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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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メル響コンサート「モーツァルトフルート協奏曲」感想
ちょっとご無沙汰してました~
その間に2000アクセスありがとうございます!そして前回のエントリーに拍手もどうもです!
なんだかちょくちょく留守にしたり長文だったりいろいろですがそんなブログでも訪問していただいて本当に!ありがたいです。
企画とかは考えてなかったのですが昨日コンサートに行ったのでとりあえず感想を・・・

7月14日にメルボルン・タウン・ホールでメル響のコンサートいって来ましたよ~
プログラムはこんな感じ:
(指揮:Edward Gardner)

バルトーク 4つの小品 op.12
モーツァルト フルート協奏曲第2番(フルート:Emmanuel Pahud)
バルトーク 管弦楽のための協奏曲

(ちなみに今見れるか分からないのですがコンサートのプログラム、メル響の公式サイトやパンフレットと同じくオケメンバーがメルボルンのいろんな場所で撮った写真がついてるのですが今回のプログラムの写真はなんだか良い感じのシティのバーでビオリストがバイオリニストを口説いてるようにしか見えません)

最初のバルトーク(4つの小品)は大学の図書館で借りてよく知ってる、とても好きな曲なのですが実際の演奏は今回がオーストラリアで初めてだったそう。
指揮者の方がドビュッシーの影響だったり、同じくバルトークの同時期の作品であるオペラ「青髭公の城」の影響だったりについて演奏前に話しましたが、その2つが主影響と聴いてなるほど、自分が好きなのも当然だわと納得。

演奏は割と良かったです。第2楽章のスケルツォのテンポがちょっと重かったかな、というのと(もともと重い、chunkyなスケルツォだからもっと急かした方がいいと思うのと、あとスケルツォなのに長く感じました)、あと第3楽章のアンサンブルが一部ちょっと納得いかなかったのがありましたが(最初のホルンの和音をもちょっと音程下げると上手く他が乗っかると思う、というのが私の意見)、特に第4楽章のがっつりした暗い迫力なんか凄かったですね。
木管が全4楽章通じて特に強かったな、と感じました。

モーツァルトはソリストの音がフルートの音でなく「魔法の笛」のようでした(「魔笛」は確かにモーツァルトの作品ですが・・・)。
跳躍だろうが速いパッセージだろうが本当に自然でなめらかで。ちょっと説明しづらいのですが「上向き」の音なんですよね。決して軽いわけじゃなくボディがある音なんだけどすっと上に抜けていく感じ。
そしてオケもちゃーんとサポート体制ばっちり。一回コントラバスのヘビーベースが上手いことふわっと出てきて面白かったり、あとホルンがちゃんと小さくて丸い音(母曰くホルンにとってあんま楽しくない割に大変なカテゴリーの音)で支えてましたし。この曲でホルンセクションで1stを弾いた「バイキング」の異名を持つ奏者もいつもの勇敢な音を抑えて上品なモーツァルトに。

そしてメインイベントであるバルトーク「管弦楽のための協奏曲」。
私にとって最も長く知っている曲の一つであり(そりゃあもう生まれる前から聴いてるはず)、ユースオケでチェロで弾いてますし、さらに大学の指揮の授業で第4楽章を課題曲として振ってます(といっても当時大分いろいろぼろぼろだったのでほとんど記憶ありませんが・・・)
とにかく尋常じゃないほどよく知って、そして親しんでる曲なのです。(ただスコアは持ってない。買わなきゃ。)

今回残念だったのは席が一階だったので第1楽章のハープが鉄の棒でがしがし、というのが見えなかったところ!弾いてた当時はチェロでしたし弾いてましたしでほとんど見たことないですし・・・
(意外にもメル響が前回この曲を弾いたのは2005年と大分前。次またすぐやるといいなあ・・・)

演奏はなんとなく(この曲として・そしてメル響として)ベストじゃないかなという感じはありました。
が、最終楽章に来るまでには本当に素晴らしい演奏になってました。
第1楽章は暗さを前面に出した、というか地にしっかり足はついてても大分内向きな演奏でした。後半の金管のところとかもっとぱーっと行ってもよくなかったかなあ、と個人的には思いますが。
第2楽章はなんだかショスタコ的な(と言われてバルトークが嬉しいかはわかりませんが)スパイクが効いてて気持ち良かったですね。特にファゴットの格好良さは評価されるべきですよね!
この楽章を始めバルトークではトランペットのデュエットがよくあるのですがメル響ではトランペットの1stと2ndが夫婦同士。2度離れた、不協和音だけど2人一体となるこのデュエットを夫婦で聴けるのはなんだか特別です。
第3楽章ではティンパニが格好いい!ピッコロが難しいけど凄い!というのは勿論ですが弦楽器が光りました。濃い!そして特にビオラが(メル響二しても珍しく)「むちむち」としか言いようのない音を出してました(笑)
それは第4楽章のビオラセクションソロも同じで。(おそらく指揮者の指示。これからももっと活かして欲しい音です)中間部の皮肉のきいためりはりも良かったですね~
そしてやっぱり最後の第5楽章が今夜のハイライトでした。ときどきのずれも有りながら全体的にベスト、というのとあと的確さとワイルドさの両立だったり、ブラスのオープンな音だったり。あと最後のセクションの肯定的な感じが本当に嬉しかった。バルトーク聴いたぞー!という感じで家に帰れる感じでした!

今回の指揮者さん、後ろ姿みてても「奏者だったらこういう風に応答する」というのがはっきりと分かる感じで。
アクションはオーバーだけどとってもクリア。
4つの小品に対する思い入れだったり、管弦楽の~での暗い箇所の解釈だったり、ちょっと感じ方似てるところあるのかな?みたいなところがあるので・・・
・・・是非一緒にお仕事したかったなあ、と強く思いました。

バルトークは本当に好きな作曲家だけどオケ以外で弾いた経験がまったくないんですよね。
なんとかこの春くらいにピアノ曲でいいのを探さないと・・・と改めて思いました。
技巧はあれですがリズムだったり、がちがちの理系でも本能の炎も燃えさかってるところなど、バルトークのスピリットは自分にとってものすごく親しいですし、合ってると思いますし、自分にとって良いものだと思いますし。

あとバルトークはブーレーズの指揮がもっと聴きたいです。以前も何回か書いてますが理系の計算ずくし+ワイルドな炎のホット&クールのコンビはブーレーズのスタイルにベストマッチですからね。いくつかは持ってますがもっと味わいたいですよーホントに。

メル響は8月にベートーヴェン(とそのウィーン周り)のコンサートシリーズをやってるのでお好きな方は行ってみると面白いと思いますよ~
何回かに分かれて交響曲全部が演奏されたり、コンサート以外のトークセッションやイベントもあるようですので是非。
私は8月は大分忙しくなりそうですが交響曲第4,6番のコンサートは良さげだな~と思います。


今日の一曲: バルトーク・ベーラ 「管弦楽のための協奏曲」 第2楽章



「対の遊び」とも「対の登場」とも呼ばれるこの楽章には様々な「対の楽器」がそれぞれ違った音程で離れて同じメロディーを奏でながら現れます。
ドラムの序奏に続いて最初に出てくるのはファゴット(6度)、続いてオーボエ(3度)、クラリネット(7度)、フルート(5度)、そしてトランペット(2度)。
分かる人もいると思いますがこれらの音程は全部が全部「協和音」なわけではありません。5度や7度はちょっと「ん?」という感じですし、2度に至っては明らかにぶつかってます(トランペットの音色もまた手伝ってますが・・・でもそれもバルトークの計算の内)。
そして中間部では金管のアンサンブルがコラールを奏で(ドラムが序奏のテーマで茶々を入れ)、そして再現部は最初のセクションの所謂進化版。進化については再現部の最初に現れるファゴットのトリオが最高に格好いいです(それも新参の第3奏者が大変)!

そうやって様々な楽器の音色とハーモニーを楽しむだけのもの、といったらまあそれまでになっちゃうんですが・・・
確かにこの曲は奇数楽章と比べると偶数楽章はless seriousというか、comic relief的な存在ではあると思いますがこの短い楽章のくみ上げ方だったり、決して手抜きでは全然ないんですよ。

私のイメージとしてはこの第2楽章はからくり時計、というか・・・様々な衣装の対の人形が出てきて踊って。
その踊りだったり動きにもどこかメカニカルなところ、バレエの延長線のような不思議な秩序が存在しているようなイメージです。
(ただバルトークですしあとほんのり薄暗い雰囲気なのでディ○ニーとかそっち系をイメージしちゃだめです)
そんな時計を見て不思議に思うのもよし、ばらばらに分解してメカニズムを理解し楽しむのもよし。
精密なクロックワークはくっとはまれば本当にいろんなレベルで楽しめます。

いつかテレビ録画で入ってたブーレーズ×パリ管が自分にとって最強演奏なのですが、ブーレーズ×NYフィルも良さそうですね!手に入れたい!ということでリンクしました。
その中でもこのジャケットが大変可愛い♪でも可愛いだけじゃなくてよく見てみるとまさかこれは・・・実際のこの曲でのオーケストラの編成じゃないですか!?

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