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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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Small body, small hands...
もう何回か話に出たかとは思いますが、私日本人としても結構小柄なもので。
オーストラリアに住んでるとバーのカウンターが高かったり(声を届かせるためにいつも足が宙に浮くほど乗り出してます)なんだかトイレの高さも微妙に違ったり(おなじく小柄な母談)、人に埋もれたりいろいろちょっとばかり不便なことはあったり。

ピアノの世界でもちょーっとだけ不都合がでます。まあ手は体の割りには大きいほうなのか1オクターブはとりあえず楽勝なんですけどそれ以上はきつくなったり。
他にもコンサートグランドピアノを全体重で押しても動かないという話もありますが、とりあえず手の話を。

私より手の小さい人も大学にはいたんであんまり言い訳したり贅沢いっちゃいけないのかもしれませんが、それでも普通のサイズの手の人の「普通」をやろうとすると手を傷める恐れがあり。
大学での私のピアノの先生は体格は普通なのに手が小さめらしく在学中はいろいろこのことについて話してくれました。

例えば曲を選ぶときもあんまり無理しちゃいけない、とか。ラフマニノフやリストのように自身が手が大きくて自分で弾くために書く作曲家の曲は気をつける、とか。(スクリャービンは自身が手が小さいのに小さい手には恐ろしい曲をたくさん書いてるんですよ。どうしてだろう。)
オクターブばっかり休みなく続く曲(ショパンの練習曲op. 25-10が思い浮かびます)や大きな和音ばっかりの曲(リストのリゴレットとか?)はとりあえずあきらめなさいと。

そしていつでもなるべく手は「閉じた」形にする、広げたままにしておかない、という風にもよく言われました。

あと先生はいい人なんですが多少せっかちで(例:演奏が終わって音が鳴り終わってないのにもう立ち上がる)怠けものなところがちょーっとありまして。
だからもちろん手を傷めないためなんですけど多少手に無理をさせるような箇所は音を抜いて良いよ、っていうんです。もちろん曲の音になるべく支障がでないようにしますが。でもたまに私が多少音的にこだわってるところも抜こうとするのであせります。
先生は安全第一だけれど私は若いから(?)多少無理したってそうたいして痛くもないから大丈夫よ♪的な、むしろ音楽に関しては少しくらい無理したいみたいなところがあるので。

で、無事今でもピアノに関して怪我をしたことはありません。入院中にかぎ編みのし過ぎで腱鞘炎になったことはありますが。あと薬の副作用で一回レッスンで指が動かなくなったこともあります。あ、それから精神的ショックで手が固まったことも。
なんにしろ原因はピアノを弾くことではないのでこの際オッケーです。

ただ手が小さいからといって小回りが効くとかそういうことは・・・自分に関しては自信がないです。テクニックは多少避けて通るというか二の次みたいなピアニストでしたので・・・

先生に・・・メールかかなきゃな、と思います。無事職をみつけて、またピアノもやってるってことが伝えたくて。
ただ先生は本当に口数少なくて、在学中はまあ奔放にピアノをやってた私のこともかわいがってくれたけれど今はどうかなーって気持ちもあり。

先生、大好きなんです。
こういう人
なんですけど。
ミケランジェリに師事した経験があって(つまり私はミケランジェリの孫弟子!?チェロもね・・・私のチェロの先生、シュタルケルに習ったことがあるっていうんで私はシュタルケルの孫弟子・・・)、彼と同じくドビュッシーを得意としていて。
全体的に印象派が得意だけれど生徒が弾く分にはまあ結構心の広い人です。ただ基本ゆっくり過ぎる曲と難しい曲、あと毒がある曲は好きでないと私の経験によりわかりました(笑)私よりもずっと趣味のいい人ですから。
私に日本の音楽を弾いたらどうかと薦め、現代音楽専攻の道を示した人でもあり・・・
ほとんど毎年、ピアノのみの一日コンサートシリーズを主催(奏者は自身、大学での先生たち、そして優秀な生徒たち)したり、Port Fairyでの音楽フェスティバルの主催もやったりメルボルンの音楽の活動に貢献してる人です。

大学内の寮に一人で住んでいて、そこではコンサートグランドが3台あったり、おびただしい量の楽譜や本があったりでなかなか私は先生の家が好きで(笑)

実は私のチェロの先生(元)とも仲がよく、そして私の第2の師で友達でもあるメシアン弾きのマイケル・ハーヴィーと仲がよく。なにかとコネがいいんですよね。(ただマイケルは私の友達の先生でもあってそっちから知り合ったんですが)
生徒たちも本当にすごい人とかいっぱいいますし。

言動がどことなくコミカルでユニークで。生徒たちを知ってか知らずか笑わせてくれます。先ほど言いましたように口数は少ない人でいまいち何を考えてるか何を感じてるかわからないみたいなところもあり。

でもなにかにつけて優しい人です。
前述指がレッスンで動かなくなったときも自分も高血圧の薬を飲んでるから副作用があったりそれがつらかったりすることはよくわかる、というふうに慰めてくれましたし、うつがひどくて練習することもままならないときはなんとか無理せず少しずつ続けていけるよう支えてくれましたし。

本当に迷惑かけてばっかりで、そんなに演奏家としては先生のおめがねにかなうことはなかった生徒でしたけれど私が表現しようとしてること、冒険しようとしてること、そういうことは本当に認めてくれてある程度評価してくれてるようだったので・・・
またレッスンするならまずは先生にまた習いたいと思います。先生と呼びたい、呼べる人は彼しかいないと信じてますので。

なので今週メールを書かなきゃ!


今日の一曲: ポール・ロヴァット=クーパー 「Earth's Fury」

レコーディングはこちら

これだけピアノの話をしといて無神経にもほどがありますがブラスバンドのための曲です。
この録音で演奏しているトロンボーン奏者、ブレット・ベイカーのために書かれたコンチェルトにも似た感じの曲。
このブレット・ベイカーがすごいんですよ!トロンボーンって金管楽器で唯一スライド式、つまりは唯一音程を取るのに指じゃなくて腕の筋肉を使うじゃないですか。それがこんな超絶技巧で!
腕の筋肉ってそんなに細かく動くんですか!?といった印象です。

そして彼とともに弾いているのがBlack Dyke Band。彼らは本当にすごいです。技巧はもちろん、ブラスの音、というものの真髄を骨の髄から全身に感じます。

たとえこの曲が例えばオーケストラで聴くような名曲のような音楽的深さは不足していても、ブラスバンドというものはこの金管楽器たちの音の素晴らしさというものでカバーするどころかカバーする以上の素晴らしさがあって。
まっすぐで、輝かしくて、豊かで、明るくて、いくつもの音が全く一つにとけあい、あったかいブラスの音は最高です。

Earth's Furyとは大地の怒り、といったところでしょうか。「Twister」、「Fallen Memories」、「Succeed the Storm」の3楽章からなるこの曲は自然の猛威とそれとともに生きる人間の心を描いてるのかなーと思います。
だからでしょうかね、私は「Succeed the Storm」の前向きに突っ走っていく性格が好きです。

トロンボーンという楽器の限界、ブラスの集合体の音の素晴らしさを聴くにはもってこいの、エキサイティングで感動的な(メロディーとかよりは音に)一曲です。


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