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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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惑星初リハーサル&ウィーン・アート&デザイン展
前回のエントリーに拍手ありがとうございます♪(コメントお返事済みです)
一応続きものということなのでこれからも企画どうもよろしくお願いします~

まずは告知から。

<メルボルン・ユースオーケストラ コンサート3>
ゲスト指揮者: Kristian Winther

[プログラム]
ヴォーン=ウィリアムス 「トマス・タリスの主題による幻想曲」
ヴォーン=ウィリアムス 「揚げひばり」
(休憩)
ホルスト 「惑星」

会場: Australian National Academy of Music (ANAM、国立音楽アカデミー(サウス・メルボルン))
8月28日 午後2:30開演


今日はそのコンサートのリハーサル初出席でした。
ちなみに「惑星」にはちょこちょこっとオルガンのパートがあるのですがANAMのホールはオルガンがないため私がキーボードでオルガンパートを担当することになりました(海王星の1音以外)。
これで木星以外のすべての楽章でなんらかの音を弾くことに。
キーボード使うのは久しぶりなうえかなり苦手なのでがんばらないと。
(これでチェロ、チェレスタ、オルガンと3パート制覇か!)

今日のリハーサルでは木星・土星の練習でした。(なのでオルガンパートをちょろっとチェレスタで弾いただけ、そして休憩後はヴォーン=ウィリアムス2曲をやったようです)。
どっちも(木星は当たり前のようによく聴かれますが)結構難しいんですよ。個々のパートもアンサンブルも。
木星では(今日は6人中3人しかいませんでしたが)ホルンのパートがちょっと理不尽な感じで。(母に要チェックですがかっこいい反面吹きにくい&孤立してる感じが。)
有名な中間部のメロディー、チェロで弾いてたときは(誰かが下に残らないといけないため)ずっと同じオクターブで繰り返しだった思い出。今回はメロディーを弾かず和音・ベースで支えてるハープ(これを味わえるのは隣に座ってる人の特権ですね!)、そしてティンパニに自然と注目。(ティンパニはちなみに2セット=2人で演奏です)木管と一緒に支えているのですがそれぞれの音のアタックはこの2つの楽器がものすごーく大事で、お腹にずっしり来ます。

土星は(私が海王星とともに一番好きな楽章で、ホルスト自身のお気に入り)いろんな意味で難しいですね。オケの弱点をついてくるみたいな感覚が(笑)
チェロのときも苦戦した覚えが。(エントリーが難しいのと、最初とんでもない音から始まるんですよね)
でも一番苦労してるのはフルートとハープでしょう。特にハープのパートに関してはスタンダードなオケレパートリーでこれ以上難しいものはないといえるくらい難しいと思います。
土星の難しさと魅力についてはまた別のところで改めて。

先ほどのとおり今日はあんまり弾くところがなかったのですが(主にスコアと初めて見たオルガンパートとあとハープ2台の弦を通してみる景色を楽しんでました)そのことについて「ごめん、いるの分かってたら他の楽章もやったんだけど」とあとで指揮者さんが謝りにきました(汗)今日やった楽章のリハーサルは必要だと思ったんで気にしなかったのですが(オケに関しては正直「しっかりしてくれ!」と思うところありました・・・でもトゥーランガリラも結局仕上がりましたしね、あんまり心配はしてないです)。
元はバイオリン弾きの若い指揮者さん(初対面)で。振ってるのは見て分かりやすいし音楽に関してはいい指揮者さんですがリハーサルの運び方(手際のよさ・効率よさ、さまざまな楽器のさばき方など)となるとやっぱりまだかな・・・という印象です。
それはもうやっぱり実際にリハーサルを重ねるしかないものですからね。(えらそうに言うのもなんですが・・・一応いろんな指揮者さんのリハーサル見てますので)

そしてリハーサルが早く終わったため駅に歩いて戻る途中にあるNGV美術館の「ウィーン・アート&デザイン展」に行ってきました。
面白かったです。全体的によく見るようなものなんだけど、そうでないみたいな。
20世紀当初あたりのウィーンにおいての家具・日用品などのデザインや建築、絵画などを集めた展示で、主にクリムトの作品を目当てに行きました。
さまざまな作品において共通して言えることはラインがものすごくシンプルで、はっきりしてて。そして色もはっきりしていて。だからものすごく派手な凝った装飾というのは違うのですが金などのしようできらびやかな感じはあり。
自然モチーフが多いんですよね。でもそれがある程度記号化されていて。
モダニズム全般に見える、先へ前へ行く感もあり、そして効率化・機能化の流れも見えて。

でも全体的に見るとなんだか人生肯定というかある種の「Optimism」が見えるような印象でした。
マーラーの話(ちなみに彼の肖像画もありました)もそうですし、絵画や写真などに見られる「人生を楽しむ」ようなライフスタイルのいきいきさがあって。

あ、あと特に家具なんかには日本を始め東洋の影響が見て取れますね。やっぱりsimplicityを追求するとジャパニーズデザインに行くのかな、という気はします。
それからポスターや建築で使うフォントとかもうずうずする面白さがありました。

作品で特に気に入ったのがクリムトのベートーヴェン・フリーズ(壁の上半分・四面!いのちを感じました。クリムトの書く女性って好きです)、それからTessellation風の人魚の絵、そして柄のながーい小さなリキュールグラス。あと大きなたんすっぽいものとか(どういう家に住んでたんだ?というものまで)も興味深いものいろいろとありましたね。

なんだか古典派・20世紀の「ウィーンの音楽」について別の角度からスタイル関連の確信を得たような気がします。すっきりしてて、記号化が入っててもかならずしも機械的ではなく、光と生命にあふれている・・・みたいな。
(で、思ったのはマーラーの音楽ってこういういろいろを考えるとずいぶん暗いなあ、と(笑))
行ってよかったです。勉強はもちろんですがなんかちょっと笑える面白さもあり(なぜかはよくはわからない・・・)

そしておまけ。
今日リハーサルの前にリハーサル場所(Victorian College of Artsという、以前言及しましたが今はメルボルン大学の一部となった大学)でトイレに行ったらトイレの扉に「鬱において友達のサポートが大事だ」という内容のメンタルヘルス関連団体のポスターが張ってあったのですがその周りに「そう思う」「でも難しいよね」「だからこういうポスターが大事」「それで自分も助けられた」など同意のコメントがたくさん書かれていました。
悪いほうに見ればそういう問題で苦しむ人が多くいる、ということでもあるのですがそれでもやっぱり「周りの人のサポート」の大切さをちゃんと真摯に捉えて、同意し、理解している人がいる、そしてそうやってサポートを受けられるってことに心が温かくなりました。この落書きを支えとしてメンタルヘルスもできることやったり勉強していければな、と思います。
自分にとってのWorld's Best Graffitiです!(こんどからそこの個室に入ろう)


今日の一曲: グスタフ・ホルスト 「惑星」より「木星」



以前扱ってますし有名ですし前回もイギリス音楽でしたが投入。
有名といっても全曲知ってる人は割と少ないと思います。(中間部と、あと3拍子の部分がメディアでよく使われます)
耳になじみが深いからこそちょっと視点を変えて耳を傾けてほしいところ、いっぱいありますよ。
(実は木星は全体の完成度からいうといろいろ考えた結果他の楽章に劣るのではないかと思いますが、それでも全体がうまく組み立てられていることに変わりはありません)

個人的なツボNo. 1は中間部のちょっと前、そして一番最後に現れる金管のリズム。
「たーたーたたーたかたかたーたたったーた」という速いリズム(分かるか!)なのですが・・・
この勢いというか踏み切りの快感さはなかなかです(笑)

そして先ほど書きましたがホルンもだいぶかっこいいけど難しいことやってるんでもちょっと注目してもらいたいなーと思います。主要メロディーを吹いたり、ちょっと粋な伴奏を吹いたり(3拍子の部分)。
昨日母が言ってたのですがホルンは全員一緒に音をそろえて一緒のパートを吹いてるとめちゃくちゃテンションがあがるんですよ。(近くに座ってるだけでもテンションあがりますよ!)

それから最後にキーが変わって低音楽器に中間部のメロディーが現れて、ハープや弦やそのほかの楽器が大波のような華やかできらびやかにうねるパッセージを弾いて、そこから最後まで走り抜けるのものすごく好きです。
あとは先ほど書きました「中間部でメロディー以外の楽器(特にハープ・ティンパニ)に注目する」ことですかね。あそこでハープとティンパニがなくちゃほどよい引き締めがないと思うので・・・

曲を通じてものすごく豊かなのがやっぱり木星の一番の魅力だと思います(まあ「喜びをもたらす者」ですし)。

クラシック音楽に限りませんが特にクラシック音楽で一見複雑なオケの音楽をもっと知るために、新しいことに気づくには音楽理論や知識はあんまり要らないと私は思います。
一番大切なことは曲に慣れ・親しむこと、それからさまざまな楽器の音を知ることだと思います。(そのために良い曲、というのは惑星もそうですが他にもっといいのがあるのでいつか・・・)
以前のレクチャーで音の種類の認識は聞こえる音と長期記憶にある既成テンプレートとの照合により起こる、ということを習いましたがいろんな楽器の音を聴くとあれがホルンでこれがオーボエで、というのが分かりやすくなると思います。
(あとはこの時代ですから演奏を映像で実際に見て覚えるのも有効だと思いますよ~)

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