奏者が力をいれにくいのもあり、そんなに音量は大きくないです。
あと低音だとやはり音が通りにくかったり、独特のハスキーボイス的な音色もその聞こえにくさに貢献してると思います。(ちなみにスリムクラブの真栄田さんの声はコントラバスの音色に似てると思います(笑))
オケにおいての人数も他の弦楽器よりも少なめだったり・・・

でもコントラバスがいるといないでは大分音が違うんですよ。
特にロマン派以降の音楽でがんがん動いてくれるとごうごうというような音が聞こえるのは勿論、時には地響きのような音まで聞こえます。
普通のコントラバスよりも低い音を弾けるように5弦またはエクステンション付きのコントラバス、というのも用いられるのですがその超低音の響き(音、ではもはやない?)の腹に直で来ることといったら凄いです!

もともとコントラバスはチェロと一緒のパートを(1オクターブ下で)弾く事が多かったのですが、ロマン派の時代になるとチェロも、そしてコントラバスもベースラインにこだわらず自由に動くようになり。
チェロを弾く身としてはそうやって存分に、自在に動き回っている間下でコントラバスが支えてくれてると有り難いですし、そしてなんとなく安心できるところがあり。
テューバやファゴットなど他にも低音楽器がいる中、やはりオケを下から支えるという印象が強いのはコントラバスですね(人数のこともありますね)。

そんなコントラバスの奏者はもちろん頼りがいがある!・・・というわけではどうもないような(むにゃむにゃ)
私が観察していろいろ考えを巡らせた印象ではコントラバス奏者、男女でちょっと傾向が違うように思えます。

私がユースオケに入った最初の年、コントラバスセクションは6人中5人が女の子でした。
これがなんとも頼もしい!結構さっぱりとしてて、みんな美人で、元気が良く。もちろん奏者としてもやり手で。
音楽畑でない私の友達が言うにはコントラバス(またはジャズのべース)を弾いてる女の子はがたいがしっかりしていたり、楽器のイメージもあり男っぽく見られることを嫌い、結果お洒落な子が多い、という観察結果を教えてくれました。確かにそれはあるかもですね。
(やはりある程度身体が大きくて、力持ちで体力がある人じゃないとコントラバスは弾けない・続かないですからね・・・女性でももちろん)
それじゃあ男性は?というと実は今まで関わってきたオケのなかで遅刻常習犯、といえばコントラバスの男子が多いのです(3人いました)。

女性も男性も、コントラバスの性格として共通しているのは「細かいことは気にしない」というのがあると思います。
楽器が大きく、身体の大きな筋肉を演奏に用いるためコントラバスは速いパッセージ、細かいパッセージを比較的苦手としています。ちゃんとそれを作曲家側も分かってて、チェロのパートと似ているけど若干音が省略してあったり、というパートを書くことも珍しくありません。
それに加えてコントラバスは先ほども書きましたようにハスキートーンで低音、細かいところが聞こえない音色をしていて、さらに団体演奏のため、突き詰めて完璧にする必要性が低い・・・と言えます。
なのでうじうじしない、細かいところは気にしない性質がよく見られるのでは?と。(これで遅刻も大分説明がつく・・・かな?)

コントラバスは本当にあの80人とかのオーケストラという集団を、音楽を背負っている・・・本当に大きな役割を静かに担っていると思います。でも結構みんな気楽な人達で、責任感に押しつぶされるような人種ではなく。
ただコントラバスにとっては大きな楽器(+椅子)を運ぶことも、メロディーがもらえなくてひたすらベースラインを担当することも、オケを下から支えるのも本当に「当たり前」にしていることなのではないか、と・・・
気が良く、快く引き受けてくれるコントラバスはオケの優しい力持ちですね、きっと。

そして、コントラバスは(先ほども書きましたが)決して器用な楽器ではありません。
その「不器用さ」を逆に買って、マーラー(交響曲第1番)やプロコフィエフ(キージェ中尉)などわざと高音(コントラバスにとって!)でソロ、メロディーを弾かせる場合もあります。最近のオケは上手くてわりと綺麗に弾いちゃう、と聞きましたが・・・
依頼を受けたら快く引き受け、そして頼られたら(目立つようなソロとか)とにかく頑張っちゃう(頑張る、というよりは)、というような特徴がこういったソロには見られるような気がします。

そうそう、本文と関係ないんで書かなかったんですが、コントラバスは実はオケの他の弦楽器とちょっと形が違うんですよ。よく見るとネックと胴体の繋がるところ、チェロなどはひょうたん型になってるのですが、コントラバスはなで肩っぽい形になっています。ちょっとしたトリビアとして、次回コントラバスに出会ったら見てみて下さい。

いつになるか分かりませんが次回はチェロですね・・・なるべく長くならないようにしたいです(汗)


今日の一曲: ジョージ・クラム Madrigals 第4巻 第3楽章 「¡La muerte me está mirando desde las torres de Córdoba!」



結構すぐ戻ってきましたクラムのマドリガル。最近はまって、そしてコントラバスかっこいい!と思った一曲です。
ちなみにタイトルは「死はコルドバの塔から私を見ている!」というような意味です。ロルカの詩は結構スペインの地方名を使うのですが今のところスペインの地方文化が分からず、そういうところも勉強したほうがいいかな、と・・・
でも「コルドバ」と「死」のコンビは結構色んなロルカの詩で一緒に現れてます。うーん、やっぱり地方文化知った方がいいかも・・・

Madrigals 第4巻はソプラノ歌手にフルート(ピッコロ、アルトフルート持ち替え)、ハープ、コントラバス、打楽器(1人)という編成で。
この第3楽章では打楽器・ハープのリズムセクションはわりと断片的なパートで、アルトフルートやソプラノも出たり消えたり、でもコントラバスは終始ドローンと呼ばれる連続的な音を奏でています。
ざっくり言えば音を伸ばしているだけ、でもそれがものすごーく味があるんです。

まずはその音色。ものすごく深くて、ハスキーなトーンがものすごくEarthyで。乾いた大地の深さと堅さを感じます。
さらにこのドローン、途中でピッチがうなるように上下するのですが、なんと、弓で弾きながら上のギア付きペグで音程を変える・・・という。今、荒技と言おうとしたのですが実際チューニングのとき普通にそうしてるんですから珍しいこと何にもないですね(汗)でもエフェクトとしては本当に不思議で、身体と心のいろんなところをぐんと刺激する・・・まるで目の前がゆがむようなユニークな体験です。

ちなみにコントラバスのパート以外だと、曲の中程でのソプラノの「¡desde las torres de Córdoba!」のシャウトがぐっと来ますね!力の入りようとか、勢いとか、なんとなくこう、告げている、Ultimatumな感じが。なかなかこういう歌い手のパートって聞けないような気がします。

こうやって単体で紹介しましたがMadrigals 第4巻全体、そしてMadrigal 全巻通して一番最後にこの曲を迎えるというのもまた別の感じ方、意味合いがあります。
是非是非合わせてどうぞ。

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