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~名もない蛾と虹の錯乱~ 内の思いと外の色彩をつらつらと。
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なつかしのTomorrowシリーズ
今週末はイースター。親友と休みが続くのでどこか行こうか、ということになっていたんですがどうやら泊まりは無理そうで。近場で日帰り、ということになりそうです。

泊まりでないといったところで没になったプランの一つに「Tomorrowシリーズ」の舞台になった「Hell」のあるところに行く、というのがありました。


こちらにも紹介があります)
この「Tomorrowシリーズ」、オーストラリアの若年層文学の中ではもっとも有名な類に入るジョン・マーズデンの代表作。第1作の「Tomorrow, when the war began (邦題:明日、戦争が始まったら)」から第7作「The Other Side of Dawn(邦題:明日への扉)」まであって。
第1作は多分私がこっちに来る前に出版されてて、私の英語が途中で追いついて多分第6作くらいからリアルタイムで読んでたかな。私の友達も読んでいて、第7作で完結する!というときにはずいぶんテンションがあがった思い出があります。

この話は主人公の女の子(まだ高校生)、エリーが彼女と彼女の友達に起こった出来事を書いて記録に残している、という形で(少なくとも途中までは)書かれています。
エリーはオーストラリア南部の田舎に住む女の子。家は農場をやっていて、友達もだいたいそういう家が多く。
ある日友達を集めてキャンプをしようと企みます。
ギリシャ系のホーマーは破天荒なやんちゃ男子、親友のコリーにその彼氏のちょっといけすかなかったりするケヴィン、(ここまではみんな農場経営)、家が町(といっても小さそう)にあるアジア系で家族がそっち系レストランの男の子リー、ちょっと天然で他の子よりも田舎くささがないフィオーナ(フィ)、そして信心深い女の子ロビンの7人が集まってキャンプにいくことになり・・・

キャンプから帰ってくるとどこの家にも誰もいない。家で管理してる動物は無残な状態になっている。テレビもつかないし、周りにも人っ子一人いない。
これはおかしい、ということで不安な気持ちをぬぐえないまま町の様子を見に出たとき、7人は驚愕の真実を知ることとなる。
・・・この国は侵略を受け、彼らの家族をはじめとする人々は捕らえられている、と。
そしてエリーたちは自分の身を守るため、生き延びるためときには逃げ、ときには戦いながらサバイバルの道を歩むことを決意する・・・という話で。

アクションはもちろん、まだ大人になりきっていない彼らのこの経験を通じての成長や、登場人物一人一人の思いとその変化、そして登場人物の人間関係なども魅力的で。
それにしても今の時代は非国家主体によるテロの恐怖が主流の時代になってしまったのでこのシリーズで描写されるようなアクションは少しもう古いのかしら。
私はちなみにロビンとフィが好きです。エリーも欠点はあるけれどしっかりしてるしタフで好印象男子だとホーマーが好きかな。

それにこないだこっちに来て以来の友達が経営してる農場(家がずっと農場をやってて。今は育児ケアもやってるらしいです)に遊びにいったんですけど、それが地域的にもTomorrowシリーズでエリーたちが住んでいるであろうエリアで、同じように農場があって、ちょっと離れたところに町があってってパーフェクトで。
そうか、あの話はこういうところの話なんだなーって、やっと情景がはっきり浮かびました。
なのでオーストラリア南部を知らない方にはそこのところ読んでてどうなのかなーと気にはなります。

で、そのもうちょっと東の先のブッシュ、というか山の方にエリーたちがキャンプしに行った場所のモデルロケーションがあるんです。
Mt HowittのあたりのTailor's Stitch、そのあたりのDevil's Staircaseが小説で言うSatan's Stepsで、その険しい岩の崖を下ったところにエリーたちの言うHellがあるんです。
Hellは小説の中では昔自分の妻と子供を殺した男が隠れ住んだ場所となっていて、7人にとって秘密のキャンプ場所で、戦争が始まってからは隠れ家的な場所となっていました。地獄という名前に反して暮らしいいところで(笑)とくに戦争中はむしろ外の世界のほうが地獄でしたから。

ずっとそれをみたい、見たい、といってたので今回は没でもいつか親友と一緒に行こうとおもってます。
ただ途中までしか車でいけなくて、それでDevil's Staircaseまでは少なくとも1日ブッシュウォーキングらしいので時間があるときに。さらに冬になるとスキー場もあるエリアなので雪でいけなくなるなんてこともあるらしいのでなるべく寒くないときに行きたいですね。

ただシリーズとしては・・・Tomorrow シリーズは途中と最後がちょっといまいち、という感じでしたね。少なくとも第1巻、第2巻はものすごくお勧めです。ただ5巻と7巻が・・・(ぶつぶつ)

Tomorrow Seriesの邦訳はこちら
私はでも鉄条網をあしらった初版のカバーデザインが一番好きです。最終巻の初回特別版はカバー真っ黒で鉄条網だけ、というデザインがかっこよかったですが今はもしかしたら出版されてないかも。
日本語はもちろん、英語もそんなに難しくないので(もともと現地の中学生が読んだりする本ですし、私も来て3年目くらいで読み始めてるはずなので)自信のある方はぜひ英語で。

なんとこのTomorrow Series、こちらでは今年映画化されるとのことで、かなり楽しみにしています。(日本ではやるのかな?)キャスティングを見る限り役者さんは知らない子ですがみんななかなかイメージぴったりです。ストーリーも元がいいのでシリーズを通じていい映画になるといいです。そしてあわよくばこの映画化で世界にもっとこのシリーズが知られるようになるといいな、と思ってます。


今日の一曲: フランツ・リスト 「超絶技巧練習曲」より第5番 「鬼火」


フランス語で Feux Follet、英語で Will 'o wisp。
リストって全体的にあんまり好きじゃない曲が多いんですけど(外向的なんですよねー。リスト自身が弾いて技巧などを見せびらかすために作った曲が多いのでね)
この曲も大学時代にはそう好きではなかったのですが最近じわじわとどうやら来ているようです。

「超絶技巧」の練習曲の一曲とあって確かに技巧はスーパー難しいです。
イントロの後のメインのセクションの右手を楽譜を見ながら弾こうとすると本当に指がもつれそうで。
ものすごく細やかで繊細で極小回り重視の指の機動力のテクニックの練習曲です(ただここ以外の場所に応用が見つからないんですが)。

突然現れたり飛んだり光ったり消えたり、気まぐれな鬼火とその怪しい揺らめきが上記技巧によってあらわされるわけです。その軽くて実態がないような感じ、そして・・・ゆらゆら怪しく、でもきらきら輝く感じ。
予測不可能な鬼火の動きに心をくすぐられっぱなしです。

たとえばこれをアンコールで弾いたら(メインのプログラムでばてて死んでなかったら)なんかものすごく聴衆の心をくすぐることもできるし、自分がこの曲の技巧に重圧を感じることもないんじゃないかと思います。
なんとなく軽い、ファンタジックなユーモアとともにリサイタルをしめるのも楽しそうです(弾けたら!)


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