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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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国毎に音楽紹介:イギリス編
昨日、今日と難しい案件の作業をやってました。
今日はピアノやらず夕飯前まで。内容が難しいのではなく英→和の翻訳なので・・・とてもネイティブとは言い難いレベルの日本語です(汗)このサイズの英文和訳は苦手を感じてしまいます・・・やりたくない、ではなくもっと小さな文書で徐々になれたいところですが・・・

ユースオケとの初リハーサルはもう明後日。(明日は惑星練習せんと)
すでに初対面の指揮者に対して人見知りが始まっております(汗)
今回のコンサートはオール英国プログラム。オーストラリアではプロもアマもこうやってイギリスの音楽ばっかり集めてオケのコンサートをやることは結構多いです。(学校で弾くことも多いですしね)そしてイギリス音楽中心のプログラムは大変聴衆受けがよろしい。

以前日本の家族やTwitterのフォロー先さんと日本においてのイギリス音楽演奏事情についてちょろっと何回か話し合ったことがあります。吹奏楽だと演奏頻度が割とあるみたいなのですがオケや室内楽などだとあんまり・・・という認識でしょうか。要因としては日本におけるアメリカ流のバンドの流通、それからオーストラリアは今でも強くイギリス文化の影響があること、そしてオーストラリアにおいて学校で弦楽器をやって学校あげてアンサンブルをやる文化が強いことがあるのでしょうか。

ということで今回は新しい続き物的企画の第1回として国毎(今回はイギリス!)の音楽の傾向、関連文化、名作曲家、名曲などを紹介していきたいと思います。

ヨーロッパにおけるクラシック音楽の中心と言えばドイツ・オーストリアのドイツ語圏とされていますがルネッサンス頃からイギリスでも音楽文化は活発ですし、20世紀~今に渡っても多くのすばらしい作曲家・曲を生み出しています。。バロック以前のEarly Musicの演奏にはかなりの割合でイギリス音楽が入ってきますしシェークスピアの時代の音楽なんかは映画や劇にも使われてますし。
イングランド・スコットランド・アイルランド・ウェールズ共に民族音楽としても特にメロディーに重きをおく音楽が多く、クラシック音楽でも美しいメロディーがたくさん書かれています。
(特に国の第2の国歌のように使われているI Vow to Thee My Country(木星のメロディーです)、Swing Low, Sweet Chariot、Jerusalemなどをきくと実感しますね~)

イギリス民族音楽から受け継いだのはメロディーの美しさだけではありません。イギリス音楽に独特なノスタルジックな性格、そして穏やかな色彩もまたイギリス民族音楽由来のすばらしいクオリティで。
ものすごくLaid Backな、振り返るような、思い返すような・・・
(イギリス音楽が活躍した時代の関係もあるのですが、実際民族音楽や古音楽を取り入れることが多く思えますね~)
それがものすごく日本人の「懐かしい」という感覚に近いものがあって、だから日本でももっとポピュラーになってほしいなと思っている次第です。

イギリスのクラシック音楽で特に魅力的だな、と思うジャンルが幾つかあります。

1) 吹奏楽
明るくも丸い音で、イギリスの昔からの歌や踊りの音楽の性質を受け継いだ、高貴な雰囲気があり、昼間部に美しいメロディーを挟んだマーチが特徴的です。

2) 弦楽・オーケストラ
イギリス音楽においての弦楽器のアンサンブルのサウンドというのは単純に最高!です。そしてその弦の強みはイギリスのオケレパートリーにも色濃く生きています。

3) 歌曲
実は私のイチオシです。どの国の歌曲よりもイギリスの歌曲、特にテノールが歌う歌曲が極上だと思います。伴奏はピアノにしろ他の楽器のアンサンブルにしろ本当にシンプルで、透明な高音域の声を支えます。

イギリスのおすすめ作曲家・曲、そして作曲家のスタイルのおおまかなまとめは以下です。
主に後期ロマン派~今をおおまかな時系列順で。

エドワード・エルガー (チェロ協奏曲、弦楽セレナード)(暖かみのある豊かな音)
グスタフ・ホルスト (惑星、弦楽曲「セントポール組曲」、吹奏楽のための第1組曲、第2組曲)(色彩豊かで自然のイメージが強い)
レイフ・ヴォーン=ウィリアムス (交響曲第5番、ヨブ、弦楽曲「トマス・タリスの主題による幻想曲」)(印象派風の透明感、シンフォニックなサウンド)
フレデリック・ディーリアス (チェロ協奏曲、管弦楽曲「春初めてのカッコウの声を聴いて」、「ブリッグの定期市」)(フランスがちょっと入ったようなメロディーとハーモニーの色彩)
ピーター・ウォーロック (歌曲「シャクシギ」、弦楽曲「カプリオール組曲」)(ちょっと渋め、独特の空間)
ベンジャミン・ブリテン (戦争レクイエム、シンフォニア・ダ・レクイエム、オペラ「ピーター・グライムス」、無伴奏チェロ組曲第1~3番)(ショスタコにも影響を受けた独特の暗さと声楽の強さ)
トマス・アデズ (Asyla、Arcadiana四重奏曲、Living Toys、Origins of the Harp, ピアノ曲「Darkness Visible」)(小編成の透明でアブストラクトなサウンド、古と新の融合)

どこかで縁があれば是非是非上記のようなイギリスのすばらしい音楽に触れてほしいなと本当に強く思っています。
(そしてどこの国の音楽でもお国の演奏が一番ですがイギリス音楽は特に強くイギリス出身の音楽科の演奏を聴くことを推奨します!)


今日の一曲: ピーター・ウォーロック 「シャクシギ」



シャクシギ=Curlewです。メシアンの「鳥のカタログ」の最後の楽章の「ダイシャクシギ」と同じ鳥で(フランスとはいえケルト文化の影響がある地域なところが興味深いですね)、ブリテンの「Curlew River」にも言及があります。
灰茶色でふっくらとした、曲がったくちばしの水鳥で、どうやらあの世とこの世の間を飛ぶ鳥というイメージがそれらの曲からちらほら読み取れます。

この曲は数年知ってるのですがなかなかじっくり向き合える時間がなくて。歌詞もイエイツの詩で本当にすばらしいものですし、ものすごく独特な空間と時間が流れる面白い曲なんですが・・・

やっぱりウォーロックの音楽って渋いなあ、と思います。
まず歌い手を支える楽器アンサンブルのメンツ。弦楽四重奏にフルート、コールアングレというちょっと変わったラインアップで。
それが絡み合う様もなんだかそれぞれ楽器・声の間にがらんとした空間が開けているようで、そして時の流れがものすごく遅くなるような感覚がして。

Curlewを題材にする曲ってノスタルジーに加えてどこか寂しげな、涼しげな、その鳥の色をした空気があたりを包むのが好きです。秋・冬の海を見て、風を感じながらいつかこの曲を一人きりで聴いてみたいです。

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