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音楽は世界共通の言語だというまあ真偽色々ある説がありますが、でも音楽はいろんな外国語に触れ合う機会となるものだと思います。
私が聞いた話で一番好きなのはドイツ語を話せない音楽愛好者がドイツに旅行に行ってレストランで「Die Forelle!」といったらシューベルトのその名の曲のとおり「鱒」が出てきたという話です。
とりあえず基本から:だいたいの場合楽譜に書いてあるallegroとかdal segnoとかそういう言葉はイタリア語です。
あとイタリア語はイタリアのオペラでも使われてますね。
次に多いのはドイツ語。
これは3大Bをはじめとする様々な偉大なドイツ・オーストリア出身の作曲家がバロックから現代まで活躍してますし、あとドイツとオーストリアもオペラ、歌曲などの歌詞が入った曲が多く書かれてます。なんたってシューベルト(オーストリア)がその31年の生涯で少なくとも500は歌曲を書いてるのが大きいです。
あとドイツは文学もその長い時期においてさかんなので歌曲を書く詞にもきっと溢れてたんでしょうね。
3番目はラテン語。
これはレクイエムを含むミサ曲がラテン語で書かれているので多分3番かなーと。
レクイエムは形式(もとの言葉を含め)が決まってるのでいろんな作曲家で同じ歌詞が使われています。
そしてラテン語音楽のもう1つが今日の一曲で紹介したことのある「カルミナ・ブラーナ」です。あれはほとんどラテン語で一部古代ドイツ語で書かれているとか。
その次はフランス語。
これは歌曲などでの詞もありますが、器楽曲でもフランスの作曲家はタイトル、そして速度の指示などに全てフランス語を使うという傾向があったのと、そういう時にただ「速く」とか書くんじゃなくてなんかもっと長い何かを書いてくるんです。ドビュッシー、サティ、そしてメシアンの楽譜にこれは良く見られますね。メシアンは自分で前書きとか全部フランス語で書いたりもします。
英語ももちろんあります。
イギリス・アメリカ・オーストラリアはもちろん英語圏ですし、イギリス生まれの詩や劇を基にいろいろな曲が作られてます。
余談ですがエドガー・アラン・ポーの「鐘」を詞としたラフマニノフの「鐘」は原文の元の言語・英語で演奏される場合とラフマニノフが元として使用したロシア語の訳で歌われる場合とどっちもあります。確かに原文は英語ですけど音楽がもろロシアなので個人的にロシア語版の詞のほうが音楽に合う気がします。
あとはマイノリティになるでしょうか。ロシア語(歌曲など)、スペイン語(歌曲、スペインの器楽曲、そしてアメリカ人ですがクラムの声楽曲はほとんどロルカの詞なので)、チェコ語(ドヴォルザークの「ラサルカ」が代表的です)、ハンガリー語(バルトークとリゲティの楽曲が主かな)、ポーランド語(個人的にはシマノフスキの器楽曲のタイトルで見たのみ)、ポルトガル語(ヴィラ=ロボス)、ギリシャ語(クセナキス)、イディッシュ語(ユダヤ関係)くらいですかね、お目にかかったことがあるのは。
こういう風に触れ合うようになると(特に合唱曲のリハーサルでオーケストラにいると)だんだん単語を覚えてきたりするんですよね。ただほとんどランダムに覚わるみたいですけど(笑)
たとえばリゲティのおかげでハンガリー語で「3」(Harom)っていうのを覚えたり、「カルミナ・ブラーナ」から三人称の「飲む」(bibit) っていうのを覚えたり。
でもハンガリー語が一番難しいですわー・・・メジャーどころの言語と共通点が極端に少なくて。
イタリア語やドイツ語だったら音的にも聞き取りやすいしなにかと生活になじんだ言葉がいっぱいでてくるんですけど(それの最たる例がさっきの「鱒」ですね)・・・
フランス音楽専攻の私はフランス語で書いたものが少し読めてもフランス語という言語の性質のため聞いてもわからない、発音が分からない、しかもフランス音楽にでてくるフランス語ってホント使えないですよ(笑)
メシアンにおいてはだいたい鳥と聖書関連ですから。
でもこうやって音楽を通じて覚えるのもまた言語を習得する方法であり、言語とその文化に触れ合ういい方法でもあると思うんですよ。
なんたって歌うのは楽しいですし。メロディーは歌えても歌詞がわからなかったり、あと私の場合母音と子音半分づつぐらいわかってるのでなんとなく歌いをするんですがそれよりも歌詞がわかってた方が楽しい!
うまく書かれてる曲はちゃんと歌詞の意味と音楽がぴったり合うように書いてますしね。
ああ、フランス語だけはいつか私はちゃんとしようかなあ・・・(遠い目)
今日の一曲: ベンジャミン・ブリテン 「戦争レクイエム」より「One Ever Hangs (Agnus Dei」
出しましたねー。歌曲というカテゴリーではないけれど私の一番好きな歌曲です。
ブリテンって結構暗く激しい曲を書きます。偉大なチェリスト、ロストロポーヴィチを通じてショスタコーヴィチと親交があった(すごいコネだなあ)んですけどショスタコと似た暗さ&激しさをもって。
その暗さ&激しさ、そして第1次世界大戦に散ったウィルフレッド・オーウェンというイギリスの詩人の詩を使い戦争の悲惨さを強く激しく訴える曲を書いた、それがこの曲。
(オーウェンの詩もいいですよ。こんど紹介します。(めもめも))
戦争のむなしさを伝える詩と、現代戦争の破壊を表すような、そしてたまには皮肉も存分に満ちた音楽の真っ只中にこのOne Ever Hangsがオアシスのように配置されているんです。
戦争が悲惨だ、というよりも「大きな愛」を歌う英語の詞をテノールソロが歌い、「神の羊(Agnus Dei」のラテン語の歌詞を合唱が歌います。(このレクイエム自体が多層構造になってるんですがそれは長くなるのでまた今度)
その合唱の声がまたものすごくふんわりしていて。5拍子の揺れるリズムでふわふわと上に行ったり、下に行ったり。
極め付きはでもテノールソロです。そこそこ高い音域でまるで天使のように、「大きな愛」に悟った人のように静かに、やわらかく、やさしく。
もともとブリテンのテノールのための曲ってみんな彼のミューズであり生涯のパートナー(オープンにゲイなんです)であったピーター・ピアーズのために書かれてます。彼の声は一部からは「色のない声」なんて揶揄されているけれど高音がもう透明で、むしろ白は全部の色が混ざったというような感じの豊かな白い声で。
まさに天使の歌声なんですよ。なのでこの曲を聴くときは上にもリンク張りましたがピーター・ピアーズの歌声でぜひ。
そして最後にテノールが歌う1フレーズが本当に圧巻です。
元のレクイエムのテキストには入っていないけれど、合唱の羽毛クッションの上にラテン語でこの一言:
「Dona nobis pacem...」
我らに平和を与えたまえ、という意味です。
この天国に消え入るような美しい歌声・・・本当にたまらないです。
この後の世界の破滅がくるのが分かっててもこないでほしいと願いたくなるくらい・・・
(ぶちこわしですみませんがカラオケでこれ歌いたいです。入ってないでしょうが。ちょうど音域がいい感じなんですよねー)
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私が聞いた話で一番好きなのはドイツ語を話せない音楽愛好者がドイツに旅行に行ってレストランで「Die Forelle!」といったらシューベルトのその名の曲のとおり「鱒」が出てきたという話です。
とりあえず基本から:だいたいの場合楽譜に書いてあるallegroとかdal segnoとかそういう言葉はイタリア語です。
あとイタリア語はイタリアのオペラでも使われてますね。
次に多いのはドイツ語。
これは3大Bをはじめとする様々な偉大なドイツ・オーストリア出身の作曲家がバロックから現代まで活躍してますし、あとドイツとオーストリアもオペラ、歌曲などの歌詞が入った曲が多く書かれてます。なんたってシューベルト(オーストリア)がその31年の生涯で少なくとも500は歌曲を書いてるのが大きいです。
あとドイツは文学もその長い時期においてさかんなので歌曲を書く詞にもきっと溢れてたんでしょうね。
3番目はラテン語。
これはレクイエムを含むミサ曲がラテン語で書かれているので多分3番かなーと。
レクイエムは形式(もとの言葉を含め)が決まってるのでいろんな作曲家で同じ歌詞が使われています。
そしてラテン語音楽のもう1つが今日の一曲で紹介したことのある「カルミナ・ブラーナ」です。あれはほとんどラテン語で一部古代ドイツ語で書かれているとか。
その次はフランス語。
これは歌曲などでの詞もありますが、器楽曲でもフランスの作曲家はタイトル、そして速度の指示などに全てフランス語を使うという傾向があったのと、そういう時にただ「速く」とか書くんじゃなくてなんかもっと長い何かを書いてくるんです。ドビュッシー、サティ、そしてメシアンの楽譜にこれは良く見られますね。メシアンは自分で前書きとか全部フランス語で書いたりもします。
英語ももちろんあります。
イギリス・アメリカ・オーストラリアはもちろん英語圏ですし、イギリス生まれの詩や劇を基にいろいろな曲が作られてます。
余談ですがエドガー・アラン・ポーの「鐘」を詞としたラフマニノフの「鐘」は原文の元の言語・英語で演奏される場合とラフマニノフが元として使用したロシア語の訳で歌われる場合とどっちもあります。確かに原文は英語ですけど音楽がもろロシアなので個人的にロシア語版の詞のほうが音楽に合う気がします。
あとはマイノリティになるでしょうか。ロシア語(歌曲など)、スペイン語(歌曲、スペインの器楽曲、そしてアメリカ人ですがクラムの声楽曲はほとんどロルカの詞なので)、チェコ語(ドヴォルザークの「ラサルカ」が代表的です)、ハンガリー語(バルトークとリゲティの楽曲が主かな)、ポーランド語(個人的にはシマノフスキの器楽曲のタイトルで見たのみ)、ポルトガル語(ヴィラ=ロボス)、ギリシャ語(クセナキス)、イディッシュ語(ユダヤ関係)くらいですかね、お目にかかったことがあるのは。
こういう風に触れ合うようになると(特に合唱曲のリハーサルでオーケストラにいると)だんだん単語を覚えてきたりするんですよね。ただほとんどランダムに覚わるみたいですけど(笑)
たとえばリゲティのおかげでハンガリー語で「3」(Harom)っていうのを覚えたり、「カルミナ・ブラーナ」から三人称の「飲む」(bibit) っていうのを覚えたり。
でもハンガリー語が一番難しいですわー・・・メジャーどころの言語と共通点が極端に少なくて。
イタリア語やドイツ語だったら音的にも聞き取りやすいしなにかと生活になじんだ言葉がいっぱいでてくるんですけど(それの最たる例がさっきの「鱒」ですね)・・・
フランス音楽専攻の私はフランス語で書いたものが少し読めてもフランス語という言語の性質のため聞いてもわからない、発音が分からない、しかもフランス音楽にでてくるフランス語ってホント使えないですよ(笑)
メシアンにおいてはだいたい鳥と聖書関連ですから。
でもこうやって音楽を通じて覚えるのもまた言語を習得する方法であり、言語とその文化に触れ合ういい方法でもあると思うんですよ。
なんたって歌うのは楽しいですし。メロディーは歌えても歌詞がわからなかったり、あと私の場合母音と子音半分づつぐらいわかってるのでなんとなく歌いをするんですがそれよりも歌詞がわかってた方が楽しい!
うまく書かれてる曲はちゃんと歌詞の意味と音楽がぴったり合うように書いてますしね。
ああ、フランス語だけはいつか私はちゃんとしようかなあ・・・(遠い目)
今日の一曲: ベンジャミン・ブリテン 「戦争レクイエム」より「One Ever Hangs (Agnus Dei」
出しましたねー。歌曲というカテゴリーではないけれど私の一番好きな歌曲です。
ブリテンって結構暗く激しい曲を書きます。偉大なチェリスト、ロストロポーヴィチを通じてショスタコーヴィチと親交があった(すごいコネだなあ)んですけどショスタコと似た暗さ&激しさをもって。
その暗さ&激しさ、そして第1次世界大戦に散ったウィルフレッド・オーウェンというイギリスの詩人の詩を使い戦争の悲惨さを強く激しく訴える曲を書いた、それがこの曲。
(オーウェンの詩もいいですよ。こんど紹介します。(めもめも))
戦争のむなしさを伝える詩と、現代戦争の破壊を表すような、そしてたまには皮肉も存分に満ちた音楽の真っ只中にこのOne Ever Hangsがオアシスのように配置されているんです。
戦争が悲惨だ、というよりも「大きな愛」を歌う英語の詞をテノールソロが歌い、「神の羊(Agnus Dei」のラテン語の歌詞を合唱が歌います。(このレクイエム自体が多層構造になってるんですがそれは長くなるのでまた今度)
その合唱の声がまたものすごくふんわりしていて。5拍子の揺れるリズムでふわふわと上に行ったり、下に行ったり。
極め付きはでもテノールソロです。そこそこ高い音域でまるで天使のように、「大きな愛」に悟った人のように静かに、やわらかく、やさしく。
もともとブリテンのテノールのための曲ってみんな彼のミューズであり生涯のパートナー(オープンにゲイなんです)であったピーター・ピアーズのために書かれてます。彼の声は一部からは「色のない声」なんて揶揄されているけれど高音がもう透明で、むしろ白は全部の色が混ざったというような感じの豊かな白い声で。
まさに天使の歌声なんですよ。なのでこの曲を聴くときは上にもリンク張りましたがピーター・ピアーズの歌声でぜひ。
そして最後にテノールが歌う1フレーズが本当に圧巻です。
元のレクイエムのテキストには入っていないけれど、合唱の羽毛クッションの上にラテン語でこの一言:
「Dona nobis pacem...」
我らに平和を与えたまえ、という意味です。
この天国に消え入るような美しい歌声・・・本当にたまらないです。
この後の世界の破滅がくるのが分かっててもこないでほしいと願いたくなるくらい・・・
(ぶちこわしですみませんがカラオケでこれ歌いたいです。入ってないでしょうが。ちょうど音域がいい感じなんですよねー)