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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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ファウスト・・・の感想みたいなそうでないような
(ネタばれ注意です)


ゲーテのファウスト、何年か前に読んだんだけど今日またちょっと思い出すところがありまして。

日本語で読んだんですけど(でも英語のほうが面白かったかな・・・?訳によりけりでしょうが)結構好きで、コミカルな面が心に残ってます。

「ファウスト」は私にとってはファウストの物語というよりもメフィストフェレス主体の物語でした。

神様ととんだ賭けをしてしまったばかりに人間に振り回されて苦労してはそんな役回りを演じ続け、骨折り損の果てにファウストの魂まで天国に持っていかれるし。

こういう文学って神様や天使よりも悪魔がどちらかというと人間的に、魅力的に書かれていて・・・そういうのが好きです。
神にこの賭けで勝つためならば、とファウストの望みをなんでもかなえてやるとはりきっていろいろ策をめぐらしたものの、ファウストはグレートヒェンと恋に落ちてこの娘がまたメフィストフェレスの一番苦手そうなタイプで。それで無用の殺人はするわ南に逃げなくちゃいけないわで。
南に逃げたら逃げたで向こうの悪魔の祭りでタイプじゃない女悪魔たちに絡まれるわ、地道に経済再建するファウストに手下ともども地味な肉体労働にかりだされるわ・・・賭けに勝つ条件を果たしたと思えばあれやあれやと天使たちにファウストの魂を騙し取られるわで。

とんだ人生ですよね(笑)でもそうやって苦労症のメフィストフェレスが好きで好きで。

悪魔からみた人間ってこんなんなのかなーって思います。この話の人間を外から見るような視点も好きです。
あの「瞬間よ止まれ、汝はいかにも美しい」ってシーンもどうも他人事のように見てしまう。メフィストフェレス視点で、そう言うファウストの横顔のその表情を見ながら・・・メフィストフェレスはきっと不思議に思うんだろうなーと。

こんど読むときは南北の悪魔の集まりのところをもうちょっとまじめに読みたいですね。どんな生き物が出てるかだけ見ながらざーっと読み進めてしまったので。

もともとは自分の創作のスラーヴァというキャラの設定のためにメフィストフェレス目当てでこの本を読んだんですけど・・・結局参考になったのかどうかというと・・・うーん(笑)
まだまだいろいろ吟味したり、読み返したり、考えたりしなければならないようです。

ファウストは音楽や漫画、映画や小説などいろんな媒体でリメイクされてますが・・・いつかお近づきになりたいところです。


今日の一曲・・・じゃなくて今日は2曲です。

今日の一曲 その1: セルゲイ・ラフマニノフ ピアノソナタ第1番 第3楽章



20世紀音楽ばっかりシリーズ、見事に続いてますね(笑)
ちなみにラフマニノフは後期ロマン派扱いされることが多いですが、結構やってることは20世紀ばりばりではないかと私はいつも言ってたら大学では結構賛同 者がいました
そもそも今日ファウストのことを考えてたかというとこの曲のおかげで。

聞いたところによるとこのソナタの全3楽章はゲーテのファウストを題材にしているとか。
第1楽章はファウスト、第2楽章はグレートヒェン、そしてこの第3楽章はメフィストフェレスがモデルらしいです。
第3楽章のメフィストフェレスについてはラフマニノフをそこそこ知ってる人なら曲中に出てくる「怒りの日」のテーマの引用に裏付けられていると思います。
そしてどことなくなにかが例えばリストのメフィスト・ワルツに似てたりも。

あんまり弾かれないんですよねーこの第1番。ピアノソナタの癖に演奏時間が40分以上あるのが原因でしょうか。ラフマニノフの初期の作品に漂うそこはかとない渋さがものすごく魅力的なんですが。

人間としての哲学的な思いにふけるファウスト、淡い愛に溺れ戸惑うグレートヒェンの後にこの跳ねるような、暗躍し策をめぐらし魔法を使うメフィストフェレス。3者3様、それぞれの魅力が生きてソナタ全体としてもひとつの大きな世界を表現するちょっと長いながらもものすごく心に近いソナタです。


今日の一曲 その2: リゲティ・ジェルジュ(ハンガリーですので) ピアノのための練習曲 第13番 「悪魔の階段」



悪魔と思ったらこれは外せなくて・・・という理由での今日の2曲目。
13番で悪魔、そして悪魔のように難しい!
数学的な音楽を書くリゲティのこと、もしかしたらこの練習曲の番号の13だけじゃなくて曲の中にもなんらかの形で13が入ってるんじゃないかと思ってるんですけど・・・知ってても教えないでくださいね!いつか楽譜を買って自分で探しますから!

まるで無限の階段を上り下りするような音形は本当に無限の空間に広がっているようで。
どこか腹黒い(全体的に色の黒い曲です)、どこかにトラップが仕掛けてあるような・・・無機質だけれど一瞬の気も抜けない(まあ奏者はもちろん気の抜けないほど難しい曲ですが!)音楽です。

どこかわくわくするんですよね。まるでマリオみたいなゲームをやってるがごとく。
そして前述メフィストフェレスが策をめぐらし、魔法をかけ、そして四方八方奔走する様に。

無機質だけれど、ものすごく生き生きしている、ものすごく生きているエチュードです。


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