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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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「Australia Voices #7」感想
前回のエントリーに拍手ありがとうございます~

さて、昨日のコンサートの感想・・・なのですが今回もまたコンサートの後がメインになります。
コンサートはMelbourne Recital Centreで行われたオーストラリア国立音楽アカデミー(ANAM)主催「Australian Voices #7」です。
オーストラリアの新しい音楽、そしてその作曲家をフィーチャーするコンサートシリーズ、今回は今年50歳を(数日前に)迎えたBrett Deanの音楽を、彼のコピーイスト(作曲された曲をスコアに起こしたりパートを作ったりする人)だったこともあるJames Ledgerの解説とともにANAMの生徒たち、卒業生などが演奏しました。
Brett Deanは元々ベルリンフィルで弾いていたこともあるビオリストで、ユースオケでベルリオーズの「イタリアのハロルド」のソリストとして共演していただいたこともあります。彼の作品は今年だけでなく幾度となく聴いていますが縁はあるし好きなものの弾いたことはないです・・・
ちなみに生誕50周年ということで引っ張りだこで作曲家自身は今回コンサートには来れなかったそうです。

プログラムは以下の通り:
Brett Dean "Huntington Eulogy"(チェロ+ピアノ)
Brett Dean "Poems & Prayers"より第4楽章「Equality」と第5楽章「Prayer」(メゾソプラノ+ピアノ)
Brett Dean "Polysomnography"(木管五重奏+ピアノ)

Brett Deanは(James Ledgerの言うとおり)自分の楽器以外の扱い、書き方も熟知していて、全てのパートがものすごく難しいながらも高いクオリティで書かれていて。
聴いてすぐ「理系」なことが分かるほどものすごく論理的に、緻密に書かれている音楽ですが人の心に大変繊細に、クローズアップに迫る音楽で。

私が好きだったのはHuntington Eulogyでした。やっぱチェロ弾いてた人ですので(笑)チェロの魅力がものすごく引き出されてる、特に蜂の群れの表現なんかはチェロじゃないとできないだろう!というような音楽で。あとバルトークとかでも最近縁のある「夜の音楽」の表現がものすごーく好きでした。

Poems & Prayersはこちらでは新聞をはじめとする風刺漫画で有名なMichael Leunigの詩を歌とドラマティックスピーチの混合で使った、というのがすでに面白かったですね。詩のおもしろさを一つも損なわない音楽のセッティングに聴衆からも笑いが。
ちなみにこの曲を歌ったメゾソプラノの歌手はBrett Deanの娘さんでした~

そして今回のハイライト、Polysomnography。寝ている間の脳の体験を音楽にした、恐ろしく複雑だけれどものすごく聴いてて興味深い、楽しい、びっくりするような曲でした。
やっぱりANAMの奏者は腕が立つ!ここ2週間ほど集中してリハーサルしてたそうですがその時期の短さが全然感じられなかったです。

そもそもこのコンサートに来たのがトゥーランガリラの彼が全ての曲でピアノパートを担当していたから、ということで彼と後で挨拶して。それで飲み会があるということでMalthouseに行きました。
奏者でも何人か知ってる人は居ましたがその他の人たちも紹介していただいて。
音楽の話、今回の演奏の話、全くくだらない話で盛り上がりました。その場に居た面々のうち合計2.5人がアジア人、という話も。私が1人、あとハーフが3人、ということで。
あとはめちゃくちゃな日本語で笑いあったり(なんでそんなこと知ってるんだ、というものばかり)。

コンサートが6時だったもので、しばらく飲んでるとお腹もすき。
一部のメンバーでシティのJoomakという韓国料理屋に突入。ちょっと目立たないところにある、安くてそこそこおいしいお店で半分個室になってるところもあり、小皿はおかわり自由。ちょっとお酒は高いですが韓国のビールはおいしいそうですよ。
トゥーランガリラの彼、今日のファゴット奏者(ユースオケでも一緒でした)、オーボエ奏者(同級生)、そして前者2人の共通の友達のファゴット奏者、という面子で。
店に流れてるK-Popに合わせてでたらめ歌ってたり、「他の人も来れば良かったのに-」と愚痴ったり、演奏のことだったり下ネタだったり。
その店、近いうちに1周年記念で全品50%OFFになるそうなのでその時にまた行くことになりそうです。

そしてたらふく食べたら同じくシティのRooftop Barで飲み直し。
同じ場所のRooftop Cinemaは春夏季にオープンしているのですが、春でも寒かった記憶が強いのですがバーはガスヒーター完備で快適。しかもウォッカがBelvedereだった!(でも高くない!)
1軒目から大分飲んでる奏者たちと違って私はここから飲み始め(笑)
結局終電まで談笑(&歌)してましたね~ものすごく楽しかった!

今日ファゴットを吹いていた彼(アジア系2.5人の1人)は話してて本当に面白かったです。ものすごくくだらないことも話しながら、かなりはっきりものを言う人手、音楽に関してものすごく視野が広いし私より3歳年下ながら私の時代の大学の面子とも面識があったり(「良い時代だった」とのことで)。(あとこないだPort Fairyで私の先生とも話したりしたそうです。)
もともとJoomakも彼が音楽仲間に広めてるらしいです(笑)ものすごく仲良くしてもらってる様子のトゥーランガリラの彼なんかはすっかりJoomakにはまってしまったようで。

トゥーランガリラの彼も親しい友達(=男の子の友達)といると大分生き生きしますね。2人で居ると穏やかな感じでずっといるので(笑)
密かに観察させてもらってほくほくしました。可愛かったです(本音)
大学のコンサートも来てくれるかもしないみたいですし、またJoomak行ったらわいわいも見れますし二人で遊びにいく約束もあるんで舞い上がるようなことではないのですが(笑)
後輩全般可愛くてしょうがない中で彼と居ると本当に楽しいし心が穏やかになります。

ただし彼が私が今弾いてるクラムのEine Kleine Mitternachtmusikを弾く予定、ということには自分でも理由はわからないけど軽く怒りました(笑)「あ、やっぱり似てるな」とか喜ぶ前に闘争本能が拳を上げてしまった(笑)好意と音楽のライバル心は別らしいです。音楽に関してはガチのようで。
でもそこで謝られるのもなんだか違う気がする・・・うーん。

あと「私が弾くの聴いたことなかったよね」と確認した時にダフニスとクロエのあれを聴いたのをカウントしようとしたのはまあすごい根性だと思ったです(笑)音の数で単純に考えたらそんなに全然弾いてないですよ!
ピアノを弾くような事があったら聴きに来てくれる、っていうけど今のところ実現しそうにないんだよなあ・・・(でも認めて欲しい気持ちもあり、聴きに来てくれるという気持ちも嬉しく。・・・うーん)

最近同世代の音楽家たちの演奏を聴いたり、音楽畑のいろんな人と会って話して笑いあうきっかけができて、いろんな人と楽しい時間を過ごせて最近音楽関連で音楽そのものもそれ以外のことも本当に楽しくて。
なんだか本当にいいなあ、と思います。

もっと楽しい時間を過ごせることを願って。


今日の一曲: Brett Dean "Polysomnography"

(まだ録音は発売されていない様子・・・?)

今回のコンサートで一番のハイライト。
ピアノ、フルート(ピッコロ持ち替え)、オーボエ(コールアングレ持ち替え)、ホルン、ファゴット、クラリネットのための曲です(席順でリストしました)。
本当に難しい曲で、自分のパートにしかかまってられない、思考がストップする、気を失いそうになるなどのコメントも奏者から聞かれるほど。

でも難しいながらも本当に奥深いです。
木管楽器(+ホルン)はそれぞれがものすごく違う音色なので、アンサンブルにすると独特のフレーバーがでます。この曲だとその音色の違いを生かしてトリルを重ねて不思議な「波」を表現したり、ものすごく立体的なイメージの音楽を創り出しています。

5つある楽章の内どれもが無意識だったり眠っている間も忙しく動く脳の回路、脳の中で構築される不可思議で恐ろしい夢の連なりだったり、リアルというのもまた違う「超」現実的な世界を強烈に表すのですが、特に第4楽章での盛り上がりは奏者・聴衆一同から非常に高く評価されていました。

今回のコンサート、特にこの曲を通じてBrett Deanはオーストラリアの宝ともいえる素晴らしい作曲家だと思いました。

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