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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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AndanteでComodoな感覚
前のエントリーに拍手ありがとうございます~

今日はお出かけしてきました。
戦利品のアルケミーゴシックElementary Crux Angelicus(メシアンと海王星をイメージしますね!)をつけて、同じく戦利品のRekorderligサイダー(シードル)の洋梨味を飲みながら更新です。

そもそもお出かけの主な目的はなんでこのタイミングに?という買い物ではなくて、トゥーランガリラの彼とランチだったのです。
向こうはアカデミーでミーティングやらリハーサルやらあるなかで昼頃に数時間があく、という感じなので今回はサウスメルボルンあたりでまったりと。
国立アカデミーからほど近いChimmy'sというカフェでお昼。甘い物がおいしそうだったのですが今回は何も食べずにお昼なのでキッシュをいただきました。なんでもアカデミーで在学~伴奏のお仕事をしているうち(5年)に彼は相当通ってるところらしく、スタッフにすっかり顔知られてました(笑)

そしてやっぱりピアノの話に。
私としゃべると大抵20世紀~の音楽が圧倒的に多くなりますね(笑)
カフェではショスタコのことを結構話しましたね。前奏曲とフーガ周りを主に。調のこととか話したり、今弾いてるバッハの話、嬰ニ短調とかのキーの話だったり。
クラムの音楽の話で以前紹介しました「新神話主義」の話だったり、そこから派生して心理学の話だったり。なかなか色々説明できないで居ることが多いのですが、相手が割とそこは寛容で気長に優しく聞いてくれてるのが伝わってるのでフラストレーションをそんなに感じないな、と思うのですよね。

食べ終わった後は南下してAlbert Parkに。
MSACというスポーツセンターや、Orchestra Victoriaの本拠、公立の女子進学校MacRobertson's Schoolがあったり、ゴルフコースがあったり、そして4月にはF1レースの舞台ともなる公園で。真ん中にある湖には黒鳥などの水鳥が住んでいます。(それから病院にも近いので私もちょこちょこ行ったことあります)
そこをぐるっと回る歩道を途中までゆっくり歩いて、そして戻って(歩くには結構なサイズの湖なんですよ)。
もちろん歩いている間も音楽の話に。

こないだ演奏に戻ったら、と勧められたんだ、と言ったら後押しされちゃいましたねー。
私の演奏が聴きたい、演奏するなら行くよ、と言われるのはやっぱり嬉しいです。私もやっぱり彼と知り合ってしばらくするのですが私がどう弾くか(弾く、には解釈や感性なども含まれます)、どんな実力か、というのを知ってもらってないのはなんだか微妙な感じですし。実力では全然追いつけませんが、少なくとも同じグラウンドに立ちたい、ということですかね。

あとはメシアン周りで話がやっぱり弾みました(笑)
こないだ「鳥のカタログ全部人前で弾いたら」(もちろん今じゃないですが!)と言われた話から、数年前メシアンイヤーの時にトゥーランガリラの彼が国立アカデミーで他のピアニストと手分けして20のまなざしを弾いたときの話になり。
第12番(全能の言葉)を3人同時に弾いた(!)という話だったり、あれはハードロックだよね、という話だったり(そう言われるとまたそのうち弾きたくなるじゃないか!)。
あとは彼も共感覚保持者みたいです。私は「おそらく」なんですが、そういうところも似てるのかな、と(他にも今日の会話から「これも一緒か!」と似たところいくつか見つかってたり)。

そしてまたクラム。
Eine Kleine Mitternachtmusikを彼はちょうどこないだパースで演奏してきたのですが、愛着が湧いて好きになった、特殊奏法に関して敷居が低くなった、という話だったり(私も特殊奏法したいなー久しいですよ本当に)、あと「天体の力学」っていい曲だよなーとか。
メシアンもクラムももっと弾かれれば良いのに、と思うのは二人同じ気持ちで。なかなかね、難しいんですけどね。それを私たちも少しずつでも負ってかなくちゃいけないですし、喜んで負いたいですが。

そのパースでの演奏のコンサート(Perth Internaltional Arts Festivalのアメリカ音楽特集のコンサートだったそうで)が今日帰ってきたらABCラジオでやってたので夕飯作りながら少し聴きました。Eine Kleine~は抜粋で、コンサートのプログラムの中に分散されてるのですが彼が弾いてるうち第2楽章は聴けました。
なんでも中庭で屋外、星空の下で弾いたらしく、ものすごーくうらやましいです。
そのコンサートでは去年9.11同時多発テロの10周年として作曲され、こちらでもすでにクロノスカルテットが弾いたりしているスティーヴ・ライヒの「WTC 9/11」が演奏されていました。料理してる間で全部は聴けなかったのですが、実際の音声なども入ったパワフルな作品でした。むしろ初めて聞いたのが生だったらものすごくしんどかったかも!
弦楽器ってこういう恐怖や緊張などの感覚の表現がものすごーく正確で、リアルですね。心構えはある程度できたのでまた改めてちゃんと聴いてみたいです。

なんだかランチ食べて散歩して、とゆるやかながら自然にすっと時間が流れて、あっというまのようでもありました。
毎回言ってることですが、とにかく心地良くて自然なんですよ、彼と一緒にいて。
コミュニケーションのストレスを感じることもなければ変に意識しすぎることもなく。黙ってても話していても空気はそのまま自然に流れていて。
いつも会えるのは限られた時間だけどこうやってずっと居れるなあ、と私側では思うんです。
それはきっと話が合ったり、好みだったりおそらく感性のようなものの似たところがあったり、そういうこともあるんだろうけど、毎回言葉で表現しようとするとしどろもどろになってしまう、とにかく心地良い雰囲気があるんです。
向こうも私と居て楽しいようなので、それは素直に喜んで感謝していいんだよね、と。

Albert ParkはこれからF1に向けて騒がしくなると思いますがまたああいうゆったりしたところで一緒にゆったりしたいです。
彼も今年は作曲した作品の初演だったり、そして演奏の方も積極的にやるような予定らしいですが、声をかけたら会ってくれるみたいなのでお言葉に甘えようと思います(笑)
そして私もピアノに今まで以上に精を出さなきゃいけませんね。誰に対してもそうですが、彼には特にベストを聴いてもらいたい。(プログラムに食いつき良かったですしねーやっぱり好みが似てるっぽい)
がんばらなきゃ。自分のために、その他諸々のために。


今日の一曲: ジョージ・クラム 「Eine Kleine Mitternachtmusic」 第7楽章 「Blues in the Night」



今日聴けなかったあと一つの楽章が確か第7楽章だったはず(昼聴いたことをちゃんと覚えてたら・・・)
タイトルにあるようにブルース風に書かれたこの曲。実はテンポが書いてあるところに「"At sixes and sevens"」と書かれています。
このフレーズの意味は「混乱して」という意味があるのですが、私はこの楽章をなんとなーく「酔っ払って意識がもうろうとした状態」と解釈してるんです。もう第7楽章、夜もだいぶふけてますからね(笑)
(ちなみにwikipedia英語版で調べてみたら中国では似たような意味で7と8を使った言葉があるそうです)

そして数字遊びが好きなクラム、もしや・・・と思って楽譜を見たら曲の中に6拍子の小節と7拍子の小節が混在している!
うまい!というよりも脱力しましたね(笑)これもう音楽における「オヤジギャグ」の類じゃないですか・・・

先ほどこの楽章を酔っ払った状態と解釈している、と書きましたが一応ぼんやりとはしていますが根拠はあります。
ブルース風に崩したリズムのけだるさだったり、以前弾いたこれまたブルース風のカバレフスキーの前奏曲(第23番、ヘ長調)のような半音で上下するラインの揺れる感じだったり、定まらない拍子だったり。
それからメロディーの描く形の不安定さがまたそれっぽくて。
で、それっぽく弾くと良い味がでるんですよね(笑)どんどん崩して、どんどんけだるげに動かして。そうするとぴったりなんですよ。(酩酊という状態にならない私が言うのもなんですが・・・今現在まだRekorderlig飲んでますが)

今日話してたのはEine Kleine~は弾く側にとっては特殊奏法が多すぎず、でも基本のテクニックはある程度カバーしてるから特殊奏法はこの曲集から入るのもありかもね、ということと。
それからこの曲で現れるちょっと変わった特殊奏法のことも話しました。なにやら片手でハーモニクスを押さえてその同じ手の親指で弦をこする、というものらしく。ハーモニクスはどの弦楽器でも特性上ぴったり正確な位置を押さえないと響かないのですが、その反面この「弦をこする」ときにハーモニクスがぴったり合うとすっごいいい音がするらしいです。この曲もピアノはアンプ付きなのですが、アンプはこういう大音量が望めない特殊効果の味方につきますね!

この曲集を通じて考えるときっと主人公は一人で、周りに幻影とかが立ち替わり入れ替わり現れる感じなのかな、と思われますが、この楽章を聴くとそれがはっきり分かりますね。間違いなく一人飲みの雰囲気です(爆)
ということで特に都会での寂しい夜の一人飲みのお供にこの楽章、そしてこの曲全体をおすすめします♪
ウィスキーですかね?ウィスキーのロックっぽくないですか?(笑)

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